『ジェミニマン』巨匠アン・リー監督、劇団EXILE・佐藤寛太にショービジネスの極意を伝授【究極の対談】

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

ジェミニマン』が、10月25日(金)より公開される。引退を決意した伝説のスナイパー・ヘンリー(ウィル)v.s. ヘンリーのDNAを持つクローンスナイパーの攻防が描かれる本作は、最新のVFXによるギミックな映像が光る破格の1本だ。監督を務めたのは、『グリーン・デスティニー』や『ブロークバック・マウンテン』などでオスカーをはじめとする数々の受賞歴を誇る巨匠アン・リー

FILMAGAではこのたび、プロモーションのため来日したリー監督にインタビューを実施。インタビュアーを務めたのは、リー監督作品をビッグタイトルから日本劇場未公開作に至るまで、つぶさに鑑賞しているという俳優・佐藤寛太

映画紹介の連載を持つほど映画好きな佐藤による、リー監督への感度の高い質問、尽きない敬意、コミュニケーションの豊かさから、リー監督も思わず饒舌になり、時間ギリギリまで熱心に語っていたほど。丁寧に答えながらも、優しいまなざしで佐藤を見つめていたリー監督と、すべてを吸収しようといった気概で目を輝かせて聞き入っていた佐藤の対談は、濃密な時間となった。

ジェミニマン

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アン・リー

(映画監督・プロデューサー・脚本家)

■プロフィール

1954年、台湾・屏東県生まれ。1991年の映画『推手』で商業映画監督デビュー。『ウェディング・バンケット』(93)、『恋人たちの食卓』(94)でアカデミー賞外国語映画賞に2年連続ノミネート。2000年の「グリーン・デスティニー」でアカデミー賞外国語映画賞ほか4部門を受賞し、ハリウッド期待のフィルムメーカーとして注目を浴びた。自身初となるハリウッド大作『ハルク』(03)が大ヒットし、アジア系映画監督としてハリウッドで大成功を収めた。2012年の「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」で、2度目のアカデミー賞監督賞を獲得。

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佐藤寛太

(劇団EXILE)

■プロフィール

1996年6月16日生まれの23歳。福岡県福岡市出身。EXPG福岡校より、オーデイションを経て、2015年劇団EXILEに加入。その後は映画やドラマを中心に俳優活動を開始し、2016年には映画「イタズラなKiss THE MOVIE」シリーズでは主演を演じる。映画『HiGH&LOW THE MOVIE』では、シリーズ全作に出演し、今や作品に欠かせない存在となっている。その他、テレビドラマ『僕の初恋をキミに捧ぐ』『駐在刑事』、映画『今日も嫌がらせ弁当』など、多数のドラマや映画に出演し、役者として幅広く活動。
11月15日公開の映画『いのちスケッチ』では主演を務めるなど、今注目の若手俳優。来年1月には、 初の劇団EXILE全メンバー出演舞台『勇者のために鐘は鳴る』が上演。

「30年間もハリウッドのトップにい続けている」ウィル・スミスを起用して

佐藤 はじめまして、日本で俳優をやっている佐藤寛太です。お目にかかれて光栄です。

リー監督 こちらこそ。はじめまして、よろしくお願いします。

佐藤 早速ですが、質問させていただきます! 「ウィル・スミスをキャスティングできたことが非常に幸運だった」とおっしゃっていますが、撮影中、そして撮り終わったいま、ほかのスターではなくウィルで良かったと思う点はどこでしたか?

リー監督 彼は、ほかでもない「ウィル・スミス」だ。世界でもトップの映画スターだからね。『ジェミニマン』はドラマ要素も兼ねたクローン・アクション大作映画だから、単なる優秀な俳優というだけでなく、アクション映画に求められるような“映画スター”がよかったんだ。該当する俳優は一握りしかいなかったし、その中でウィルはトップチョイスだったと思っているよ。撮影していて驚かされたのは、彼がとても真面目に、献身的に取り組んでいたこと。ウィルは30年間もハリウッドのトップにい続けていて、これほど有名で、すべてを手に入れているのに、そうして現場に居ることはとても素晴らしいことだと思う。

