チャック全開!バカとボンクラ全員集合!素晴らしきキャノン・フィルムズの世界!

Why So Serious ?

侍功夫

1980年代初頭。レーガン大統領による無謀無策な経済政策「レーガノミクス」とコンピューター産業の発展により、アメリカはアホのようなバブル景気に見舞われます。人々は浮かれ、その空気は文化にも侵食していきました。

MTVからはディスコやニューロマンティックに50sリバイバルの音楽が、目にやさしくない原色で彩られたプロモーションビデオに乗って連日放映されました。人々はウォークマンで音楽を家から持ち出し、ビデオテープで映画館から映画を持ちかえり、ポラロイドカメラでカンタンな写真を楽しんだのです。

すべてが手軽で簡易的になった軽薄短小な時代に“ドカン”と登場し、派手に散った映画会社があります。

キャノン・フィルムズ爆誕!

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70年代末、イスラエルで映画製作をしていたメナヘム・ゴーランとヨーラン・グローバスは『アメリカン・グラフィティ』に着想を得たお色気青春映画を製作します。1950年代のテルアビブを舞台に、若者の青い性をロックンロールに乗せて描いた『グローイング・アップ』は50sリバイバル・ブームに乗り、アメリカを始め全世界で大ヒットを記録します。2人はこれを足がかりにハリウッド進出を果たすのです。

ゴーランとグローバスは資金難で立ち行かなくなった映画製作会社を買い取るのですが、この会社には既に2人のためにあつらえた様なピッタリの名前がついていました。

その名もドカンと「キャノン(大砲)・フィルムズ」!

2人はキャノン・フィルムズから、いわゆる「ハイ・コンセプト映画」を大量に発表していきます。

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出典:https://www.youtube.com/watch?v=gvaxwYn5s04

ハイ・コンセプト映画ってなに?

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ロバート・アルトマン監督による、映画製作の裏側を舞台にした『ザ・プレイヤー』でティム・ロビンス演じる映画会社重役グリフィンが作っているのが「ハイ・コンセプト映画」です。劇中、グリフィンにより様々な「ハイ・コンセプト映画の条件」が語られます。

「映画に必要なのはサスペンス、お笑い、暴力、希望、人情、ヌード、セックス、そしてハッピー・エンド。ハッピー・エンドは必須条件だ。」

「お前の企画は25ワードを越えている上につまらん!」

カンタンかつ短い文章で説明できる軽薄短小な娯楽映画こそ「ハイ・コンセプト映画」であり、キャノン・フィルムズのメイン・コンテンツでした。

そんな“解りやすさ”を第一信条とした映画には、バカっぽい印象があるかもしれません。しかし、逆に言えば万人に解りやすい高度な映像表現だとも言えます。解りやすい殴り合い、解りやすい爆発、解りやすいヌード、そしてハッピー・エンド…… ゴメン! 要するにバカです!

そして、キャノン・フィルムズ印のついた世にもバカっぽい並びのフィルモグラフィが出来あがることとなります。

『ロサンゼルス』とポール・カージー シリーズ

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ストーリー:家族を殺された男がチンピラを殺しまくる。

街のチンピラに妻を殺され、娘をレイプされた建築師ポール・カージーの復讐を寂寥感たっぷりに描いた傑作『狼よさらば』の続編を、監督本人と主演チャールズ・ブロンソンをつかまえて量産していきます。

続編『ロサンゼルス』から『スーパー・マグナム』『バトルガンM-16』『狼よさらば 地獄のリベンジャー』まで、回を重ねるごとにポール・カージーの武装は過激に、怒りの沸点は低くなっていき、チョットしたことでミサイルを撃ち込むまでになるのです。

『燃えよNINJA』とニンジャ シリーズ

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出典:http://subscene.com/subtitles/enter-the-ninja

ストーリー:正義のニンジャが悪の組織と戦う。

格闘家の持ち込み企画『燃えよNINJA』が予想を上回る大ヒットを記録すると、即座にシリーズ化します。1作目で端役出演していたショー・コスギを主演に据え『ニンジャII/修羅の章』『ニンジャ』『デス・オブ・ニンジャ/地獄の激戦』とアメリカンなニンジャ映画を作り出していくのです。

本国ではそれぞれ大ヒットを記録し、ショー・コスギはスター俳優となります。しかし、日本ではどこまで行ってもパチもん扱いで、劇場公開も1作のみという冷遇に会いました。

