「やっと、日本に上陸してくれた」
そんな声が漏れる映画が、2018年春に日本に登場しました。それが『ボックストロール』です。
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この『ボックストロール』という作品、2018年6月2日(土)にディスクリリースを果たしたのですが、「やっと」と声が漏れる、その理由をご紹介します。
『ボックストロール』とは?
『ボックストロール』は、原題『The Boxtrolls』のタイトルで2014年にアメリカをはじめ世界各地で公開を果たしたアニメーション映画です。制作したのは、ストップモーションアニメーションでお馴染みのスタジオLAIKA。
『コララインとボタンの魔女』、『パラノーマン ブライス・ホローの謎』に続く、スタジオLAIKA長編作品の第三弾として満を持して公開された本作は、アカデミー賞やゴールデングローブ賞、アニー賞など数々の映画賞にノミネートされ、一部で受賞を果たしました。
本作の舞台は、チーズブリッジという町。この町には、ボックストロールという箱に入った奇妙な性質を持った平和的なモンスターたちが存在しますが、町の住民たちはそんなボックストロールを疎ましく思っています。そこで住民たちは、ボックストロールの捕獲を始めるのですが、そんな中、ボックストロールに育てられた人間の男の子・エッグスの登場により大きく物語が動き出す……という物語です。
日本ではまさかの音沙汰なしの事態へ
それなりに映画賞でも名前が挙がる作品であり、有力なアニメーション制作スタジオの新作である『ボックストロール』。すんなりと日本公開に進んでもおかしくなかったのですが、公開当初の2014年どころか翌年、さらにその翌年と時間を経ても、一向に日本上映のアナウンスはされませんでした。
なかなか日本の洋画市場、特にディズニーやイルミネーションといった大手アニメーションスタジオを除く作品の興行は難しい、という風潮はあったものの、俗にいう“ビデオスルー”といった、上映を行わずディスクリリースのみという形をとっての日本上陸すらされなかったのは、スタジオLAIKAレベルのアニメーション制作スタジオ作品では珍しい例と言ってもいいでしょう。
このまま『ボックストロール』の存在が、日本でだけなかったことになってしまうのかと思われた2017年、大きな事件が起こります。
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』のスマッシュヒット
2017年、スタジオLAIKAの新たな新作として『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』が日本でも上映され、これが『ボックストロール』の運命を大きく変えることになります。
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は、日本を舞台にした作品ということもあり作品自体が話題になったほか、“ファンアート”大募集といったイラスト投稿企画や、撮影に実際使われた人形を各地の映画館に巡業させる写真撮影会などの企画が積極的に行なわれたこともあり、見事スマッシュヒット作品となり、多くのファンを作ることに成功します。
改めてスタジオLAIKAに注目が集まったこのタイミングを、『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』を配給したGAGAは見逃しませんでした。『ボックストロール』の日本上陸に向け、ついに動き出すのです。
3年半越しの日本上陸
そんな話題作となった『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』のディスクリリースに合わせる形で、『ボックストロール』が、ついに日本上陸を果たしました。
2014年秋の海外公開から数えるとおよそ3年半越しの日本上陸。今や全世界同時配信なんて作品も多く登場している中ではありますが、『ボックストロール』はじっくりと時間をかけて、やっと日本デビューを果たすことに成功したわけです。
アニメ大国・日本と『ボックストロール』
危うく幻の作品となりかけた『ボックストロール』ですが、運よく『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』という作品の登場がフックとなり、日本の表舞台に立つことができたわけです。こういった例を思うと、まだまだ日本に上陸し損ねている、秘めたる海外アニメーションは多数存在する予感がします。
アニメ大国なんて呼ばれる日本ですが、生産国としては活発でも、外から入ってくる海外作品からすると、決して風通しが良いとは言い切れない状態です。
海外作品で挙げるとすれば、何十億円規模での市場形成に成功しているのはディズニーであったり、ミニオンの活躍が目指しいイルミネーションエンターテインメント程度で、非常に限定的。
ですが、最近は徐々に広がりを見せはじめ、ドリームワークスアニメーションの『ボス・ベイビー』がヒットしたり、カートゥーン・サルーンの『ブレンダンとケルズの秘密』が本国公開から8年越しの日本上映を果たしたりと良いニュースも聞くようになってきました。
今回の『ボックストロール』も良い前例として、様々なアニメーションが楽しめるという意味での“アニメ大国”の兆しを期待したいところです。
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