『モテキ』『バクマン。』の大根仁監督がおすすめする「ゾクゾクする映画」11選

先月、累計1500万部超の大ヒットを記録した人気コミックバクマン。』の映画実写化を手がける大根仁監督が、映画ライターの渥美志保さんを迎えてトークイベントを行いました。

大根監督イベント画像

本イベントは、新たなクリエイターを発掘・育成する「TSUTAYA CREATORS‘ PROGRAM」と雑誌「FRaU」8月号「ゾクゾクする映画」特集のコラボ企画。

“ゾクゾクする映画督”の代表として大根仁督が登し、ワインを片手に会場を笑いで包む奔放なトークを展開。その中で取り上げられた大根監督おすすめの「ゾクゾクする映画」11本をご紹介します。

『WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常』(2014)

WOOD JOB!(ウッジョブ)神去なあなあ日常

ウォーターボーイズ』などで知られる矢口史靖監督が、林業をテーマに都会生まれの若者の成長を描いた作品。「こういうお仕事系映画は、さかのぼれば、私も尊敬する伊丹十三監督の『マルサの女』や周防正行監督作など、昔からあるパターンのひとつ。よく出来ていた。このまま教科書という感じ」と大根監督。

さらに、「こんなにチェーンソーが似合うのは『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスか、彼かっていうくらいかっこいい」と伊藤英明の演技を絶賛されていました。

なかでも、大根監督が“ここ数年で邦画No.1のシーン”と挙げたのが、伊藤英明が走る軽トラックに飛び乗るシーン。「劇場でもDVDでも観た」というそのシーンを繰り返しスクリーンに流しながら、「海猿も合ってたけど、山猿だったね」と語りました。

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『ザ・ウォーク』(2016)

ザ・ウォーク

大根監督が「大好き」と語る巨匠ロバート・ゼメキス監督の最新作(2016年1月公開予定)。NYのワールド・トレード・センターのツインタワーをロープでつなぎ、その上を命綱ナシで渡ったという実在の人物を描いた作品。

「主演のジョセフ・ゴードン=レヴィットの顔がいい」「ゼメキスが久々に本気で3Dをやった。これはヤバい」と紹介し、「IMAX・3Dで観たい作品」と推した、公開が待ち遠しい一作です。

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『コンタクト』(1997)

コンタクト

同じくゼメキス監督作。

「ゼメキスは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『フォレスト・ガンプ/一期一会』など、最新技術と共に映画を進化させて、エンターテイメントをつくってきた」と話し、ライターの渥美さんに『バクマン。』でもCGが使われていることについて触れられると、「レベルが全然違います」と謙遜しながらも、「ゼメキス的にやりたいと思っている」と想いを明かしました。

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『フライト』(2012)

フライト

さらにゼメキス監督作をもう一作。本作の紹介では「何気ないシーンをこんなにうまく撮るゼメキスの計算が凄い」とワンシーンを深く解説。そのシーンとは、人生の岐路に立たされた主人公デンゼル・ワシントンが、病院の非常階段で他の患者と一服する場面です。

坂道や階段は、そのシーンにおける人物の関係性を表現しやすい」という演出技法を踏まえた上で、「デンゼル・ワシントンは階段の踊り場にいる。そして上り階段には、コカインをやめて人生を前向きに生きようとするストリッパーの女性がいる。下り階段には、末期ガンで死を意識している男がいる。デンゼル・ワシントン自身は死を予感しつつも、自分がどちらへ進むかまだ分かっていない。だから(中間に位置する)踊り場にいる」と解説。

ゾクゾクする映画を紹介する大根監督

さらに、「そこからこの3人の会話が始まるわけだけど、ここで重要なのがタバコを分け合うということ。世の中ではネガティブなものであるタバコを3人をつなぐ小道具として使っているのが、めちゃうまい」と絶賛されていました。

主人公がどちらの人間と一緒に歩んでいくのかにも注目して楽しみたい作品です。

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『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』(2015)

マッドマックス 怒りのデス・ロード

「5回観ましたね」と語るその鑑賞経験をふまえて、「意外に2Dで観るのが一番いい。物語が入ってくる」と所感を述べました。お気に入り映画のひとつであるジャッキー・チェン主演の『プロジェクトA』を引き合いに出しつつ、CGを排除したリアル・アクション作ならではの「エンディングでのNGシーン集を期待した」とこぼしました。

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『プラダを着た悪魔』(2006)

