【ネタバレ】『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』原作漫画との違いは?“因縁の戦い”の理由は?劇場版第2部はどうなる?徹底解説!

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ネジムラ89

『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』を徹底解説!原作漫画との違いや、“因縁の戦い”の理由は?劇場版第2部についてご紹介

2020年にTVアニメシリーズの第4期が終わり、久しぶりの新作アニメーションとなった『ハイキュー!!』。烏野高校と音駒高校の因縁の戦いを描く劇場版ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦では、原作ファンもあっと驚くような仕掛けが用意された映画になっていました。

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(2024)あらすじ

春高バレーのテレビ中継で見た“小さな巨人”に憧れ、烏野高校男子バレー部に入部した日向翔陽は、東京の音駒高校男子バレー部の正セッターである孤爪研磨とひょんなことから出会う。幾度も試合を重ねて互いに成長していく両校は、無事春高バレーへの切符を手にする。迎えた春高バレー2回戦、烏野高校は優勝候補の稲荷崎高校を下し、3回戦でいよいよ因縁のライバル校、音駒高校との対戦を迎える。

これまで何度も戦ってきた烏野高校と音駒高校だったが、公式の舞台での戦いはこれが初めて。この因縁の戦い、通称“ゴミ捨て場の決戦”で、ついに翔陽と研磨は“もう一回”がない戦いを交える。

久しぶりの新作アニメーション“ゴミ捨場の決戦”とは

『劇場版ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦』は「ハイキュー!!」シリーズ中でも、久しぶりかつ待望の新作アニメーションとなりました。

『ハイキュー!!』は2012年2月に原作漫画が連載を開始し、2014年にTVアニメ化を果たして以降、シリーズ4期までが製作されました。しかし、このシリーズ4期の第2クール放送直前となる2020年7月に原作漫画が完結し、連載を終了。シリーズ4期も春高の3回戦目への出場が決まり、ついに因縁の音駒との戦いを迎える…というところでシーズンを終了しています。アニメシリーズを追っていた人にとっては、3年以上の間をあけて迎える待望の続編となるアニメ化とです。

前作から大幅に間が空いてしまいましたが、製作布陣はこれまでのシリーズを踏襲しております。アニメーションの製作はTVアニメシリーズ同様にProduction I.Gが担当、監督・脚本にはTVアニメシリーズの第1期〜第3期で監督を務め、直近では『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(2022)でも監督を務めていた満仲勧が再び『ハイキュー!!』に戻ってきました。

烏野高校と音駒高校の因縁とは?

第3回戦目の烏野高校と音駒高校の戦いは、“カラス”と“ネコ”のフレーズが付いた校名同士の戦いから“ゴミ捨て場の決戦”と呼ばれています。

その因縁の始まりは、現在の音駒高校バレー部監督である猫又育史が中学2年生の頃に遡ります。その時期に、後に烏野高校バレー部の監督をとなる烏養一繋と出会い良きライバルとなった2人ですが、猫又が東京へ引っ越したことをきっかけに、公式試合での2者の戦いは実現せずに終わります。高校に進学して迎えた全国大会では二人とも出場こそしていたものの、そこでも戦いを交えることなく第一回戦で互いの高校は敗退してしまいます。

その後、選手として全国大会に出場することはなかったものの、大人になった2人は互いに母校でバレー部のコーチをしていることを知り、烏野と音駒は度々練習を組むようになり、今度は監督という立場で両者は全国の舞台での戦いを約束しあっていました。

しかし、2人が監督になって以降も両校が公式大会でぶつかることはなく、両チームの監督は引退して結局この戦いは実現せずに終わってしまいます。そんな歴史は長くとも実現がしなかった因縁が、“ゴミ捨て場の決戦”だったわけです。

しかし、実現しなかった両校の戦いが翔陽と研磨の世代でついに実現しました。一繋こそその場にはいませんが、一繋の孫である繋心が烏野のコーチとなり、世代を超えて実現するのです。

発端こそ育史と一繋の因縁ではありますが、繋心と音駒のコーチの直井もバレー部の現役選手時代に“万年ベンチ暖め組”でありながらも全国大会で戦いを交える約束をしていたり、今回の作中でも描かれる翔陽と研磨の縁も重なっていたりと、多くの人間の思いが重なる一戦となっています。

両校バレー部の戦闘スタイルの違い

『ハイキュー!!』の主人公である翔陽の烏野高校と、ライバルである研磨の居る音駒高校は対象的な戦術を持った高校の戦いになっています。

「落ちた強豪“飛べない鳥”」と全盛期からの落差から他校からの評価は落ちている一方で、翔陽や影山飛雄の入学を機に変化が起きているのが烏野高校。多くの高校からいろんな特技を学び得て、負けず嫌いのメンバーが多い攻撃的なチームです。