大量のチャック・ノリス主演作

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ストーリー:チャックが暴れる。

キャノン・フィルムズと言えばチャック。チャックと言えばキャノン・フィルムズと相場は決まってるんです! ブルース・リー唯一の監督作『ドラゴンへの道』でリーと死闘を演じた空手家チャック・ノリスを主演に迎えた戦闘アクション映画群です。

ベトナム帰還兵が暴れる『地獄のヒーロー』シリーズに、特殊部隊が暴れる『デルタ・フォース』シリーズなど。キャノン・フィルムズはチャックが土地々々で大暴れし、悪党どもを片っ端から撃ち殺していく映画を大量生産していきます。

敵の弾はどれだけ撃っても当たらないのに、チャックの弾だけは百発百中でバタバタと敵を倒していきます。この理不尽に無敵な様子から「チャック・ノリスが毒蛇にかまれた後、五日間苦しんで、毒蛇が死んだ。」「チャック・ノリスは回転ドアを“バタン!”と閉じることができる。」などのジョーク「チャック・ノリス・ファクト」が生まれます。

その他のキャノン・フィルムズ代表作

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ジャン=クロード・ヴァン・ダムが地下格闘大会を勝ち進む『ブラッド・スポーツ』。インディ・ジョーンズのパクリ『ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝』。スタローンが腕相撲をする『オーバー・ザ・トップ』などなど。キャノン・フィルムズのラインアップにはボンクラが狂喜する作品が並んでいます。

キャノン・フィルムズの功績

ひとケタ足し算もままならないような映画を量産する一方で映画史に燦然と輝く作品もモノにしています。

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ポルターガイスト』でスピルバーグ傀儡監督の汚名を着せられたトビー・フーパーを起用し、コリン・ウィルソンの原作小説をド派手に翻案した『スペース・バンパイア』、50年代のSFクラシック映画をド派手にリメイクした『スペースインベーダー』、そして、自身の伝説的傑作をド派手にセルフ・パロディ化した『悪魔のいけにえ2』など、ホラー映画史に極彩色でビガビガしたド派手な傑作群を残すこととなります。

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また、黒澤明のハリウッド・デビュー作になる予定だったものの製作が頓挫して宙に浮いていた“チーム黒澤”による脚本と権利を買い取り(手を加え……)『暴走機関車』として完成させます。

低迷していたロバート・アルトマンには『フール・フォア・ラブ』を作らせるついでに、自分たちの映画製作スタイルを見せつけて、上記した『ザ・プレイヤー』へ繋げる重要な役割を担います。

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出典:http://shihlun.tumblr.com/image/98835767579

さらには、あのジャン=リュック・ゴダールに大金を投入し『ゴダールのリア王』を作らせます。ピーター・セラーズにウディ・アレン、人気絶頂期のモリー・リングウォルドを出演させながら、それでも出来あがったのは観客を韜晦させるいつものゴダール節な作品となっています。

『キャノンフィルムズ爆走風雲録』とメナヘム・ゴーラン映画祭

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そんな玉石混淆としたキャノンフィルムズ製作映画を集めた「メナヘム・ゴーラン映画祭」が11月14日から、彼らの映画製作裏話をまとめたドキュメンタリー映画『キャノンフィルムズ爆走風雲録』の上映が11月21日から始まります。(公式サイトはコチラ!

『キャノンフィルムズ爆走風雲録』では、あっけらかんとしたハイ・コンセプト映画製作秘話や、アーティスト肌なゴーランと資金繰りの達人グローバスの確執などが語られます。

「メナヘム・ゴーラン映画祭」では、キャノン・フィルムズを代表する『ブラッド・スポーツ』や『ニンジャ』『スペース・バンパイア』のボンクラな傑作に加え、ジョン・カサベテス後期の傑作『ラブ・ストリームス』や、メナヘム・ゴーランが監督時代に撮った文芸作『エルドラド』など、ソフト化も無く観賞機会の少ない作品が上映されます

ショー・コスギやヴァン・ダムの間にジョン・カサベテスやバーベット・シュローダーが混じる、進学組と就職組が一緒にいる公立高校の教室じみたラインアップになっています。

混然とした80年代のアメリカを象徴するキャノン・フィルムズの舞台裏と、そこから生まれた傑作群を、この機会にスクリーンで体験してみてください。

見ないとこうだ!

