炎上&拡散、ダメ絶対!SNSでの「正しいつながり方」を教えてくれる映画あれこれ

2016.10.15
映画

気づいたら映画ファンになっていた

松平光冬

「炎上」という言葉を聞いて市川崑の映画をまっさきに思い浮べた人は筋金入りの映画マニアで、「拡散」という言葉から小田ひで次のマンガを連想した人は、相当のマンガファンに違いない。

でも現代社会において「炎上」「拡散」といえば、いわゆるネット用語を思い浮かべる人が大半だと思う。

ツイッターやフェイスブックなどのSNSで社会的な事件がまたたく間に「拡散」すれば、過激な発言があればネットが「炎上」して非難が集中することは、発端となった人物が有名無名問わず日常的となっている。

ここではそうしたインターネットのあり方、SNSなどのコミュニケーションツールでのつながり方を教えてくれる映画をピックアップしよう。

就活に勤しむSNS世代を突き刺すキビしい青春

『何者』

何者

(C)2016映画「何者」製作委員会 (C)2012 朝井リョウ/新潮社

桐島、部活やめるってよ』で知られる作家、朝井リョウの直木賞受賞作を映画化。

就職活動を通して知り合い、内定獲得という共通目標に向け意気投合していた5人の男女だが、次第に就活に対する姿勢などの差異が明らかになるにつれ、その関係に変化が…

面接官に良い印象を与えるよう着飾る自分と、SNSで本音を吐露する自分――果たして自分は「何者」なのかを、観客にも突きつけてくる作品となっている。

昨今は就活状況をSNSに記す学生も多いようだが、その内容から炎上となって内定が取り消されたというケースも少なくない。

本作でも、SNSを発端とした「ある展開」が待っている。リアルタイムに就活中の人は、リスク対策の一環として観ておいた方がいいかもしれない。

ツイッター初心者必見、使い方の良し悪しが分かる映画

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』

シェフ

(C)2014 SOUS CHEF,LLC. ALL RIGHTS RESERVED

ロサンゼルスの一流レストランシェフとして働くカールはある日、自分の料理を酷評したグルメ評論家のツイッターを見つけ、使い方をよく知らないままに怒りのツイートをしてしまう。それがまたたく間に炎上してしまい…

ツイッターを使っている人なら「あーあやっちゃった」と思わずにはいられないこの行為だが、使い方を把握しているはずでも、感情に任せたツイートをしてしまうことはありがち。

ツイッターが発端で痛い目を見るカールだが後半、使い方を熟知している息子の拡散によって事態が変わっていくため、ツイッター初心者にとっては、使い方の良い例悪い例が分かるという点で参考になるかも。

ネットでつながる社会を象徴する、悲喜こもごもな群像劇

『ディス/コネクト』

ディス

(C)DISCONNECT, LLC 2013

自身の裸の写真をネットに拡散されたショックで自殺未遂を起こした少年とその父親、不和状態となった悩みをチャットで打ち明けるうちに個人情報を盗まれ全預金を奪われた夫婦、そして違法ポルノサイトで自撮り写真を売る少年と彼を追う野心的な女性テレビリポーター、これら3つの話が緩やかにつながっていく…

SNS依存、児童ポルノ画像、なりすまし詐欺に個人情報漏えいといったネット社会につきものの危うさを、ドキュメンタリー映画『マーダーボール』でも見られた臨場感あふれるカメラワークやアドリブの多用でリアリティーにとらえた、ヘンリー=アレックス・ルビン監督の手腕にも注目。

『ステイ・コネクテッド つながりたい僕らの世界』

ステイ

ネットでおのおの浮気相手を探す夫婦に、フェイスブックで母の再婚を知らされた息子。芸能界で成功し損ねた過去を引きずるあまり自分の娘をネットアイドルにしようとする母。GPSで娘の行動を監視する母に、親に秘密でSNSを始める娘といった、ネットに依存する親や子を描いた群像劇。

JUNO/ジュノ』や『マイレージ、マイライフジェイソン・ライトマン監督、アダム・サンドラージェニファー・ガーナー出演という強力な布陣でありながら、日本では劇場未公開となってしまった作品。

たとえ手痛い失敗をしたとしても、人間またやり直せばいいといったライトマン監督らしいメッセージは、本作でも健在。

SNS情報を鵜呑みにしすぎた人間たちの暴走

『白ゆき姫殺人事件』

白ゆき姫

(C)2014「白ゆき姫殺人事件」製作委員会(C)湊かなえ/集英社

化粧品会社のOLが遺体となって発見され、テレビのワイドショー番組のディレクターの赤星が被害者情報をツイートしたことに端を発し、そこから一人の同僚女性の城野が、容疑者として拡散されていく…

