日本の様々な人情劇を作り上げてきた名匠・山田洋次監督。人々の営みを繊細に描き、心温まる人間ドラマを沢山世に送り出してきました。今回は山田洋次監督の良さが沁み入る作品を、最新作『キネマの神様』と合わせてご紹介します。

キネマの神様』(2021)

人気作家・原田マハの同名小説を映画化。沢田研二、菅田将暉、宮本信子、永野芽郁など豪華キャストが出演。

借金まみれで妻と娘にも見放されているゴウは、ギャンブル以外にも「映画」という愛してやまないものがあった。若き日のゴウは助監督として働き、現在は名画座の館主を務めるテラシンと夢を語り合っていた。しかし、ゴウは初監督作品である「キネマの神様」の撮影中に事故で怪我を負い、作品は幻となってしまう。そして半世紀後、「キネマの神様」の脚本が出てきたことから、ゴウの夢が再び動き始める。

松竹映画100周年を記念する作品。夢を諦めた男が映画によって自分を再生させていく物語。“映画の神様”を信じた男と、その家族に起きる奇跡を描く。

男はつらいよ』(1969)

全50作ともなる人情喜劇『男はつらいよ』シリーズの記念すべき1作目。渥美清、倍賞千恵子などが出演。

テキ屋稼業で全国を渡り歩く車寅次郎は、長年の放浪からフラッと故郷・柴又に戻ってくる。最愛の妹・さくらが叔父夫婦に世話になっていると知り、寅次郎はさくらの縁談話にひと肌脱ごうと張り切るが、その破天荒な性格から縁談をぶち壊してしまう。そして家族と揉めた寅次郎は、また旅に出てしまうのだった。しかし旅先で恩師の御前様と再会し、娘の冬子に一目惚れして柴又に舞い戻ってくるのだが……。

山田洋次監督が脚本も務め、その温かな人情劇と憎めない寅さんのキャラクターが長く愛され続けている一作。2019年には50周年を記念し、『男はつらいよ お帰り 寅さん』を公開した。

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幸福の黄色いハンカチ』(1977)

第1回日本アカデミー賞作品賞受賞作品。高倉健、武田鉄矢、桃井かおり、倍賞千恵子などが出演。

失恋で自棄になった青年・鉄也は車で北海道に旅にでる。同じくひとり旅をしていた朱美を車に乗せ、二人は旅の途中で謎の男・勇作と知り合い、三人で旅をすることに。しかし勇作にはある秘密があり、夕張にいる妻に「もし、まだ待ってくれるなら、黄色いハンカチをぶらさげてくれ」という手紙を出していたことを知る。

北海道の原野を舞台に描かれるロードムービーの傑作。勇作役の高倉健は、10年以上にわたり出演を続けてきた任侠映画のイメージから脱却し、本作が代表作の一つとなった。

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武士の一分(いちぶん)』(2006)

藤沢周平原作小説の 『たそがれ清兵衛』『隠し剣 鬼の爪』に続き映画化。木村拓哉、檀れい、笹野高史、岡本信人などが出演。

海坂藩の下級武士、三村新之丞は最愛の妻・加世とつましく暮らしていたが、新之丞はある日、藩主の昼食に供された貝の毒にあたり、命こそ取り留めたが、失明してしまった。加世は、愛する夫のために助けを求めにいった先で罠にはまり……。

藩主の毒見役というしがない下級武士が、さまざまな試練を経て“武士の一分”を懸けた決死の勝負に挑む様子を、切なくも鮮やかに描き出した一作。

東京家族』(2012)

小津安二郎監督の『東京物語』(1953)を平成版にオマージュしたヒューマンドラマ。橋爪功、吉行和子、中嶋朋子、林家正蔵(林家こぶ平)、西村まさ彦(西村雅彦)、夏川結衣、妻夫木聡、蒼井優などが出演。

