11月1日と2日は「死者の日」です(地域によっては前夜祭として10月31日から始めることもあります)。
日本ではまだあまりなじみがないものの、世界各地で華やかに祝われ、観光客も訪れるイベントとなっています。
「死者の日」をモチーフとしたピクサー映画『リメンバー・ミー』は、世界興行収7.8億ドルで、メキシコ文化をよく理解しているとしてメキシコでも大ヒットしました。
年々ハロウィンの盛り上がりが増している日本でも、今後広まっていくであろう「死者の日」。
なんのお祭りなのかよくわからないまま、とりあえず周りに合わせて盛り上がる……なんてことがないように、今回はこの「死者の日」を解説します!
1. 「死者の日」とは(歴史と目的)
2. ガイコツの意味
3. ハロウィンとの違い
4. 死者の日をモチーフにした映画3本
1. 「死者の日」とは
「死者の日」とは、2,000〜3,000年ほど前にメキシコで始まった“死者を迎える祭り”のことです。スペイン侵攻のあと、カトリックの影響を受けて「諸聖人の日」である11月1日と2日に行われるようになりました。
日本のお盆に近い風習ですが、「死者の日」はカラフルなところが特徴的です。“オフレンダ”と呼ばれる色彩鮮やかな祭壇が各家庭の玄関先や商店、公園などに飾られ、ガイコツの仮装をした人々や観光客、彼らを目当てにした露天商が町中を埋め尽くしているそうです。
また、「死者の日」の花である濃橙のマリーゴールドが町中に飾られ、マリアッチ隊が演奏し、町中がマリーゴールドの香りと音楽で包まれます。ちなみに1日は子供の死者を迎えるためにチョコレートなどのお菓子を、2日は大人の死者を迎えるため酒などを供えて、故人を知る人が集まり思い出を語り合います。
メキシコだけではなく、アメリカ大陸の各地やオセアニア、ヨーロッパでも行われており、日本でもハロウィンと関連づけたイベントが各地で開催されています。
2. ガイコツの意味
「死者の日」の一番のモチーフといえばガイコツです。そもそもメキシコでは、古くから祖先のガイコツを飾る習慣がありました。彼らはガイコツに恐怖や不気味なイメージを持っていません。皮膚の下はみんなガイコツであり、ガイコツは全ての人の将来の姿であるという考えがあるのです。
祭壇に飾るガイコツの人形もカラフルで可愛いですし、ガイコツの小物やグッズなども販売されていて、身近なアイコンになっているようです。
3. ハロウィンとの違い
ハロウィンは古代ケルト人の“秋の収穫祭”です。ケルト人にとっての1年の終わりである10月31日に収穫を祝うと同時に、悪霊を払うために仮面をかぶったり火を焚いたりしていました。
ハロウィンが10月31日で、「死者の日」は11月1日と2日ですが、前述の通り死者の日はカトリックの「諸聖人の日」に合わせているので、日程的な繋がりは偶然であり、その起源からして結びつきのない祭りです。
ただ、どちらも“仮装する祭”ということもあり、連続したイベントとして開催されることも増えています。
また、ハロウィンでの「トリック・オア・トリート(お菓子をくれないとイタズラするぞ)」にちなんで、「死者の日」にも仮装をした子供たちがカボチャや骸骨の容器を手に「Coopera con mi calaverita!(私の頭蓋骨に協力を!←直訳)」とお菓子を求めて町中を歩き回っているそうです。
4. 「死者の日」をモチーフにした映画3本
『リメンバー・ミー』(2017)
日本では2018年に公開されたピクサーの長編映画。ピクサーはアメリカの会社ですから、「死者の日」は本来外国の文化に当たります。
しかし本作では、メキシコ文化をものすごくリサーチした結果、本国メキシコでも受け入れられ大ヒット。
同時上映された短編『アナと雪の女王/家族の思い出』では“伝統に固執しすぎちゃいけない”というテーマが提示されていましたが、『リメンバー・ミー』でもそれは同様。ご先祖様は大事にしなきゃいけないけど、伝統が形骸化されて本質が失われていないかと問いかけています。
伝統的な行事をモチーフとしながらも、時代にあったメッセージを発信するのがピクサーの凄さだと思いました。
『ブック・オブ・ライフ 〜マノロの数奇な冒険〜』(2014)
ギレルモ・デル・トロも製作に携わった3Dアニメーション。監督のホルヘ・R・グティエレスは、アニメーターでもあり画家でもあります。それゆえ映像が素晴らしいです! キャラクターデザインが面白いですし、背景もユーモアがあってカラフルで「死者の日」というモチーフと合致しています。
「死者の日」の世界と現実パートが別れていて、現実パートはちょっと手を抜いてらっしゃるのかな……というクオリティなのですが……、「死者の日」の世界はさすがの渾身の出来でした! こども向けのお話ですが、大人でも素で笑えますし面白いですよ!
『メキシコ万歳(ДА ЗДРАВСТУЕТ МЕКСИАКИ!/QUE VIVA MEXICO!)』(1979)
『戦艦ポチョムキン』のセルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督が、メキシコの受難の歴史とたくましい土着文化を描いたモノクロ映画です。1939年に撮影されたのち制作が中断され、1979年に助監督のグリゴリー・アレクサンドロフが完成させたもの。ドキュメンタリー部分が多く、被写体とも近いので、1939年を生きるメキシコの人たちの熱気が伝わります。
「死者の日」の祭りのシーンがありますが、これはかなりおどろおどろしい雰囲気で撮られています。当時のメキシコの生活文化や、伝説の闘牛士ダヴィド・リセアガ(超絶イケメン!)本人 が出てきて女性からモテモテの様子や、圧政に苦しむ民衆が描かれていたり、体の半分を生き埋めにされた男が馬で踏まれるシーン(どうやって撮ってんの?っていうか多分普通に怪我してる……)とかがあったりして、なかなか面白いので是非観てみてください。
海外の知らない文化を知ることができるのも映画のいいところですね! 秋の夜長に是非!
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