清水尋也×高杉真宙ロングインタビュー!映画『オアシス』10代から20代へー俳優仲間として、友人として、特別な存在「芝居していても近くにいるけど、遠くにいる」

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

映画『オアシス』W主演の清水尋也×高杉真宙へロングインタビュー。作品愛に溢れる制作秘話やふたりのリアルな関係性が垣間見られるトークまで。

“現代版青春ノワール”とでも呼びたくなるジャンルの映画『オアシス』が11月15日より全国公開される。裏社会のしがらみと喧騒に揉まれ、次第に追い詰められていく幼馴染み3人の葛藤と焦燥、根底に流れる友情の濃い味が、バイオレンスで染め上げられる。

W主演を担ったのは清水尋也高杉真宙、共演に伊藤万理華と、今の映画界を活気づけている3人がそろった。清水が演じたのはヤクザの組員・富井で、高杉はそんな富井と敵対する犯罪組織のリーダー格・金森を演じた。ふたりは目見麗しい風貌をかなぐり捨て、雑多な街で野心と飢えで瞳を光らせる男たちとなり、新たな境地に立った。

本作が始動したのはおよそ4年前。岩屋拓郎監督が清水に「初監督作の主演をやってほしい」と声をかけたところからスタートしたという。岩屋監督の呼びかけに、清水、高杉らキャスト陣、スタッフ勢が賛同し、心血を注いで完成した『オアシス』。物語の成り立ちから撮影の裏話、そして10代の頃から20代に至る現在まで、公私ともに長い付き合いだという清水&高杉の心地よい掛け合いをノーカットでお届けしたい。

『オアシス』の立ち上がりは、岩屋監督が清水さんに4年前の現場で「一緒に映画を創ろう」と呼びかけたのがきっかけだったそうですね。映画がどう育っていったのか、道のりから教えてください。

清水:はい。ありがたいことに、企画の段階からお話をさせてもらうことができました。台本は監督が何稿も推敲を重ねて完成したんですけど、最初の段階で読ませていただいて。僕が演じた富井、真宙の金森、伊藤さんの紅花という幼馴染みの設定や3人のポジションはその時点でほぼ決まっていたので、読んだときに「相手役の金森を誰がやるのかが、すごく大事だな」というのが第一印象でした。誰と一緒にやることになるかで、だいぶアプローチも変わってきますし、どこまで自分が委ねられるかも変わりますので。

そして、高杉さんが演じられることになった、と。

清水:一番最初に監督から、「金森は誰がいいと思う?」と聞かれて、「真宙がいい」と即答しました。結果、真宙がやってくれることになって、120%委ねられる相手になったと思いましたね。紅花に関しても伊藤さんがやってくださるとなって、本当にこれ以上ないグルーヴが作り出せたと思っています。

高杉:これまで僕が出演してきた作品は、最初に事務所から話があり、やるか・やらないかをマネージャーと話し合って決めていく、という流れでした。だから、今回はイレギュラーでしたね。直接、友人の尋也から作品について声をかけてもらって「真宙にこの役が合うと思う、一緒にやりたい」と言ってくれたので。すごく光栄で幸せなことだと思いました。これまでやってきた俳優人生で、(清水と)出会ったのも早かったですし、お互いの積み上げてきたものがあって、それが成立する年齢になったんだな、という幸せを感じられた瞬間でした。台本を読んで僕もぜひやりたいと思ったので、マネージャーと話し合い正式にオファーを受けました。岩屋さんと尋也の丁寧に作った土台に僕が乗っかることで、とにかく自分のできることを最大限やっていけたらと、参加させてもらいました。

いざ企画が走り出してから完成までのプロセスにおいて、特に印象的だった出来事は何でしたか?

