【未DVD化】埋もれさせておくにはもったいない!VHSでしか観られない映画19選

劇場未公開作品を愛してやまない田舎人

フレスコの傘

2014年に公開された『VHSテープを巻き戻せ!』がiTunesやAmazonプライム・ビデオなどで配信されるようになりました。

この作品は消えゆくメディアVHSを題材にしたドキュメンタリー映画です。

VHSテープを巻き戻せ!

(C)Imperial Poly Farm Productions

Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】

 

今のご時世、家に居ながらもネットで映画のレンタルができたり、動画配信サービスの充実など本当に便利な環境が整ってきていますよね。しかし未だにDVDやブルーレイが発売せずにVHSでしか観ることのできない作品は数多く存在するのです。

そこで本記事では、埋もれさせておくにはもったいないVHSのみでしか観られない映画を紹介します。

ワーロック(1989年/原題:WARLOCK)

ワーロック

時は1691年。悪魔と契約を交わした罪で火刑に処されるはずだった魔術師ワーロックは、300年の時を経た現代へと逃げ込むが…。

魔術師ワーロックを英国俳優としてその名を馳せたジュリアン・サンズが演じていますが、長い金髪を黒いリボンで結った貴族的な出で立ちに対し、足元は裸足というマヌケな格好で笑えます。

優男の役も良いですが、こういうヘンな役がどうしようもなく似合ってしまうのがジュリアン・サンズの魅力。むしろこっちの方が得意だったりして? そもそもこの方は意外にも人間ではない役というのが多いんですよね。

ちなみにこのシリーズ、『ザ・ハルマゲドン/ワーロック リターンズ』、『ワーロック/ジ・エンド・オブ・ミレニアム』と続き、3部作となっています(ジュリアン・サンズは2作目まで出演)。海外では人気が高いシリーズで、1994年にはSFC(スーパーファミコン)のゲーム版が発売されています。

いずれも日本ではVHSのみの発売となっているので、筆者としては3作品を集めたBOXを発売して欲しいところ。

モルグ(1994年/原題:NATTEVAGTEN)

病院の死体安置所(モルグ)で夜警のバイトをすることになった大学生の恐怖を描いたデンマーク産ホラー。主演は海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」でお馴染みのニコライ・コスター=ワルドウです。

モルグ内で起きる不可解な出来事に加え、最近巷を騒がしているという連続猟奇殺人事件が絡んでいくのですが、この映画にはホラー映画的なびっくりするような怖さというものがほとんどありません。それでもけっこうドキドキしてしまうのはモルグという建物自体が主役級の活躍を見せているからでしょう。

ユアン・マクレガー主演の『ナイトウォッチ』(1997年)は本作のハリウッドリメイク版ですが、監督がオリジナルと同じオーレ・ボールネダルによるものなのでセルフリメイクといった方が早いかもしれません。

モノクロームの夜(1997年/原題:DREAM FOR AN INSOMNIAC)

フランキーは不眠症に悩む女優の卵。いつの日か理想の王子様に出会い、バラ色の日々を送ることを夢見ているのだが…。

明けない夜がないようにモノクロの夜もいつか明ける。不眠症に苦しみ、夜の闇を彷徨い続けるフランキーの目に映るのは退屈で気だるいモノクロの世界。その世界が理想の王子様に出会った瞬間に色を帯びていく。このモノクロからカラーへと切り替わる演出がなかなか洒落ていておもしろいです。

無名時代のジェニファー・アニストンがフランキーの親友役として出演している点もお見逃しなく!

ミス・ファイヤークラッカー(1989年/MISS FIRECRACKER)

ミス・ファイヤークラッカー

アメリカ南部の田舎町ヤズー・シティで毎年開催されるミスコン、ミス・ファイヤークラッカーで優勝を目指す女性の姿を描いた作品です。

年齢制限ギリギリでミスコンに初参戦するカーネルは、髪を真っ赤に染めたりなんかしている少しクレイジーな女性。おまけに感情の浮き沈みも激しいため、町の人間からは厄介者扱いを受けています。そんなカーネルがミスコンで堂々と披露するタップダンスのシーンが本当に素晴らしい!

