人生の岐路に立つ全ての人に『カーズ/クロスロード』〜村田諒太〜

カーズ/クロスロード1

失敗を恐れるのではなく どう立ち向かうのかが大切と教えてくれる映画です

プロボクサー 村田 諒太さん

帝拳ジム所属。1986年奈良県生まれ。東洋大学卒業。2012年ロンドンオリンピックのボクシング男子ミドル級で金メダル獲得。13年プロに転向し、13戦目で挑んだ今年5月の初の世界戦でアッサン・エンダム(仏)に判定負けした。プロ通算13戦12勝(9KO)1敗。

人生の岐路に立つ全ての人に――。夢の続きを求めるのか、それとも新たな道に進むのか?

カーズ/クロスロード2

失敗を恐れない覚悟と殻を破る勇気をくれる

アニメーションなので子ども向けかと思いきや、全然そんなことはなく、むしろ大人の心に染みるようなテーマが随所に散りばめられていて非常に見応えがありました。

カーズ/クロスロード』の主人公マックィーンは、レース界の圧倒的王者だったのですが突如、新世代のレーサー、ストームの出現によって苦戦を強いられるようになります。そして何とか勝ち続けようとマックィーンは必死になりすぎてしまい、レース中に衝撃の大クラッシュ。

でも、考えたらそういうことって往々にしてありますよね。会社勤めの人だったらうまくやりたいと焦って仕事で失敗してしまったり。僕もボクシングでいい試合をしなければと気持ちがはやりすぎて、かえって内容の悪い試合になってしまうことがあります。

とは言え観ている人たちには、マックィーンの大クラッシュを「だから、焦って失敗しちゃいけないんだ」という風には捉えてほしくない。焦っていいし、失敗していいんです。それよりも大事なのは「その失敗にどう立ち向かうか」ということ。映画ではぜひ、そこからマックィーンがどのように取り組んでいくかに着目して観てほしいですね。

そして窮地に立たされたマックィーンの、新たなトレーナーとして登場するクルーズもぜひ注目してもらいたいキャラクターです。彼女の変化に勇気づけられ、自らの殻を破って挑戦することの大切さを感じる人も多いと思います。

カーズ/クロスロード3

マックィーンの選択に誰もが驚き感動する

一番心に残ったのはなんと言ってもラストのレースシーン。マックィーンにとっては、復活か、引退かという人生の岐路に立たされた重要なレースです。そこで果たして彼がどうするのか。僕ら世代のアスリートにとって「引退の時」は決して遠い話ではないですし、何よりもボクシングは一度KO負けをしたら終わりというシビアな世界。それだけにかなり感情移入していたのですが、マックィーンは予想外の行動に出ます。「そうきたか」とグッときて思わず泣けそうになるくらい感動的でした。ただ、人によっては感じ方が違うと思う。それぐらい深い示唆に満ちたシーンでした。

今回、6歳の息子と一緒に観ました。隣でスクリーンに釘付け状態で見入っていました。そんな風に親子でエキサイトでき、かつ大人にはいろいろと考えさせてくれます。誰もが楽しめると思うので、ぜひ映画館へ足を運んでみてください。(談)

カーズ/クロスロード4

※本記事は2017年7月20日の朝日新聞東京本社版夕刊の特集を転載しています。

カーズ

STORY:華々しく活躍してきた天才レーサー“マックィーン”は、これからも走り続けると信じていた。しかし、彼を待ち受けていたのは、最新テクノロジーを限界まで追求したストームをはじめとする新たな世代の台頭と、レース人生を揺るがす衝撃的な大クラッシュだった。夢の続きか、それとも新たな道か? “人生の岐路”に立つマックィーンの運命を左右するのは、レーサーに憧れ夢を諦めた過去を持つトレーナー、新たな相棒クルーズだった……。

配給: ウォルト・ディズニー・ジャパン

大ヒット上映中!

Disney.jp/Cars-CR

(C)2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

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    息子が好きだから何十回も観てるけど個人的には好きになれない作品。 マックイーン苦手..
  • 白椿
    3.8
    玄人と新人のそれぞれの いいところが知れた。 実践するのは中々難しいけど、 柔軟でいることってすごく大切 と改めて思った一作。
  • akira
    -
    記録
  • プリンの妖精
    3.9
    2あんまりだったけど3おもろ!!!
  • matchypotter
    4.2
    久しぶりに観たけどやっぱり良いね。 ちょっとメーターたちお馴染みメンバーの活躍が控えめだけど、それはそれで本作で伝わってくることとリンクする。 マックイーンが時代の流れと共に次世代の性能に勝てずに引退に追い込まれる、、、。 世代交代という歴史の厳しい淘汰の流れを描く。 その一方で、世代交代による歴史の折り重なりも描く。 それをダートのレースとか泥んこ試合とか、有機的な環境を盛り込むことで丸みと優しさを感じられる。 戦いに負けがちなマックイーンが先進的で次世代的な環境に憧れつつも、彼の良さはそこではない。 性能では先を越され、時代が次へ先進的に次世代的になろうとも、彼が戦う土俵はそういうことではない。 それをこの過去2作で経験を培ってきた彼とその仲間達だからこそ、自分で気付けて、前を見れる、ピンチはチャンスだと思える強さがある。 必ずしも、古い方が劣っていて、新しいことが良いことだとも限らない。 新しいものは古いものを超えようと出てくるわけだし、古いものも先を越されまいと再び熱が入る。 この世代交代の時に必ず起きる摩擦のようなものをとても心地よく描く。さすが、PIXAR。 このシリーズ3作の折り重なりもあり、この本作で描かれるレースとマックイーンへの教えの重なりもある。 昔の鼻持ちならないマックイーンの性格とか、どこか古きを蔑むような視線などを、今度は彼が逆にそれを受ける。 それを同じ力で跳ね返し反発するのではなく、かつて彼に教えてくれた師や仲間のように、新しいことを受け入れ、迎え入れ、自分と向き合う。 彼らの歴史がそうだったように、彼もまた次の自分と向き合う。 そういう意味で、この3作で1周するようなシリーズ。 前作までのマックイーンの疾走感が次に伝わる瞬間。何だかとても温かいもの包まれて目頭が熱くなる作品。 F:1743 M:18244
カーズ/クロスロード
のレビュー(18273件)