バカバカしいと言われても他の映画に埋もれない異色の映画を作りたい!《取材》

渡部さんアイキャッチ

今一線で活躍しているドラマ・映画の脚本家が描く「観客の期待にこたえて、裏切るエンターテイメント映画」とは!?

新しい映像クリエイターの発掘と育成を目的に、コンペティションを勝ち抜いた映像企画をTSUTAYAが全面的にバックアップし、制作からレンタル・販売までを総合支援する「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2016」(以下、TCP)。本コンペにおいて、『哀愁しんでれら(仮)』でグランプリを受賞した渡部亮平さん。

自主制作にて初監督で撮り上げた映画『かしこい狗は、吠えずに笑う』、またバカリズム氏脚本で話題になったドラマ「黒い十人の女」の監督や来年春公開の『3月のライオン』の脚本家としても活躍中の渡部さんに今回挑戦する映画制作の想いについてインタビューしました。

■参照:
TSUTAYAが「本当に観たい映像作品」の企画を募集中!5,000万円の制作支援
次世代の大物監督が出る!?「TCP2016」最終審査会に密着!

渡部亮平監督『哀愁しんでれら(仮)』ってどんな企画?

渡部さん密着2

不幸のどん底にいた女性が、王子様と結婚し、お城(愛の巣)に住みはじめ、徐々に家族の絆という“毒”に侵食されていく・・・。本作は、誰もが憧れる「シンデレラ」の衝撃のアフターストーリーを描く。幸せな女性の象徴であるシンデレラの恐ろしい行く末を目撃してください。

(『哀愁しんでれら(仮)』企画資料より)

-TCPでグランプリを受賞した瞬間、どんな心境でしたか?

渡部さん密着1

実は「これは取れたかも」という感覚はプレゼンを終えて感じていました。でも、準グランプリなどが発表されていくにつれて、自分が想像していた基準では賞が選ばれていないことに気づき、一気に不安になりました(笑)グランプリで受賞が決まったとき、ほっとしたのと同時にとても嬉しかったです。

渡部さん4

-プレゼンの手応えはありましたか?

手応えはなかったのですが、プレゼンで話す台詞は全部書いて、練習していました。実は、わざと間違えて言い直すというようなところまで全部台詞にしていたんです。そこまで完全コピーしてプレゼンでは再現していたので、いけるのではないかという気持ちになれました。人前に立つのは得意ではないので、もちろん当日は緊張しましたが、失敗しない自信はありました。

渡部さん密着3

結婚はサスペンス。女性に対して「夢」を描かない

-『哀愁しんでれら』という作品を思いついたきっかけは何でしょうか?

『かしこい狗は、吠えずに笑う』でもそうですが、モデルとなった人が身近にいて、今回もそうでした。実は、それは自分が好きだった人なのですが、その人がわずか数ヶ月の間で結婚してしまったんですね。当時まだ23歳で焦るような年でもないと思うのですが、そんなに短期間で結婚を決意されたことに驚きました。その驚きがきっかけとなり今回の『哀愁しんでれら』の企画ができました。

渡部さん1

結婚って、誰にとっても身近なサスペンスであり、人生が変わるきっかけだと思うのですが、それを物語として魅せるときにどうやって展開させるべきか、映画にして何を描きたいのかというのは後から肉付けしていきました。

-Filmarksでも評価の高い『かしこい狗は、吠えずに笑う』やこの秋放送のドラマ「黒い十人の女」をはじめ、女性をテーマ・主人公にした作品が多くあります。本作のテーマも女性ということで、その源泉にあるものは?なぜ女性なのでしょうか。

女性がテーマで主役というのは、たまたまというのもありますが、興味はありました。自分には姉が二人いて、従兄弟にも女性が多く、女性に囲まれて育ったというのもあります。ずっと女性を身近に見ていることもあり、自分が女性について書くと、「本当に夢がないね」と周りからよく言われます(笑)

女性に対して憧れを持つ人たちの映画を見ると嘘に見えてしまうんですね、リアリティがないというか、表面上の姿でしかないというか。

テレビドラマ「黒い十人の女」も脚本はバカリズムさんですが、自分と同じで女性に対して夢がないなと思います。だから妙にリアル。男が思い描いているように、女性はいつだってキラキラしているわけではなく、むしろ人間なんだもん駄目で当然という考え方です。男性だって、現実は駄目なことだらけだし、「女性だけ全てにおいて綺麗でいるわけはないよね」という意味です。

渡部さん3

「女性の気持ちが分かるよね」とよく言われるのですが、自分は単純に「人間の気持ち」を書いているだけです。そこに女性に対して夢がないだけ。女性に対して夢を持っている人は、余計な自分の憧れをプラスしてしまいます。そういうのを描かなくても、人間らしくていいじゃないかと僕は思いますね。

バカバカしいと思われるような異色な映画が撮りたい

-影響を受けた作品やクリエイターの方はいますか?

