【女性30人が観た!】ヤクザを扱いながらヤクザ映画じゃない?!ジャンルを超えた人間ドラマが胸に刺さる『ヤクザと家族 The Family』の楽しみ方

昨年の日本アカデミー賞をはじめ数多くの映画賞を受賞した社会派サスペンス映画『新聞記者』の監督・藤井道人が、次に挑むテーマは「ヤクザ」。今まで描かれることのなかった世界の実像に切り込んだ意欲作『ヤクザと家族 The Family』を、女性たちはどう感じたのか?見どころや楽しみ方をご紹介します!

ほとばしる男たちのカッコよさ、本気すぎる役者たち

1999年、2005年、2019年と3つの時代を通して、一人の男とその【家族・ファミリー】の変遷を描いた壮大なクロニクルが本作。自暴自棄になっていた少年が、ある出会いからヤクザの世界に身を投じ、夜の街を仕切り、義理人情と誇りを賭けて闘った時代から、気づけば激変した世の中で戸惑いと生きづらさにもがくー。

まず感じるのは綾野剛、舘ひろしをはじめとした役者陣の強烈な本気。必死に生き、愛ゆえに苦悩する現代ヤクザのリアリティがびしびし伝わってきます。しかも登場する多くの役者は3つの時代を演じ分けるので、一人につき3人分の気迫のこもった演技が楽しめるというお得感です。

綾野剛さんの存在が圧倒的すぎて、正直、言葉にならない

綾野剛さんの20年間の変化が演じ分けられていてよかった

翼(磯村勇斗)の涙が、凄かった

俳優陣がかっこいい!

実は“家族”の物語

筋の通った一本気さで裏の世界で男を上げる主人公・山本賢治役を演じるのは、初のヤクザ役となる綾野剛。そして、身寄りのない孤独な少年だった山本に居場所を与えたのは義理人情を重んじる「柴咲組」の組長・柴咲博。演じるはベテラン俳優・舘ひろし。この2人が紡ぎ出す、まるで本物の親子のような強い絆がこの作品の見どころのひとつ。荒々しい山本が“家族”と出会ったことによって、人間らしい感情を持ち変わっていく様や、それを包み込む、温かみ溢れる組長の柴咲。”家族”とは血の繋がりだけを指すものではなく、心のありようだと言っているかのようです。

しかし山本にも愛する人との出会いがあり、大切な家族ができます。彼は激動の時代変化の中で愚直に自分の二つの“家族”を守ろうともがきます。
本作はヤクザを描いていますが、実は「家族とは何か」がテーマの作品。ヒリヒリするドラマ展開の中に、切なすぎる愛が満載なのです。

「家族とは?」と考えさせられる。当たり前のように側にいる家族を大切に思える作品

そもそも「ヤクザ映画」のカテゴリーではないと思った。家族を想う愛を描いた作品。血が繋がっている繋がっていないに関わらず、想い合う”家族”という形があって、そこにはちゃんと愛があって、その美しさにどんな立場であっても幸せになってほしいと願ってしまう。胸が苦しかった

初めて「家族」を教えてくれた存在が、いざ自分が「家族」を持とうとしたときに突如邪魔な存在になる皮肉、どの業界よりも人一倍「義理人情」に熱い男たちが、時代に翻弄されながら時代の変化に負けていく様が切なかった

次世代スターの幕開け

主演ふたりの脇を固めるキャスト陣も本作の注目ポイントです。3つの時代が舞台の本作、舘ひろし、綾野剛と連なる絆のバトンを受け取るのは磯村勇斗。彼の存在感は強烈。衰退していくヤクザ社会と台頭する新世代、またそれらを取り巻く人々に説得力を持たせ、若い鑑賞者にも”自分ごと”として感じさせる後押しをしています。
もはや彼以外のキャスティングは考えられないほどのはまり役で、本作が彼のターニングポイントとなることを期待させます。

磯村勇斗は”冷めた部分”と“内に秘めたる熱さ”の共存が絶妙で、あんな大御所たちを前に相当なインパクトを残していた

そして磯村勇斗!!ラスト、彼の演技はすごかった。是非観てとしか言えない…

ラストの磯村勇斗さんのセリフの後、言葉にするのは難しいけど、色んな感情が込み上げてきてエンドロール中涙が止まりませんでした

さらに本作の主題歌「FAMILIA」を歌うのは、作詞作曲プロデュースと八面六臂の活躍で常に注目を集めている音楽界の鬼才・常田大希。綾野剛が自らオファーし、エンドロールまでを含めてはじめて完成された一本の作品となっています。

藤井道人×スターサンズ、現代社会へ放つ強烈なメッセージ

そして本作は藤井監督であることはもちろん、『新聞記者』『MOTHER マザー』などで知られる映画会社スターサンズの作品らしく、現代を映し出し、観るものに強烈なメッセージを残します。暴対法の施行により、ヤクザという稼業を取り巻く環境が大きく変わっていき、ビジネスはもちろん、携帯は持てない、妻や子供まで影響を受ける。普通に生きていたら知り得ない、普通に生きることが許されないヤクザの実像がここにあります。