佐藤 クローンとして作られた23歳のジュニアを観ていると、『バッドボーイズ』や『メン・イン・ブラック』の頃のウィルにまた会えたような感覚で、すごく驚きました。

リー監督 そうだね。その過去は私たちも知っているものなので、観ていて面白いものだよね。彼は若くてホットな過去の自分を演じられるんだけど、その中でとても贅沢な問題が浮上した。それは、ウィルが過去よりも優れた俳優になっていることだった。ボディランゲージや些細な動きで、過去よりも卓越した演技ができることを示してくれるし、より円熟したパフォーマンスを披露してくれる。その一方で、純朴さや直感的な部分は減ったから、それは興味深かったな。若い役者が年上を演じる場合は、周囲から「年上とは何か」を教わったり、想像することもできるので比較的、演じやすい。今回のように“若手”を演じるケースでは、これまでの知識や経験をゼロにする必要があるから、難しいことだと思った。

ジェミニマン

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「苦悩やプレッシャーもたくさんある。それでも映画づくりは最も楽しい」

佐藤 リー監督の作品を拝見していると、伝えようとしているメッセージやテーマは昔から変わってい
ませんが、同じテイストの映画は作らず、常に新しいことに挑戦しているように感じて、すごく惹かれます。素晴らしいキャリアをお持ちでいながら、どうして常に挑戦できるのでしょうか?

リー監督 それは第一に、私が映画監督だから、かな。私は退屈な人間ではないからこそ、ショービジネスの道に進んだんだ。新しいジャンルの映画を作り上げる過程を学ぶことは、とても楽しい冒険のようなんだよ。ひとつのマテリアル、ひとつのキャラクターから新しいジャンルへ、俳優が役を演じるように、人生を疑似体験できる。同じことを繰り返すことよりも、新しい人生を冒険して実験していくんだ。私は成功しているように映るかもしれないけれど、成功と大変さは共存していて、成功以上に大変なことを経験している。苦悩やプレッシャーもたくさんある。それでも映画づくりは最も楽しいことだし、それだけの価値があることなんだ。もしも私が疲れてしまったり、年を取ってできなくなったり、出資者や「リーの作品を観たい」と言う人がいなくなったら自然に辞めるけれど、それまでは楽しい冒険をし続けたいかな。

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佐藤 『ジェミニマン』では『アルマゲドン』や「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどで知られるジェリー・ブラッカイマーが製作に携わっています。ブラッカイマーさんとのコラボレーションは、リー監督にどんな刺激や効果をもたらしましたか?

リー監督 『ジェミニマン』はウィル・スミスのクローン・アクション映画だから、どう考えても大作映画だよね。様々なジャンルに挑戦することが好きとはいえ、ブロックバスターは、私にとって居心地の良いゾーンからは離れているんだ。私の映画はひっそりと公開して、観客が見つけてくれるものだと思っているから、このような大作映画を作るのに彼の経験は非常に役に立った。何よりも彼は、私が何を意図しているかを理解して、サポートしてくれたよ。彼はプロデューサーとして、私と観客を繋げるサポートをしてくれた。……私はシャイな人間でね(笑)。上映中ポップコーンを食べて陽気に観るお客さんがいるような試写会には行ったことがなくて、最初はとても怖かった(笑)。そんなとき、彼は隣りに座って「怖がることはないよ」と言ってくれたから、とても心強かったよ。

ジェミニマン

リー監督、佐藤に「グローバルに活躍する俳優」になるべくアドバイス

佐藤 僕も将来、海外で俳優として挑戦したい夢を持っています。リー監督はアジア人としてキャリアを築き上げた方ですが、監督からアドバイスがあれば、ぜひ聞かせていただけませんか?

ジェミニマン

リー監督 役者でいることは受動的なことだと思う。誰と会うか、誰と映画を作るか、どんな役を演じるか、周囲より少し運が良いかなど、運命のめぐり合わせだってあると思う。そういう点では、あなたはとてもフォトジェニックな顔立ちをしている。ただハンサムなだけではない。そうした観る者の頭の中でストーリーが動き出すようなルックスを持っていることは、すごく幸運なことだよ。

私が言えることがあるなら、一生懸命に取り組んで、役を慎重に選ぶこと。見方によっては、俳優は監督よりも幸運とも言えるんだよ。なぜなら、監督はひとつの作品を作るのに3年はかかるが、俳優は1年間で3役は演じることが可能だろう? ポピュラーなものから、内向的でアーティスティックなものまで、幅広く経験するのが良いと思う。「すべての卵を同じかごにいれるな(※ひとつのことにすべてを賭けるな)」ではないけど、経験が広がればパフォーマンスが豊かになるから、誠実に注ぎ込んでほしい。

私が思う最大の才能は、演技力ではなく、役とどれほどシンクロできるか、だ。私たちは映画を通して疑似体験をしたいと思う。人々に影響を与えるには、その役が直面している真実をいかに信じきることができるかにかかっている。これがないと観客が離れていってしまうんだ。つまり私からのアドバイスは、与えられたシチュエーションに正直であること。それこそがパフォーマンスの魅力でありマジックであると思います。

