TOKYO MXの人気バラエティ番組「バラいろダンディ」で、玉袋筋太郎(以下:玉さん)&RHYMESTER 宇多丸(以下:宇多さん)の映画好きコンビが、月に一度とっておきの映画を解説するコーナー「水曜バラいろショー」。
2017年もGW突入! 5月のテーマは「車飛ばし映画」。映画ファンも思い浮かばなかった、知られざる「車飛ばし映画」を宇多さんと玉さんが紹介しました。
「車飛ばし映画」と言えば!?
玉:今度のテーマはこちら「車飛ばし映画」。
宇多:こんなジャンルはあるんですかね。
玉:まあスピード出して飛んだりとか、本当に飛んだりする映画とかあるんですよ。(ゲストの)石田純一さんの場合は、『鉄騎兵、跳んだ』ですけれどね。
宇多:さあ、世の中の皆さんは「車飛ばし映画」というお題でどんな風な作品を思い浮かべたのか。
玉:かなり無茶なお題だよ、これ。
宇多:TSUTAYAさんがオススメする国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」による「車飛ばし映画」ランキングTOP10! 映画ファンが多いからいつもランキングが面白いんですよ。こんな結果になりました、どうぞ!
「車飛ばし映画」FilmarksランキングTOP10
1位:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年/アメリカ)
2位:『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年/アメリカ)
3位:『KAMIKAZE TAXI』(1995年/日本)
4位:『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(2007年/イギリス)
4位:『ターミネーター2』(1991年/アメリカ)
6位:『デスブルーフ in グラインドハウス』(2007/アメリカ)
7位:『ブルース・ブラザース』(1980年/アメリカ)
8位:『劇場版 テレクラキャノンボール2013』(2013年/日本)
9位:『ブレードランナー』(1982年/アメリカ)
10位:『スターウォーズ エピソード1 / ファントム・メナス』(1999年/アメリカ)
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宇多:『ワイルド・スピード SKY MISSION』はピョーンと飛ぶ(シーンが)、これありますね。やっぱり車バーンと飛ばすといったら『バック・トゥ・ザ・フューチャー』もありますね。
玉:デロリアン!
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宇多:かと思えば、『劇場版 テレクラキャノンボール2013』が出てきたりとか、フィルマークスのユーザーさすがですね。あと『スター・ウォーズ エピソード1 / ファントム・メナス』も確かにレースのところあったし。
玉:『ブルース・ブラザース』もね、パトーカーが飛んじゃったりとかしてた。
宇多:『デスプルーフ in グラインドハウス』は傑作ですよ。
玉:傑作だ!
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宇多:『ブレードランナー』はスピナーが飛びますね。
玉:スピナーが飛んでるんだよ!
宇多:なるほど、なるほど。皆さんなかなか気が利いているんです。
玉:だけど…
宇多:ただね、さすがのフィルマークスの映画ファンもこの作品は盲点だったか。
玉:(ランキングに)ない!
宇多:「車飛ばし映画」と言えばこれでしょう!ということです。
玉:これだ、いこう!
宇多:こちらの作品です!
梶原一騎製作『マッハ’78』(1978)
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宇多:でました!
玉:でたー!『マッハ’78』。
玉:三協映画!
宇多:梶原一騎さんがつくった三協映画という映画会社がございました。そして、まさにスーパーカーブーム。あと、いわゆる『バニシングIN60″』とか、アメリカでもカースタントが派手な映画が大変流行っておりました。
宇多:だから、そういうカースタント映画ブームとスーパーカーブーム、はっきり言ってこれに便乗しまくった作品。これが『マッハ’78』という作品でございます。
玉:昭和だなー。
(『マッハ’78』の映像を観ながら)
宇多:大友というアメリカ人と日本人のハーフが主人公。後ほどこの話しますけどね、不思議な主人公ですよ。
玉:こういうシーンもあるんだよ。
宇多:ドラマがあったりなんかして。
玉:もうスーパーカー続々出るからね。
宇多:そうですよ。そして、見てくださいね。車飛ばし映画の真髄が出ますからね。
玉:でた、ポルシェ!
宇多:ポルシェがですね、ブーンと飛ばして「車飛ばし映画」の真髄、いきますよ、いきますよ、いきますよ!
玉・宇多:飛んだー!!!!!
玉:たーまやー!
宇多:こういうことですよ。私、重大なネタバレしてよろしいでしょうか。今ガーッて飛びましたよね。あれ、映画のラストショットです(笑)
玉:言ったっていいの、この映画は!
