「週刊ヤングマガジン」に連載された和久井健の同名コミックを実写映画化した「新宿スワン」シリーズ。新宿・歌舞伎町のスカウトマンたちの熾烈な抗争と人間模様を描いた作品です。元スカウトマンである原作者が、自身の体験を盛り込んだフィクションとして描いたコミックは大ヒットを記録し、2007年にはTVドラマ化もされました。
映画版の監督を務めたのは、『冷たい熱帯魚』、『ヒミズ』などの園子温。今回は1作目と続編の2作目をまとめてご紹介します。
『新宿スワン』(2015)
一文無しで新宿・歌舞伎町をさまよっていた白鳥龍彦(綾野剛)は、伝説のスカウトマン、真虎(伊勢谷友介)から声を掛けられ、スカウト会社“バースト”の一員に。スカウトマンとしての道を歩み始める。感情に任せて突っ走ってしまう龍彦だが、持ち前の明るさと人を見る才能で、新宿の女性たちを次々とスカウト。情に厚く曲がったことが嫌いな性格から、スカウトした女性や仲間たちから厚い信頼を得ていく。その頃、バーストと敵対するスカウト会社“ハーレム”のスカウトマン、南秀吉(山田孝之)は、全国統一の野望を実現すべく、とある陰謀を企てていた。さまざまなトラブルに見舞われながらも仕事に励む龍彦は、辛い運命を背負った風俗嬢のアゲハ(沢尻エリカ)と出会う……。
園子温監督、放送作家である鈴木おさむの脚本でおくるシリーズ第1作。熱い信念をもって闇世界で生きる主人公を、綾野剛が熱演。どこか謎めいた天才スカウトマンに伊勢谷友介、龍彦と敵対するスカウトマンに山田孝之、ほか金子ノブアキ、深水元基、沢尻エリカ、山田優、真野恵里菜ら若手俳優から、豊原功補や吉田鋼太郎などベテランまでが顔をそろえる。
歌舞伎町の裏社会を生きるスカウトマンたちの対組織の抗争や、男同士1対1の拳のぶつかり合いを描くとともに、龍彦の成長を追う。また、とある過去の因縁や、スカウトマンの道の先に待ち受ける過酷な運命、新宿で出会った女性たちの悲哀に満ちた人間模様、歌舞伎町のきらびやかさと裏社会の闇を、強烈なインパクトで映し出す。
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『新宿スワンII』(2016)
龍彦と秀吉の対決から1年後、龍彦はバーストのエース格へと成長していた。借金返済に苦しむ小沢マユミ(広瀬アリス)に馴染みのクラブを紹介したり、渋谷のスカウト会社に属する悪友、森長千里(上地雄輔)と再会したりと忙しい日々を過ごす。そんな中、勢力拡大を目論むバーストの社長、山城神(豊原功補)は、龍彦と関玄介(深水元基)を横浜に送り込む。しかし横浜は、ヤクザや警察とつながるスカウト会社“ウィザード”の支配下にあった。ウィザードを率いる滝正樹(浅野忠信)は逆に新宿征服を企て、新宿と横浜の全面抗争へと発展していく……。
前作から1年後を舞台とし、原作の「横浜王国編」が描かれる。脚本は1作目で鈴木おさむと共同脚本を担当した水島力也が手掛けた。綾野剛、伊勢谷友介ら1作目の続投メンバーに加え、アウトローの世界観にぴったりハマる浅野忠信をはじめ、ヒロインに広瀬アリス、ほか上地雄輔、高橋メアリージュン、椎名桔平、笹野高史といった華々しい俳優陣が名を連ねる。
1作目と同様、スカウトマンたちの壮大な権力抗争を描いた作品だが、特に注目したいのは、ド派手でキレのあるアクション。「るろうに剣心」シリーズなどの谷垣健治をアクション監督に迎え、よりパワーアップしたキレのある戦いが繰り広げられる。エンターテインメント性を増した華やかな展開も楽しめるほか、1作目から成長した龍彦の変化や、男同士の深い友情と絆も見どころ。
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(C)2015「新宿スワン」製作委員会
※本記事で紹介する映画は国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」のデータに基づいてセレクトしたものです。
※2020年7月22日時点の情報です。