村上虹郎・武正晴監督が舌を巻いた噂の“初リリー”ーー『銃』舞台挨拶【東京国際映画祭】

10月26日(金)から開催中の第31回東京国際映画祭にて1日(木)、映画『』の舞台挨拶が行われ、主演の村上虹郎さん、共演の広瀬アリスさん、武正晴監督、プロデューサーを務めた奥山和由さんが登壇した。

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3年前の東京国際映画祭レッドカーペットで初めて顔を合わせたという村上さんと奥山プロデューサー。「虹郎くんが横柄なタメ口で『おくやまさ〜ん』と声をかけられて、その時にもう、この『銃』の主人公がここにいる!と思って。この東京国際映画祭のレッドカーペットで成立した作品です」と奥山プロデューサーが当時を振り返った。

『百円の恋』で知られる武正晴監督を起用した経緯については、奥山プロデューサーが製作を務めた『SCORE』(95)や『GONIN』(95)に助監督として携わっていた武監督に、『銃』を撮るときは相談しようと思っていたと語る。

ところが、「キャスティングが見えた頃に武監督に電話をしたら、『もう2年先まで埋まっている』と言われた」とか。しかし『銃』を撮るなら絶対に武監督だと信じていた奥山プロデューサー。すると……「翌日、本当に撮影予定だった作品が飛んじゃって、慌てて奥山さんに電話をかけ直したんです」と武監督。

そのときは2〜3週間しかスケジュールが空かず、「それでも撮ろう!」と撮りはじめたというが、その後さらにもう1本の作品が飛び、「結果ゆっくり作ることができた」とバツが悪そうに明かした。

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陰鬱な雰囲気の漂う本作で、唯一“陽”の存在であるヒロインを演じた広瀬さん。そのキャスティングについて「オファーをしたら意外と早く返事がもらえた」と話す武監督。これについて広瀬さんは、「朝のドラマをやっていたんですけど……全然出番がなくて(笑)」と明かし、会場中を爆笑させた。

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本作のハイライトといえば、なんといっても村上さん演じる主人公・トオルとリリー・フランキー演じる刑事が対峙するシーン。台本7〜8ページに及ぶ壮絶なやりとりが繰り広げられる。

しかし、リハーサル嫌い・本読み嫌いのリリーさんは、「現場にふらっと来てなかなか会えなかった」そうで、さすがの武監督も「台本をちゃんと読んでくれるのかと失礼なことを考えていたんですが、ト書きを細かく演じてくれて、アドリブもポンポン出てくる。だんだん虹郎くんもノってきて、楽しい現場だった」と舌を巻く。「これが噂の“初リリー”か。リリーさんの細かいアドリブ演出が、自分にも浮かべば……と思ってしまうほどだった」。

このエピソードに村上さんも、「現場で一度、どうやって台本を覚えているんですか?と聞いたことがあるんです」と振り返る。「そうしたら、“黙読”だよ、と返ってきて衝撃を受けた」と明かすと、会場からも驚きの声が。「テストの瞬間まで一度も声に出さないそうです。自分がどう見られているかを熟知していないとできない」と感嘆した。

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雨が降りしきる河原で、思いがけず拳銃を拾った大学生の西川トオル。普段は、友人たちと青春を謳歌しているが、その内には魅了された銃への高揚を秘めていた。トオルは、大切に家に保管していた銃を持ち歩いてみることにした。さらに緊張とスリルが増し、彼を満足させた。同じ大学のヨシカワユウコにも興味があるが、やがて銃は彼のなかで圧倒的な存在感を占めていく。そして、突然の刑事の訪問。「次は、人間を撃ちたいと思っているんでしょ?」 次第に精神を追いつめられていくトオルは、あることを決意するが――。

映画『』は2018年11月17日(土)より、テアトル新宿ほか全国ロードショー。

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