宇多:言われたっていいんだから。面白いんです。ハンパじゃねぇんだ、これ。本当に。
玉:ハンパじゃないよ。
ものすごいカースタントをものすごく淡々と見せられる
宇多:ということで、見どころポイントをまとめてきました。
宇多:こちらになります、その1は「謎すぎる主人公の薄すぎるドラマ!!!」。
玉:これがいい。
宇多:逆に斬新。ご覧ください、どうぞ。
(再び『マッハ’78』の映像を観ながら)
宇多:主人公は大友というスタントマンで、日本人とアメリカ人のハーフなんですけれども、「あれこそ日本人。大和魂がなきゃできねぇんだ!」(と言う)。モロこんな白人の顔でね。それから「クレイジー? 俺がか? 日本人全部がキ◯ガイだって言うのかい?」なんてね。ちょっとね、いま問題発言ありましたけれどね。そんな風に、主人公のナレーションで話を運んでいくんですね。
玉:そう。
宇多:これ要はね、日米のスタントマンのカースタント合戦なんですけど、やってることすごいんですけどね、淡々としてるんですね。すごく淡々としてる。「俺はものすごく怖かった」みたいなセリフもあるんだけど、言葉で説明されるだけなのでなんかピンとこないっていう。ただのスタント合戦だし、「ああ、そうなんだ」みたいな感じ。そして、このね。
玉:安っぽい(笑)
宇多:安っぽいドラマというか、薄いドラマ(笑)
玉:やっすいんだよ。
宇多:大友の着ているジャケットの背中に「無」って書いてある。内面の空虚っぷりを背負ってね。こんなモロ白人みたいな顔で「俺は英語喋れねぇんだ」。
玉:ほら、でた!
宇多:スーパーカーブームの関係で、スーパーカーがいっぱい出てきますよ。
玉:マセラッティ! デ・トマソ・パンテーラ!!
宇多:これね、ストーリーと関係なくスーパーカーが爆走しているシーンが入るだけです。
玉:でた、コルベット! フェラーリ・ディノ!!
宇多:ということで、もう1個見どころ。こういうことですね。
宇多:「ものすごーいカースタントを、ものすごーく淡々と見せられる!!!」
玉:これね、宇多ちゃんね、三協映画っていったら『地上最強のカラテ』とかもやっているわけ。
宇多:そうですね。ドキュメンタリースタイル。
玉:だからこれね、スーパーカーを使った空手映画だと思ってください。
宇多:そうね。リアルな戦いを見せる。
玉:アクションを見せるじゃないですか。ガーンとクマと戦ったりとか。
宇多:主人公の内面のナレーションとか、完全に梶原一騎節ですよね。
玉:そうそう!
宇多:「俺はこれを大和魂で」みたいなことを言うんだけどね。でも、言ってるのがモロ白人の男の人なんですよ。ピントこねぇな、みたいな(笑)
玉:でもね、俺、この『マッハ’78』をガキの頃に観て、ものすげぇつまんねぇ映画だなと思って観てたんですよ。
宇多:そう思って、大人になって見返した?
玉:大人になって見返したらね、当時の70年代のアメ車が続々でてくるから、おー!いいね! ダッチだ! カマロだ!と。
宇多:途中ね、いきなりクラシックカーのあれが見せられたりして。全然ストーリー関係ないんですよね。
玉:関係ねぇんだ。
宇多:確かに車そのものはすごいんですけど、とにかくうすーいストーリーに、それで車を延々見せられて、淡々としたカースタントが続くという、本当に不思議なんです。実験映画なんですよ。でもね、こんな映画なかなかないですよ。
玉:ないよ。
宇多:ぜひ観たことない方はご覧ください。
玉:観てほしい。
宇多:『マッハ’78』。三協映画、梶原一騎さんの作品でございます。
芸能界にも飛ばし屋が!?
今夜は、宇多さんが芸能界をはじめ各界の飛ばし屋を決める大会「車飛ばしGRAND PRIX2017in公道」を紹介! スポーツ界のあの大物までエントリー!? スタジオの一同も驚きのエピソードも紹介したところで、次回のテーマを発表!
次回6月放送は「広島映画」
宇多:玉さん、次回6月のテーマは一体何でしょうか。
玉:これはいいよ!ジャン!「広島映画」。
宇多:確かにね、『この世界の片隅に』も広島映画。
玉:広島だよ。
宇多:原爆ものといえば広島ものがあったりとかね。
玉:大林宣彦監督なんて広島じゃんね。
宇多:ある意味そういうことですね。あとは当然、仁義なき系もありますしね。さあ、どんな映画がくるのか、といったあたりでございます。ぜひ楽しみにしていてください。
玉・宇多:以上、水曜バラいろショーでした!
■オトナの夜のワイドショー!「バラいろダンディ」番組公式サイト
(月〜金曜日 21:00〜21:55放送)
水曜バラいろショー過去放送分 書き起こし
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※2021年11月30日時点のVOD配信情報です。