“スタジオジブリ”と聞いて皆さんはどの作品を思い出しますか?
1985年に『天空の城ラピュタ』の製作を機に生まれたスタジオジブリ。35年以上の歴史を持つジブリではこれまでに20作以上の長編アニメーション映画を世に送り出してきました。そんなスタジオジブリ作品で一番人気の作品はどの映画でしょうか。
今回は、そんなジブリ作品のうち、Filmarksに集まっているMarks数やスコア分析で抽出したランキング上位の5作品と、各作品の見所を紹介していきます。
みんなが選んだ歴代ジブリ作品ベスト5はこの作品です!
第5位『魔女の宅急便』(1989)
掟に従って、13歳で1年の独り立ちの修行が決まっている魔女の少女・キキ。満月の夜、家族たちに見送られながら、キキは相棒の黒猫のジジを連れて、箒に乗って旅立つのだった……。道中に嵐に見舞われたキキは、貨物列車に潜り込む。目が覚めるとキキは無事港町に着いていた。
この街で生活していくことにしたキキは、空を飛べることに興味津々の少年トンボや、高台でパン屋を経営しているおソノさんなどと出会いながら、慣れない街での生活をしていくのだが……。
『魔女の宅急便』の見どころは?
第5位に選ばれたのは、1989年に公開を果たした『魔女の宅急便』です。もともと同名の児童書が存在しており、その第1巻をベースに長編アニメーション映画化を行なった作品でした。
キキが引っ越してくる海の見える街コリコの風景や、街の人々の群勢があります。コリコの街は、ロケハンを行なったスウェーデンや宮崎駿が旅行で行ったアイルランドでの体験などから生まれました。街の人々一人一人の動きも緻密に描かれていて、初めてキキがコリコの街を箒に跨りながら飛行するシーンも、本当に旅行に来たかのような高揚感があります。
ちなみに映画終盤のテレビに人が集まるシーンの中には、宮崎駿監督自身がカメオ出演しているので、どこに居るのか探してみるのも面白いでしょう。
第4位『風の谷のナウシカ』(1984)
世界は戦争によって崩壊し、錆とセラミック片で大地を覆う“腐海”と呼ばれる菌類の森が領域を広げていた。そこでは生活ができない人間たちは、腐海を恐れながら生活をしていた。
そんな腐海の有毒な瘴気から、海から吹く風によって守られている小国・風の谷に少女ナウシカは住んでいた。ナウシカは生き物たちを大切にしており、腐海に住む巨大な虫・王蟲をも手懐けられる力を持っていた。
そんなある日、風の谷に旧世界を焼き尽くしたとされる怪物・巨神兵の胎児を輸送していた大型船が墜落してしまう。この事件をきっかけにナウシカをはじめとした風の谷の人々は、帝国の戦いに巻き込まれていくのだった……。
『風の谷のナウシカ』の見どころは?
第4位に選ばれたのは1984年に製作された『風の谷のナウシカ』です。スタジオジブリが設立されたのが1985年なので、厳密には本作はスタジオジブリという会社の元で製作された作品ではなく、トップクラフトというジブリの前身となる会社で製作された作品でした。
注目はやはりその造形に驚かされる巨大な生き物の王蟲です。王蟲は、ハーモニー処理と呼ばれる背景のような緻密なタッチで描かれていて、その美術だけでも圧巻です。しかし王蟲はその動きにも工夫が凝らされていて、王蟲の外殻を分解して製作し、その裏にゴムを貼って、芋虫のような特殊な動きをさせるゴムマルチという手法を採用しています。3DCGのない時代に生まれた画期的なアニメーションでした。
第3位『天空の城ラピュタ』(1986)
少女・シータは政府の特務機関に捕まり、飛行船で輸送されていた。海賊ドーラー一家の襲撃を受ける隙に乗じて、逃げ出そうとしたシータは誤って飛行船から落ちてしまう。その頃、鉱山で働く少年パズーは空から何かが降ってくるのを見つける。その何かこそ、飛行船から落ちてしまったシータだったのだ。シータは身につけていた青い石の力で、不思議とゆっくり宙に浮きながら降りてきたのだ。
こうして出会ったシータとパズーは、その青い石を巡る戦いに巻き込まれていく……。
『天空の城ラピュタ』の見どころは?