カーネルを演じたホリー・ハンターはとりたてて美人というわけでもなく、アメリカ人にしては小柄ですし一見地味な印象を受けますが、彼女の演技はいつもパワフル。本作でのカーネルという役も例外ではなく、あの小さな体から放たれるエネルギッシュな雰囲気は圧巻の一言です。彼女の力強い演技に誰しもが元気をもらえることと思います。

ミラクル・マイル(1988年/原題:MIRACLE MILE)

公衆電話からかかってきた間違い電話を偶然にも受け取った青年は、電話口から50分後に核ミサイルの秒読みが始められ、核戦争が始まってしまうと告げられる。パニックムービーの隠れに隠れた名作です。

ミサイル発射まで時間がないのにモタモタする主人公に、イライラすると同時にとてつもない緊迫感が襲いかかります。早くしないと! と思わず画面に向かって叫びたくなる状況なのに、それを嘲笑うかのようにちらちらと目につく時間表示が、さらに過度の焦りと緊張を生み出しているのです。

映画そのものよりもドイツの音楽グループであるタンジェリン・ドリームが手掛けたサントラの方が有名ですし、廃盤となっているVHSよりCDの方が入手も容易であるため、知名度の低さが仇となっているなんとも不運な作品。サントラは知っているけれど映画は…という人は実際多そうです。

かくいう筆者もサントラを買って同名映画があると知った1人なんですけどね。

マッシュルーム(1995年/原題:MUSHROOMS)

それぞれ夫を亡くし、流行らない下宿屋と万引きで生活を養っている2人の老女。そこに凶悪な犯罪者の男が下宿屋に居ついてしまい、さらにその男を追いかけるベテラン巡査部長ハリーも彼女たちの下宿に住み着いてしまうというストーリー。

ヒッチコックの『ハリーの災難』(1955年)とフランク・キャプラの『毒薬と老嬢』(1944年)を足したような作品で、それにカニバリズムの要素をミックスさせたような話ですが、描写としては生易しいので構えて観るような作品ではありません。しかし逆にいえば想像力が豊かな人にとっては料理シーンなどのエグさに吐き気を催すかも?

ジュリア・ブレイクリネット・カラン両者が演じる老女フローとミニーの存在感もすごい。1人だけでも凄まじいのに2人揃うと倍ですからね。

運転免許証(1988年/原題:LICENSE TO DRIVE)

愛しのメルセデスちゃんとのカー・デートを夢見るレスだったが、なんと運転免許試験に落ちてしまう。格好のつかないレスは無免許運転でキャデラックに乗り込む…。

Wコリーこと、コリー・ハイムコリー・フェルドマンが顔を揃えた青春コメディです。

始めから終わりまで主人公レスのお馬鹿具合が光るコメディですが、自動車学校の鬼教官が出てくるという点においては、かつて自動車学校に通ったことがある人間には懐かしく感じられる部分が少なからずあるのではないでしょうか。

筆者もかなり厳しい鬼教官が担当で当時は泣きながら自動車学校に通ったものですが、今思えばその人のおかげで毎日車に乗っているにも関わらず無事故・無違反。いやはやありがたいものです。

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ボクシング・ヘレナ(1993年/原題:BOXING HELENA)

母親からの愛に恵まれず育ったため、女性を愛することを極端に恐れている青年医師のニックは、かつて一度だけ関係を持った魔性の女ヘレナと再会する。いつしかニックはヘレナを所有したいという願望が沸き立つようになり、ついには彼女の四肢を切断し自宅に監禁してしまう。

ボクシング・ヘレナのボクシングは箱詰めという意味なので、直訳すると箱詰めヘレナというタイトルになります。マドンナ、キム・ベイシンガーがその過激な内容から相次いでヘレナ役を降板したという曰く付きの作品で、デヴィッド・リンチの娘ジェニファー・リンチの監督作品です。

降板した2人に替わってヘレナを演じたシェリリン・フェンは魔性の女と呼ぶに相応しい容姿で、氷のような冷ややかさと相手を燃え上がらせる性的な魅力に溢れています。火と水は相容れぬ存在なのに彼女の中にはそれが上手く共存していて、恍惚感すら覚えるのです。

