夏よ!まだ終わらないで!プールが印象的な映画14本

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

8月が終わってしまいましたね。今年の夏はプールに行きましたか?

少しずつ日が短くなり、夜風が気持ちいい季節になったものの、まだまだ猛暑が続く今日この頃。

昼間は暑くて冷たいプールに飛び込みたい!と思うものの、ゲリラ豪雨や台風で不安定なお天気じゃ、二の足を踏んでしまう人も多いのでは?

そこで今回は、観ているだけでプールに行った気分になるかも?というプールが印象的な映画14本をご紹介しよう。

スイミング・プール』(2003)

妄想か現実か

スイミングプール

出版社社長の別荘で新作の執筆に取り組んでいるスランプ中の女性推理作家が、突然現れた社長の娘によって精神状態を乱されてしまう。

南仏を舞台に、しっとりした熟女VSピチピチ若い娘という構図で女の葛藤が描かれるが、話はそう単純ではなく、この映画そのものが彼女の書いたミステリーのようでもあり、嫉妬による妄想のようでもあり。まあ、謎は謎のままということで。

枯葉が浮くプールを全裸で泳いだり、白いワンピース水着で泳いだりする娘は、いつも自由気ままで挑発的だ。一方、彼女のムチムチした肉体をじっと見つめ、異性関係を観察してはこっそり小説に書く熟女。あれ? 刺激を受けて何だか若返ったんじゃない? 嫌悪は憧れの裏返し。

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リービング・ラスベガス』(1995)

プールの中でそんなことを

リービング・ラスベガス

アルコール依存症のために映画会社をクビになった脚本家が、死のうと思って向かったラスベガスで娼婦に出会い、2人は短くも激しい愛の日々を送る。

お酒を飲んで死ぬ。絶望のあまりそう覚悟を決めた彼は、そのためにハリウッドからラスベガスへやってきた。で、本当に毎日浴びるように飲み続けるのだが、まさかプールに潜ってまで飲むとは……どうやって飲んでいるんだろう?

そんな風に破滅へと向かっていく彼の前に、孤独な娼婦が現れる。彼の優しさに触れ、その生き方(死に方?)を理解した彼女は、深い愛ゆえに彼が酒浸りになるのを止めようとはしない。何だか凄まじいラブストーリーではあるが、そんな幸せもあるのかも。

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存在の耐えられない軽さ』(1988)

人生の重さとは

存在の耐えられない軽さ

1968年頃のチェコスロヴァキアを舞台に、プレイボーイの外科医が2人の女性と深く関わりながら、真実の愛に目覚めていく様を描く。

“プラハの春”からソ連軍介入までの重苦しい歴史的背景とは裏腹に、結婚後も次々と女性とつきあってしまう彼の軽さときたら。むしろ清々しいほどの女癖の悪さだが、ダニエル・デイ=ルイスが演じると下品にならないから困っちゃう。

彼がヒロインと出会ったとき彼女はプールで泳いでいて、それがなんとスクール水着(日本人から見ると)という衝撃。彼の浮気のせいでうなされる夢でも、彼女はプールで泳いでいたなあ。さて、2人の愛の結末をどう解釈するかは、あなた次第。

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そうして私たちはプールに金魚を、』(2016)

そこそこ幸せになれたら

そうして私たちはプールに金魚を

2012年、埼玉県狭山市で実際に起きた事件を基にして、女子中学生4人の心の機微を鋭く捉えたショートムービー。

プールに400匹の金魚を放流。なぜ彼女たちはそんなことを? その事件の真相をこの映画で暴いたのかと思いきや、地方暮らしで将来に希望を見出せず、エネルギーをもてあまして、叫んだり笑ったりしている普通の女子中学生たちの生態が映し出される。

テンポといいセリフといい演出といい、絶望と青春のドトーの展開がとにかくパンク! 夜のプールに放たれた夜店の金魚は、どこにも行けない彼女たち自身なのだろうか。でも「暗くて見えねー」。監督は電通のCMプランナーだったという。これからが本当に楽しみ。

早春』(1970)

モヤモヤが燃え上がる

早春

公衆浴場で働きはじめた15歳の少年が、一緒に働いている年上の女性に憧れ、冷たくされながらも強く惹かれていく。

思春期の少年が抱く異性への初々しくも狂おしい憧れを、これほどまでに残酷で美しく描いた作品があるだろうか。映画史上に残る青春映画の大傑作。2018年にデジタルリマスター版としてリバイバル公開され、大きな話題になった。