清水:結局、スケジュールの兼ね合いなどもあって、実現するまでに2~3年かかったんです。やっと撮影できる段階になり、衣装合わせのときに初めて製本をいただきました。台本の表紙がしっかりあり、スタッフさんの名前も書いてあって、自分の名前も主演に書かせてもらって……。それまで監督や真宙と話してきたことが、今こうやって実際の出来事として僕たちの身に起きたんだな、と。映画として作品が完成して羽ばたいて、この先いろいろな人に観ていただけるんだ……というリアリティが、自分の中に一気に襲いかかってきた瞬間でした。もちろん最初から覚悟はしていたんですけど、監督から正式な台本をいただいたときに、「ああ……本当にやるんだね……!」という話をしたのを覚えています。あそこでグッとまた引き締まった部分もありますし、あとは現場に入って各々ができる限り精一杯のことをやって、100%いい作品にするために注ぐだけだな、と。実現にこぎつけた瞬間は、監督と共鳴しましたし、個人的にも印象的で忘れられません。

高杉:尋也の言っていること、すごくわかる。先ほどお話したように、僕は土台がある状態から入りましたけど、それでも最初の段階でお話をいただけたので「一緒にやっていくぞ」とすごく気合いが入っていたんです。だからこそ、衣装合わせのときに「ああ、とうとうやるんだ……!」と同じように感じました。それまでに僕が会ったのは監督と尋也と僕の3人だけでしたけど、衣装合わせに行くと各部署の方たちが当然いらして。一緒に作る様々な人たちの顔を見た瞬間に、僕は一番やることを実感できた気がします。

衣装合わせの前に行っていた3人で話し合いを何回かされていたんですか?

高杉:僕が参加したのは2回です。

清水:最初に「真宙にやってほしい」と僕が言ったとき、まず本人が作品自体に興味を持ってくれるかどうか、会って話そうということになったんです。それで集まったのが最初でした。

高杉:そうだよね。そのとき、岩屋さんと初めて会ったんだった。

清水:食事をしてお互いのことも話しつつ、「こういう作品をやろうと思っている」と話したのが1回目。そこで台本を渡して、真宙が読んでくれて。その後、「僕でよければぜひやらせてほしい」と真宙が話をしてくれたよね。ある程度3人の方向性が決まった段階で、もう1回ごはんに行った記憶がある。

高杉:うん。ほかのキャスティングについても、「こういう人たちを集めたいと思っている」という話を聞いたりしました。

清水:監督は、つながりというものをすごく大事にしている人なんです。役者に対しても、スタッフさんに対してもそうですし。監督がこちらに対して思いを注いでくれているのが伝わるから、応えたいという気持ちが全部署に生まれるんだと思います。

食事の場でも作品の話はもちろんしますけど、そういう彼の人柄だから、まずは互いの関係値を高めていきたいと考えているんです。初対面の真宙に対して自分のことを知って信頼してほしいし、真宙のことをたくさん知って、その分役を委ねられる関係値を作りたいというのが彼のベースにあったので。だから堅苦しい場になったわけではなく、食事を楽しみながら他愛もない会話をする時間を積み重ねていって、現場に入った感じでした。

高杉:うん。すごくいい雰囲気で現場も進んだし、楽しかったなあ。

作品内はアクションあり、ドラマありと現場も非常に充実していたのではと思います。特に後半、富井ら3人が秘密基地でくつろぐ一時の刹那は観ていてもぐっときました。あのシーンでのエピソードはありますか?

清水:たくさんありますね。あのシーンは、僕たちにとっても、監督にとってもめちゃくちゃ特別な場所で。

高杉:うんうん。

清水:言ってしまえばタイトルの通り“オアシス”で、神聖な場所という意識が僕にはありました。本当に尊い場所、みたいな。あの基地での撮影は、撮影期間の最後に持ってきてくれたんです。部屋は飾り付けも監督が先導して手動でやったんですよ。だから彼のバックボーンや生の温度感みたいなものが、出ていると思います。僕たちも落ち着くなーって。

高杉:本当に素敵だった。いろいろなものが詰まった空間だったんだなとすごく感じて撮影しましたし、たとえ撮影がなくても、あの場所でダラダラしていたりしたよね。

清水:監督が好きだった映画のDVDやCDとかも置いてあるんですね。もちろん想像で作られたものでもストーリーはあるけれど、監督の作品に対してかける思いを、そうした箇所からも感じられると、役者としてもまたより一層気持ちが乗る部分があるんです。生の温度を感じることによって、そこにいるときの自分もフラットにいられるというか、すっと役にみんなが馴染んでいけるというか。あったかい空気があったので、とても思い出がある場所でのシーンだし、あそこにいる時間はすごく楽しかった。有意義だったと思います。

清水さんと高杉さんはそもそも仲良しですが、撮影中、富井と金森でいるために特別距離感を意識して変えたなどもあったんですか?

