ネトフリ社員が全力プレゼン!悩める人の背中を押す、魅力的な5人の女性キャラクター(後編)

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Netflix Japan編集部

3月8日の「国際女性デー」にちなんで、Netflixの社員が作品を通して出会った魅力的な女性キャラクターをプレゼンしていく座談会。

本編のワンシーンを見ながら、さまざまな意見が噴出した前編はこちら

今回も映画レビュアー・ライターとして活躍するDIZさんを迎え、女性キャラクターたちの魅力や生き方、そこから受け取ったメッセージをさらに議論していきます。

なおみ:Netflix コンテンツ部門マネージャー。2017年入社。普段はオリジナル作品の製作や契約に関わっている仕事をしています。最近のイチ押し作品は『ブリジャートン家』と『コブラ会』

なお:Netflixコンシューマーインサイト部門。最近のイチ押し作品は『ヒルダの冒険』『アイリッシュマン』『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』

アントン・リラ:リラ:Netflix クリエイティブマーケティング担当。最近のイチ押し作品は『ノトーリアス・B.I.G. -伝えたいこと-』

やよい:Netflix 法務担当。最近のイチ押し作品は『都市を歩くように -フラン・レボウィッツの視点-』『進撃の巨人』『呪術廻戦』『はたらく細胞 BLACK』

DIZ:映画レビュアー、ライター。SNSで映画の素晴らしさを伝える活動中。映画とファンをつなぐメディア「uni」(@uni_cinema)主催。常に幅広いジャンルの映画をチェックしている。

自分を受け止め、認めてくれる存在『私の“初めて”日記

リラ:今まで私はさまざまな作品を見ても「この人は自分だ」って思えたキャラクターがいなかったんですが、この作品に登場するデービーはすごく自分に似てるなって思えました。

私の“初めて”日記』はロサンゼルスに住む高校生たちの話で、主人公・デービーは両親がインド人でアメリカ出身の女の子。約一年前にお父さんが亡くなって、二人の親友がいます。一人はお母さんがあまり家にいない子で、もう一人は最近自分がレズビアンだと気づいて自分を受け入れようとしている、そんなさまざまな悩みをもつ高校生たちの物語です。

デービーが私に似ているのは、周囲とはちょっと違う自分を気にしていて、だからいつも冗談を言ってごまかしたり、可愛いって思われてないから逆に評判を無視しようとして、自分が得意なものだけをやろうとするところ。好きな人もいるけど、その人に自分は絶対好かれないって分かってしまう辛さとか……そういう姿を描かれたときに、「うわー思い出すなー」って懐かしい気持ちになって(笑)。そして「自分がこの年の時に、この作品があったらな」ってすごく思いました。

リラ:うちのお父さん、今でも「There’s my beautiful girl!」っていつも言ってくれるんですよ(苦笑)。そんな親の愛情は、ずっと感じてましたね。特に子どもの頃は周囲との違いが浮き彫りだったので、自分を愛してくれた親のありがたみを大人になって実感してます。親が「自分でいいんだよ」って言い続けてくれなかったら、人生まるで違っただろうなって。

作品で描かれてる時代(10代)って大変なんですよね。恋したり、フられたり、部活でどうたらとか、何に対しても悩むから、このシーンのデービーの気持ちがすごく分かる。自分が弱く感じちゃうときに、守ってくれる人がいるってすごく大切。

私は中3の夏からアメリカの寮制の高校に入ったんですが、家族はずっと日本にいたので卒業後は日本で就職して、またアメリカに移って、そして今また日本に住んでいます。アメリカでも日本でも、自分が“滅多にいない人”って分かってるんですよ。だから私が一番共感できるのは、アメリカに住んでいるインド系アメリカ人やメキシコ系アメリカ人だったり、日本の場合だったら在日の人たちとか。「周囲からは外国人だと思われてしまうけど、本人はその国しか知らない人たち」が一番共感できるんです。

デービーも、アメリカで生まれ育ってアメリカを自分の母国だと思ってるけど、親がインド人だから周りの皆と違って嫌だと思ってる。だけど、だんだんと大人になりながら、その良さにも気づいてる。その姿も、すごく分かるなって。

DIZ:私の10代ってとても孤独だったんですね。デービーのお父さんみたいな存在がいたら良かったってすごく思ったんですけど、皆さんは悩める10代の時に、悩みを打ち明けられる人いましたか?その人からもらった言葉とかあれば、ぜひ教えて欲しいです。