第3位に選ばれたのは、記念すべきスタジオジブリ製作長編アニメーションの第1弾『天空の城ラピュタ』です。この作品から、スタジオジブリの歴史は始まりました。
長きにわたって親しまれている作品ということもあり、数多くの名言が本作から生まれました。中でも印象的な悪役として登場するムスカ大佐は、ジブリ作品の中でも特に人気の高いキャラクター。「人がゴミのようだ」「3分間待ってやる」などついつい真似したくなるあのセリフを生み出したのも、本作のムスカ大佐です。
宮崎駿の手がけたTVアニメシリーズ『未来少年コナン』には、レプカというムスカと類似したキャラクターが登場するのですが、実は彼もムスカの末裔であるという裏設定が存在していることでも知られています。
第2位『もののけ姫』(1997)
中世日本。青年・アシタカは村に襲い来るタタリ神をくい止めることに成功したものの、その代償として右腕に死の呪いを受けることになってしまう。呪いを解くための方法を見つけるため、アシタカはタタリ神のやってきた方角へ旅立っていく。
その旅の先。アシタカは山犬に育てられた人間の娘・サンや、タタラ場を治める女性・エボシたちと遭遇する。鉄を作るために自然を破壊する人間と、それに争う自然の生き物たちとの戦いに、アシタカも巻き込まれていくのだった……。
『もののけ姫』の見どころは?
第2位に選ばれたのは、1997年に大ヒットを果たした宮崎駿監督の『もののけ姫』です。『千と千尋の神隠し』以前は、本作が邦画の歴代興行収入1位の作品でした。(のちに『ハウルの動く城』や『君の名は。』などもこの記録を抜いていきます。)
『もののけ姫』の見どころは、なんといってもその作画の緻密さです。タタリ神のような細かい造形のキャラクターは今であれば3DCGなどを活用するものですが、一部でこそ取り入れられているものの、『もののけ姫』ではそのほとんどを圧倒的な作画枚数で一枚一枚描ききっています。
当時はまさに3DCGという手法が一般的になる過渡期。かつてアニメーション製作現場で当たり前のように使われていたセル画と絵の具も使われなくなり始めた頃でした。そのため、セル画を用いたスタジオジブリ長編作品としては『もののけ姫』が最後となりました。前時代のアニメーション技術の産物という意味でも、貴重な映画なのですね。
第1位『千と千尋の神隠し』(2001)
10歳の少女・千尋は両親と共に、車で引越し先へ向かっていた。その途中、森の中に一つのトンネルを発見する。不安がる千尋をよそに両親は、トンネルの先へ進んでいってしまう。しぶしぶ後を追う千尋だったが、トンネルを抜けた先には、見慣れない街並みが広がっていた。そんな街の飲食店で食事を始めてしまう両親。いうことを聞いてくれないので、千尋は一人で街を探索することに。そうして日が暮れる頃、街に明かりが灯り、街には不思議な生き物たちが現れ始める。そこは八百万の神々の住む世界だったのだ……。
『千と千尋の神隠し』の見どころは?
栄えある第1位に選ばれたのは、宮崎駿監督作最大のヒット作にして、日本の映画の歴史においてもトップの興行成績を収めた『千と千尋の神隠し』です。その興行成績は、日本の映画興行でも唯一無二の300億円以上を記録しています。
『千と千尋の神隠し』の見所といえば、特徴的な姿をした神々を始めとした、登場キャラクターの数々。龍に変身することができるハク、異常に顔の巨大な老婆の湯婆婆、蜘蛛のような体形の老人の釜爺、そして湯屋に大事件を起こす謎の存在カオナシなど、脇役に到るまで面白い見た目のキャラクターが目白押しとなっています。
実は、作中で名前が明らかにならない神々にも名前があります。巨大な大根のような見た目で赤い盃のような帽子を被っているのが“おしら様”。不思議な模様のお面(実は春日大社の舞で用いられる)を着け平安貴族のような帽子を被っているのが“春日様”。出番こそ少ないものの強烈な印象を残していくひよこのような見た目で大量にお風呂を占領しているのが“オオトリ様”です。『千と千尋の神隠し』はその不思議なキャラクターを眺めているだけでも楽しい作品ですよね。
以上が特に人気の高いスタジオジブリ作品でした。
今回は上位5作品を宮崎駿監督作品が占める結果となりましたが、ジブリ作品ではこの他にも多くの作品が存在するのは、多くの人が知るとおり。自分のお気に入り作品が今回のランキングに入っていなかったという人も、ぜひ、自分のベストジブリ作品の支持を声に出していきましょう。もしかすると、後世にはこのランキングの順位を動かしている作品になっているかも!?
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※2020年8月21日時点の情報です。