清水:いえ。普通にいつも通りでした。金森と富井について描かれているのは映画のあの期間だけですけど、それまでの10年間のことを考えたら、名古屋という街でお互いの存在はたぶん意識していたと思うんです。実際に会って話をしてはいないけど、存在を感じる瞬間がある。それを考えると、僕と真宙も似てるっちゃ似てるなあって思いました。

高杉:うん。現場では会うけど、プライベートでわざわざ会ったりしないもんね。

清水:そうそう。現場で会うとすごい話すし、逆に会ってなかった期間に「こんなことがあった」「まじで」とかを共有するんですよ。そんな不思議な距離感が、僕は真宙とはあると思っていて。そこが金森と富井にマッチしたんですよね。芝居していても近くにいるけど、遠くにいるよね、みたいな感覚がこのふたり(自分たち)にはあるから。でも別に仲はいいので、本当にナチュラルなまま、どこかシンクロする部分は少しあったんだろうなというのは思います。だからこそ、最初に読んだときに真宙が浮かんだんだなって。

おふたりの共通点はというと、どんなところですか?

清水:僕も真宙も結構インドアなところがあります。普段あまり会わないのも、結構そこが大きいかも。仕事が一緒の現場だと仕事場で絶対に会えるから、名古屋のときもふたりで結構ごはんに行ったりしたし、自然に行こうってなるんです。けど、お互い自分の家にいると、自分の趣味だったりに没頭してるという……(笑)。

高杉:ゲームしたりね!

清水:そうそう。もちろんアウトドアなアクティビティも好きですけど、僕も全然引きこもれちゃうタイプでもあるから、別に無理して外に引っ張り出す必要ないか、みたいな感覚があるんですよね。

作品を拝見しても取材していても落ち着きを感じますが、思えばおふたりとも20代にしてキャリアが長いですよね。

高杉:ああ……受け止めたくない……(小声)。

清水:本当にね(小声)。

高杉:時間だけは平等だって感じる!

清水:今、何年目?

高杉:15だよ……。

清水:わー! 人生の半分以上だもんね!

高杉:何だかんだ、そうなったねえ。

俳優としては、それぞれ求められるものが違うことも特徴だと思いますが、相手にあって自分にない、いいなあと感じるところはどんなところにありますか?

清水:言っていいですか!? シンプルに顔がずるいなって思う!

おふたりとも、正反対のお顔立ちと雰囲気ですもんね。

清水:はい、

高杉:俺だって、あなたの顔かなり好きだよ。

清水:いや、(高杉は)だいぶかっこいいからね。

高杉:(目を丸くする)。

清水:ごめん、気持ち悪かったね(笑)。

高杉:いやいやいや! 俺も好きヨ。やっぱり、ずるい。造形の話から入っていくならば、彼のスタイルの良さはすごいですよね。俳優で、服がこんなに似合う人はなかなかいないと思います。本当にスタイリッシュに着こなして、今日も見てください! 羨ましいです。

清水:ちょっと、本当に褒めてる(笑)!?

高杉:すごい褒めてる。本当にずるいと思っているから。

まさかの外見から入るとは予想外でした。作品や役に対してはおふたりともストイックな印象がありますが、そこは共通でしょうか?

清水:ストイックなイメージあります!?

高杉:あります!?

あります。

高杉:俺から見たら、尋也にはあります。俺は、逆境があると1回のたれ死んで「ハア……」となるタイプなんです。尋也はそれすらも超えて、楽しんで「何くそ」精神でやっていく魂を感じるから、そのたびに俺は羨ましいなと思っています。違う現場の話を聞いていて、「まじか!大変そうだなあ」と感じるときもあるけど、その状況を「楽しい」に変換していくマインドが、僕はすごく好きです。その精神はやっぱりストイックさの表れだと思いますし、役に対しても作品に対しても愛があるのをすごく感じます。だから演技を一緒にやっていて楽しいなと思うんですよね。心の底からちゃんと楽しんでやっていると思えるから。