リラ:私の場合は兄弟ですね。必ずそばにいて頼れる存在でした。私は四人兄弟の末っ子で、兄弟みんな似た経験をしていたので、辛いことがあったらお兄ちゃんやお姉ちゃんに相談すれば分かってもらえる。それが一番の強みでしたね。

なお:思い返せば、私は自分で解決するタイプだったなって思います。あまり賢いやり方ではないと思うんですが、誰に相談に行くわけでもなく、自分で解決方法を見つけるっていう。自立してるとも言えますが、悪く言えば周囲に上手に甘えることができなかったんですよね。

それでも結果的にうまいことやってこれたのは、リラの家とは違う形だけど、すごく日本的な愛情を受けたせいかなと。「I love you」なんて言われたことはないけど、愛情は常に感じていました。私がやることに両親が口出してきたことはまるでなくて、いつも「やってこい!」って感じ。信頼されてたのかな。

なおみ:私の10代の頃は、大きな問題を抱えてたわけではななかったんですけど、友達が全然いなくて(苦笑)。高校から帰ってきて、家で一人で映画を見る日々でした。暗いわけではなかったんですけど、友達がいなかったんですよね。

だけど家族は「遊びにいかないのか」と言わず、普通に日々過ごしていて……。なおさんの家庭に近いのかもしれません。直接的な言葉で愛情を表してくれることはなかったんですけど、必ずそばにいて、雰囲気で包んでくれるような存在でした。

やよい:私は逆かな。私はインター(ナショナルスクール)育ちなんですけど、親は英語とか全く喋らないんです。私をインターにいれたくせに、すごく“普通”を強要する親でした。母はもう亡くなってるんですが、結局最後までそのギャップは埋まりませんでしたね。「違うことは良くない」って叩き込まれたから、高校の頃は「なんで私は普通でいられないんだろう?」ってすごく悩みました。私は、普通でいたかったのに。

その高校生のときに知り合った友達に、すごく助けられました。彼女は日本の公立の学校に通っていた子だったんですが、「違うっていいことだよ。絶対いいことだから、つべこべ言わず、私を信じな」と言ってくれて。その言葉を信じて、ずっと縋り付いてきた気はします。その子とは今でも仲が良くて、私が大変なときいつも駆けつけてくれる存在です。その子の言葉のおかげで、今までやってこれましたね。

“私”こそが輝くブランドになる『きらめく帝国 〜超リッチなアジア系セレブたち〜

やよい:これ超おもしろいよ!(笑)

リラ:すごい気になって、見ましたよ〜。一晩で見た!

やよい:改めてご説明しますと、みなさん映画『クレイジー・リッチ!』の存在だけはご存知かと思います。あの作品に出てくるような、アジア人で桁違いにお金持ちな人たちの実態を紹介するリアリティーショーです。

ガイド的な存在として、お金持ちではない地方出身のモデル、ケビンが登場します。ケビンが地元からロサンゼルスに出てきて、シンガポールの御曹司ケインと友達になったことをきっかけに、お金持ちたちとの交流が始まっていきます。パーティーに呼ばれたり桁違いのショッピングをしたり、キャビアやシャンパン、ダイヤモンドのネックレスが飛び交うような生活を送る人びとの人間模様が、とてもよく描かれているリアリティーショーだと思います。

私が推しているのはアナ・シェイという、登場人物でおそらく最年長の60歳くらいの女性。日本とロシアのハーフで、武器商人の一家に生まれたとんでもない大富豪。だからといって、自分を失っていない人。毎エピソード必ずバシッと名言を残すんです。すごくかっこいい生き様の、気風がいい人ですね。

やよい:背景として、ケビンがアナ・シェイの家へ遊びにきたときの出来事があります。ディオールが自宅に行商に来ていて、アナ・シェイは「好きなの持っていっていいわよ」と言いながら服や靴を買ってあげるんです。ケビンは「ディオールなんて初めて!」ってすごく喜んで、服や靴を持って帰ります。

後日、ケビンは友達に「これもらったんだよ」と見せたら、「君をテストするお金持ちの文化なんじゃないの?」「馬鹿みたいに喜んで持って帰るのか、『こんな高いもの受け取れません』って礼儀をもって断るか、試してるんじゃない?」と言われて、ケビンは「マジで?オレ試されてんの?」って慌てて、一回履いちゃった靴を持ってアナ・シェイの家にやってくる。「こんな高いもの受け取れないので、返そうと思うんですけど……」って言ってるシーンです。

