映画『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』あらすじ&ネタバレ解説!これまでの作品とのつながりは?徹底解説

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ネジムラ89

映画『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』に繋がるこれまでのエピソードは?映画の結末はどうなる?ネタバレありで徹底解説!

これまでも多くの驚きの出来事を劇場版で見せてきた劇場版名探偵コナンシリーズ。

劇場版名探偵コナン第25弾『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』では、タキシード姿の高木刑事とウェディングドレスの佐藤刑事の姿がお披露目され、ついに結婚式を挙げるのか? という今年もしっかりサプライズとなるビジュアルが発表されました。

それに加えて、劇場版シリーズでは初めてとなる、安室透の同期であり、すでに故人の警察学校編の面々が登場する、というさらなる驚きの情報が明らかになり、多くのコナンファンがどんな内容になるのか、期待せざるを得ないフックが用意されています。
今年の劇場版が一体どんな内容になっていたのか、その具体的な内容をネタバレありで解説していきます。

名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(2022)あらすじ

ハロウィンシーズンを迎えた東京では、渋谷ヒカリエにて高木刑事と佐藤刑事の結婚式が執り行われようとしていた。しかし、式の途中で複数の暴漢たちが乱入。その銃口は佐藤刑事に向けられていた。

時を同じくして、かつて連続爆破事件の犯人として逮捕された男が脱獄。その動向を安室透ら公安が追っていた。不審な動きを見せる犯人だったが、突如その男の首に付けられていた機械が爆発。その衝撃で危うく建物から落ちそうになる風見を救おうとした安室は、その隙をつかれて何者かに同じ爆弾を首に付けられてしまう。

この事件は、次第にコナンや高木刑事や佐藤刑事を巻き込んでいく事になる。

※以下、『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』のネタバレを含みます。本作を未見の方はご注意ください。

高木刑事と佐藤刑事という適任

高木刑事と佐藤刑事といえば、「本庁の刑事恋物語」と題して名探偵コナンの物語の中でも長きに渡って二人をメインに据えてその恋路が描かれていくシリーズで活躍してきたキャラクターでした。新一と蘭、平次と和葉などなかなかその仲が進展せずもどかしく感じさせている中、二人に限ってはシリーズの中でも、良い仲になったかと思えば一時的に別れを迎えたり、かと思えば復縁を果たしドラマティックなキスシーンが描かれたりと、その行方が何度も描かれ、今となってはすっかり二人の仲も円満であることが伺えるようなシーンが数多く登場している状況でした。

そんな立ち位置の二人なだけに、今回の“結婚”という進展は、これまでも原作漫画に先駆けた展開を繰り広げてきた名探偵コナンシリーズであれば本当に「やりかねない」出来事でした。

残念ながら、今回の結婚式はミスリードで、元警視庁捜査一課の警視正・村中努の結婚式の警備の予行演習だったことが明らかになるわけですが、高木と佐藤の二人だからこそ、もしかしたら本当に結婚するのではないか、と思わせるフックとなっていました。

「本庁の刑事恋物語」の現在

思えば今回の『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』は「本庁の刑事恋物語」の劇場版と位置付けてもおかしくない作品となっています。くっつきそうでくっつかない微妙な関係性を徐々に進めていった高木と佐藤の仲は、近年ではすっかり安定して描かれるようになり、00年代に比べると二人の関係性が描かれる頻度は減ってきています。その理由の一つが高木・佐藤の二人の他の刑事たちの恋愛エピソードも描かれるようになったことにあります。

かつては、高木の恋のライバルとして二人の仲を裂こうとしていた白鳥任三郎警部でした。しかし2010年放送のTVアニメ第568話「白鳥警部、桜の思い出」以降、白鳥警部が幼い頃の初恋の相手を佐藤刑事と勘違いして執着していることが分かり、実はその本当の初恋の相手がコナン達の担任の先生である小林澄子先生であることが発覚した末、二人は良好な関係となり、白鳥警部はライバルの役割を離れることになります。

また、白鳥警部だけでなく高木刑事の後輩である千葉刑事も、2011年放送のTVアニメ第624話「初恋のビデオレター」以降、交通部の婦警である三池苗子と幼馴染だったことが判明し、二人の仲が進展していく姿を複数回にかけて追っていました。

高木と佐藤のペアではなく、ましてや「本庁の刑事恋物語」と題してのシリーズ展開こそ減ってきていたものの、2010年以降も継続的に警視庁内の登場人物の恋愛模様を追うエピソードは継続的に登場してきました。本作は、その流れの延長線に組まれていると言っても良いような内容となっており、高木と佐藤の二人のドラマが一つの軸として描かれる一方、二人の現在の仲に対するかつての恋敵であった白鳥の思いや、千葉と三池の仲も引き続き円満であるという物語とは外れた部分の現状もしっかりと描いていました。

警察学校編との交錯

「本庁の刑事恋物語」シリーズの延長線上にある作品でありながら、『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』ではもう一つ警察サイドに関連した別のシリーズをも盛り込む意欲作となっています。それが安室透がかつて警察学校に在籍していた頃のエピソードを描いた“警察学校編”のメインキャラクターを描いたスピンオフシリーズ。