清水:真宙……真面目にありがとう……(照)。真宙の精神の部分で言うと、こんなにキレイな姿形をしているけれど、すごく男らしい部分があるのがいいなあと思うところです。今回の撮影期間中も、ふたりでホテルの大浴場に一緒に入ったり、露天風呂でふたりでつかりながらいろいろ話したりもしたじゃん? たまに真面目な話をしたりする瞬間もあってさ。

高杉:そうだったねぇ。

清水:そういうときに真宙の根性、情熱が見え隠れするんですよ。「ああ、すげえ男らしいな、かっこいいな」と思うし、何というか、渋い部分も持ち合わせている。根底にはパッションや同じく「何くそ」精神があるなと僕は感じています。彼も負けず嫌いなところがあるのをよく知っているから。

高杉:うん、あるかもしれない。

清水:これまで共演してきて現場でいろいろな姿を見て……大変な現場もたくさんあったけど、周りにたくさん役者がいてどんなときでも自分のやるべきこと・できることを模索して、ストイックにアプローチしていってる姿を見ているんです。純粋に尊敬できるなと思っています。

なんか……僕はたぶん真宙ほど真面目じゃないんですよ。でもそんな真宙の中にも遊び心というのはあって、そこが重なっているから一緒にいられるんだと思います。どっちかが堅苦しく、ずっと真面目だったら、たぶんこの関係性になっていないと思います。

最後に。インタビューが掲載されるFILMAGAは映画好きが集う媒体です。おふたりが最近観た作品でおすすめやよかったものなど、教えてください。

清水:少し前の出来事になってしまうんですが、作品の内容はもちろん“映画を観る”という体験として挙げたいのが『オッペンハイマー』でした。コロナがあり、一時期映画館に人が入らなくなった時期がありましたよね。何年かかけて少しずつ状況が良くなっていって、『オッペンハイマー』が公開した直後くらいに、僕も久々に都内の大きなスクリーンがある劇場で鑑賞したんです。本当に広くて、僕は後ろのほうの席だったんですけど、もうびっっっしりと人がいたの!!

高杉:おお、すげえ!

清水:人、人、人で座席が埋まっていて。それを見たときに「帰ってきたな、やっとこれが見られた」と思って感動しました。映画館に人がびっしりいて、みんなが同時にスクリーンにくぎ付けになっている……その情景ごとすごく印象に残ったので今挙げました。もちろん作品的にも1回では噛み砕ききれないメッセージ性がありますし、ギミックもとても面白いじゃないですか。1回で全部がわかっちゃったら面白くないとすら思うので、クリストファー・ノーランの作品は好きでよく観ていますけど、いつ観ても何か投げかけてくる監督だとすごく感じました。

素敵なエピソードも含め、ありがとうございます。高杉さん……すみません!お時間がきてしまい、一言でまとめていただけますと幸いです!

清水:だいぶ語っちゃった!

高杉:俺もやばい、尋也の話を聞き入っちゃってた(笑)。一言で……最近観て面白かった作品は『HERO』の1話です!あの往年のドラマです。木村拓哉さん、若い!!勝村(政信)さんも、若い!!と、すごく興奮して見ちゃいました。1話からすごくて、明日から見る2話以降も楽しみで久々に興奮しています。

(取材、文:赤山恭子、写真:映美、清水尋也ヘアメイク:松本和也(W)、清水尋也スタイリスト:Shohei Kashima (W)、高杉真宙ヘアメイク:堤 紗也香、高杉真宙スタイリスト:菊池陽之介 )

(清水尋也衣装: Stylist/Shohei Kashima(W) 衣装クレジット Jacket ¥89,100、 Pants ¥53,900/ともにYUKI HASHIMOTO(株式会社Y 049-256-9368) 、その他stylist私物)

映画『オアシス』は2024年11月15日(金)より、新宿武蔵野館ほか、全国公開予定。

出演:清水尋也、高杉真宙、伊藤万理華ほか。
監督・脚本:岩屋拓郎
公式サイト:https://oasis–movie.com/
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
(C)2024『オアシス』製作委員会

※2024年11月5日時点の情報です。

公式アカウントをフォロー

  • RSS