ミステリーであり、同時にある女性の自己解放・再生を描いた作品『パーソナル・ショッパー』

ファッション業界を舞台に、新感覚心理ミステリー映画として誕生した、カンヌ国際映画祭受賞作『パーソナル・ショッパー』が5月12日(金)、公開されます。

パーソナル・ショッパー

鬼才オリヴィエ・アサイヤスが監督し、主演を務めるのは、同監督による『アクトレス 女たちの舞台』にも出演したクリステン・スチュワート

超多忙なセレブに代わって彼女たちの服を買い回る“パーソナル・ショッパー”という仕事をしながら、ある理由があってパリで孤独な生活を送るモウリーン(クリステン)。わがままなセレブに振り回される日々のなか、彼女は見知らぬ人物からとあるメッセージを受け取り、事件に巻き込まれていきます。

 

“シャネルの顔”が選ぶ、煌びやかなファッションアイテムの数々

今作で注目したいのは、劇中に登場するファッションたち。シャネルが衣装協力をしているほか、クリスチャン・ルブタンやカルティエといったハイエンドなブランドの数々が、作品をゴージャスに盛り上げます。特に全体にスパンコールが散りばめられたシャイニーなカクテルドレスは、劇中でもキーとなっています。

パーソナル・ショッパー

パリの街を有名ブランドのバッグを引っさげて、バイクに乗りながら颯爽と買い付けにまわるモウリーンの私服にも注目。ボア付きのレザージャケットに合わせたセーター、ジーンズにスニーカーとシンプルながらエッジの効いたスタイルはパリジャン顔負け。ナチュラルなメイクと、オールバックで軽くウェットな質感でまとめたヘアスタイルが、クリステン・スチュワートという女優のもつ本来の美を際立たせています。

パーソナル・ショッパー

実は彼女の私服は劇中であまり変化がないのですが、どの煌びやかなドレスと比べても、“頑張りすぎていない”そのお洒落さは、思わず真似したくなってしまうほど。ミニマリストな雰囲気が抜群に良い!

■憧れや自己表現方法としてのファッションを描いていると感じました。この映画でも色味を抑えた服を着るモウリーンと煌びやかなラグジュアリーブランドを着るキーラが対照的に撮られてます。(Katymarieさん)
■クリステンがとにかくキレイ。CHANELの洋服にも劣らない美貌。(chiyoeさん)
■CHANELなどのハイブランドを着ている時もドキッとして好きだけど、ラフな格好であれだけ格好良く着こなせるの流石(ke-fxさん)

ファッションと霊能力、2つのテーマが複雑に絡み合う違和感

さて、今作はある意味、鑑賞中にずっと違和感を感じるような、少しギャップのある作品と言えるかもしれません。

得体の知れない人物から送られるメッセージ、そして殺人……とミステリアスでヒッチコックを思わせるようなサスペンス要素が高いながらも、それ以前に描かれているのは主人公の苦悩と解放・再生の物語。

双子の兄とモウリーンには“霊能力”という共通点があり、先に死んだ方が残された方へ何かしらのサインを送るという約束をしています。ファッション業界という物質主義な世界にいる時、彼女の身の回りの人間はその痛んだ心などを知る余地もなく、欲望だけを引き出そうとする。反対に兄のかつての恋人は、モウリーンの未だに癒えぬ傷に寄り添い、彼女の行動を静かに見守るという精神主義な描かれ方がされています。

パーソナル・ショッパー

それ故に、緊迫としたサスペンスと同時並行で、“パーソナル・ショッパー”である彼女が自分自身の生活を精神的な意味で取り返すまでの、自己解放をテーマにしたヒューマンドラマが存在するのです。

その2面性を考慮したうえで今作を鑑賞すれば、より理解が深まり、その結末により心打たれることとなるでしょう。

■サスペンスにホラーが混ざった感じのジャンル。でもシャネルやルブタン、カルティエなどたくさんの煌びやかなものが出てくる。そういった煌びやかなものと、クリステン演じるモウリーンの闇?みないなものが対照的すぎて、キレイなんだけど、ゾッとする不思議な作品でした。(Kayococoさん)
■シャネルやカルティエなどのハイファッションの世界と心理サスペンスを映し出すクラシックなカメラワークがお洒落。(mpcatさん)
■てっきりファッションメインの映画かと思っていたのですが、スピリチュアルだったり、サスペンスだったり、少しホラーな要素もあり当初の期待を覆す映画でした。(runaemmaさん)

モウリーンを体現するクリステンのどこまでもリアルな演技

なにより、クリステンのほかにこの役を演じられる人物はいないと思ってしまうほど、モウリーンにリンクした素晴らしい演技を見せる作品です。クリステン自身もまた、現実では華やかなセレブ社会に身を置きつつも、どこか居心地が悪そうで、アイデンティティについて模索している。そういったモウリーンとの共通点が、もはや演技ではなく、モウリーンそのものだと思わせるのかもしれません。

