【ネタバレ解説】映画『シャイニング』主人公ジャックの正体、ラストシーンの意味を徹底考察

ヒットガールに蹴られたい

竹島ルイ

映画『シャイニング』をネタバレ解説。完璧主義者=スタンリー・キューブリック監督の演出方法、ラストシーンの意味、鏡が象徴するもの、原作との違いなどを徹底考察。

キューブリックはインタビューで、

最後の舞踏会の写真は、ジャックの生まれ変わりを示唆しています。

と思いっきりネタバレコメントをしているのだが、もう少しこの問題について考察してみよう。

そもそも『シャイニング』という題名は、あのジョン・レノンがプラスティック・オノ・バンド名義で発表したナンバー「Instant Karma!」の歌詞の一節「We All Shine On」の「Shine(輝ける)」というワードから着想を得ている。

「Karma(カーマ/カルマ)」とは、日本語で「業」と翻訳されるが、要は「犯した罪の因果によって、それ相応の報いを受けること」を指す。

仏教的解釈では、因果の道理によって地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上の6つの世界を生み出し、その世界で何度も生まれ変わりを続ける(=輪廻転生)。そう考えるとジャックは、「邪悪な意思を持つホテルの管理人として、何度も生まれ変わりを果たしている人物」とみなすことができるのだ。

ジャックが因果応報によって、何度もホテルの管理人として生まれ変わっているとしたら、彼が犯した罪は何なのだろうか? 筆者の暴論かもしれないが、「双子の娘と妻を惨殺したのは前世のジャックで、その因果で何度もホテルの管理人として輪廻転生を繰り返している」のではないか?

ジャック・ニコルソン出典元:YouTube(Movieclips)

それを裏付けるシーンがある。

支配人のアルマン(バリー・ネルソン)はこのホテルで一家惨殺事件があったことを説明する際に、その加害者である管理人の名前をチャールズ・グレイディと語っていた。しかし、グレイディがジャックと実際に会話するシーンでは、チャールズではなくデルバート・グレイディと名乗っているのだ。しかもグレイディは、ジャックに「あなたこそ、このホテルの管理人です。ずっと昔から」と語っている。これは何を意味するのか?

さらにこのシーン、よく見るとちょっと不思議なショットが挿入されている。

最初カメラは左にグレイディ、右にジャックという構図で捉えているのだが、数秒だけ左にジャック、右にグレイディという配置が反対になったショットが差し込まれているのだ。

映画では通常、2人の人物が会話するシーンではイマジナリーラインという仮想の線が引かれ、その線を追い越すことはない。会話する2人の人物の位置関係が逆になってしまうと、どちらがどこにいるのか観客が混乱してしまうからだ。しかしこのショットでは、明らかにイマジナリーラインを意図的に越えている。

イマジナリーライン

これは、ジャックがグレイディ自身であることを指し示しているのではないか?

かつてのグレイディと、現在のグレイディ(=ジャック)が会話していることを映像的に表現するために、キューブリックが意図的にこのような演出をしたのではないか、と筆者は勝手に推察しております。

今なお映画ファンを魅了し続ける『シャイニング』の世界

公開から約40年が経過した今なお、『シャイニング』は多くの映画ファンを魅了し続けている。

1997年には、キューブリックをコキ下ろしたスティーヴン・キング自ら製作総指揮と脚本を手がけたドラマ版『シャイニング』が放送されている。

さらに2012年には、キューブリック研究家たちが『シャイニング』の新しい解釈や珍説・奇説(中には、NASAによるアポロ計画捏造の暴露が映画の製作意図だというトンデモ解釈があったりする!)を披露するドキュメンタリー映画『ROOM237』が公開されている。

ROOM237

そして2020年1月24日には、『シャイニング』の続編『Doctor Sleep(原題)』が全米公開されることがアナウンスされている!

舞台は前作から30年後。大人になったダニーは、過去のトラウマから酒におぼれる日々を送っていたが、やがて自分と同じ超能力を持つ少女と出会うことで、新たな恐怖が襲いかかる……という内容。

まだまだ『シャイニング』の惨劇は続くのであります!

【あわせて読みたい】
※ 【ネタバレ解説】映画『時計じかけのオレンジ』タイトルの意味とラストシーンを徹底考察
※ 【ネタバレ解説】SF映画『2001年宇宙の旅』が描いた人類進化論とモノリスの意味​

※ 【ネタバレ解説】映画『ブレードランナー 2049』続編として考察する賛否両論の理由​

記事をシェア

公式アカウントをフォロー

  • RSS