あからさまな官能シーンもありますが、ニックが四肢を失ったヘレナの髪を櫛で梳かしたり、化粧を施したりするシーンなど、一見なんちゃないシーンの方がより官能的に思える。こういう一見するとどうでもいいような描写を疎かにしないというのは女性監督ならではの目線なのかも知れません。

バーグラント(1992年/THE VAGRANT)

貯金をはたいて夢のマイホームを手に入れたグラハムだったが、移り住んだその日から近所に居座っているバーグラント(浮浪者)が家を出入りするようになり…。

主人公のグラハムはマイホームを購入しただけなのに謎の浮浪者から常に狙われ、ついには殺人容疑までかけられることになるのですが。不条理さを感じつつも、やはり他人の不幸ほど愉快なものはないと思えるとことんブラックなホラーコメディです。

コメディ映画の巨匠メル・ブルックスが関わっているだけあって笑いのツボがしっかりと押さえられている点も、この作品に深みを与えています。

またグラハムを演じたビル・パクストンの自虐的とも思える演技が素晴らしく、こういう軟弱で思わず同情してしまうような役が本当に上手いんですよね。

死体を積んで(1982年/原題:INVITATION AU VOYAGE)

突然の事故死で恋人を失った男は、一糸まとわぬ彼女の死体をベースケースに入れ、車を走らせる。彼女の死を受け入ることができずにいるこの男(ルシアン)と死んだ女(ニナ)は双子であった…。

かなりクセのあるフランス産ロードムービー。全体を覆う妙な雰囲気は車に死体を乗せているからなのか、それとも…?

死体を積んだ車は様々な人々を乗せながら物語を進めていく。この何気ない出逢いのエピソードは主人公ルシアンが自分自身のアイデンティティーを捨てる喪失への旅路だったのかもしれない。そう気付くと途端にそこまでの過程が愛しく感じられます。

それが酷く滑稽でも、これを切ない愛の形と人は呼ぶのでしょう。邦題は妙におどろおどろしい感じですが、フランス映画らしい愛に対するひとつの形を描いた作品です。

FLIRT フラート(1995年/原題:FLIRT)

ニューヨーク、ベルリン、東京…3つの都市を舞台に起きる恋物語。

言語は違えど皆同じ台詞を話し、構成も大まかな筋は共通していますが、微妙に変化が生じていくという点においてはかなり実験的な作品。公衆電話の女、段々酷くなる銃創など細かい部分の変化に気付くとより一層楽しめるかと思います。

余談ですが東京編で主役を演じた二階堂美穂は、本作の監督ハル・ハートリー(東京編にも出演)の奥様です。ニューヨーク編ではビル・セイジマーティン・ドノヴァンといったハートリー作品常連の俳優たちもお目見えし、東京編ではいずれもチョイ役ではありますが永瀬正敏藤田朋子松重豊といった俳優陣が出演しています。

ハル・ハートリーの作品はインディペンデント映画ゆえに今までなかなかDVDのソフト化に恵まれず、鑑賞する手段がプレミア価格のついたVHSだけという状態が長く続いていました。

しかし2014年6月に『シンプルメン』、『愛・アマチュア』、『アンビリーバブル・トゥルース』、『はなしかわって』の4作品が短期間ではあるものの、劇場上映(大都市のみで地方には音沙汰無しでしたが)されたことで、この4作品のみ一挙DVD化されています。本作はもちろん、『ヘンリー・フール』、『トラスト・ミー』の国内版DVDの発売も切に願うところであります。

ボディ・クッキング 母体蘇生(1993年/原題:BON APPETIT MAMA)

愛する母親を亡くし気落ちした生活を送るエドは、母との思い出の残る家で叔父のベニーと暮らしている。そんなある日、命を蘇らせるセールスマン、パトルがエドのもとに現れ母親を蘇らせないかと持ちかける。

大好きなママが蘇り、大喜びのエド坊やでしたが、外見こそ昔のまま蘇ったママはどこかがおかしい…。生き続けるためにゴキブリをむしゃむしゃと頬張り、冷蔵庫の中に入り込むわ、チェーンソーは振り回すわ、芝刈機を乗り回すわ…あれ?なんだかこれヤバくない…?という話です。