■クリステン・スチュワートの震える演技とミステリーに引き込まれ、時間を感じなかった。(ayakosさん)
■クリステン・スチュワートの体当たりの演技もありリアルな感覚。(ke-fxさん)
■この作品のシンプルかつ孤高な彼女は、私の大好きなドラゴンタトゥーのリスベットを連想させる所があって、最初から一気に惹かれた。心情の現れる呼吸や、指先までのお芝居が本当良かった。(mamepommさん)

シンプルなファッション映画では決して終わらないアサイヤス監督の世界観。冒頭から受ける衝撃は、ラストまでおさまることはありません。

◆映画『パーソナル・ショッパー』 information

パーソナル・ショッパー

忙しいセレブに代わり服やアクセサリーを買い付ける“パーソナル・ショッパー”としてパリで働くモウリーンは、数カ月前に最愛の双子の兄を亡くし、悲しみから立ち直れずにいた。なんとか前を向き歩いていこうとしているモウリーンに、ある日、携帯に奇妙なメッセージが届き始め、不可解な出来事が次々と起こる― 果たして、このメッセージは誰からの物なのか? そして、何を意味するのか?

上映時間:105分

5月12日(金)公開

公式サイト:http://personalshopper-movie.com/
配給:東北新社
(C)2016 CG Cinema – VORTEX SUTRA – DETAILFILM – SIRENA FILM – ARTE France CINEMA – ARTE Deutschland / WDR

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  • ねこ無双
    4
    オリヴィエ・アサイヤス監督作品。 彼女の職業は依頼主の代わりにスタイリングした服やジュエリー、靴を調達する仕事。 衣装協力はシャネルとだけあって、出てくる服飾は全てゴージャス。職業柄、服飾を集めるためパリ、ロンドン…あちこち旅をする雰囲気が良い。列車だったり、バイクだったり。 共に霊媒師でもある双子の兄とは先に死んだ方が死後の世界からサインを送る約束を交わしていた。 映画中何か気配に満ちている。それは求めているものだったり、違ったり、まやかしのものだったり。 気配を求めていたはずの主人公が、霊の気配を感じると言う友人の恋人に「罪悪感のせいで感じてるだけ」と言うのは興味深い。 SNSのやり取りが安易なエロサスペンスの流れになるんじゃないかとハラハラしたが、その言葉によって触発されて主人公がドレスを身に纏うシーンは美しい。 ずっと漂う気配。スリラーあり、オカルトあり…いろいろな趣向があるんだけど、意図はそれじゃない。自分を縛るものからの開放を望む話に感じました。 ラストの主人公の表情好きです。 地味で静かな映画ですが… いろいろ思わせてくれる余白があるかなって。
  • みづみづ
    2.8
    前から気になっていた映画。以前アクトレスを観て監督は知っていた。アクトレスは何ともつかみ所のない印象だったけど、これはもっと。 クリステンスチュワートを堪能する為の映画。監督も彼女を堪能したかったんじゃないのかしら…と思う程、彼女のほぼ一人芝居。 クリステンはなんか男性にも見えてかっこいいきれい。私服の時と、ドレス着たりヒール履いた時とで全然違う。どちらも好き。スタイルいいなー。横顔が美しいったらない。 話の内容は結構ホラー?オカルト系。私はホラーに全くの免疫がないのでTVから離れて観ました。最後のシーンも良く分からなくてハテナ??で終わりました。
  • 困ったちゃん
    3.5
    同性だけどクリステン・スチュワートかっこいい。髪型のせいか「アンダー・ハー・マウス」のエリカ・リンダーとカブる。 なかなかの難解さ。おびただしい数のクエスチョンマークを抱えながらの鑑賞で体中のブドウ糖を使い切った感じ。クリステン以外のキャストは格段に登場時間が少なく、ほぼ“見えない何か”とモウリーン(クリステン)のやり取り。ラストのセリフが腑に落ちそうで落ちない。かなり疲れるけど繰り返し観たくなる不思議な感覚。 約束ごとを破りキーラの服を身に纏ったモウリーンは水を得た魚のようで眩しかった!
  • RIE
    3.4
    「クリスティン・スチュアートが観たい」その一心で。その願いは十分満たされた。内容もふつうに楽しめる。ただ、タイトル"パーソナルショッパー"から想像する内容ではない。
  • カウボーイと僕と惑星
    4.3
    客観的メディアである映画。クリステン・スチュワートを見つめることしか出来ない観客と、感じ取ることしか出来ない彼女。コンタクトもとれないその苦悩を、心霊映画で装い、黒沢清、M・ナイト・シャマラン、ソダーバーグなど多くの作家を横断しながら、得た思い。ラストで勝ち取った彼女の笑顔は、タフながらもなんとエモーショナルなことか。
パーソナル・ショッパー
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