ジェミニマン

佐藤 ありがとうございます! 次の作品で試してみます。

リー監督 「試してみる」ではなく、「やる」んだ。約束だよ? 心を込めてやり切ることこそがマジックなんだからね。(取材=佐藤寛太、文=赤山恭子、撮影=映美)

ジェミニマン

映画『ジェミニマン』は2019年10月25日(金)より、全国ロードショー。

ジェミニマン

出演:ウィル・スミス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、クライヴ・オーウェン ほか
監督:アン・リー
公式サイト:geminiman.jp/
(C)2019 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

佐藤寛太さんチェキを1名さまにプレゼント!

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応募締切 2019年11月1日(金)23:59までのご応募分有効

【応募資格】
・Filmarksの会員で日本在住の方

【応募方法および当選者の発表】
・応募フォームに必要事項をご記入の上ご応募ください
・当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます

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    3
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    3.5
    暗殺者を引退して隠居しようとしたら、自分のクローンに命狙われるお話。 若かりしウィルスミスをCGで再現。 CG技術とアクション技術がすごい。 脚本は浅い。 CGにリソースぶち込んでる感。 アクション好きな人にはテンポ良くていいかも。 クローンとオリジナルの「俺も30年後そんな顔になるんだね」「高望みはよせ。俺は鍛え抜いてる50歳だ」のやりとりすこ。
  • ふっくーワイルドなストーム
    3.7
    ウィル・スミス主演で贈る「ライフオブパイ」のアン・リー監督が 革新的な映像で若かりしウィルをCGとは思えない映像で表現したSF超大作。 言わばクローン技術が現代で発達し、人間の中でもめちゃくちゃ優れた能力を持ったウィルをクローンでコピーを作りそれらを使って軍隊を作ってしまおうというありがちなストーリー展開は、単純ではあるけれどわかりやすく見やすい物語になってます。 話は単純かもしれないけど、度肝を抜くアクションが展開されるのでアクション映画としてはとても気軽に見れるし、何と言っても前半のバイクでのチェイスシーンは圧巻の一言。 猛スピードで駆け抜けるバイクを猛スピードで後ろから追いかけるカメラワーク、道なき道を進むチェイス、そしてCGを屈指したヌルヌルアクション!!! 若いウィルはなんと100%CGで描かれているみたいですが、ほぼ違和感がなくてとても不思議でした。皆さんが言っている通り、確かにラストシーンの明るいところではどことなく角ついていたりちょっと違和感がありましたが、それでもあの自然な溶け込み方をCGで表現しているのは、言われなきゃわからない。 FPS視点のエイムの仕方とか最高にカッコ良かった笑 そして!!!ウィルと並びキレキレのアクションを披露してくれるのが、メアリー・エリザベス・ウィンステッド!!!歳をとって顔つきがキリッとして、更に魅力的になっていくウィンステッドさん!!!ハーレークインの時の天然な殺し屋も最高でしたが、今作もとても最高でした!
  • Mi
    3.3
    若い頃のウィルススミスはフルCG 演じているのもウィルススミス。 ジュニアと老ヘンリーの アクション凄いな。 撮影どうなってるんだろう。 特にバイクのアクション好きだった 吹替は江原正人と山寺宏一でお互い似せてる感じで流石。菅野美穂の棒演技が酷すぎて作品の質を落としてるので字幕で鑑賞する事をおすすめ。 老ヘンリーが若ヘンリーに「お前23歳で童貞だろ?」とか言って闘うのを止めるように説得する台詞はいるのかね笑 話は良くある話と展開だし ネタバレになるから言及しないでおく
  • niijiifox
    3.2
    駄作感漂うパッケージながらアンリー監督という事で鑑賞。 アンリー監督のモロバレ上等なCG使いは嫌いじゃくて、オリジナリティ優先の映像が寧ろ好みなので、今回のアクションシーンも楽しかったし、特にバイクでのチェイスシーンは最高でした。 内容はといえばそこそこで、話のオチも弱めかもしれませんが緩い雰囲気を交えたメリハリも効いてかテンポがよく、最後の大どんでん返し的な衝撃に重点を置くためにストーリーが雑になったり、コマーシャルでハードルを上げて盛大にコケるよりはよかったんじゃないでしょか。 アンリー監督が好きなので贔屓目に見ている可能性は十分あります。 でも比較するのもあれですが大好きなシャマラン監督のウィルスミス主演映画のアフターアースなんかよりよっぽどちゃんと大作系アクションを撮ってる気がします。
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