2021年に公開された映画『東京リベンジャーズ』は、「大人気漫画の実写映画化」というジャンル映画の枠を飛び越え、大きなムーブメントを巻き起こした。2021年の実写映画興行収入ならびに観客動員数のNo.1を誇り、その数は335万人、12週連続TOP10入りを果たす快挙となったのだ。
コロナ禍での「劇場に人が入らない」現象さえ覆した激賞作。そのストーリーでは、男たちの熱い魂がぶつかり合い、戦いという名の青春の日々が描かれる。主人公・タケミチの七転び八起きの不屈の精神、タケミチに引けを取らぬ魅力的な登場人物たち=演者勢の躍動もまた、観客の心に火をつけた。
そして、続編となる『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-/-決戦-』(以下、「東リベ2」表記)が、前後編でいよいよ公開を迎える。タケミチを続投する北村匠海は、前作の撮影時とはまた違ったプレッシャーや想いを抱いて現場に入ったとインタビューで語った。それでも、まるで作品とシンクロするように、信頼の置ける同世代の俳優たちと力を出し尽くし臨んだ本作は、間違いなく胸を張れるものだと笑顔を見せる。映画ファン・原作ファンの期待も裏切らないであろう、汗と涙のにおいがほとばしる2部作について、北村の奮い立つ覚悟をロングインタビューで聞いた。
前作『東京リベンジャーズ』は非常に評判の高い作品で、待望の続編となりました。「東リベ2」撮影にあたり、北村さんとしては新たなプレッシャーみたいなものも感じていたのでしょうか?
北村:シリーズものの主演をやらせていただくこと自体が初めてでしたし、正直、怖かったです。役者人生を考えても、おそらくシリーズの主演ができる機会はそんなにないだろうと……本当に、1本か2本くらいだと思っていたので。
例えば、小栗旬さんなら『銀魂』や『クローズZERO』、山田孝之さんだったら『闇金ウシジマくん』、佐藤健さんだったら『るろうに剣心』とタイトルが思い浮かびますけど、自分は果たしてどんな感じだろうな、と思っていて。「東リベ2」をやるとなったときは、やっぱり最初は怖かったです。
その怖い思いは、どう乗り越えていったんでしょうか。共演者の皆さんも同じような気持ちを抱えていたんですか?
北村:(山田)裕貴くんと僕は結構近しい感覚で初日入ったんですけど、お亮(吉沢亮)だけは、なんか違ったというか……なんか飄々としていました(笑)。やっぱりばけもんだと思いましたし、さすが総長だなという感じでした。マイキーはとにかくブレない役ですけど、彼自身もそういう人なんですよね。
……というのもあって、後編の戦いのとあるシーンでタケミチが「マイキーを止めにいく」ところがあるんですけど、お亮のマイキーだから自分はああいう芝居ができたのかな、と思っています。ただ、そういう話を挙げたらキリがないくらい、「このキャスティング、この人はもうこの人しかいなかったな」というのを何度も再確認できる現場でした。
手ごたえが伺えるお話です。一方、山田さんとは同じような感覚で初日に入られたそうですが、インの前にお話したりもしたんですか?
北村:イン前は話していないですけど、入ってからふたりでしゃべってシーンをつくることもありました。……あとは、「重いね」と話していたかな(笑)。作品の内容自体もそうだし、のしかかる重圧も含めて「重いね」と言い合っていましたね。
裕貴くんと僕は、たぶん現場の立ち回りが結構似ているんですよ。どちらかというと広い視野でとにかくバランスを取るタイプなんです。そういう面でも、近い感覚で現場にいたかなと思います。ある種のちゃんとした、いい意味で不安感も武器に変えてやれるタイプかなと分析しています。
廃車場のシーンは、原作の再現度の高さと、役者さんの熱量にすごく魅せられました。最初にセットを見たときは、どんな気持ちでしたか?
北村:本当に再現度が高かったですよね。最初にあの廃車場を見たときは、僕自身のテンションも上がりました!
特に、こういうデフォルメされたキャラクターがたくさん出てくる原作の作品においては、再現度の高さが本当に欠かせない要素なんだなと改めて思いました。あのセットを見たときに肌で感じましたし、すごく忠実だったので作品への愛情を感じたところでもありましたし、「これは原作が好きな人も納得してくれるだろうな~!」とも思いました。
屋外じゃないことはありますけど、撮影のときの気温は40度くらいだったんですよ……! すごく暑くて、これが屋外だったら……たぶん全員へばっていたと思います(笑)。
「東リベ2」からは物語に絡んでくる新キャスト、場地圭介役の永山絢斗さん、羽宮一虎役の村上虹郎さん、松野千冬役の高杉真宙さんが参加されました。本稿では、特に光と闇を見せてくれた一虎役・村上さんとの共演について伺いたいです。北村さんとは『仰げば尊し』以来でしたよね?