ここでアナ・シェイが「まず、あなたそれ履いたよね? そもそも一度使ったもの、ましてや贈り物を返すって、どんな文化でも失礼だから」としっかりと諭すのがすごく良い。お金持ちだからじゃなくて、人として一本筋が通ってる人なんだって伝わります。

また、「服に着られないで」「物に惑わされないで」っていう言葉も印象的。私なんか浅はかだから、エルメスのバッグとか喜んでしまうんですけど(笑)。アナ・シェイはそういうの一切なくて、「物はあくまで物」っていうスタンス。この人だったら、ディオールだろうがユニクロだろうが、平等に物として見て、買って、着るんだろうなって。ちなみに、私は母に「高いものを身につける女じゃなくて、身につけたものが高く見える女になりなさい」って、子どもの頃から何回も言われてたんですね。

一同:(拍手)

やよい:Thank you!(笑)。いまでもその言葉は私の中に残っていて、100円ショップで買った傘でも、私が持ったら高い傘に見える女になんなきゃいけないって思ってきました。その点でも、アナ・シェイはお見事だなと思います。

リラ:私もアナ・シェイの大ファン。最高。やよいさんの話もわかるし、アナ・シェイは逆に「お金持ちである自分」にも自信をもっているのが良いなって。お金を見せようとしない人もいるけど、アナ・シェイは「私はお金持ちだし、私はこんなふうに生まれた人間です」ってストレートに見せるところもいい。

やよい:ブランドのようになりたいからブランドを持つ人が沢山いるし、勿論それも楽しみのひとつだと思う。だけどアナ・シェイは「高級品を身につけてる私はすごい」じゃなくて、「私がすごいから高級品を身につけられるし、私が選んだものは何でも素晴らしい」という自信が素晴らしいと思います。

なお:アナは、仮にお金持ちじゃなくても同じこと言いそうだなと思いました。確かにこの人の財力がこの人自身を裏打ちしてると思うんだけど、それ以上に自分自身に対して絶対的な自信を持ってる。「お金がなくても私はすごい」と思わせる姿が魅力なんだろうな。私も今晩見ます。一気に。

やよい:やったー。

なおみ:私もまだ見てないんですが、私にとってやよいさんってアナ・シェイみたいな印象です。私がパニクってたり、何かを相談したとき、やよいさんはいつもクリアに状況が見えていて、パッと色んなアドバイスやコメントをくれますよね。やよいさんはどこにいても自分自身があるんだろうなと思うので、この作品と人物を選んだのは納得でした。

やよい:そんなこと言っていただいて、本当に光栄です(笑)。他にも、アナ・シェイがDV彼氏に振り回されてる友達に「別れなさい」って助言をするときも“男に振り回されるんじゃなくて、あなたがちゃんと男を選びなさい”とアドバイスするんです。

女の人じゃなくても、相手に選ばれることを優先すると自分が辛い気持ちになっちゃう。「愛され〜」みたいに、周りにどう見られるかを重視するスタイルもあるけど、私はそうじゃなくて自分が選ぶべきだと思う。「自分が選んだ相手は素晴らしい、なぜなら自分が素晴らしいから」っていう心持ちでいられたら、毎日がもっと楽しいだろうなって。

なお:Love yourself!

やよい:そう、“Love yourself FIRST!”ですよね。ブランドを持つのって楽しいけど、大事なのはブランドに着られることなく自分の目で選ぶこと。そのうえで「私が選んだものはなんでも素晴らしい」って、自分自身がブランドになれるのが一番素晴らしいですよね。

偉大な“オカン”の愛情に涙『東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン〜

残念ながら座談会欠席となったNetflix マーケティングパートナーシップ担当のテリー・サイさんが紹介してくれたのは、『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』の主人公が大分の美術高校へと旅立つシーンです。

テリー:私は台湾生まれ、オーストラリア育ちの台湾2世オーストラリア人です。私は外国人ですが、親子の関係や母親の愛情を描いたこのシーンが、私自身の体験にすごく近かったんです。

