「ジブリの新作だー!」
なんて、劇場に設置されたスタンディーの前で叫んでいる光景を、上映当時たびたび見かけておりました。その映画の名前は『メアリと魔女の花』。2017年の夏休みシーズンに公開され、話題になった作品の一つです。

そんな『メアリと魔女の花』は、確かに一見ジブリライクなビジュアルなので、ジブリ映画と思ってしまう人がいても無理のない作品なのですが、正しくはスタジオジブリの作品ではありません。ではなぜ、スタジオジブリ作品に似ているのか? そのワケを解説します。
『メアリと魔女の花』の制作はスタジオポノック

『メアリと魔女の花』を制作しているのは2015年に設立されたばかりのアニメーション制作スタジオ「スタジオポノック」です。今回の『メアリと魔女の花』の制作が、ポノックの長編アニメーション作品第1弾となっています。
ポノックの代表取締役を務めるのは、スタジオジブリ作品『かぐや姫の物語』のプロデューサーを務めた西村義明さん。そして同じくポノックの設立から関わっているのが、同じくスタジオジブリ作品である『借りぐらしのアリエッティ』『思い出のマーニー』の監督を務めた米林宏昌さん。そう、『メアリと魔女の花』の監督を務めたその人です。
実はスタッフの多くがスタジオジブリ出身
そんなわけで、スタジオジブリの血筋を色濃く受け継いだ二人が設立したスタジオで制作された『メアリと魔女の花』。ジブリっぽくなるのもおかしくないと言えばおかしくありません。ですが、『メアリと魔女の花』に関わっているジブリ出身者はこの二人だけではありません。その他にも多くのスタッフが『メアリと魔女の花』に関わっているということが製作発表会などで語られています。
というのも、スタジオジブリはポノック設立の前年である2014年に制作部門の解体を発表しました。その際に多くのスタッフがスタジオジブリを離れることになりました。そんなスタッフたちの幾人かは、西村さんや米林監督に沿う形でポノックへと仲間入りしたわけです。ジブリの制作部門がなくなった今、そのカラーが色濃く残ることになったのが、まさに『メアリと魔女の花』を制作したスタジオポノックなのです。
「ジブリに似てる」というよりも、かつてジブリで活躍していた人たちが作った作品なので、ある意味、本物といっても間違いではないわけです。
『メアリと魔女の花』には意外とジブリっぽくない部分もある?
さて、そんな『メアリと魔女の花』で、ジブリを感じさせる瞬間は劇中にも多々ありました。中でも筆者のお気に入りなのが、液体なのかなんなのかよくわからない不思議な生物の質感。有機物と無機物の間の中途半端な気持ち悪さなどは、『千と千尋の神隠し』に登場したカオナシなどを彷彿させるようなジブリイズムを感じるような感触がありました。

一方で、逆にジブリ作品……とりわけ宮崎駿監督作品と明確に違う瞬間があったりするのも面白いところです。例えばメアリ自身のキャラクター。ジブリ作品でヒロインとして登場する少女のキャラクターといえば、明朗快活であったり、とっさの行動が機敏であったり、どちらかというと能動的なキャラクターが多い印象がありました。ですが、本作のメアリは前線からやや控えめに物語を体験していきがちで受動的な印象が強め。そういえば、米林監督が手がけた『借りぐらしのアリエッティ』のアリエッティも、『思い出のマーニー』の杏奈も、どちらかといえばメアリ寄りの性格だったように思えます。そういった部分は、米林監督らしさの部分であり、スタジオポノックとしての色とも言えるのではないでしょうか。
『メアリと魔女の花』をまだ観ていないという人はぜひ、この機会にチェックしてみてください!
(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会
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※2023年12月15日時点の情報です。