マザコン青年エドを演じたスティーヴ・ブシェミのアクの強さは折り紙つきですが、ネッド・ビーティジョン・グローヴァーミリアム・マーゴリーズといった名バイブレーヤーたちが脇をしっかりと(それはもうしっかりと)固めているのでとんでもないことになっています。このこってりとした役者たちのアンサンブルを余すことなく楽しみたい作品です。

ちなみにこの蘇生事業、日本では新型を開発中という設定だそうですよ…。

ドレス(1996年/原題:DE JURK)

ドレス

タイトルの通り、着た人に不幸をもたらす呪われた青いドレスが主役。

はじまりは2組のカップル。老夫婦と若い恋人たち。どうやらどちらも男の方がクズらしく、女は家を出ていく。恋人に愛想を尽かされたデザイナーの男は隣に住むインド人女性が着ている服の模様にインスピレーションを受けて、魚の骨のようにも見える葉っぱをキャンバスに描いていく。その模様は衣装デザイナーによってサマードレスへと生まれ変わり、大量生産される。

このドレスの誕生に関わっているのはほとんどが男で女は仕立ての時だけ。よって男の欲望が色濃く残っているためか、男たちはドレスの誘惑に誘われるかのように性的に興奮している。

不幸のドレスは持ち主を選ぶかのように次々と代わっていき、その誰しもが必ず酷い目に遭う

一端の大人たちがドレス一着に振り回される姿は馬鹿馬鹿しさを通り越し呆れ果ててしまいますが、一風変わったブラックコメディに仕上がっています。

ブラッディ・バースデイ 天使の顔をした悪魔の子供たち(1980年/原題:BLOODY BIRTHDAY)

アメリカの田舎町で皆既月食の際中にカーティス、デビー、スティーブンの3人の子供たちが同時に生まれた。彼らはその10年後、町の住人たちを見境なく殺していく悪魔へと変貌する…。

悪魔のような子供たちを描いた作品です。80年代特有の古臭い雰囲気はありますが、のっけから保安官である父親を殴り殺したり、姉を弓矢で射って殺したりと紅一点のデビーのおぞましさがとにかく際立っています。彼らはなにかのゲームやままごとのように身近な人間たちを殺していくのです。

また、劇中に「皆既月食の日に子供が生まれることはあり得ない」とか、「月が欠けている日に生まれた子供故に何かしらが欠けた状態」という台詞がありますが、むしろこのことが3人の絆をより一層強くしているのだと思います。

セレブレーション(1998年/原題:FESTEN)

とある一家の還暦を迎えた父親の祝宴の場。家族や親戚が大勢集まり、晴れやかな舞台になるはずであった。しかし息子の1人がスピーチの際に父親が過去に犯した赦されざる罪を告白したことで祝宴はめちゃくちゃになってしまい

ドグマ95プロジェクト、記念すべき第一弾作品。ドグマ95とはデンマークにおける映画運動の呼称で「純潔の誓い」という独自のルールに則って製作された映画のことです。

手持ちカメラでの映像はリアルなホームビデオを観ているかのようで、それと同時になんだか観てはいけないものを覗き見しているような気分に陥ってしまいます。 その結果えも言われぬ臨場感と狂った家族たちがそれぞれ抱える永年癒えることのない痛みが、画面を通り越して鑑賞者に深く突き刺さるのです。

また監督のトマス・ヴィンターベアが何故このような話を作ろうと思ったのか、『セレブレーション』誕生の秘話を語ったラジオドキュメンタリーなるものがデンマークの放送局で作られていたそうですが、実話をベースに作ったが、後にそれが作り話であったことなどは大変興味深い話です。

やはり曰く付きのものというのは人を引き寄せる強い力があるのかも知れません。

ホーム・フォー・ザ・ホリデイ(1995年/原題:HOME FOR THE HOLIDAYS)

ホーム・フォー・ザ・ホリデイ

感謝祭を過ごすため、故郷の家に集まった一組の家族。全員が揃った食事の席で楽しいひとときがはじまるのかと思いきや、ある者は失業を暴露し、ある者はゲイをカミングアウト…さらには一家の大黒柱である父親の女性遍歴などが次々に吐き出されていく。