人生を踏み間違えた人の再生の物語はあるけれど、わざわざヤクザの人権に切り込んでいくところが凄い

男達の義理人情と暴力団抗争を描く名作や任侠コメディは多そうだけれど、組員の家族や時代の変化をテーマにした作品は珍しくて面白いと思った

現代でヤクザを続けることと足を洗うことの厳しさ。普通に生きることも難しくなっていく様は切ない

変わりゆく社会の中でヤクザがどう生きていくか、どう人と関わっていくか、今まで気にも留めなかった視点で、次々とこちらに投げかけてくる

これまでのヤクザ映画というと、暴力・抗争・裏社会…など荒々しいイメージを抱きがちですが、本作では時代の流れの早さに置いていかれてしまった男たちの悲哀を映し出します。まさに本作を観た30名の女性のうち25名が「女性にも薦めたい」と答えるほど、ヤクザ映画だからといって敬遠してはあまりにも勿体ない普遍的なメッセージが根底に流れているのです。何が”正義”で、何が”悪”か。”家族”とは・・・。今一度自分に問いたくなるようなメッセージをエンタテイメントに落とし込み、令和を生きる私たちの価値観に一石を投じる傑作が誕生しました。

◆『ヤクザと家族 The Family』information

あらすじ:自暴自棄になっていた少年期にヤクザの世界へ足を踏み入れた男を中心に、暴対法によって変わっていった環境と共に1999年、2005年、2019年と3つの時代で見つめていく、一人の男とその【家族・ファミリー】の壮大な物語。

上映時間:136分
公開日:2021年1月29日(金)全国公開
配給:スターサンズ/KADOKAWA
公式サイト:https://yakuzatokazoku.com/
(C)2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会

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  • ぎーこ
    4.5
    試写会で観ました。 今の世の中、ヤクザを続けることも足を洗うことも難しいのだと多少知った上で観ましたが、それでも、彼らが身動きが取れなくなっていく姿には胸が痛くなりました。社会から暴力を排除することの重要性はもちろん理解しているけれど、彼らも社会の一員であって、社会で生きていくことを困難にすることだけが解決方法なのだろうかと改めて思いました。 柴咲と山本の「親子」にはもちろん深く感動したのですが、中村と山本の「兄弟」関係にもぐっと来るものがありました。生真面目で甘えられない兄と、親父には時折素顔を見せる弟。中村が柴咲と山本を見る視線には、組織の中の序列としての「親子」「兄弟」だけではないものが含まれているような気がして、これもこの作品で描かれている「愛」のひとつなのだと感じました。 綾野剛さんの目に複雑な感情が乗っている場面で、目にすぅっと引き込まれて、視線が離せなくて、心がぶわっとさらわれるような瞬間が何度もありました。全くうまく説明できないんですが、「こういうときに人はこういう表情を見せる」と想像できる表情の更に上を行くリアリティ、みたいな。それがとても心地よくて、公開されたらきっと何度も観に行ってしまいそうです。
  • YURINA
    3.5
    Filmarks様試写会にて。 ヤクザが出てくる映画というと暴力や抗争のイメージがあるけれど本作は動と静がかなりしっかりと区別されており、心情などは繊細に描かれていたように感じる。 私自身も社会に対して生きづらさを感じているけれどヤクザのそれって比にならないんだなぁって。良くも悪くも血縁や家族という繋がりが強すぎて観ていて苦しくなった。 3つの年代・年齢を演じ分けた綾野剛さんの演技がすごくよかった。綾野剛さんのことをかなり好きになった。 暴力のシーンがあるので少ししんどかった。
  • リグレット
    3.8
    3つの時代を生きる義理と人情のヤクザの世界。そんななかでフィナーレを迎える2019年の世界。法律によってヤクザ、そして足を洗った元ヤクザも身動きが取れない現実。『ヤクザと人権』というドキュメンタリー映画を監督は参考にしたんだろうなと。個人的には『新聞記者』より面白かった。 舘ひろしは演技がそんな上手くないなというか、危ない刑事の軽妙キャラを今回もそのまんま演じてる印象強い。 Filmarks試写会にて鑑賞
  • ゆき
    3.8
    行き先 感情の高ぶりはオープニングクレジットが最高潮だった。 韓国ノアールのような背景音楽が活きる前半。 人生は一人じゃ成り立たないということを嫌になるほど見せつけられる後半。 「時代」という言葉が繰り返され、ヤクザという生き方を選んだ男たちのその先に待つ暗雲を誇張していく。 監督の過去作同様、象徴的なカットも繰り返し挟まれる。今回は工場の煙突。 暖色と寒色の使い分けや揺らぎを可視化したような映像がやはり印象的。今村さんの映像には信頼しかない。 鼻の傷を始め、些細な演出が愛おしくなるほど溢れてた。 大事な部分が「顔」で全部埋め尽くされてしまうことや尾野真千子の年齢設定、市原隼人の歯が白すぎるのが気にかかったのは物語に入り込めてないから…?ご愛敬で。 人権を奪ったのは法律であり、「普通」とされる人間だ。 教えてもらったドキュメンタリー「ヤクザと憲法」と西川監督の新作も鑑賞してから、もう一度触れたいかも。 ××× 父親を亡くし、ヤクザという生き方を選んだ男。家族以上の関係を築くが、刑期を終え出所した頃には暴対法により世界は大きく変わっていた。
  • サヤカ
    2.6
    どんな人にも人生はある。
ヤクザと家族 The Family
のレビュー(302件)