北村:『仰げば尊し』以来か……そうですね! 当時は一番共演率が高かったんです。(清水)尋也と虹郎と僕で少年A・B・Cをやっていた(連続ドラマWの)『天使のナイフ』があって、その次に『ディストラクション・ベイビーズ』があって、その後ドラマの『仰げば尊し』があって。
共演が立て続いた後、数年越しにまた共演とは、すごく縁のある役者さんですよね。
北村:そうですね。『仰げば尊し』の前くらいかな……虹郎は自分の中で、初めてすごく意識が向いた同世代の役者でした。だから、僕にとって特別な存在なんです。
虹郎さんが、圧巻の演技を見せてくださいました。
北村:僕もそう思いました。もともと原作の「血のハロウィン」編も一虎を中心にした東卍の話ですけど、特に前編を観たときに「これは虹郎の映画だな」というか「一虎の映画だな」と本当に思いました。観終わった後、「まさしく虹郎の映画だな」と彼に(メッセージを)送りましたし。虹郎は本当にすごい役者だなと思います。そこまで全員をオセロみたいにひっくりかえせる男なんだ、というか。
虹郎自身は普段、本当にとっても優しい人なんですよ。いろいろ複雑なことも考えているし、芝居に対しても飄々と気楽にやっているようでいて、誰よりも一番情熱がある、そんな人だと思っています。
またの共演も楽しみにしています。新キャスト勢の彩りも加わってパワーアップした「東リベ2」の前後編をご覧になって、北村さんはどんな感想を持ちましたか?
北村:一言で言えば、すごく面白かったです! それに、みんなよかったなあというのが感想です。今回映画化した「血のハロウィン」編は原作でも完成されているところなので、あとは正直、僕たちがどう輝くかにかかっていた作品だったと思います。2部作を通して本当に全員がよかったので、それが今回はこの作品の力になっているのかなという感じはしています。
前作を観たときとは、また違った気持ちだったんでしょうか?
北村:「東リベ2」では全員の感情が複雑に絡み合っているじゃないですか。今回はキャストそれぞれにきちんとフォーカスが当たっているシーンが多かったので、そこがすごく魅力だと思います。この映画を観て、「この俳優の芝居、めっちゃいい!」と、お互いに思い合えるようなものになったのかなと感じています。
お話を伺っていて、続編ならではの一体感がある現場だったのかなとしみじみと感じました。
北村:一体感はもちろんありました。と同時に、前作との違いも結構あった現場でした。前作のときは(緊急事態宣言等で)3回撮影が止まっていたんです。そのたびに、みんなで「何とかやるぞ!」という団結の仕方でしたし、そういう青春があったと言えます。
今回は世の中の環境も違ったので、一度も撮影を止めることがなく撮ることができたんです。引き換えに、だからこその難しさ、ひずみのうまれも現場にはあったと思いますけど、それもまた超えて団結するというストーリーがありました。みんなが時間のない中で、前作のときよりキャストもスタッフも、かなりコミュニケーションを取ってやっていたイメージです。
皆さんが意見を出し合って運んでいった現場だったんですね。
北村:はい、そうです。それがちゃんと尊重される、時間を割けるようなチームでした。もちろん英勉監督中心ですけど、誰かの一存で決まっていくことはなく、みんなが思いを言える現場だったので、そこは面白かったのかなと思います。そういうチーム感というのは、今回すごくありました。
「東京リベンジャーズ」シリーズの魅力はいろいろありますが、やはり北村さんの演じたタケミチが作品の礎になっていると思います。タケミチは諦めずに何度でも立ち上がる男ですが、2部作を撮っていて、北村さんご自身でも熱くなったりグッときた瞬間はあったんでしょうか?
北村:前作より「東リベ2」のほうが泣けているんですよね。泣かないシーンでも泣いていたりしたので、それはやっていて自分でも不思議でした。「東リベ2」に関して、タケミチのテーマとしては「涙」だったのかな、と思っています。
様々なシーンで泣いているタケミチの姿が確かに観られました。でも流す涙の印象は、シーンごとに違いましたね。
北村:そうなんです。僕は結構その場の感情で泣くんです。泣けないときは泣けないんですけど。……僕、何かと涙がついてくる役者人生なんですよね。『キミスイ(君の膵臓をたべたい)』から始まり、死に触れたりという役が多くって(笑)。今回は、中でもすっごく涙もろかったですね。
ト書きではなかったけれども、ここで思わず涙したというシーンもありますか?
北村:どこも泣きすぎていて……あれなんですけれど。後編は特に感情的になっていました。廃車場でマイキーがある人物を殴っているところで、「俺は何もできねぇ」というときも、すごく泣けましたね。元々原作のタケミチは迫真の表情をしているところなので、もともと脚本上でも、あのシーンで泣くというのはなかったんです。でも、自分としてはあそこが一番泣けたかもしれないです。
いろいろなエピソードをお話いただきありがとうございました。最後に、今回のインタビューはFilmarksのWEBマガジン「FILMAGA」にて掲載されます。北村さんが最近クリップした作品や観たい作品など、最後にぜひ教えてください。
北村:僕もFilmarks、使ってますよ! だけど、最近観る時間がなくて、観られていないんです……。観たいのはいっぱいありますし、ホラー映画が好きだからホラー映画がいろいろ観たいなあ。逆に何かオススメはありますか?(編集部:『エスター ファースト・キル』などどうですか?)『エスター』、観てます! 続編があるんですね。夏にも差しかかってきたし、いいですね。
(取材、文:赤山恭子、写真:You Ishii)
映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』は、2023年4月21日(金)、『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』は、2023年6月30日(金)より公開。
出演:北村匠海、山田裕貴、吉沢亮ほか。
監督:英勉
脚本:髙橋泉
原作:和久井健
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/tokyo-revengersjp/
(c)和久井健/講談社 (c)2023 映画「東京リベンジャーズ 2 血のハロウィン編」製作委員会
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応募締切 2023年5月9日(火)23:59までのご応募分有効
【応募資格】
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※2023年4月20日時点の情報です。