これぞまさしくアメリカ版『セレブレーション』。アクの強さは『セレブレーション』に軍配が上がりますが、こちらもなかなかです…。

まず配役が完成されたパズルのようにぴったりとはまっていて、両親役がアン・バンクロフトチャールズ・ダーニングという時点で、あ、これは一筋縄ではいかないだろうなと思わせます。ホリー・ハンターディラン・マクダーモットのやり取りや、ロバート・ダウニー・Jr演じる悪ガキがそのまま大人になったとしか言いようがないいたずらっ子な役も良いです。

本作の監督を務めたのはなんと女優のジョディ・フォスター。彼女の手によって緻密に映し出される変人たちが織り成すエピソードはどこかおかしくて、だけどその強がる姿がなぜか切ない…。昔撮ったホームビデオを眺める父親が「まるで道化だ」と言ったり、「家族でなきゃここまで罵りあえない」という台詞がいつまでも印象に残ります。

最高の恋人(1993年./原題:MR. WONDERFUL)

別れた妻リーへの慰謝料で悩んでいる電気技師のガスは、慰謝料から逃れるためリーに最高の恋人を見つけようと奔走する、ニューヨークを舞台にしたロマコメ。

上品さを醸し出しておきながらも嫌味はなく、ウィットに富んだ雰囲気が楽しめる作風になっています。

冴えない電気技師ガスを演じるのはマット・ディロン。このガスという役はその辺にいる労働者の役ですが、演じているマット・ディロンの出身がニューヨークということもあり、かなり素の部分が出ているように思えるのです。

かつて映画雑誌Cutで自身が表紙を飾った号の特集ページには

マット・ディロンに会いたければNYのダウンタウンを徘徊すればいい

という一文が載っているほどですから、本作での役は自身に溶け込んだところがあるのでしょう。隣のアンちゃん風な雰囲気が魅力的です。

パップス(1999年/原題:PUPS)

スティービーとガールフレンドのロッキーは偶然手にした拳銃で流れるまま銀行強盗をしてしまう。彼らはともに13歳の少年少女。銃社会が生んだ矛盾、まともに呼吸すら出来ないこの世の中でローティーンたちが抱える行き場のない感情はやがて衝動的な暴力へと変わっていく…。

犯罪を犯した理由が「ただなんとなく」とか「殺すのは誰でもよかった」、「人を殺してみたかった」というのが一番恐ろしいですが、こういう事件が実際に起こっているという現実を描いています。

暗くて重い題材ではありますが、そんな中でもミーシャ・バートンのかわいさに癒されるのが唯一の救いです。

それから本作がレオナルド・ディカプリオの義兄アダム・ファラーの映画デビュー作であるということも忘れてはいけません。初出演ながらかなり印象に残る役を演じていますが、残念ながらその後は映画出演をしていないようです。

製作総指揮には『その男、凶暴につき』、『ソナチネ』など北野作品でお馴染み奥山和由の名前がクレジットされています。

暴力ハイスクール!/ブラック・コブラ(1986年/原題:3: 15, THE MOMENT OF TRUTH)

悪名高い不良グループ「コブラ」の一員だったジェフは堅気に戻ろうとグループを抜けるが、かつての仲間から裏切り者の汚名を着せられ様々な嫌がらせを受けるようになる。ジェフはたった一人で「コブラ」との対決に挑むのだが…。

80年代の青春アクションもの。アクションやストーリー自体に派手さはなく最後まで地味な作風ではありますが、主人公ジェフを演じたアダム・ボールドウィンの魅力がギュッ! と詰まった作品です。

アダム・ボールドウィンはどうしてこうも孤高という文字が似合うのでしょうか。彼の極限までに研ぎ澄まされた鋭い雰囲気は立っているだけでもかっこいいのです。

マイ・ボディガード』(1980年)もアダム・ボールドウィンの魅力が堪能できる作品になっているのでこちらも併せておすすめしておきます。

消えゆくメディア、VHS

VHS

今年の7月には、国内で唯一ビデオデッキを生産していた船井電機が生産を終了するというニュースが話題になりました。

時代の流れと共に消失していくメディアはこれからどんどん増えるのでしょう。まさしくVHSは消えゆくメディアになろうとしています。こうして忘れられていく傑作たちがあまりにも多く存在するというのは本当に悲しいことです。

