【140万部超えの人気作】『グラスホッパー』公開!伊坂幸太郎原作の映画の魅力とは

映画と本とコーヒーと。

藤ノゾミ

奇想天外な世界観と、巧みに張り巡らされた伏線、緩急自在なストーリーで、ファンを惹きつけてやまない作家・伊坂幸太郎。中でも140万部を超えるベストセラーとなり、「最高傑作」との呼び声も高い『グラスホッパー』が映画化され、11月7日に公開されます。

伊坂作品の映画化はこれで11作品目となり、なんと発表した作品の3分の1が映画になっている人気ぶり!小説ファンだけでなく、映画ファンにも愛されるのはなぜでしょうか?

今回は『グラスホッパー』の見どころに触れつつ、過去に映画化された中から選りすぐりの4作品を紹介し、伊坂ワールドの魅力を紐ときます!

主人公に共感!凡人・鈴木は裏社会から脱出できるか?『グラスホッパー』

グラスホッパー

まずは最新作『グラスホッパー』について。

今作は東京を舞台に、婚約者を殺された中学教師の鈴木が復讐のために裏社会に潜入するというストーリーです。

とは言っても、鈴木はいたって平凡な心優しい草食男。そんな彼が殺し屋たちの壮絶なバトルに巻き込まれ、復讐するつもりが追われる身になって……と、状況は二転三転。あくのこい登場人物たちの中、唯一「普通の人」である鈴木の右往左往ぶりにハラハラ、感情移入してしまいます。

そして、鈴木を翻弄する殺し屋たちに扮するのは、人を絶望させて自殺に追い込む鯨(くじら)に浅野忠信、ナイフ使いの蝉(せみ)に山田涼介、押し屋と呼ばれる槿(あさがお)に吉岡秀隆と、豪華なキャスト陣。

どんな悪役ぶりを見せてくれるのかも楽しみです。

最強の4人組!『陽気なギャングが地球を回す』

陽気なギャングが地球を回す

裏社会の人間をスタイリッシュに描いたという点で、『グラスホッパー』にも通ずるのが『陽気なギャングが地球を回す』です。

殺し屋ではなく、こちらは銀行強盗が主人公。他人のウソを見抜く人間嘘発見器の成瀬、コンマ1秒単位の体内時計を持つ雪子、演説の達人・響野、天才スリ師の久遠という奇妙な特技を持った4人が、完璧な計画で鮮やかに銀行強盗を重ねていきます。

ところがある日、銀行を襲った帰りに別のギャングに大金を横取りされてしまい、信頼しあっていた4人の間にも「裏切者がいるのか?」と疑心暗鬼が生まれて……。はたして奪還計画は成功するのか?スリリングな展開は『オーシャンズ』シリーズを彷彿とさせ、実際に公開当時の予告編では「『オーシャンズ11』に満足出来なかった人へ」とのテロップがありました。

原作と違い、大沢たかお扮する成瀬と、鈴木京香の雪子に恋愛関係があるのも見どころのひとつ。また天才スリ師を演じた松田翔太は今作で映画デビュー。みずみずしい演技が光っています。

逃げて逃げてとにかく逃げる!『ゴールデンスランバー』

ゴールデンスランバー

『グラスホッパー』の鈴木のように、平凡な男が巨大な陰謀に巻き込まれるのが『ゴールデンスランバー』。今作では、堺雅人演じる青柳というごくごく普通の宅配便ドライバーの青年が首相暗殺の濡れ衣を着せられます。

映画の主人公と言えば無実の罪を着せられたなら汚名を晴らそうとするのが一般的。でも青柳の敵は国家権力です。逃げることしかできない姿は最初情けなくも見えますが、絶望的な状況でも青柳は人を恨まず、決してあきらめません。

そんな青柳だから、警察の追跡でピンチに陥っても、昔の彼女や友達が危険も顧みず加勢してくれます。自分を信じてくれる人がいる……嬉しさのあまり泣きながら逃避行を続ける青柳を、いつしか「頑張れ!」「逃げきれ!」と応援してしまうことうけおいです。

