大人にこそ観てほしい。誰もが自分に置き換えて、共感できる映画です
プロサッカー選手 楢﨑 正剛さん
Jリーグ・名古屋グランパス所属のゴールキーパー。1976年奈良県生まれ。奈良育英高校から95年に横浜フリューゲルスに入団。99年から名古屋グランパスに移籍。日本代表としても活躍。
人生の岐路に立つ全ての人に――。夢の続きを求めるのか、それとも新たな道に進むのか?
マックィーンの姿と自分を重ね合わせて
『カーズ/クロスロード』の主人公マックィーンは、ベテランのスターレーサー。そんなマックィーンの姿には、自分と重なる部分もありました。次世代の若いレーサー、ストームの登場によって苦戦を強いられますが、僕もかつてはストームのようだったと思うし、それがマックィーンの立場になり、これからは……。
今まで全くそんなことは考えずにきていますが、いつかはマックィーンを支えるピットクルーのような立場になる日がくるのかも知れない。 ずっと第一線で活躍し続けることが難しいのは、レース界もサッカー界も同じ。さまざまな武器を持った若い選手の姿を見ては、「僕も負けてはいられない」という焦りから余計なプレーをしてしまうことも往々にしてあります。
ただ、積み重ねてきた経験や試合感覚はベテランならではの武器。そこに新たなチャレンジを採り入れ、自分をアップデートさせ続けることが勝利に貢献するためには必要だと思っています。 特に印象的だったのは、悩んだマックィーンが、師であるドックを知るレース界のレジェンドの元にヒントを得にいったシーン。僕も人に頼りたいと思うことがありますから。そんな時は日本代表で共に戦い、今はコーチや解説者になっている人たちと話すとホッと心が落ち着きますね。
新たなトレーナーとしてマックィーンを支えるクルーズは、僕にとってはチームメートやスタッフですね。最初はすれ違いもあったふたりが徐々に心を通わせていくシーンは見どころのひとつです。
人生に迷う大人に響く。運命の決断には驚きも
マックィーンは、復活か引退かという人生の岐路に立たされた重要なレースに出場しますが、ここで彼は意外な行動に出ます。勇気ある決断に驚きました。でも、人生の岐路に立った時、その先を自分で決められるのは幸せなことだと思います。僕らは契約してもらえなければそれで終わりですから。
サッカーに限らず、どんな仕事でも、仕事をしていなくても、自分よりも若い世代が脅威になったり、進むべき方向に迷ったりと、この映画で描かれているものは誰の人生にもあり得るシチュエーションです。誰もがマックィーンに自分を置き換えて共感できると思います。アニメーションなので、子どもと一緒に見ないといけないのかなという先入観がありましたが、大人ひとりでも十分に楽しめる映画です。レースシーンは本物の車と見間違えるほどの迫力。ぜひ、映画館で観てもらいたいですね。(談)
※本記事は2017年7月22日の朝日新聞東京本社版夕刊の特集を転載しています。
STORY:華々しく活躍してきた天才レーサー“マックィーン”は、これからも走り続けると信じていた。しかし、彼を待ち受けていたのは、最新テクノロジーを限界まで追求したストームをはじめとする新たな世代の台頭と、レース人生を揺るがす衝撃的な大クラッシュだった。夢の続きか、それとも新たな道か? “人生の岐路”に立つマックィーンの運命を左右するのは、レーサーに憧れ夢を諦めた過去を持つトレーナー、新たな相棒クルーズだった……。
配給: ウォルト・ディズニー・ジャパン
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