爽快な道徳的教育映画?社会のルールを守らないヤツらにママが制裁を下す!【ANAISによるB級映画のススメ】

恐竜をこよなく愛するナード系ハーフ

ANAIS

母の日。皆さん日頃からママに感謝していますか? 今日、カーネーションを贈りましたか? 改めて考えると、ママってパワフルな存在ですよね。子供を産んだだけではなく、子育てをしながら家庭を築いていく……日々相当な労力を費やしていることでしょう。もちろんその過程では、ストレスも溜まるはず。「キー!ぶっ殺してやる!」なんて、怒りも沸点に達する事もあるでしょうね。だからといって、人を殺してはいけませんよ。

さて、本日はそんな行き場のないストレスを抱えるママたちが観てスッキリする事間違いなし(?)なブラックコメディ映画シリアル・ママを紹介したいと思います。

『シリアル・ママ』(’94)

シリアル・ママ

「シリアル・キラー(連続殺人犯)」という言葉を聞いた事があると思いますが、まさにこれは連続殺人を犯すママのお話。ボルティモアという平凡な都市の平凡な街で、これまた平凡な一家がいます。長女はイケメンの彼氏に夢中、長男はゴア系ホラー映画好き、パパは歯科医、ママは専業主婦。絵に描いたようなアメリカンなファミリーなんです(長男のゴア好きはおいといて)。

しかしこのママ、秘密があるんですよ。なんと匿名で近所に住む独り身の女性に嫌がらせ電話をかけるのが日課!しかも、非常に口が悪いです。

そんな二面性を持つ彼女なのですが、ある日息子の数学の先生と面談をした際、長男のゴア系映画好きに関して、精神的に問題があると判断され、「家庭問題に要因があるのでは?」と疑われてしまいます。母親(ママ)は、一生懸命家事をしたり、育児をしたりと日々家庭を築いていくために努力しているものです。なので、長男の変な趣味が自分のせいだと非難されれば、「そんなぁ!」くらい思ってしまうでしょう。

ですがこのママに関しては、特に完璧主義者であるということも相まって、「そんなぁ!」じゃすみません。お前の死は確定した、って顔を一瞬して一度退散。その後、その先生を学校の駐車場で待ち伏せてひき殺しちゃうんですね。

その出来事が、一気に彼女の怒りの沸点、そして我慢のレベルを下げてしまい、その後彼女は気に触る人間をことごとく暗殺していきます。マジ怖いっす。

犯罪?いいえ、あくまで“制裁”です

ひとつお伝えしたいのは、ママはただ気に入らない奴を片っ端から殺しているわけではないのです。彼女の標的になるのは、割り込みをする・浮気性・レンタルビデオのテープを巻き戻さないで返却する(笑)など、ルールを守らない奴ら。

その相手が少年だろうと、老婦人であろうと関係ありません。我々もたまに割り込まれれば、ムッとするくらいありますが、それらに対して彼女は制裁を下しているのです。

衝動殺人なので、基本的に詰めが甘い

もちろん、平凡な街でいきなり殺人事件が多発するものですから、警察もびっくり! 急いで捜査に乗り出します。しかし、ママの殺人は基本的に感情的な衝動殺人に過ぎず、計画性に欠けている。故に、お隣さんに証言されるなど、あっという間に彼女が怪しいって警察に疑われるんですよ。この詰めの甘さも、コメディ的な要素となっていて良いです。

どんなママでも好きだよ!な家族が愛らしい

ここで気になるのは、やはり家族の反応。彼らも段々と「うちのお母さん、どうやら人を殺しているようだ」と勘づいてくるんですね。そこで「どんなママでも愛することにしよう」と結託し、ゴア系ホラー映画好きの息子に関しては「超クールじゃん!」なんて喜んじゃいます。ママが実行犯で逮捕された後も、応援してしまう姿に家族愛を感じてしまいます。

ママ、もはやグッズができちゃうくらい人気になる

この映画の面白さにおいて、テンポの良さママのキャラクターがその大部分を占めていますが、随所に現れるアイロニックでブラックなお笑いポイントにも注目です。例えば、ママに追われる少年がパンクバンドがライブをするライブハウスに逃げ込みます。その際、ママはライブハウスを「あ、シリアル・ママでしょ!超かっけーすね!」みたいなノリでドアマンに顔パスしてもらえる。もはや、誰もが彼女が殺人鬼であることを認知しているんです。

しかも、逮捕後の裁判は傍聴席が常に満席、彼女に関する書籍が飛ぶように売れ、彼女のTシャツや缶バッジなどのグッズを買うファンが続出するのです。これに似た、つまり連続殺人鬼や猟奇殺人鬼が妙にカルト的な人気を博すような現象は、実際にアメリカだけでなく世界中で起きています。現に、大都市ではクライムシーンツアーというものが存在し、過去に犯罪のあった場、殺人事件場、殺人鬼の住んでいた家などをまわるツアーが存在するのです。このアメリカにおけるシリアル・キラーの人気性、そして痛快な裁判シーンも見逃せない!

果たして大量殺人を犯したママの判決は!? ラストシーンまで笑えるブラックコメディですので、是非ご覧ください。そして全国の怒れるママさんたちは、これを観てある程度スッキリしていただけると幸いです。

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  • izu
    3.8
    ある一般的な家庭のママ。近所からは信頼され、家族を愛し、家族に愛されている。だけど実は気に食わないヤツがいれば即刻ぬち殺して回るシリアル(キラー)ママだったのだ!! ママは殺人鬼! アナルでダンスする「ピンクフラミンゴ」や巨大ザリガニにレイプされる「マルチプル・マニアックス」などで知られるジョン・ウォーターズ監督のブラック・コメディ。 上記の作品に比べキツめな描写(グロ・汚物など)は一切無く、ウォーターズ大先生の中では比較的家族とでも観れるような映画だった。 低い声だして隣人に「チンポ吸い淫乱野郎!!」って嫌がらせ電話を繰り返すし、息子が「あの教師嫌いなんだよな~」と言えばぬち殺す! 殺す理由が浅すぎるし嫌がらせする理由意味わかんないし、肝心な殺しはめちゃくちゃ雑なのが笑える。 あえて包丁じゃなくてラム肉の足頭殴りまくって殺人を楽しむの好き。←殺害動機 : ビデオのテープを巻き戻さずに返却するから。 テンポ良く進むし、殺しの頻度もわりと多くママがぬっ殺してる描写は基本的に笑えるからコメディ作品としてシンプルに面白い。 ママが人をぬっ殺し、次第に有名になっていって「おぉ!あんたシリアル・ママか!?」とファンがついたりするの意味わかんなくて最高。 視聴 2023年11月29日
  • 転がる石
    4.4
    殺意の波動に目覚めたママ。 そんなキレやすいのによく今までなんのトラブルもなく暮らせてたなってなるくらい迷いなく人を殺していく。 初めての殺人の際にも躊躇いや後悔は一切なくやり切った顔で事を終える。生まれ持っての殺人鬼。 その後も息をするように癪に触った人間、マナーを守らない人間を手にかけていくのが潔い。 証拠を消す努力もしない。犯罪が露呈しても一切焦らない。 容疑者として氏名が公表されても「あーら」の一言で済ます。 逮捕されてからの法廷劇もまるでコント。 最初から最後までだれることがない傑作。 想像の10倍とち狂ってる。
  • キミー
    3.5
    早くどこかで配信してくれー
  • 環奈
    4.4
    自分も2、3人殺してみたいわ。ってなってくる
  • ドラニコフ
    -
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シリアル・ママ
のレビュー(4339件)