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出典:http://blog.tvstoreonline.com/2015/10/top-5-chuck-norris-movies.html

 

※2022年5月30日時点のVOD配信情報です。

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  • まさたぐち
    3.8
    経営も考え方違うとズレてくるし、本人も得意分野と自分のやれることだけにに特化して、長い期間それしかやらないと、時代とのマッチングが合わなくなった時に過去の人になるのだなぁと😧 改めて思いました🥺 客観視してるから思うのだろうけど必死にやってる人たちはわからなくなるだろうなぁ😧
  • バヤシ
    4
    木曜洋画劇場と午後ローに多大なる貢献をしたキャノンフィルムズ。午後ローでヴァンダム、ノリスの作品を放送したら必ず観ます。
  • Fox08
    3
    ほんとわかりやすい映画満載ですよね。ただ映画ってこれでいいんじゃないかって思ったりもしますよね。にしてもスーパーマン4は酷かったです。
  • けーはち
    3.3
    先日逝去したチャック・ノリスやチャールズ・ブロンソンに象徴される脳筋暴力B級(バカ・ぼんくら)80年代映画粗製乱造の制作会社キャノン・フィルムズ、その狂乱の歴史を描くドキュメンタリー。イスラエル出身の従兄弟同士、メナヘム・ゴーランとヨーラム・グローバスが放つ「安く、早く、過激に」をモットーとした作品群は、低予算ながら世界中を席巻した。だが、野心に駆られ大作志向へ舵を切ったため歯車が狂い始める。シルヴェスター・スタローンを主演に擁した「オーバー・ザ・トップ」は鳴かず飛ばず。規模を拡大して挑む「スーパーマンIV」等の大作はことごとく失敗。質より量、そして客を興じさせたいというエンタメへの情熱で一世を風靡した男たちの自らの美学からの逸脱が破滅を招いた。爆走と転落、ありがちな栄枯盛衰である。映画愛が空回りするその姿に滑稽さとともに抗いがたい哀愁が漂っている。
  • キモサベ
    3
    追悼チャック・ノリス ・・・といっても彼の作品がないんですねぇ驚くほど(動画配信にです) で、仕方なく(すみません)本作を 大昔、自分はブルース・リー主演の「ドラゴンへの道」(1972年)を観たときが“お初”でした リーの格闘の相手役、しかも白人俳優が“五分”に渡りあっているじゃないですか・・「誰よ?」 それが、チャック・ノリスだったのです この「誰よ?」は、自分だけじゃなかったんですね(笑) 本作で注目を浴び、武術家から俳優の道を歩むこととなったそうです 2026年3月19日没 86歳 では本題に キャノン・フィルムズ、イスラエル人の映画製作者メナハム・ゴーランとヨーラン・グローバスによって立ち上げられた映画製作会社 80年代にB級映画を中心に、ハリウッドに一大旋風を巻き起こし・・・とあります そんな二人の成功と没落を描いたドキュメンタリー映画 ・・・ですから、チャック・ノリスの映画ではありませんでした 彼が出演した映画をこのキャノン・フィルムズが製作していた・・・ということでインタビューでのご登場でした(ガッカリ) 自分がろくに知りもしないで“B級”などど書いてしまい、失礼しました “あの”黒澤明(監督)が原案、ジョン・ヴォイト主演の「暴走機関車」(1985年)も製作されていたのですね ちなみに自分が大好きな一本、ミッキー・ロークとフェイ・ダナウェイ主演の「バーフライ」(1987年)もそうでした が、その栄光も長くは続かず・・・大作への出資、映画関連企業の買収、そして「スーパーマン4/最強の敵」(1987年)の失敗が命取りに・・・そっかぁ、アメリカンドリーム(成功者)も結局スーパーマン、すなわち“アメリカ”にとどめを刺されちゃったかぁ 『見事な“オチ”がつきました』 座布団2枚っ! 世間の風は冷てぇ~  感想です チャック・ノリスの“追悼”には及ばなかったでしょうか? でも彼が“キャノン映画”に育てられたことがわかって収穫でしたよ ちょこっと、主演映画の登場シーンやインタビュー映像も観られたし この“キャノン映画”こそ、インディーズ映画の成功者だったのですね たいへん勉強になりました えっ、エンドロールの最後 字幕監修に町山智浩と出ていましたよ “キャノン映画”の数々、町山さん好きそうだもんなぁ 【追伸】 やはり、チャック・ノリスといえば「ドラゴンへの道」 こちらは動画配信されていますので、もう一回“追悼”するとしましょう 合掌
キャノンフィルムズ爆走風雲録
のレビュー(266件)