彼が彼女にそっくりな看板を抱きながらプールで泳ぐシーンは、この上もなく幻想的で切なく、それがそのままラストシーンにつながっていく。冷たい仕打ち。激しい恋心。抑えきれない嫉妬。そんなモヤモヤに翻弄される哀れな思春期は、時代が変わっても永遠だ。

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台風クラブ』(1985)

低気圧に巻き込まれて爆発

台風クラブ

台風の接近をきっかけに、日頃の鬱屈した感情を高ぶらせていき、ついには騒乱状態に陥る中学生の姿を通して、彼らの危うさや脆さを瑞々しく描く。

低気圧と思春期がぶつかると、こんなことになるのだなあ。学校や大人たちへの不満や不信感。そんなドロドロやモヤモヤが飽和状態に溜まっていたところへ嵐がやってきたものだから、集団で爆発してしまう。でもわかるわ~その高まり具合。

オープニングのプールシーンは、男子が女子に寄ってたかってオモチャにされているというショッキングさ。優等生的な二枚目俳優だった三浦友和がそれまでのイメージをひっくり返し、工藤夕貴が土砂降りのなかでヤケクソ気味に歌う。過激すぎる青春映画の傑作。

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グラン・ブルー』(1988)

イルカになった青年

グランブルー

フリーダイビングの世界記録を競い合うライバル2人の友情と、海でしか生きられない男を愛してしまった女性の葛藤を描く。

酸素ボンベなくしてどこまで潜れるかという過酷な競技に魅せられた主人公にとって、海は体の一部。イルカは家族。陸では生きていけない生物なのである。そんな彼と恋人同士になった彼女は、ギリギリのところで愛を試されてしまう。

パーティでもタキシード姿でプールに潜り、どちらが長く息を止めていられるかを競わずにはいられない男たち。音楽が映像にしびれるほどマッチしてカッコよく、ラストシーンには言葉も出ない。男の夢と女の涙が詰まった物語。

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キャンディ』(2006)

どんなに愛していても

キャンディ

ヘロインの常用者である青年は、強い愛で結ばれている恋人を危険なドラッグの世界に巻き込んでしまい、共に自堕落な生活を送るようになる。

彼女には画家になるという夢があったが、好奇心からついクスリに手を出してしまい、中毒者になってしまう。最初は快楽に身を任せていればよかった。しかし、結局2人はお決まりのコースへ。それでも愛を貫き通そうとするところが、この話のミソである。

愛と憎しみのドロ沼にはまって身動きが取れなくなる前の、甘くてフワフワした蜜月時代の2人が、何度もプールに潜ってひたすら抱き合うシーンが美しい。詩人志望だった繊細な青年をヒース・レジャーが好演。彼は何があっても彼女が好き。やるせないラストが突き刺さる。

イン・ザ・プール』(2005)

水に触れたい

イン・ザ・プール

心にちょっと変わった闇を抱える患者たちが、自分よりも普通ではないメチャクチャな医師から治療を受けることで癒されていく。

原作の短編のうち「イン・ザ・プール」「勃ちっ放し」「いてもたっても」を映画化。松尾スズキの初主演作である。白衣からのぞくヒョウ柄シャツ。診察はテキトーで、たまに凶暴。お色気ナースをはべらせているアブナイ医師の役は、その後のイメージ通りだ。

最初は単なるストレス解消でプールに通っていた男が、次第にプール依存症になっていく。なので、プールに入れないと禁断症状が出てしまう彼は、会社の洗面台に水をためて両腕を沈め、しばしの安らぎを得ようとするシーンには爆笑。田辺誠一のハマリ役だ。

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ロスト・イン・トランスレーション』(2003)

孤独な異邦人

ロスト・イン・トランスレーション

仕事で来日したハリウッド俳優と夫に付き添って来日した若妻という2人のアメリカ人が、ホテル滞在中に知り合い、お互いの孤独を慰めあうようにして共に時間を過ごす。

なぜ自分はここにいるのだろう。大都会にいる異邦人が抱く不安や違和感、疎外感。不思議なトウキョウ。刺激的だけど退屈。そんな気持ちでゆらゆらしているときに彼らは出会った。そして、砂漠でオアシスを見つけたように惹かれあっていく。