特に翔陽と飛雄の連携による速攻技である「変人速攻」や、一度に複数人がアタックに出ることでブロックするべき対象を惑わせる「シンクロ攻撃」などを駆使して戦います。

一方の音駒高校は「守りの音駒」とも称される受動型の戦闘スタイルが特徴のチームです。連携により粘り強く敵のチームのボールを受け続けます。粘り続けた序盤のうちにセッターである研磨が対策を練り反撃に臨んでいきます。

音駒にとって研磨は、黒尾鉄朗曰く“ 背骨”であり“脳”であり“心臓”。試合前の「俺たちは血液だ。滞りなく流れろ。酸素を回せ。“脳”が正常に働くために。」の掛け声は、個々のポテンシャルを高めるだけでなく、チームの要である研磨を活かすべく連携していく戦術を暗示しています。

凝縮やアレンジで施された音駒戦の映像化

そんな烏野高校と音駒高校の戦いが『劇場版ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦』では85分という実際のバレーボールの一試合相当の時間で描かれます。

限られた時間の中での映像化のため、原作漫画ではドラマチックに描かれていたものの演出が極力抑えられていたり、割愛されたセリフもいくつか存在します。例えば影山のサーブに対して音駒の海信行がレシーブで迎えうつ2者の対決やツッキーこと月島蛍が山口忠がハイタッチをする場面など、群像劇として多くの選手のドラマが山場として描かれていますが、映画サイズにドラマを絞るためにもいくつか映像化されていない細部がありました。

一方で原作漫画にはなかったものの今回の映像化で追加された演出もあります。

音駒が犬岡を投入し前衛の強化を図ったシーンでは、研磨が2枚の盾を装備した様子が描かれています。実はこの演出は原作漫画には登場していません。原作漫画単行本の36巻にて、原作者の古舘春一が週刊少年ジャンプでの掲載時にのみ加わっているアオリ文の「2枚の盾、装備ー!!」という一文を見て、思いつかなかったことを悔しがっていた演出。それを受けて単行本にのみ描き添えられたイラストを今回の映像化に合わせて本編に盛り込んでいます。

こういったアレンジが加わったのもこのタイミングで映画として公開されたからこそ。どんな違いがあるのか鑑賞後に見比べてみても面白いでしょう。

いつもとは主人公が違う?

今回の映像化で追加された演出で最たる見せ場はなんといってもクライマックスに登場する研磨視点で展開される試合終了間際の映像でしょう。観客をまさに研磨に憑依させるような演出で、試合の緊張感や興奮をこれ以上ない臨場感で見せてくれました。

この演出でも分かる通り、今回の『劇場版ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦』では、原作漫画やこれまでのTVアニメ『ハイキュー!!』シリーズとは明らかに異なる見せ方をしている部分があります。それが、シリーズの主人公である翔陽や影山よりも、ライバルチームという立ち位置の“研磨の物語”として描かれている側面が強い点です。

映画の冒頭で『ハイキュー!!』の物語序盤で描かれた翔陽と研磨の出会いのシーンから始まるように、研磨は当初は別にバレーが好きではないと翔陽に語っています。それを経て翔陽は、次こそ試合で必死にさせた上で勝利し、「別に」以外のことを言わせようとしていました。

そんな背景を踏まえて、知略を巡らせた研磨は敗北の末に試合を面白かったと謳い、自身にバレーボールを教えてくれた黒尾に「ありがとう」と告げます特別好きでもなかったバレーボールに対する気持ちがこの因縁の戦いを経て変わる……。その変化こそが、この映画の一番のドラマとなっており、翔陽以上に研磨をこの映画の主人公に足らしめています。

戦いは続く……!ポストクレジットに登場したのは?

『劇場版ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦』ではポストクレジットシーンにて、翔向の前に星海光来が現れました。

彼は鷗台高校バレーボール部の2年生である選手で、翔陽と同じく比較的低身長な選手です。低身長であることにコンプレックスを持っていながらも、その上で努力を重ねて現在は新たな“小さな巨人”として活躍している選手です。“小さな巨人”に憧れる翔向にとって、研磨とはまた別の因縁の選手にあたります。

今回の劇場版シリーズはもともと劇場版2部作として製作されることが発表されていました。今回の『劇場版ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦』が第一部ということで、第2部である次回作ではそんな光来が所属する鷗台高校との戦いが描かれる春高の準々決勝が描かれることが期待されます。

当初は『ハイキュー!!FINAL』と題して発表されていたこの劇場版企画。この次にどんなフィナーレが待ち受けているのかにも注目です。

(C)2024「ハイキュー‼」製作委員会 ©古舘春一/集英社
※2024年2月26日時点の情報です。
※最新の配信状況は、各動画配信事業者の公式サイトにてご確認ください。

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