インド人青年がクローゼットに閉じ込められて世界旅行!?
一風変わった珍道中を描いた『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』。フランス、インド、ベルギー合作のワールドワイドな作品が6月7日(金)より公開となる。
ムンバイで暮らす青年アジャは、母の死をきっかけに、まだ見ぬ父の手がかりを求めパリへ向かうことに。パリに着いたアジャが向かったのは、幼いころから憧れていたインテリアショップ。その日の宿がないアジャは、店にあるクローゼットの中で眠りにつくが……なんと、そのクローゼットがロンドンに向けて出荷されてしまう!
さらに意図せぬハプニングに巻き込まれ、スペイン、ローマ、リビアへと旅を続けるが、思いがけなく始まったこの旅が、アジャ自身の生き方を大きく変えていることに気づいていく。
主人公アジャを演じたのは、インドで40本以上の作品に出演するダヌーシュ。かの、ラジニカーントの娘婿としても知られ、監督、歌手、プロデューサーとしても活躍しているインド映画界のスターだ。本作の上映が行われた2018年カンヌ国際映画祭でのインタビューを独占でお届けします!
ーー初めて脚本を読んだときの感想は?
ダヌーシュ 多くの人に知ってもらいたい物語だと思った。生命感にあふれたポジティブな物語で、多くの文化に触れることができると同時に、沢山の要素が凝縮された物語だと思った。参加するキャストやスタッフも素晴らしいと思ったし、また控えめだけれどコメディの要素もあって良いと思った。是非とも出演したいと感じたんだ。国籍の違った人たちと共演することで学べることも大きいと思ったんだ。
ーーいろんな国で撮影してみた感想は?
ダヌーシュ 本当に興味深い体験だったよ。いろんな国へいって、いろんなことを学んだ。異なる文化、異なる食文化に触れ、キャストもそれぞれの国のスタイルがあって、全員から多くのことを学んだよ。本当に面白い体験だった。
ーーこれまでロンドン、パリ、ローマに行ったことはありますか?
ダヌーシュ ロンドンとパリには行ったことがあるが、ローマは初めてだった。ロンドンの部分は実はブリュッセルで撮影したんだ。
ーーどこが一番楽しかったですか?
ダヌーシュ とても決めがたい。どこも違った美しさや特徴、魅力があった。ブリュッセルやローマやなど、歴史にあふれていて魅力的だった。どこへ行っても歴史が感じられるのは美しかった。
ーーあなたの演じるアジャとはどんな人物ですか? あなた自身の言葉で表現するとしたら?
ダヌーシュ アジャは、貧しい地区の出身だけど、持っている夢は大きい。ただ人生の優先順位というのが、最初はかなり間違っているんだよ(笑)。その彼が旅をすることになる。それによって人生について学ぶんだ。何が一番大切かを知り、人生の優先順位を正しく理解する。彼が人生から学んだことは、誰からも教えてもらえない貴重なものなんだ。アジャは子供のような青年だが、幸運にも短期間でそれは多くのことを学ぶんだ。驚きの冒険を通して。加えて美しい女性とも出会う。
ーーアジャとあなた自身に何か共通点はありますか? またはアジャのような友人がいますか?
ダヌーシュ 実は僕とアジャはすごく似ているんだ。アジャにすごく共感できる。出身地がとてもよく似ていて、共通点が多いんだ。
ーーでもあなたは若い頃から40本も映画に出演しているという境遇はかなり異なるのでは?
ダヌーシュ 僕は俳優として16歳の頃にデビューした。父は農民の出身で一生懸命努力して監督になったんだ。それで僕は16歳でデビューしたわけなんだ。それまでの家族の生活は苦しくて、サバイバルだった。その後父が成功したので生活が安定したんだ。
ーーこの役のためにどんな準備をしましたか?
ダヌーシュ この役はあまり準備を必要としなかったんだ。自分自身にすごく近かったから。アジャは自分だと思った! だからケン・スコット監督の指示に従い自分自身に正直に演じたんだ。
ーーあなたはマジックができますか?
ダヌーシュ ノー。いくつかのテクニックを教わったんだ。マジックの仕掛けを知って、なんとシンプルな事かと驚いたよ。
ーークローゼットで世界を旅するという、言ってみればおとぎばなしでもあるのですが、何か参考にした物語はありますか?
ダヌーシュ 特にないな。この物語自体がとても面白い展開だ。原作が本当に素晴らしいんだよ。だからそれに忠実に演じたいと思った。原作に忠実に演じられたと願っているよ。
ーー映画ではアジャが若者に語るという形式をとっていますね。人生の教訓を説くような感じで、教育のような役割もこの映画は果たしていると思いますか?
ダヌーシュ たしかに。特にアジャが人生のおいて本当に大切なものを発見するというあたりが重要だと思う。お金がすべてではない、という点が。幸せとは、いろんな所に潜んでいると。彼には正しい方向に導いてくれる師がいなかった。そんな彼が若者の師のような存在になったというのもこの映画の素敵な点だと思う。
ーーユーモラスな物語ではありますが、同時に世界の抱える問題を取り上げています。様々な国における貧富の差や、難民問題や……。原作者は入国管理局で不法移民の仕事についていたようですが、それについての話はしましたか?
ダヌーシュ それはなかった。この映画は社会的なコメントも、直截的というよりは何気なく日常の中に織り込んであって、それが逆に多くの人の関心を得ることになると思う。
ーー可笑しいシーンが満載ですが、即興だったんですか?
ダヌーシュ 何カ所かは。共演者と一緒に即興したシーンもあるし、脚本そのままで演じたシーンもある。
ーー1番大変だったシーンは?
ダヌーシュ 走るシーン。本当にたくさん走るシーンがあって、すごく疲れたよ(笑)。脚の筋肉がパンパンにはれあがったんだ。
ーー1番楽しかったシーンは?
ダヌーシュ 全部。いろんな国にいっていろんな人に会った事だよ。いろんな事に挑戦して。とにかく楽しかった。
ーーこれまで40本以上の映画に出演したそうですね。あなたの出演作の中からおすすめの3本を教えて下さい。
ダヌーシュ 『Aadakulam』(11)、『Pudhu Pettai』(06)、『Maryan』(13)の3本だよ。ぜひ観てほしい。(取材・文=高野裕子)
映画『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』は2019年6月7日(金)より公開。
出演:ダヌーシュ、ベレニス・ベジョ、エリン・モリアーティ ほか
監督:ケン・スコット
脚本:リュック・ボッシ、ロマン・プエルトラス
公式サイト:http://clotabi-movie.jp/
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