勉強よりも大切なことを教えてくれる!カリスマ家庭教師が登場する映画7本

映画マニアと呼ばないで

夏りょうこ

学校や塾、オンラインなど、時代とともに多様化する勉強のスタイル。その中でも謎めいていて、なんとなくハイソサエティなイメージのある家庭教師。

勉強を教えてもらうだけでなく、将来の悩みや不安をこっそり打ち明けたり、人生の先輩として教えを請いたくなるような身近な存在だったりして、ほかの先生と比べて距離感が近いのも家庭教師の特徴だ。

映画を観ていると、そこに登場する家庭教師たちが、親身になって生徒に寄り添い、まっすぐに向き合おうとする中で口にするセリフに、グッと心を掴まれてしまうことがありませんか?

今回は、そんな家庭教師たちが登場する映画7本を、彼らの名言とともにご紹介しよう。

アンナと王様』(1999)

「よい王はもっと広い目を」

アンナ

時は19世紀。王子たちの教育係としてシャム王国へやって来たイギリス人の未亡人・アンナは、故郷と全く異なる風習や文化にとまどいながらも、やがて王の人柄に惹かれていく。

この作品は、往年の大ヒットミュージカル映画『王様と私』(56)のリメイクではなく、小説「アンナとシャム王」の元になった手記を映画化しているので、より原作に近い。つまり「Shall We Dance?」は流れず、誰も踊らず。シャム王とイギリス人家庭教師という人種と身分を超えた心の交流を描いている。

香港の大スターであるチョウ・ユンファが誇り高き聡明な王を演じ、知的なジョディ・フォスターとのロマンティックで切ない愛情のやりとりがみどころ。価値観は違っていても、お互いを認め合い、思いやりを抱く相手なら特別な感情が芽生えるもの。でも決して口には出さない。それが大人の恋。

別れを前にした二人は、最後の夜に静かにダンスを踊る。それまで強い女性を演じてきたジョディ・フォスターが、寂しさを堪えてしのび泣きをするシーンが忘れられない。

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家族ゲーム』(1983)

「勉強終わったらケンカの勝ち方教えてやる」

家族ゲーム

同じ小説を原作にした櫻井翔主演のTVドラマ(13)とは全くテイストが異なり、受験に振り回される家族の姿をシュールなタッチで描いたコメディ映画。テーブルを囲まない横一列に並んでの食事シーンが、斬新な表現手法として評判を呼んだ。

高校受験のために雇われた家庭教師は、なぜか三流大学の7年生。無表情でボソボソとしゃべり、植物図鑑を手放さず、生徒の反抗的な態度には容赦なくビンタをくらわし、お茶は一気飲みするというつかみどころのない奇妙な男を松田優作がコミカルに演じ、ハードボイルドなイメージを一変。その絶妙な間合いと予測不可能な言動から、目が離せない。

いじめられっ子でヤル気のない弟よりも、実は優等生を演じている兄の方が闇が深く、家庭のことは母親に任せっきりの父親など、問題を見て見ぬふりする彼らの関係は、現代でも通じるテーマだろう。由紀さおりのおっとりした味わいが、一種の救い。

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ナニー・マクフィーの魔法のステッキ』(2005)

「自分たちで解決しなさい」

ナニー

無法地帯と化した家庭にやって来た伝説の“ナニー”が、騒ぎまくる子供たちとどう接っしていくかを描いた作品。イギリスでは有名な児童文学の映画化で、シリーズ第2弾『ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ』(11)もあり。

ナニーとは、母親に代わって子育てをする乳母のこと。いわゆる家庭教師ではないが、子供に社会的マナーを教えるという大切な存在だ。しかしこの作品に登場するスゴ腕ナニーは、顔に大きなイボがあり、前歯も不自然に1本出ているという奇妙な容貌。さてさて、そんな彼女のしつけ方法やいかに。

ニコリとも笑わない彼女は、最初から何もかもお見通し。懲らしめるために魔法を使うこともあるが、基本的には諭すような言葉を使って子供たちと忍耐強く向き合う。そして、彼らが礼儀作法を覚えるたびに彼女の顔に変化が……。必要とされる限りはそばにいて、必要がなくなればあっさり去っていく。親にはそれがなかなかできないから、ナニーが必要なのかも。