高級ホテルにはプールがあり、眠れない夜に彼はそこで泳ぐ。誰もいないプールではいつも一人ぼっち。中年クライシスとマリッジ・ブルーのような2人に訪れた触れあいは、束の間だからこそ永遠だ。この監督は「気分」を描くのが本当にうまいなあ。

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テイク・ディス・ワルツ』(2011)

寂しさのゆくえ

テイク・ディス・ワルツ

結婚生活で倦怠期を迎えていたフリーライターの主人公が、取材先で青年と出会い、彼が偶然近所に住んでいたことから、2人は急速に惹かれあうようになる。

一見すると幸せそうな夫婦なのだが、女ってやつはすぐに満たされなくなるわけで。男性にそれを求め続けている限り、彼女は同じことを繰り返すだろう。自分がなぜこんなに寂しいのか、その原因をよく考えてみるといい。

プラトニックを貫き通そうとする2人。でも、こっそりデートはする。たとえば彼女が通うプールに見学に行ってみたり。そのプールがなんと、浸かっているときにオ○ッコをしたら水に色がつくんだって! オーマイガッ! なので、みんな逃げる逃げる。何かヘンなもの見ちゃった。

ロミオ&ジュリエット』(1996)

キラキラ+ツヤツヤ

ロミオとジュリエット

ウィリアム・シェイクスピア作「ロミオとジュリエット」の時代設定を現代のブラジルに置き変え、しかしセリフはそのままという斬新な演出で作られた話題作。

両家の争いをマフィアの抗争にし、高層ビルに住むアロハシャツ姿のチンピラたちが、街を巻き込んで銃撃戦を繰り広げる。でも彼らがしゃべる言葉は、あくまでもシェイクスピア。やたらと比喩が多くて長いセリフなのだが、そのギャップがたまらなく面白い。

仮装パーティで一目惚れし、「おおロミオ。なぜあなたはロミオなの?」というあの有名なセリフのあと、2人はプールに落ちてしまう。水に濡れながらの初めてのキスはキラキラしていて、無邪気に飛び散る水しぶきは、恋に溺れる2人を象徴するかのよう。若いっていいわねえ。

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ルビー・スパークス』(2012)

思い通りにしたところで

ルピー・スパークス

天才小説家としてデビューしたもののスランプに陥っている青年が、夢に現れる女性をヒロインにした小説を書き始めたところ、突然その彼女が現実世界に現れる。

何とも示唆的で奇妙なラブストーリーだ。自分が書いた通りのキャラになってくれるし、何よりも自分を愛してくれるのだから、彼は舞い上がるのなんの。しかし彼女は、理想の型にはめられることがイヤになっていき……やっぱり都合がいいことは続かない。

彼がプールにいたとき彼女はどこからともなく現れ、何事もなかったように彼と暮らし始める。2人は神と創造物のような関係なのかと思いきや、彼に操られていると気づいた彼女は去っていく。荒唐無稽でありつつも、男と女について考えさせられる物語。

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プール』(2009)

ただそこにあるプール

プール

タイのチェンマイ郊外を舞台に、プールのあるゲストハウスに集まるワケありな男女5人たちの交流を描く。

突然タイに住みついた母のマイペースさについていけない娘が、そのわだかまりを何とかしようと訪ねてくる。ああ、こんな風にシンプルに生きられたら……という現実ではなかなか実現困難な願望を映像で叶えてくれる映画である。

特に何が起こるわけでもなく、時間はただゆったりと流れ、美味しいものを食べて寝る。掃除の行き届いた大きなプールでは不思議と誰も泳がないのだが、このプールがそこにあるだけで、命の洗濯ができそう。暮らしのなかに豊かな水があるのっていいね。

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いかがでしたか?

プールでたわむれるカップルの姿は、まさに濡れ場。水に浮かぶ気持ちよさが2人の幸福感を表しているようだ。

しかしその一方で、どことなく不吉な予感を呼び起こす装置としてもプールは登場する。

外国映画では裕福さの象徴としてのプールだし、邦画によく出てくるのは学校のプール…う~ん。やっぱり生活が違うなあ。

プールに注目して映画を観るのも、いろいろな発見があって面白い。

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