バンブルビー』では、監督に『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』で知られるアニメーターのトラヴィス・ナイトを起用し、これまでのロボット全面の的なアクション映画から、戦いの激しさはそのままに、ポップでエモーショナルな要素をふんだんに加え、青春映画へと様相を新たにした。
1987年、サンフランシスコ郊外の海沿いの町に住む少女チャーリーは、外見は黄色い車、中身その正体は記憶を失った地球外生命体 “バンブルビー”と出会う。ボロボロに傷ついたバンブルビーと、心に傷を抱えたチャーリーという似たもの同士のふたりは、いつしか友情に似た絆を築いていくが、バンブルビーを付け狙う追っ手と対峙することになり、予想もしない運命に巻き込まれていく。
主人公のチャーリーを演じたのは、モデル、シンガー、女優として幅広い活躍を見せるヘイリー・スタインフェルド。劇中で見せたチャーミングな魅力に加え、役を離れたところではエレガントな雰囲気も纏うヘイリーは、未だ22歳。このたび来日したヘイリーに、CG撮影での苦労や、転機となった作品のことなど、直撃した。
――CGのバンブルビーと共演するので、何もない空間を相手に演技していたんですよね?
ヘイリー そうなの!
――初めてCGつきの本編をご覧になったときは、いかがでしたか?
ヘイリー 初めて観たときは「すごい……!」の一言だった! もちろん事前に台本を読んでいるし、これまでの「トランスフォーマー」を観ていて、シリーズの特殊視覚効果のすごさはわかっているつもりだったから、壮大で見事に心を掴む特別なものになるんだろうな、とは思ってはいたの。でも、まさか……チャーリーとバンブルビーの関係が、あそこまで魔法のようなものとして描かれるなんて想像を超えていたわ。すごくクールに感じたの。
――本当に、まさかテニスボールを相手に演技をしているとは思えないほどでした。
ヘイリー ありがとう! けど……大変だった(笑)。撮影に入る前、いろいろ準備をしていったけれど、正気を保つことができるか不安だったわ(笑)。だって、ただのテニスボールが棒に刺さっているだけのものをバンブルビーだと思い込まなくてはいけなかったんだから。台詞をしゃべっているのは私だけ、常に自分自身にずっと話しかけているような状況だから、自分でタイミングを計りながらずっと演技をしていたの。「きっとバンブルビーのタイミングはこれくらいだから、私はいま台詞を言えばいいのね」という感じでね。もしかして「頭がおかしくなってしまうかも!?」とさえ思ったわ。
――大変だったんですね。正気を保つポイントはどこでしたか?
ヘイリー トラヴィス監督が、本当にいろいろ助けてくれたから……! 極力リアルに感じることができるように、チャーリーとバンブルビーの関係の十分なバックストーリーを与えてくださった。だから演じることができて……そうね、頭がおかしくならずに済んだわ(笑)。
――バンブルビーが気に入らないカセットを吹っ飛ばすシーンなんて、絶妙なタイミングで大好きでした。特にお気に入りのシーンはどこですか?
ヘイリー そのアクションは私も大好きなところ! 愉快なシーンで、正しい場所に飛ばすために何度もやったわ。自分の顔に飛んでこないかってビクビクしてた(笑)。お気に入りのシーンは、ほかにもいくつかあるんだけど、肉体的に大変で覚えているのはクレーンを登るシーン! 40メートルくらいの高さのところをひとりで登っていったの……。風がすごく強いし、とても寒いし、ひとりで登っているしで、すごく印象に残っているわ。あとは海岸でビーと一緒にいるシーンも好きだし、チャーリーの家族とのシーンも好きで……挙げればキリがないわね(笑)。
――普段の作品選びで基準にしていることはありますか?
ヘイリー どんな作品でも自分が決断を下すまでには、いろいろな要素がある。まずは役について、よく見るようにしているの。自分が共感できるものなのか、自分が挑戦できるものなのか、もしくは自分の人生の中でやったことのないものなのか。その次に、監督が誰であるか、実際に関わる人はどういう人たちがいるかを考えるわね。
――『バンブルビー』ではどこに一番惹かれましたか?
ヘイリー やっぱりトラヴィス監督と一緒に仕事ができること。私自身、彼の手掛けたアニメーションが本当に好きだったの。彼なら『バンブルビー』というキャラクターをどう描くのかしら、ととても楽しみにできた。それに、脚本家のクリスティーナ・ホドソンも本当に素晴らしい方だから、彼女が若い女性のキャラクターを描くことで、ウイットに富んだ勇敢な若い女性というキャラクターになったことがよかった。そうしたいろいろな要素が混ざって、『バンブルビー』にはぜひ出たいと思ったの。
――女優として転機になった作品、影響を受けた映画があれば、それも知りたいです。
ヘイリー 私が初めて観た映画で、かつ私が本気で女優を目指そうと思った作品が『ペーパー・ムーン』だった。今でも本当に大好きな映画のひとつよ…&he llip;!(主人公を演じる)テイタム・オニールの演技が、あまりにも懸命で力強く、俊敏で愉快だったから、食い入るように観ていたのを覚えているわ。障害をどんどん乗り越えていく姿が、本当に素晴らしかった。7~8歳くらいのときに観たんだけれど、記憶が正しければテイタムが演じていたのも同じくらいの年だったと思う。「(近い歳の)彼女がこんなに素敵な演技できをしているのなら、もしかしたら私にもできるかもしれない」と幼いながらに思って、それからお芝居を始めたの。(取材・文=赤山恭子、撮影=林孝典)
映画『バンブルビー』は、2019年3月21日(木・祝)より先行上映、3月22日(金)より全国ロードショー。
監督:トラヴィス・ナイト
配給:東和ピクチャーズ
公式サイト:http://bumblebeemovie.jp/
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※2021年5月14日時点のVOD配信情報です。