プラダを着た悪魔

アン・ハサウェイがキレイになっていくところがゾクゾクする」と意外な一言。「都会の女子頑張りムービー、都会のラブストーリーが大好き」と明かし、他にも『2番目のキス』などドリュー・バリモア出演作も挙げられました。

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『Kids Return キッズ・リターン』(1996)

Kids Return キッズ・リターン

自ら手がけた『バクマン。』で「構造の下敷きにした」と語ったのが北野武監督の『Kids Return キッズ・リターン』。

北野武監督作については、「(北野監督は)もともと映画のことはすごくよく知っていて、武さんの作品には確実に映画の神様が降りてきてるんだけど、そんな神様を武さんが追い払っているのが凄い。そんな映画を舐めていた頃の作品が特に好き」と、他のお気に入り作品として『ソナチネ』も挙げました。

『トキワ荘の青春』(1996)

トキワ荘の青春

『バクマン。』関連でもう一作。手塚治虫や藤子不二雄など、後に日本のマンガの礎を築いたマンガ家を数多く輩出したことで知られるアパート・トキワ荘を描いた『トキワ荘の青春』。

「マンガ家映画がいくつもある中で、一番よくできているのがこれ」と語り、まさにマンガ映画である『バクマン。』の制作では、「撮影現場にバイブルのように持っていっていた」と振り返りました。

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『復讐 THE REVENGE 運命の訪問者』(1997)

復讐 THE REVENGE 運命の訪問者

「Vシネを観る人ってあまりいないですよね」と踏まえつつ紹介されたのが、この作品。黒沢清監督×哀川翔主演タッグでおくる、知る人ぞ知るVシネの名作です。

黒沢清がVシネ時代に撮った大傑作。黒沢清監督作の中でこれが一番好き」と語り、「突然、(観ている側が)想像していないモノが、映像の中に入ってくるのが黒沢清」、「実際、この映画の撮影は大した機材やレンズを使っていないと思うけど、彼はそれを乗りきる。そのテクニックは凄い。めっちゃゾクゾクします」と称しました。

さらに、「この作品の後、いよいよ彼の心技体が整って、この後とんでもないことになるぞっていう気配をビンビン感じる」というその冴えについても熱く語りました。

『DEAD OR ALIVE 犯罪者』(1999)

DEAD OR ALIVE 犯罪者

こちらもVシネ作品。

いい意味で「とにかくひどいことしか起こってない」と笑いつつも、激しいロックミュージックと歌舞伎町のシーンが重なり、カオティックに展開するオープニングを観ながら「映画館でこのオープニングを観て本当に震えた。これを爆音で観たいんだよね」、「三池崇史監督がVシネを何百本撮っている中でも、最後の大傑作。歌舞伎町のゲリラ撮影とかもたまらない。Vシネをやり尽くしたからメジャーへ攻めてくぞっていう意気込みが感じられるゾクゾクしますね」と熱く語りました。

「ラストで爆笑」というそのクライマックスも気になるところです。

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『駅 STATION』(1981)

駅 STATION

最後に紹介したのが、「健さんの映画をどれか一本観るとしたらコレ。健さんが一番かっこいい映画」と語った本作。

劔岳 点の記』などでは監督もつとめた、日本が誇る名カメラマン・木村大作の撮影技術を「キャリア最高作だと思う、完璧」と賞賛し、また「北の国から」シリーズで知られる倉本聰の脚本についても「超ノリノリの頃」に書いていると紹介。なかでも特に熱く語ったのが、高倉健倍賞千恵子のふたり芝居に関してです。

5分間ずっとワンカットで続く場面を観客と観ながら「間合い、セリフ、動き、どれも完璧。素晴らしい」「こんな(細かい)ことまで脚本に書かない。ここはアドリブなんじゃないか」と熱弁。

また、「健さんがいいギャグを言うところがある」と紹介した、高倉健が「北海道の土地ギャグ」をつぶやくシーンが流れると、会場内は爆笑の渦に包まれました。

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気になる映画をチェックしてゾクゾクしよう!

大根監督記念写真

映画についてまじめに語るのは「照れくさい」と話しつつも、監督・演出家ならではの視点も交えて、ゾクゾクする映画を紹介してくれた大根監督。ここで紹介された作品はもちろん、「面白くできた」と手応えを見せる今年10月公開の『バクマン。』もぜひ劇場で楽しみたいですね。

 

※2022年2月27日時点のVOD配信情報です。

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バクマン。
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