瀬戸内海の小さな島に暮らす平山周吉と妻のとみこは、子どもたちに会うために東京へやってくる。東京でそれぞれ生活している子どもたちと再会するも、田舎で暮らす周吉ととみこは家族に溝を感じる。そんな中、将来を心配していた次男の昌次に結婚相手を紹介され、上機嫌なとみこだったが、長男・幸一の家で突然倒れてしまう……。

ごく普通の家族を通して日常に潜む幸せを描き、常に日本の家族を描いてきた山田洋次監督の新たな代表作。

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おとうと』(2009)

市川崑監督の作品『おとうと』(1960)に捧げるオマージュ作品。吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮などが出演。

早くに夫を亡くし、東京の郊外で小さな薬局を営んでいた吟子は、女手ひとつで娘の小春を育てていた。ある日、小春の結婚式に音信不通だった弟の鉄郎が突然現れ、泥酔して披露宴を台無しにしてしまう。激怒する親族の中で、唯一鉄郎をかばう吟子だったが……。

堅実でしっかり者の姉と、破天荒な弟との再会と別れを中心に、笑いと涙を織り交ぜながら描かれる感動作。

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学校』(1993)

山田洋次監督が長年企画を温めていた、夜間学校を舞台に展開される感動作。西田敏行、竹下景子などが出演。

下町にある夜間学校の教師・黒井は、卒業間近の生徒たちに卒業文集の作文の授業を行う。それぞれの思い出を振り返る生徒たちとともに、黒井もまた生徒たちとの思い出を振り返っていた。そんな中、生徒の1人であるイノさんが死んだという知らせが届く。悲しみに包まれる黒井と生徒たちだったが、イノさんの思い出と過去を語り合ううちに、人間の幸せについても語りはじめる。

それぞの事情で夜間学校に通う老若男女の生徒たちと教師との交流を温かく描きながら、社会の厳しさや、その中で必死に生きている人々の姿を描いた人間讃歌。

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家族はつらいよ』(2016)

橋爪功、吉行和子など『東京家族』と同じキャストでおくるヒューマンコメディ。

結婚50年を迎える平田夫妻。夫の周造は妻の富子に欲しいものを聞くと、なんと“離婚届”という答えが返ってくる。突然の離婚騒動に子供達は大騒ぎ。一家揃って家族会議を始めるが、それぞれの不満が噴出しはじめ事態は思わぬ方向へ。

熟年離婚をテーマに、夫婦と家族の物語を笑いと共感とともに痛快に描く。監督が「男はつらいよ」シリーズ終了から約20年ぶりに手がけた喜劇。

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小さいおうち』(2013)

直木賞を受賞した中島京子の小説を映画化。松たか子、黒木華などが出演。

昭和11年、田舎から出てきた娘・タキは、東京郊外に建つモダンな赤い屋根の小さな家で女中として働き始める。そこでは若く美しい奥様と、旦那様、そして可愛いお坊ちゃまが穏やかに暮らしていたが、ある日1人の青年が現れ、奥様の様子が変わっていく。それから60年後、晩年のタキが綴った自叙伝に思いもよらない真実が記されていた。

モダンな小さなおうちと昭和初期の東京郊外の暮らしを忠実に再現する中で、秘められた恋愛模様が切なくも美しい物語。

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母と暮せば』(2015)

劇作家の井上ひさしが長崎を舞台に構想していた物語を映画化。吉永小百合、二宮和也、黒木華などが出演。

1945年8月9日。長崎の医科大に通う浩二は、原爆により被爆死する。それから3年後、助産婦として暮らすの母の伸子の前に、死んだはずの浩二が現れる。その日から浩二は時々伸子の前に現れるようになる。二人はたくさんの話をするが、一番の関心は浩二の恋人・町子のことだった。

松竹創立120周年記念作品。原爆によって命を落とした息子と残された人々の生活を、戦争の爪痕とともに描く。

 

※2021年4月17日時点の情報です。