【ネタバレ】映画『法廷遊戯』あらすじ&結末を徹底解説!仕掛けられた無辜ゲームの目的とは?【永瀬廉主演の法廷ミステリー】

わざわざ聖地で結婚式を挙げた映画ドラマオタク

古澤椋子

法廷ミステリー小説『法廷遊戯』が待望の映画化。ただの同級生に見えていた3人には、実は隠された過去があった……本記事ではネタバレありで結末を解説。

第62回メフィスト賞を受賞した法廷ミステリー小説『法廷遊戯』が待望の映画化。法科大学院で共に学びあう、ただの同級生に見えていた3人には、実は隠された過去があった。物語が進むにつれ、露わになる過去と真実。二転三転する結末に目が離せない。

主人公・久我清義を映画やドラマで活躍を重ねるアイドルグループ「King & Prince」の永瀬廉が務め、主人公の幼馴染・織本美鈴を杉咲花、法科大学院の同級生・結城馨を北村匠海が演じる。

本記事では、ストーリー、キャストともに大注目の本作のあらすじと物語の結末を徹底解説する。

法廷遊戯』(2023)あらすじ

法律家を目指し、法科大学院に通う久我清義ことセイギ(永瀬廉)は、幼馴染の織本美鈴(杉咲花)、同級生の結城馨(北村匠海)とともに、法律家を目指して勉強漬けの日々を送る。学生のなかで被告人と被害者が決まることで行われる“無辜(むこ)ゲーム”という模擬裁判が、ある種の息抜きとなっていた。無事法科大学院を卒業して弁護士となった清義のもとに、馨から「久しぶりに無辜ゲームをしよう」と誘いの電話が来る。指定された場所に向かうと、そこには血のついたナイフを持った美鈴とすでに息を引き取った馨の姿が。3人の過去と抱えた秘密は、徐々に露わになり、真相は二転三転してゆく。

※以下、『法廷遊戯』のネタバレを含みます。

清義と美鈴の隠された過去

ある日、法科大学院内で清義の過去を暴くチラシが配られる。内容は清義が16歳の頃に児童養護施設の施設長をナイフで刺した事件を暴いたものだった。清義はそのチラシを撒いた実行犯を突き止めるも、清義の過去を突き止めたものが他にいることを知る。そのころ、美鈴も盗聴されたり、玄関にピックを刺されたりと何者かに脅されていた。

清義と美鈴は共に親から虐待を受けて同じ施設で育ち、支え合ってきた幼馴染だった。清義が施設長をナイフで刺したのは、同じ施設で育った幼馴染である美鈴を施設長による性的虐待から救うためだった。

大人に保護されるべきだった幼い頃から、大人に裏切られてきた2人。大人に利用されるなら、利用し返すしかないと考え始める。高校生の頃に痴漢を受けた美鈴が、痴漢をおこなった相手からお金を掴まされたことをきっかけに、2人は痴漢の冤罪を起こす罪に手を染めていく。

馨が仕掛けた無辜ゲームの真相

息を引き取った馨の目の前に返り血を浴び、ナイフを握った美鈴。美鈴が犯人、馨が被害者、清義が弁護士として無辜ゲームが開催されてしまったのだ。美鈴は「私の弁護人を引き受けて」という言葉を最後に完全黙秘を貫いてしまう。

清義は、美鈴の無実を証明するために事件を調べるなかで、馨の父親が現役の警察官であり、痴漢の罪で罰せられ精神を病み自殺していたことを知る。清義は気づいてしまうのだった。自分と美鈴が痴漢の罪を被せた男性が、馨の父親だったということに。

馨が仕掛けた無辜ゲームの真相は、自分の父親を陥れた清義と美鈴に復讐するためのものだった。馨は学生時代から清義と美鈴を調べあげていた。学生時代に清義の過去を暴いたチラシを撒いたのも、人を雇って美鈴の家を盗聴していたのも馨だったのだ。

馨が仕掛けた無辜ゲームの目的は、父親の痴漢冤罪事件の再審請求(裁判のやり直し)。馨は美鈴に殺人の罪を被せて、美鈴を法廷に引っ張り出すことによって、父親の痴漢冤罪事件を裁判に持ち込もうとしていたのだ。事件の様子を撮影して、美鈴が絶対に殺人の罪で起訴されるように仕向けていた。

全ては馨に仕組まれていたのだ。馨が美鈴に対して自分を殺すように仕向けていたことが分かり、美鈴の有罪はほぼなくなった。

美鈴は馨を殺しているのか

決定的な証拠である動画によって、美鈴を救うことができた清義であったが、1つの疑問が生まれる。

馨が最終目的にしていたのは、父親の冤罪を証明するための再審請求。再審請求は、被告人の配偶者や直系の親族しかできない。馨の父親は離婚しているため馨が死んでしまうと、再審請求できる人がいなくなってしまう。美鈴に殺人罪を着せるために自分を殺させると、本当の目的である再審請求をおこなう人がいなくなってしまうのだ。

清義は、馨が美鈴に被せようとしていた罪は殺人罪ではなく、殺人未遂罪であったことに気づく。馨は自ら命を絶とうとする自分を止めるように美鈴に依頼し、急所を避けてもらう予定だったが、馨の胸にナイフを突き立てられてしまった。美鈴の手によって。

実は、馨の父親が美鈴が痴漢冤罪を巡って言い争いになった際、馨の父親のカバンを引っ張り階段から落としたのは清義だった。父親に荷物を渡すために痴漢冤罪事件が起きた駅まで来ていた馨は、清義が自分の父親を突き落としたことを知っていたのだ。馨は美鈴だけではなく、清義にも罪を償わせようとしていた。痴漢の冤罪が証明されれば、清義も罪に問われると考えた美鈴は、馨を殺して清義を救うことを選んだのだった。

馨は、清義に向けて自分の幼い頃に日記が入ったUSBメモリーを残していた。馨の家族を自分たちが壊したという罪の意識が、清義のなかに芽生えるように。清義は自らも罪を償うために自首を選ぶ。殺人を犯してまで清義を守ろうとした美鈴に別れを告げて。

悲しい過去が引き起こした殺人事件

2人が過去に犯した罪によって、馨は大切な父親を失っていた。これが2人の秘密であり、事件の真相だった。

だが、本当に2人だけが悪いのだろうか。2人を虐待した親たち、施設で美鈴に性的暴行を加えた施設長、美鈴に対して痴漢を行ったサラリーマン。そうして徐々に2人の中から大人に対する信頼がなくなったことが、この事件に繋がっているのではないだろうか。

この映画の最後は法科大学院で肩を組み、仲良さげな清義と馨、それを眺める美鈴のシーンで終わる。清義と美鈴を裏切ってきた大人がいなければ、痴漢冤罪事件がなければ、3人は共に学びあう、ただの気の合う友達として学生時代を過ごせたのだろう。

(C)五十嵐律人/講談社 (C)2023「法廷遊戯」製作委員会
※2023年11月12日時点の情報です。
※最新の配信状況は、各動画配信事業者の公式サイトにてご確認ください。

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