もともと作中で登場した何人かの登場人物が、実はかつて安室透が警察学校に通っていた頃の同期であるという設定があり、それを踏まえて2019年に原作の名探偵コナンを連載している漫画雑誌週刊少年サンデーにてスピンオフ漫画「名探偵コナン警察学校編Wild Police Story」の不定期連載がスタートします。

本作では、コナン達が活躍する7年前の警視庁警察学校を舞台に、安室透をはじめとした同期の面々の警察学校時代の活躍を描きました。2021年にはスピンオフ作品でありながらアニメ化も果たし、そのほとんどがすでに故人という設定でありながら、安室の警察学校時代の同期の面々もまた、名探偵コナンの設定を彩る一つの要素となっています。

「揺れる警視庁1200万人の人質」との繋がり

高木や佐藤たちと、そして安室の同期の面々では活躍した時代が違う設定から、同じ劇場版で扱うには難しい関係性なのですが、本作ではそんな二つの時代を繋げる事件が3年前にあったことが初めて発覚します。それが『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』の中盤で安室の口から語られる爆弾犯プラーミャと安室たち警察学校同期の面々が対峙する事件でした。

この事件を語る上で重要なのが、この事件の時点で安室と同期の萩原研二がある爆弾事件に巻き込まれて死んでいることと、同じく同期の一人である松田陣平が佐藤刑事と遭遇していることです。プラーミャとの事件は今回の映画で初めて語られる出来事でしたが、この2点は実は過去にも語られており、それがTVアニメ304話「揺れる警視庁1200万人の人質」です。

この「揺れる警視庁1200万人の人質」では、萩原を殺していながらもまだ捕まっていない犯人をどうにかして捕らえようとする松田の姿や、残念ながら捕らえることはできず、大勢の命を救うために萩原と同じく犯人の爆弾によって亡くなる姿が佐藤の回想という形で描かれました。プラーミャと安室達が対峙する事件は、まさに松田が事件で亡くなる直前に行われた出来事だったわけです。

結局、爆弾事件の犯人はコナンらの活躍により捕まるのですが、名前すら明かされず捕まる眼鏡の男は、『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』にまさかの再登場。冒頭でプラーミャによって首に爆弾を付けられた上、無残にも爆殺されてしまいます。安室をおびき出す餌としてプラーミャにその命を利用されてしまうという、悲しい結末を迎えることとなりました。

時間も国も交わる貴重な共闘の数々

名探偵コナン ハロウィンの花嫁』ではそんなプラーミャという新たな敵の犯行に対して、コナンや警察達が挑むという物語となっていました。

安室の同期の面々は故人という立場である以上、現在の時間軸に影響を及ぼすことができないかと思いきや、実は過去の事件で与えた銃弾によって、プラーミャ自身の腕が上がらないという致命的なダメージを与えていたことや、かつて事件で得た手がかりによってコナンが爆弾のトラップを察知するシーンが描かれます。そして、さらなる過去の時点で、実は萩原に会っていたコナンが、萩原のアドバイスを思い出して、かつての松田の行動をなぞるように、渋谷で起ころうとしていた大爆発を止めるといった粋な展開も用意され、時代を越えた共闘が描かれます。

そして本作のもう一つの特徴が時代だけでなく、国を越えた共闘も描かれていることです。爆弾犯プラーミャに復讐を誓う民間組織ナーダ・ウニチトージティはロシア系であり、組織と警察が対立するシーンでもロシア語を交えたやりとりが描かれます。わかり合うことの難しさがより際立つ場面でしたが、だからこそクライマックスで渋谷の大爆発を止めるべく、コナンや少年探偵団、そして警察の面々だけでなく、組織の面々も手を取り合って大惨事を防ごうとする姿は感動的でした。

劇場版名探偵コナンシリーズのクライマックスといえば、コナンをはじめとしたレギュラーキャラクター達の活躍で、事件が収まる展開が多いのですが、今回のように多数の名も無い人物たちの協力もあって解決に至るケースは非常に珍しいです。昨今では現実世界でも、より国同士の対立も頻繁に報道されるようになっている時勢の中、今作が描いた結末は、より一層意味を増して受け取れるものとなっていました。

コナンの物語はまだまだ続く

そして、名探偵コナン ハロウィンの花嫁では結局、高木刑事と佐藤刑事は本当に結婚するわけでもなければ、なかなか邂逅できていない佐藤と安室と対面も実現しなかったりと、まだまだ今後の進展の余地を残した終わりを迎えました。

高木が救急車に運ばれる前に交わした、佐藤への言葉がなんだったのか、などの新たな謎はもしかしたら今後のコナンの物語で描かれ、本当に結婚という節目を迎えていくかもしれません。

加えて、今回の映画では掘り下げが甘かった安室の同期の伊達渡や諸伏景光といったキャラクターにまつわるエピソードや因縁なども原作・TVアニメ共にまだまだ解決しきっていない要素として存在しています。もしかすると、『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』で描かれたことが、また未来の名探偵コナンの物語で活きてくるなんてこともあり得ない話ではないでしょう。

(C)2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

※2023年4月7日時点の情報です。

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