いよいよ今月末に迫った、東京国際映画祭。
前回の記事(第28回東京国際映画祭の注目作はこれだ!①コンペティション/ワールドフォーカス編)ではコンペティション部門とワールドフォーカス部門の注目作品を紹介いたしましたが、今度はそれ以外の部門をチェックしていこうと思います。
パノラマ部門
今年から新たに本映画祭に組み込まれたこの部門。ほかの国際映画祭ではベルリンや上海など、多くの映画祭で取り入れられている名称の通り、幅広いジャンルを見渡した作品が登場します。
今年は特別招待部門が作品数を減らしてきているので、今後はこの部門と併せて補うという形式を取っていくようです。
『ラスト・ナイツ』
まずこの部門の目玉となりそうな作品のひとつが、紀里谷和明監督のハリウッドデビュー作となる本作。
「忠臣蔵」をモチーフに築き上げられた物語と、国籍を問わない豪華キャストの競演で早くも話題沸騰。『CASSHERN』や『GOEMON』ほどの派手さは無いものの、その2本で酷評した方々には本作は良い意味で裏切られること間違い無し。中でも韓国映画界の重鎮アン・ソンギが一際輝きを放っております。
『ガラスの花と壊す世界』
一般公募の中から選ばれたストーリーを、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『四月は君の嘘』と人気作を飛ばし、現在『心が叫びたがってるんだ。』も大ヒット上映中のA-1picturesが制作した劇場用オリジナルアニメーション。来年の1月公開まで待てないファンのためのワールドプレミア上映となります。67分しかないのか……。
また、年内公開予定の『WE ARE Perfume-WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』や、来年公開が予定されている『パディントン』、アカデミー賞レースでも期待される『ビースト・オブ・ノー・ネーション』といった話題作、さらには過去に本映画祭のコンペティション部門で監督賞を受賞したジル・パケ=ブランネール監督の新作『Dark Places(原題)』から、大女優イングリッド・バーグマンのドキュメンタリー映画まで幅広く上映されます。
華々しい映画祭の雰囲気を味わうには、この部門を中心に観ていくのも良いかと思います。
JAPAN NOW
つづいては、こちらも今年から新しく登場した部門です。
近年の日本映画にフィーチャーし、今年ヒットした作品から来年公開される新作を世界に向けて発信していくこの部門。今年は公開済みの8作品と、これから公開される3作品に加え、『日本の一番長い日』『駆込み女と駆出し男』のスマッシュヒットが記憶に新しい原田眞人監督の作品を5作品上映。
『ピンクとグレー』
中でも最大の注目作品と言えるのが本作。登壇ゲストによっては、今年の映画祭で真っ先にチケットが売り切れることが予想されているのは『GO!プリンセスプリキュア』か本作かというぐらいです。
ジャニーズの人気グループNEWSのメンバーである加藤シゲアキの小説を、事務所の後輩にあたるHey!Say!JUMPの中島裕翔が主演で映画化。しかも監督が行定勲だというのだから、ジャニーズファンのみならず多くの映画ファンの注目を集めること間違いなし。いち早く観る事ができるこの機会を心待ちにしている人も少なくないと思います。
『恋人たち』
そして『ぐるりのこと』以来の長編映画となる橋口亮輔監督の待望の新作もこの部門で上映されます。こちらは11月に公開が予定されておりますが、テアトル新宿をはじめミニシアター上映が中心ですので、シネコンのハイスペックなスクリーンで観ることができるのはこの機会しかないかもしれません。
ミニシアター作品をシネコンで観るというのもこの映画祭の醍醐味のひとつですので、是非ご堪能頂ければ。
この2作品以外にも、今年大ヒットを記録した細田守監督の『バケモノの子』や、カンヌ映画祭コンペティション部門に選出され、先日もサン・セバスチャン国際映画祭で観客賞を受賞した今年の日本を代表する是枝裕和監督『海街diary』、来年公開予定となる山田洋次監督の新作『家族はつらいよ』も上映予定。
アジアの未来
こちらは昨年から取り入れられた部門で、アジア映画に特化した本映画祭らしい個性的な作品を観る事ができます。
アジア圏の注目すべき新人監督の作品を中心に取り入れたこの部門は、香港や韓国はもちろんのこと、インドネシアや内モンゴルといった、映画祭でないと観ることができない国や地域の作品を楽しむことができます。
『The Kids』
この部門での最大の注目作は台湾の女性監督による青春ドラマ。昨年本映画祭で上映され話題を博し、今年の夏に全国ロードショーが実現した『共犯』に出演していたウェン・チェンリンをヒロインに迎えて、また台湾青春映画史に名を残すであろう一本が誕生しました。
今年の本映画祭では3本の台湾映画が上映予定ですが、その中でも期待値・日本公開の可能性共に一番高いのは本作でしょうか。
『父のタラップ車』
近年注目を浴びるようになったトルコ映画界ですが、ヌリ・ビルゲ・ジェイランやセミフ・カプランオールといった芸術系に傾倒した作品のイメージが強く、なかなか手を伸ばしづらいという方も少なくないのでは。
でも本作はそのイメージを180°覆し、「トルコはこういう映画もあるんです!」と世界にアピールするようなコメディ映画になっております。
この2本を加え、合計10作品が上映されるこの部門。今後のアジア映画界を担う若手監督たちの作品を観ることができます。
また、アジア映画を取り上げるもうひとつの部門である「CROSSCUT ASIA」では、昨年のタイ映画につづき、今年はフィリピン映画を紹介。
フィリピン映画界が誇る国際派監督ブリランテ・メンドーサの作品5作品を中心に、普段ほとんど観る機会がないフィリピン映画を知ることができるのです。さらには現代フィリピン映画に大きな影響を与えているイシュマエル・ベルナールの『奇跡の女』がデジタル・レストア版で上映されるので、こちらも押さえてみてはいかがでしょうか。
東京国際映画祭については、FILMAGAでも複数の記事で魅力や楽しみ方を紹介しています。是非合わせてご覧ください。
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