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同い年の家庭教師』(2002)

「成せばなるなんて簡単なことじゃない」

同い年

お金持ちの不良息子の家庭教師をするハメになった女子大学生。高校を留年している彼は彼女と同い年のため、態度の悪さに遠慮がない。そんな二人の最悪な関係から、物語は始まる。

ワガママでオレ様キャラの彼が騒動を起こすたびに、巻き込まれてしまう彼女。今まで何人もの家庭教師を追い出してきた彼と、今まで何度も家庭教師を辞めてきた彼女が、今回だけ長続きしているのはなぜ? それはきっと、相手を見捨てないから。自分が逃げないから。

先生役の女優に美人オーラがないところが、平凡な感じでよい。一方、ヤンチャだけど実は甘えん坊の生徒役クォン・サンウは、素直になれない不器用さから見え隠れする優しさが期待通りだ。韓国映画らしい少女漫画チックなドタバタコメディ。

メリー・ポピンズ』(1964)

「どんな仕事でも楽しくやる方法があるのよ」

メリー

傘をさして風に乗り、空からやって来たメリー・ポピンズ。彼女は魔法を使って子供たちを驚かせ、喜ばせ、人生を楽しむことを教えていく。

つまり彼女は、子供たちに特にしつけなどはしていない。ただ何があっても機嫌よく過ごし、生活を楽しみ、その姿を子供たちに見せたり一緒に遊んだりしているだけである。そんな彼女の影響で、家の中は明るく開放的に。忙しくて子供に無関心だった両親も、気持ちに余裕が生まれて彼らに愛情を注ぐようになる。

歌とダンスに加え、公開当時は画期的だったアニメーションとの共演に注目。今に比べるとアナログ感のある映像が逆に新鮮で、子供の頃に憧れたファンタジーの世界に浸れるだろう。この作品の20年後を描いた続編『メリー・ポピンズ リターンズ』(18)を観る前にぜひ。

メリー・ポピンズ
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しあわせの隠れ場所』(2009)

「あなたはまだわからないだけ」

しあわせ

こんな夢のような出来事が実話なのである。しかしそれは、彼に何かしらの秀でた才能があったからこそのシンデレラ的サクセスストーリー。

ホームレスのような生活を送っている黒人の少年を見かけた女性が、彼の秘められた才能に気づいて後見人となり、将来優秀なアメフト選手になれるように支える。そんな風に恵まれない境遇にいる人に手を差し伸べ、彼らの人生に責任を持って深く関わるだなんて、お金があるだけではできないこと。そんな彼女の生き方が感動的だ。

サンドラ・ブロックが、肝の座ったお金持ちマダムを好演。それまでの気さくなイメージとはまた違う理知的な雰囲気で、家族をどっしりと支える。彼の成績アップのために雇われた家庭教師キャシー・ベイツは、頼りがいがあるのかないのかよくわからない怪しさ。言いにくそうに「実は私は民主党支持です」と告白するシーンが面白い。

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サウンド・オブ・ミュージック』(1964)

「泣きたい時は楽しいことを考えるの」

サウンド

言わずと知れた映画史に残る傑作ミュージカル映画。たとえ観たことがなくても、劇中で流れる「ドレミの歌」、「エーデルワイス」くらいは知っているだろうが、これが実話をモチーフにしていることはあまり知られていないかもしれない。

歌が大好きな修道女が家庭教師として赴いたのは、笛を吹いて子供たちを整列させるといった古風で厳格な教育方針の家庭。そこで彼女は、子供たちにカーテンで縫った服を着せ、自転車に乗り、ギターを持って高原に出かけて歌を教える。自由な空気と音楽の楽しさに触れた子供たち。一方、その様子を見守っていた父親も、自分が音楽好きだったことを思い出して、次第に変わっていく。

実は彼には婚約者がいたのだが、彼がその家庭教師と惹かれあっていることに気づいた彼女は、黙って身を引くといういい人ぶり。戦争や亡命という政治的要素が暗い影を落とすことにより、歌って踊る楽しいだけの物語ではないところが深い。

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いかがでしたか?

時に厳しく、時に優しく生徒を導いてくれる家庭教師たち。そんな彼らの言葉が心に残る映画は、落ち込んだ時や道を見失ったしまった時の支えになるかもしれない。

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