私は18歳のとき、大学進学のために家を出ました。いよいよ出発の日、母が「忘れ物ない?」と荷物を確認しにきたんですね。不思議に思っていたんですが、到着してから、母がこっそりと私の大好物の水餃子を山ほど積んでいたのを見つけたんです。「ちゃんとご飯食べてね」と一言だけの手紙も入っていて……。母親からの応援の気持ちや別れの寂しさ、さまざまな複雑な思いが詰まった水餃子でした。食べながら涙が出ましたね。
このシーンを見ると当時を思い出して、今でも涙が出ます。自分が歩んできた、しかも他人にもあまり語ってこなかった出来事が、まさかスクリーンに現れるとは……。この作品を見たとき、とても強く心に残ったシーンです。

母親から見れば、子どもはいつまでも子どもなんだなって思いますね。今でも電話をすると「元気?風邪引いてない?」とか「お仕事頑張りなさい」とか、いつも同じ言葉をかけてくれます。母親からの愛って無限で、本当にすごいと思います。『東京タワー』の「オカン」も、まさに偉大な母親、偉大な女性ですね。

この時代に「自分らしく」生きるには?

DIZ:今回たくさんの素敵な女性キャラクターを知って「自分が女性であることに囚われてたな」という気づきが沢山ありました。皆さんが他の方のキャラクターを見て、気づいたことがあったらぜひ教えてください。

なおみ:Netflixの女性って強いなと思いました(笑)。実際のコンテンツに負けないくらい、働いている社員のキャラクターが強いなと。皆さんそれぞれの経験を知ることができて、すごく楽しかったです。特に最後のアナは強烈だったので、すぐ見たいと思います。

リラ:作品もそうですが、皆さんの意見も面白かったです。「女性」って、ひとつの言葉やカテゴリーにまとめられないじゃないですか。いろんな生き方があって、ひとつの正しい生き方があるわけじゃない。だから『マリッジ・ストーリー』のニコールみたいに悩んでる時に、デービーのお父さんやアナ・シェイみたいに道を示してくれる人って本当に必要。みんな「頑張って」って背中を押されたい。これは女性だけじゃないと思うし、人として誰もがそういうサポートが必要だなって感じました。

最近チーム内でも「もっとお互いを褒めよう」と話してました。みんな頑張って忙しく働いてるのに、お互いを褒めることを忘れちゃうんですよね。ちょっとその場で「お疲れ様」って言うとか、時間をとって「あれ良かったよ」「よく頑張ったよね」って伝えるとか。自分としても反省点なので、今日作品を見ながら、そういう言葉を言える人になりたいと改めて思いました。

なお:私は全体を振り返ると、やっぱり“ラベリング”が気になるんですよね。物語ではどのキャラクターも、何かしらのラベリングから脱却しようともがいたり、あるいはラベリングとは遠いところで生きている存在。それぞれのキャラクターの生き様を見ながら、いろんな解釈ができてすごく面白かったです。

私はいま二児の母で男の子と女の子両方いるんですけど、「この子たちに何を伝えていこう?」と日々考えています。男の子らしくあるのも、女の子らしくあるのもあなたの自由だし、そうじゃないところを選んでも全然良いんだよと。自分の見せ方、生き方の選択肢はいっぱいあるし、自分にラベルを貼る必要はないってちゃんと伝えたいなって思ってます。皆さんのお話と作品を見て、思いをまた新たにしました。

やよい:一貫したテーマとして、ラベリングからの開放ってありますよね。ただ、私は「ジェンダーを無視する」ことには疑問を覚えています。自分は女性であり母である上で、時には恋愛とかもしながら生きている。女性であることは私にとって大事なことだし、無視できない。だから「ジェンダーレス」などを人に押し付けないように意識しようと思います。

自分の性別やアイデンティティと向き合うってとても大事で、究極的には自分が確立していれば、アナ・シェイみたいに「関係ないわよ」って振る舞える。だけどほとんどの人はそれができないし、女性であることの社会的ハンディキャップを常に考えなきゃいけないから、悩むんですよね。悩んで苦しんで、道に迷って、誰かに話を聞いてもらいながら進んでいく。だけど視点を変えれば、迷う過程も楽しいし、悩まない道を選ぶのも勿論あり。自分なりのやり方で自分自身のブランドやアイデンティティを確立する人になりたいし、誰かの人生の過程を助けてあげられる人になりたいですね。

文・伊藤七ゑ
(C)2007 「東京タワー~o.b.t.o.」製作委員会

ネトフリ社員が全力プレゼン!

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