ドラマ、配信、コミック、SNS、オリジナルアルバム、ドームツアー、そして映画と、数多くのメディアやエンタテインメントを巻き込み展開する、世界初のプロジェクト「HiGH&LOW」。その集大成として日本映画では類を見ないスケールで作り上げた『HiGH&LOW THE MOVIE』が興行収入20億を突破する大ヒットで、日本映画界を騒がしました。
今月、8日公開された映画第2弾『HiGH&LOW THE RED RAIN』も公開から10日で動員50万人を突破し、興行収入6.5億円を超えるこれまた大ヒット! 今回はそんな「HiGH&LOW」シリーズ映画第2弾の山口雄大監督にインタビューしましたので、ご紹介します!
とにかくインパクトがあるものが作りたかった
Q.監督をされるようになったきっかけ、これまでの略歴について教えて下さい。
—小学生の時に漫画家になりたいと思っていたので、よく漫画を描いていたのですが、なかなか自分が想像する画が描けず、イメージだけで画力が追いついていないのがすごいジレンマでした。上手くいかないなと思っていた時に、サム・ライミ監督の『死霊のはらわた』を観て凄い衝撃を受けて、実写映画を撮りたいと思い、ビデオカメラを持って『死霊のはらわた』のような映画を撮り始めたんです(笑)
同じ位置にカメラを置いて、同じ芝居をしているつもりでも全然上手く行かなくて、色々調べてみると照明を当てていないとか、レンズが違うとか…。そういうところがわかってきてから、色々試していくうちに夢中になっていって、映画を本格的に作ってみたいと思い始めました。
Q.『死霊のはらわた』は、よく映画青年たちのバイブルとして崇められるような作品ですが、それが監督になられたきっかけの映画だったのですね
—そうですね。何かを作ったりするのが好きで、物語を作ったり、画のカット割りを考えるのとか。とにかくインパクトがあるものが作りたいという想いが一番ありました。
そこで選んだ監督デビュー作が漫☆画太郎の原作漫画を映像化した『地獄甲子園』です。1年で監督デビューする人は沢山いて、ほとんどの人が名前も覚えてもらえないんですよね。だから最初にインパクトが欲しくて、「なんでこいつこんな映画作るの?」と思ってもらいたくて(笑)それもあるし、『地獄甲子園』の漫画自体も好きだったので、1作目はこれにしようと思いましたね。
Q.インパクト重視、さすがですね。そこからどういった経緯で『HiGH&LOW THE RED RAIN』に関わることになるのでしょう…?
—1作目後も、とにかくインパクト重視で(作品を)選んでましたが、その色がつきすぎてしまい、“変わったコメディ映画しか撮れない”と思われてしまうんですよね(苦笑)
実は、北村龍平監督と一緒に『VERSUS ヴァーサス』というアクション映画を撮ったのがキャリアの出発で、北村監督とは『あずみ』まで一緒でした。他のベクトル(王道のアクション映画だったり、エンターテインメント映画だったり)でも手がけられるということを知られないまま、インパクトのあるコメディ映画しか撮らないというレッテルを貼られてしまっているのではないかという悩みがありました。
そんな事を思っていた時期と「HiGH&LOW」プロジェクトに関わるのが決まったのが、ほぼ同時期だったのです。こういう作品に携わることにより、今までとは違う、これだけの規模の作品が撮れる良い機会を与えてもらったことに感謝しています。
Q:今回『HiGH&LOW THE RED RAIN』で、チャレンジされた事、一番困難だったことは何ですか?
—撮影で困難だった事はたくさんありました。ひとつに、公開日がすでに決まっていて、準備する時間がほとんどなかったこと。海外での撮影もあったので、意思の疎通から始めなくてはいけなくて…。また、HIROさんは(本作について)スケール感やダイナミックという言葉をよく使われており、(映像でも)そういったことを演出しなくてはならないという点がプレッシャーでもあり、挑戦でもありました。
「EXILE TRIBE」の持つ《絆》を描くという覚悟
Q:今回の作品で伝えたいテーマはありますか?
—HIROさんを筆頭にした「EXILE TRIBE」というプロジェクトで、血よりも濃い絆というのを感じており、それが「HiGH&LOW」シリーズにも継承されていると考えていました。なので、シリーズを通して何よりも“絆”は大のテーマであり、それを描くことを意識していました。
そのために、人物関係を作品の中で読み取るのではなく、HIROさんの自伝を読もうと思いました。「EXILEがどういう成り立ちで出来たのか」、「EXILE TRIBEとは何なのか」など、それを紐解いていくことで“絆”というのものがどのようなものか自然と理解できるようになりました。
大多数の人が観て”面白い”と感じる《シンプルな》映画も作っていきたい
Q:山口監督の一番好きな映画、作品を作るうえで参考にしている映画はありますか?
—昔は結構トリッキーな映画を目指して参考にしていました(笑)『未来世紀ブラジル』など、ちょっと本流から外れたものを参考にして撮っていたのですが、年々原点に戻って来たというか、普通の映画が良いなと思うようになりました。
例えば、ベタですけど、黒澤明監督の『七人の侍』や『天国と地獄』からもインスピレーションを受けることが多くなっています。みんなが認めている作品、大多数の人が観てみんなが面白いと言う作品には、きっと何か秘訣があるんだなと思い、そういうものを参考に観てます。
Q: ちなみに、『HiGH&LOW THE RED RAIN』を撮るうえで参考にした作品はありますか?
—全体の映画のイメージとしては、80年代後半ぐらいの映画で、ウォルター・ヒル監督の『ストリート・オブ・ファイヤー』ですね。音楽あり、アクションありで90分ぐらいでまとまったタイトな映画で、とてもシンプルなストーリーですが、一番最初に思ったのがこの映画でした。
ほかに『ランボー』や『コマンドー』など、80年代後半から90年代前半のアクション映画って本当にシンプルで、今や『ダイハード』以降いろんなシチュエーションがあって、いろんなものがくっついてアクション映画が複雑になってきたんですが、あの時代はシンプルだったように思えます。
<やられたからやり返す>とか、<復讐に行く>とか。今回の映画も、そのぐらいシンプルなものにしたいと思いました。
Q:今後の展望として、どのようなテーマ、作品づくりをしていきたいと考えていますか?
—前は、インパクトのある映画だったり、他の人がやらない事に挑戦する、というところに意義をおいていたのですが、今は大多数の人が観て面白いと感じてもらえる映画を撮りたいと思っています。
今後は、アクション映画やホラー映画だったり、僕の得意分野でもある”男っぽい映画”に特化していく一方、今回の『HiGH&LOW THE RED RAIN』のように、自分の趣味趣向をあえて目立たせずに、広い意味での”エンターテインメント映画”を撮りたいと思っています。
『HiGH&LOW THE RED RAIN』は、全国絶賛公開中!
公式サイト:http://high-low.jp/
(C) 2016「HiGH&LOW」製作委員会
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