アメリカ映画の巨匠クリント・イーストウッドは監督、主演も務めながらアメリカを舞台に様々な人間ドラマや社会の問題を描いてきた映画人。アカデミー賞も多数受賞し名作の多いイーストウッド作品ですが、今回は特にオススメの10作品を紹介します。
『センチメンタル・アドベンチャー』（1982）
しがないカントリー・シンガーのレッド（クリント・イーストウッド）は、夢見たカントリー・ミュージックの殿堂、グランド・オール・オープリーのオーディションに誘われる。レッドは最後に一花咲かせようと、甥のホイット（カイル・イーストウッド）と共に会場のナッシュビルへ向かう。
大恐慌時代を背景に送るイーストウッドの音楽愛に満ちたロードムービー。イーストウッドの長男・カイルとの共演も見所。
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『許されざる者』（1992）
1870年代のアメリカ・ワイオミング。かつて悪名で名を馳せていたウィリアム・マニー（クリント・イーストウッド）は、今は銃を置き平穏に暮らしていた。そこに若いガンマンが現れ賞金稼ぎの話を持ちかける。マニーはかつての相棒を加え追跡の旅に出るが、保安官による暴力が及んでいき……。
自身がマニーの年齢になって演じるまで脚本を温めていたイーストウッド渾身の作品。『荒野の用心棒』から西部劇を演じてきたイーストウッドにとって西部劇の集大成である最高傑作。アカデミー作品賞を始め4部門を受賞した。
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『パーフェクト ワールド』（1993）
1963年、アメリカ・テキサス州。刑務所を脱走したブッチ・ヘインズ（ケヴィン・コスナー）は、8歳の少年フィリップ（T・J・ローサー）を人質に連れ逃亡していた。次第に2人は心を通わせていき、共に完璧な楽園“パーフェクト・ワールド”を目指す。
犯罪者と少年の心の絆を描く感動作。イーストウッドは主人公を追い詰める警察署長役として登場しており、コスナーとイーストウッドのスターの対立も見所。
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『マディソン郡の橋』（1995）
アイオワ州の田舎で暮らす農場主の妻フランチェスカ（メリル・ストリープ）は、夫と子供が留守の間に出会ったカメラマンのロバート・キンケイド（クリント・イーストウッド）と惹かれ合っていく。ここで2人にとって永遠の4日間が始まるのだった。
世界的ベストセラーとなった同名の恋愛小説を映画化。イーストウッドが製作・監督・主演を務め、不倫がテーマにしては美しく初々しいラブストーリーとなっている。
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『ミスティック・リバー』（2003）
幼なじみの3人の少年は、1人が誘拐されたことをきっかけに疎遠になっていた。しかし25年後、ある殺人事件をきっかけに被害者の父、容疑者、刑事として3人は再会する。捜査が進む中、容疑者の疑惑は深まっていき、被害者の父は運命の場所であるミスティック・リバーへ呼び出す。
イーストウッドが製作・監督・音楽を務め同名のミステリー小説を映画化した重厚なサスペンスドラマ。カメラワークや音楽、演出で人間の闇を描いていく様子はまさにイーストウッドの手腕と言える。
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『ミリオンダラー・ベイビー』（2004）
小さなボクシングジムを営むフランキー（クリント・イーストウッド）の前に、31歳になる女性マギー（ヒラリー・スワンク）が弟子入りを志願するため現れる。断るフランキーだったが、諦めないマギーに根負けしトレーナーを引き受けることになる。マギーはめきめき上達し、世界チャンピオンも目指せるほどに成長。しかし、ある悲劇が彼女を襲う。
アカデミー作品賞を始め4部門を受賞し、イーストウッドの代表作と言っても過言ではない作品。孤独な女性と不器用な老人の中に芽生える愛情、死生観を考えさせられるラストに誰もが心を打たれる。
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『グラン・トリノ』（2008）
一人暮らしの老人ウォルト（クリント・イーストウッド）は、周りの人を近づけさせない頑固者。ある日、ウォルトの隣に住む少年タオ（ビー・ヴァン）がウォルトの愛車「グラン・トリノ」を盗もうとする。そのことをきっかけに2人の交流が始まり、友情が芽生えていく。そんな中、タオは愚かな争いから家族と共に命の危険にさらされる。彼を守るためにウォルターがとった行動は……。
偏屈な老人をイーストウッドが丁寧に演じたことで、少年との交流や少年を守るためにとった行動が観ている者の心を揺さぶる。
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『アメリカン・スナイパー』（2014）
9.11以降のイラク戦争で、米海軍特殊部隊に入隊したクリス（ブラッドリー・クーパー）は高い狙撃の精度で多くの仲間を救いレジェンドとして名を轟かせた。しかし敵にも広く知れ渡り、標的にされてしまう。愛する家族が心配しながら待つ中、戦争は終わることなくクリスを戦場へ向かわせる。
伝説的スナイパーの半生を描く実話を映画化。様々な作品でアメリカの社会をあぶり出してきたイーストウッドだが、今作では9.11以降から負ってきたアメリカの傷をまざまざと描き出す。
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『運び屋』（2018）
90歳のアール・ストーン（クリント・イーストウッド）は家族も顧みず仕事一筋に生きてきたが、商売に失敗し自宅を差し押さえられそうになる。そんな彼に、車で荷物を運ぶだけという一見簡単な仕事を持ちかけられ引き受けるが、それは麻薬を運ぶ「運び屋」の仕事だった。
実話をベースに家族愛とともに描かれるヒューマンドラマ。イーストウッドは90歳近くなり『グラン・トリノ』で俳優は引退したと思われたが、再びスクリーンに戻ってきた。本作はイーストウッドの演技と存在があるからこそこそ成立した映画と言っても過言ではない。
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『リチャード・ジュエル』（2019）
1996年のアトランタ・オリンピック開催中に爆破テロが勃発する。不審なバックを発見し通報した警備員のリチャード･ジュエル（ポール・ウォルター・ハウザー）はテロを防ぎ多くの人命を救う。しかし爆弾の第一発見者であることから容疑者として逮捕されてしまう。弁護士のワトソン・ブライアント（サム・ロックウェル）は、捜査に意を唱え、リチャードを救うため立ち上がる。
実際に起こった爆破テロの真実を描くサスペンスドラマ。無実の罪が簡単に拡散されていく様子は、現代社会でも起こりうる問題として観ている者に問いかける。
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※本記事で紹介する映画は国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks（フィルマークス）」のデータに基づいてセレクトしたものです。
※2020年9月26日時点の情報です。
