若きクリエーターたちよ、心して聞け!クリストファー・ノーラン監督が学生の質問に回答

9月9日(土)公開の最新作『ダンケルク』をひっさげ、7年ぶりに来日を果たしたクリストファー・ノーラン監督が、YouTube Space Tokyoに降臨! 未来の映像クリエイターたちの質問に答えるスペシャルトークを繰り広げました。

クリストファー・ノーラン

現在まさに映像を学んでいる学生からは、「私たちはいま何を学ぶべきか?」という率直な質問が。それに対しノーラン監督は、「映画を学んでいる学生としてたくさんの映画を観て楽しむことが大事だ」と答えました。そして、「さらにその作品を分析してほしい。僕は大学では英文学を専攻していたけれど、とにかく映画を観るということはずっと続けていた。そして、そのフィルムメーカーたちがどのようにストーリーを描こうとしているのか、どうやって観客を引き込んでいるのか、そのメカニズムを理解しようとしていた」と明かしました。

クリストファー・ノーラン

映画を製作するにあたって重要な「予算」に関しても言及したノーラン監督。彼が初めて製作した作品は「Following」という16ミリモノクロのショートフィルムで、普段は仕事をしているアマチュアたちが集まり週末に撮影をしていたそう。その作品にはまったく予算がなかったとか。

しかし、「予算の規模に関わらず重要なことがある」とノーラン監督。「クリエイティブなプロセスの本質は、監督として常に同じ姿勢を貫くということだ。フレームの中に何を収めるか、そこにある情報がしっかりとストーリーを進めているか、一貫していることが大切だ」。

また、デジタル化著しい昨今でもフィルムで映画を撮り続けているノーラン監督だが、そのこだわりの理由についても明かしました。

「もともとセルロイドのフィルムが大好きだったんだ。デジタルを扱ったこともあるが、その映像は私自身の目を通して見ている世界と違っていた。アナログの色は非常に深みがあって、自分自身が見ている世界が再現できた。しかし、デジタルが良くないと言っているわけではなく、リアリズムを追求するのであれば、アナログなフィルムがベストだと考えているんだ。

デジタルのほうが合う映像、フィルムのほうがある映像というものがあり、両者それぞれに良さがあるから、決して競合ではなくまったく別のメディアだととらえている。

クエンティン・タランティーノ監督やスティーヴン・スピルバーグ監督もフィルムを好んで使っていて、君たち次の世代がいまと同じクオリティのフィルムを使えるよう、フィルムを選択肢のひとつとして持っていられるよう、我々が使い続ける必要があると思っている」。

映画『ダンケルク』では、“時系列”が巧みにコントロールされているが、それについては「兵士たちの気持ちを感じ取り、その場にいるような臨場感を味わってほしかった」と語ります。陸・空・海軍それぞれの視点で描かれており、彼らが抱く主観的で人間的なストーリーを描きたかったといいます。

ダンケルク

映画『ダンケルク』は9月9日(土)より全国ロードショー。

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※2021年4月21日時点のVOD配信情報です。

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  • もけもけ
    4.5
    色々な視点からの犠牲 それぞれの物語が合流していき、必要不可欠になっていくピース 兵士と同じように死への恐怖を感じ、その恐怖をより引き出させる音楽 ただ観るだけでもハラハラするのにそれぞれの視点で観ると考えさせられる映画だった
  • こす
    3.5
    ノーランは映画館で観ないと何が何だか分からんわ ということでインターステラーはIMAXリバイバルされるまで観ません
  • フミ
    3.5
    寝た
  • あつぼう
    3.7
    第二次世界大戦のダンケルクの戦いで、ドイツ軍に追い詰められた英仏軍が海路で40万人の兵士を脱出させるという作戦を映画化した本作。 勢いに乗って攻めてくるドイツ軍の猛攻にあい、フランスのダンケルクに追い詰められた兵士たち。陸からはドイツ兵、海からはUボート、空からは戦闘機と全面包囲された状態で、生きて故郷に帰れるのかという緊迫感が迫力ある映像からもヒシヒシと伝わってきました。 全員を脱出させたくてもドイツ軍の攻撃にあい、脱出用の船が足りない中、860隻もの民間船を集め救出に向かう決断力に拍手。なんとこの中には自ら志願して救助に向かった民間人もいたそうで、そこは映画でも描かれてましたね。 よくある戦争映画ってド派手な戦闘や血飛沫が舞うような演出が多いけど、この映画は派手さよりも、生きて故郷に帰りたい兵士たちの気持ち、彼らを助けたい人たちの気持ちを静かでありながらも、心に訴えかけてくる映像とセリフが秀逸でした。そこが逆にリアルで戦争の恐ろしさを描き出してたと思う。さらにドイツ兵の姿や顔が見えないからこその怖さがあった。 これが実話って信じがたいけど、事実は小説より奇なりなんですね。
  • 月面着床
    3.4
    セリフ少なめで引き込まれる音楽! 映画館で観たらすごいんだろうな
ダンケルク
のレビュー(98435件)