なお、伊坂幸太郎は人気作家になった今も仙台に住んでおり、仙台を舞台にした小説が多いのも特徴の一つ。

『ゴールデンスランバー』もその例にもれず、映画化にあたってはオール仙台ロケが行われました。創業190年の老舗百貨店「藤崎」やケヤキ並木の定禅寺通など、杜の都の名所が随所に登場します。

「俺たちは最強の家族だ」家族の絆に涙『重力ピエロ』

重力ピエロ

人間にとって何より大切なのは人との絆。数ある伊坂作品の中で、最も強くそのことを感じさせてくれるのが加瀬亮と岡田将生の共演した『重力ピエロ』です。

仙台で起こる連続放火事件と、火事を予告するかのように現れる落書き。遺伝子研究をする泉水は興味をひかれて謎解きに乗り出しますが、2歳年下の弟・春が事件に関わっていることが徐々に明らかになってきて……。

地味で不器用な泉水と、自分をピカソの生まれ変わりと自称する美男子の春。似てない2人の兄弟には、出生の秘密がありました。それは家族を崩壊させてしまうほどの秘密です。

事件が解明され、すべてを知った泉水はどうするのか――? 結末は秘しておきますが、泉水の脳裏に浮かんだのは、おおらかに愛情を注いでくれた父の「俺たちは最強の家族だ」という言葉でした。そこに込められた思い……それは、ぜひご自身で確かめてみてください。

父親が4人?!奇妙な家族のサスペンスコメディ『オー!ファーザー』

オー!ファーザー

最後に、家族にまつわる作品をもう一つ。

『重力ピエロ』と打って変わって、昨年公開された『オー!ファーザー』はコメディタッチのサスペンスです。それもそのはず、主人公の高校生・由紀夫には父親が4人もいるのです。

しかも、誰が本当の父親かは四股交際していた母親にすらわかりません。年齢も性格もばらばらの“父親たち”は「自分こそが父親」と由紀夫に愛情を注ぎまくり。うっとうしくも感じていた由紀夫ですが、ひょんなことから事件に巻き込まれ、父親たちの愛する息子を救うための奮闘劇が始まります。

『重力ピエロ』で弟・春の繊細で複雑な心情を体現した岡田将生が、今作では由紀夫役で個性的な父親たちに振り回されっぱなし。その演技の違いにも注目です。

小説の魅力をそのまま映画に。これからの映画化にも期待

小説ファンの方の中には「原作を超えるわけがない!」と映画化作品を見ない方もいるかもしれません。

でも、伊坂作品は映画の製作側も原作の大ファン。例えば、『重力ピエロ』は脚本の相沢友子が発売後すぐに「映画化したい!」と連絡を取ったとか。それぞれの作品でも、独特のキャラや軽妙な語り口など小説の世界観を映像にしようと工夫を重ねていることがうかがえます。

それでも、2時間ほどの枠におさめなくてはいけない映画と原作に違いはつきもの。せっかくなら、映画だけ見ている人は原作も、原作を読んだ人は映画も、両方楽しんでみてはいかがでしょうか。

伊坂作品には、猫が喋る『夜の国のクーパー』や、『グラスホッパー』の姉妹編と言える『マリアビートル』、『陽気なギャング』の続編など、まだまだ映像で見たい作品がたくさん!今後の映画化も待ち遠しいです。

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  • yzzzykkk
    1
    なんでこうなった? 原作の面白さは映画じゃ表現できないからかな?
  • ちゃかこ
    -
    普通だった 生田斗真の演技うまいなっていうのとバトルシーンがおもろかった 山田涼介としじみが呼吸してるところ見てるシーンが印象的
  • yuki
    3.5
    記録
  • みさき
    3.3
    演技やアクションのシーンはとても迫力があった。殺し屋に少しだけ共感してしまうところもあった。
グラスホッパー
のレビュー(26563件)