SNSからくる情報を鵜呑みにしてしまいがちな、ネット及びマスメディアの現状を皮肉った作品。

本作の原作者、湊かなえは他にも『高校入試』のような、情報の拡散がもたらす怖さを内包した作品を発表しているので、併せて触れてみるのもいいかも。

俺の“訃報”を拡散しろ!「いいね!」依存症男の本当の友だち探し

『Facebookで大逆転』

facebook

(C)2014 FACEJOCKEY FILMS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

フェイスブックで「いいね!」をもらうことに執着するあまり、態度の悪い運転手などのリアクション画像をアップしまくる駐車取締官のマイケルが、フェイスブック内の友人の誕生パーティにひとり招待されなかったことに激怒。そこで自分が死んだという情報を拡散して、誰が真の友だちなのかを突き止めようとする…

マイケルの行為自体はホメられたものではないものの、SNSで自分がアップした画像やつぶやきにリアクションが欲しいと思う方は多いのでは。また、直に付き合える友だちが少ない人ほど「いいね!」友だちを求めようとする心理は、SNSが普及する現代社会を象徴しているといえるかも。

「ワロタww」「ざまぁw」などのネット用語を活用した日本語字幕も楽しいコメディだが、くれぐれもマイケルのようにやり過ぎないように。

おわりに:ネットの魔力に自分を見失わないように

コミュニケーションの手軽なツールとして重用しているインターネット及びSNSも、時に危険が伴う両刃の剣となるのは、現代人なら分かりきっていることと思う。

それでも、悪気なくツイートしたつもりの文章が、人によっては悪意と見なされ炎上&拡散沙汰になることもある。

ハッキリ言って、炎上&拡散を絶対に防ぐ方法などないのかもしれない。

それでも、ネットの魔力に自分を見失わないように、今回取り上げた映画がネットやSNS、ひいてはその向こうにいる人と上手に付き合っていく上での指針になれば幸いである。

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  • シズル
    3.7
    どうして見えない相手に繋がりを求めてしまうのだろう
  • Kana
    2.0
    友達のいない少年、将来の見えない若者、過去に囚われた夫婦…孤独を抱えた現代人を描いたオムニバス。 彼らはその心の隙間を埋めるため、ネットの世界に繋がりを求め、少しずつ歯車が狂っていった…。 同情はするけれど、愚かだなぁとも思ってしまった。 インターネットなんて、相手の表情が見えない世界で、どうして誰かと絆を結べると思ったのか。 それは他に、繋がれる場所がないから。 ネットが普及したことで増えた犯罪もあれば、ただ手法が変わっただけで、その裏で減っていった犯罪もあるのだろう。 ただ手軽さが増したことは確実で、若者が手を出しやすくなったことも確実。 そして相手の表情が見えないということが、安心感を生むこともある。 恥ずかしい自分を見せなくていい。 自分の望む自分を演じられる。 だけど最後にはやっぱりその矛盾に苦しめられて、ネット上の繋がりだけでは満足できなくなる。
  • そら
    4.0
    SNSといえど、映画の世界ではなく遠い外国の話でもなく、手のひらの中で繋がる現実の世界。 誰の人生も並進対称性のような永遠に続くような日常の中で少しのボタンの掛け違いようなちょっとしたズレで狂わされていく日常。 そこをSNSで補正と補完を行う毎日。 空虚と呼ばれるネットの世界が本当に意味がないものなのか、 だからこそ吐露できる言葉があるのではないか。 近くにいるから一緒にいるから繋がっているのだという虚構と過剰にも似た自信。 SNSに気持ちを乗せること、繋がりを持つこと。 どちらが本当の日常なのだと不安にもなった。 「クラッシュ」や「バベル」のような繋がりを感じる。
  • それ見た
    3.9
    矛盾や葛藤を抱えた人々がSNSで他人と結びつき、人間関係に亀裂が生じる群像劇。 3つのエピソードが交錯するので序盤は登場人物を把握しきれなかった。 ネット上での交流から秘密が暴かれる展開は軽率とか浅慮だけでは片付けられないやるせなさと怖さがある。 擬似的な父と息子のようにチャットで交流するシーン、記者に少年が詰め寄るシーンは熱演だったと思う。
  • kai
    3.9
    子どもを亡くした妻がネット上で男と会話をする 友だちのいない少年の元に見知らぬ女の子からメッセージが届く ウェブカメラでチャットをするアダルトサイトに仕事目的でアクセスするTVリポーター 登場人物の多くが心に闇と孤独を抱え生きていた。 ”子を守る”という親の愛情の深さが、TVリポーターとは対照的だった。
「ディス/コネクト」
のレビュー(3661件)