人生を変えた作品はあります。1個目は、高校2年生のとき、野球部を辞めて、なにもやることがなかったときに観た『アイデン&ティティ』という映画です。これを観たことがきっかけで、好きなことをして生きると決意し、気がついたら、脚本を書くことにのめり込んでいました。

その後、ずっと脚本を書き続けていたのですが、なかなか仕事にはつながらず、このままだといけないと思っていたときに、ポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』に出会いました。

殺人の追憶

生意気な言い方かもしれませんが、そのセンスの良さに脱帽しました。これまで抱いていたアジア映画に対する偏見が払拭されました。

『殺人の追憶』は、未解決事件を刑事が追うというありふれた話ですが、めちゃくちゃ上手く撮っているんです。簡単にいうとバカバカしさを真剣に描いた演出が素晴らしい。たぶん僕は、バカバカしいことを真面目に描いた映画が好きなんですよ。自分の人生も真剣にバカバカしいことをついしてしまってることが多々あって、だからリアリティがあるように思えるんです。

渡部さん2

これを観たとき、こんなセンスがいい映画を自分も制作できるかもという思い上がりもありました。『殺人の追憶』を観て、エンタメとアートが調和したセンスの良さに感動して自分もそれを目指したいと思いました。

-最後に作品を作る上での意気込みを聞かせてください。

他の商業映画に埋もれてしまう映画は絶対に作りたくないと思っています。今回、TCPという映画を作れる機会をもらったので、その期待に応えつつも他に類を見ない異色なものを作りたいと思っています。「なんでこうなったの?」 と言われるくらいのオリジナル映画を作りたいと思います。

-渡部さん、ありがとうございました。完成を楽しみにしています!

(取材:斉藤聖、撮影・文:柏木雄介)

■TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM公式サイト
http://top.tsite.jp/special/tcp/

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS
  • きょう
    3
    ● 主演陣の演技は素晴らしい ● 警察連中が総じて無能なクズ ● 時効成立後に撮られた意味は ◇ ストーリー 韓国の田舎町において猟奇的な殺人事件が相次いで発生。捜査に当たる刑事だがなかなか解決の糸口は掴めず、被害者は増えていってしまう。 ◇ 感想 ポン・ジュノ監督が描く社会派サスペンス映画で実話を基にしてストーリーは創られている。 個人的には主演俳優の二人については非常に演技がよく特にソン・ガンホは表情含め素晴らしい。が、私が評価できるのはここまでである。 以下ネタバレ まず、シンプルに本作の顛末から考えると不満しか残ってない。そもそも事件の発端から警察の信用のなさが伺える。 動くなと言っても動く大衆、警察と名乗っても捜査協力しないラジオ局、怪しい人物の目撃情報の報告は全くしない中学校関係者、警察には口を割らない被害者女性、冤罪を恐れ必要以上の情報を出さない容疑者、事情聴取に応じない元容疑者。その全てが警察自体を避けているし協力する気もサラサラない。そりゃ、あんだけ冤罪をでっち上げるために拷問をしてりゃ誰も協力しないわ。何か情報提供したら一気に容疑者になって自白強要されるんだから。 そもそも犯人を逃した警察に全責任があるのに、主人公のパク刑事は事件後サラリーマンに転職し何食わぬ顔で家族を養ってやがる。テメーは何人冤罪で捕まえたんだ。なんの罪も感じずに報いもうけてないってだめでしょ。胸糞悪い。 二人の刑事もお互いマイナス方面にばかり影響し合ってなんの良いところもない。そもそも殺人犯を捕まえられない自分の無能を棚に上げて人を攻撃するな。 メタ的に見ればラストカットは映画を見る犯人を睨んでいるとか、本編通して警察批判も含まれている…という見方もあるが、1986年の事件で2001年に時効成立してるのにこんな映画作る必要あったのか。別に2003年時に犯人を睨みつけても本人は逃げ切ってるんだからノーダメ。こんな事件起こすやつなんてこの映画見ても笑ってるよ。 身近にいるような普通の人も裏側があるかもよってメッセージ伝えるにしても題材が悪い。被害者が何人もいるのに犯人は逃げ切ったある意味犯人大勝利事件を題材にする必要は?百歩譲って警察批判の映画です。と言われれた方が納得いく。 私にはどうしようもなく合わない映画だ。
  • りんちゃん
    3.6
    かなり前に観たこの作品をまた録画して観てみた。もはや内容覚えてなかった…。 これが実際にあった事件だなんて…怖すぎる…。 10代〜70代女性が被害にあっているというのがまた怖いよね。 取り調べも怖いなぁ…。 そして、パク・ヘイル!!!出てたんだ!っていう驚き。 多分、最初に観たときは何も思わなかった。誰、これ?程度よね。 あと、最後の女の子も。チョン・インソンだ!ってなった。 昔の作品でもこの作品は強烈。今度はもう記憶に残る。
  • なななな
    -
    記録用
  • sidekick
    -
    ●記録
  • mylife
    4.5
    個人的にも好きなポン・ジュノ監督作品を随分と久し振りに再鑑賞してみた。実際に起こった未解決事件を映画化にした事でも有名であった。 以前に観た時から多分15年ぐらいは経過しているので細かな内容までは余り覚えておらずかなり引き込まれた。初めて観た時も個人的には高評価の記憶だが今回の方がより引きずり込まれた感じ。 二人の刑事…直感派のソン・ガンホと理論派のキム・サンギョン。合間みれない雰囲気ではあるのだがラストでのやり取りは印象深い。それに、ポン・ジュノ監督らしく、このテーマでもちょいちょいユーモアを放り込んでくるところも…らしさがある。ソン・ガンホは最後の最後での表情が何とも言えぬ気持ちを表していたと思う。 加えて、今回の鑑賞を機にこれだけ年月が経過しているのだからこの未解決事件について何か進展がないのかな…っと軽く調べてみると何と2019年に有力な容疑者が33年ぶりに特定されたとなっている。当然時効なのだが鑑賞後にその新事実を思い浮かべると観ているこちら側にもやるせない気持ちとなってしまい不思議な感情だけが残った。
殺人の追憶
のレビュー(22805件)