と言っても都会の方ではレンタル店などでまだVHSを取り扱っている店舗もあるそうですから、今回紹介した作品の中で気になったものがあればぜひチェックしてみて下さい。

そんなこと言われてもデッキ本体がないよ~という方も多いかと思います。少数ですがデッキ本体をレンタルできるサイトも探せばあるようなので、完全に手段が途絶えたわけではなさそうです。

VHSというメディアが完全に失われる前に、一度VHSテープを巻き戻してみてはいかがでしょうか。

※2020年11月27日時点のVOD配信情報です。

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  • ふみぃぃeeeee
    4
    これがU-NEXTにあるのおもろいな。 映画オタクたちのVHS愛が止まらない。 内容的にめちゃくちゃ興味深い。 何かしらオタク気質のある人間には堪らないものがあると思う。 VHSの登場による映画界への影響、VHS対ベータ、AV業界への波及、東映Vシネマの誕生、レンタルビデオの繁栄、巻き戻しボタン、VHS撮影、ホームビデオ、映画保存の重要性。 ビデオを観ていて、画面に筋が出てきてしまう理由の解説で笑ってしまった。 映画選びの基準をフォーマットにしていると生涯楽しめる作品との出会いが妨げられてしまうっていうのは確かにと思った。 サブスク全盛の今の時代に観て良かった。 デジタルはいつ消えるか分からないからこそ、自分の人生に影響を与えた映画等はソフトとして持っておきたい。 [2023年 237本目]
  • ノリシゲ
    3.3
    VHSテープを使っていた自分には懐かしさがいっぱい。 映画に限らずエクササイズビデオやAVやVシネマまで幅広く取り上げているし、日本には入ってきてない知らない映画も映ってて意外と面白った。 2023-759 Nov-89
  • arch
    4
    この映画が作られた当時も、そして現在は更に悪化しているだろうフィジカルの衰退。VHSコレクター達の映画愛、そしてメディア形態を選ぶ自由に熱く語られたドキュメンタリーだった。 ちゃんと観ると一人一人の意見が嵌合してない部分もあり、一括りには語りづらい部分もある。特に物理メディアでありながらも、VHSの直接的な衰退の原因となったDVDやブルーレイを敵視する人としない人のグラデーションがあり、今ではまた違った"色"になっていると思う。 未だにVHSでしか見れない作品があり、VHSがなくなることで消えていく作品がある。配信にある映画だけが「世界にある映画」という認識が無意識的に拡大する昨今で、配信側或いは配給側が「見られる映画」をコントロール出来るという部分への視座を通して、購買の自由(つまり、買ってしまえば所有出来る自由)について考察しているのも興味深い。今や金を払っていたとしても奪われる可能性があるのだから。 海賊版やなんやらでかなりグレーな時代の話なので、単にノスタルジックに回顧しているだけだと、そこは今の方が造り手にとっては改善されたはずなので、ちょっと違う気もするので注意が必要だが、ともかく、自分もアナログ至上主義的な人間なので、彼らの固執してタトゥー彫っちゃう気持ちは痛いほどに分かる。 また本作はVHSを見る側だけでなく、造り手側にも視座を向けていてそこも面白いところ。VHS登場により映画の研究がしやすくなった、素人がより参入しやすくなったという背景もあり、VHS時代だからこその映画クリエイターがいた(いる)ことも忘れないようにしたい。 デヴィッド・ネルソンの言葉、しかと受け止めます。
  • YLxx
    3.7
    どの界隈でどの世界のオタクであろうと本質は変わらない。アーカイブされることされてしまうこと。永遠とは終わりがあると知っているからこそ求めたがるもの、本当の永遠なんてだれもいらない。
  • 猫脳髄
    3.7
    1976年からおおむね2006年にかけてのヴィデオ全盛期の回顧とその意義、そして現在でもVHSテープを買い集めるフリークたちの熱狂を収めたドキュメンタリー。 2023年現在、本作でも予言されたとおり、映像作品はサブスクリプションによるウェブ配信が主流となった。わが国でも物理メディアのレンタル大手が次つぎに店舗を閉鎖し、先ごろその旗艦店もレンタルスペースを大幅に縮小する改修工事に入ってしまった。 76年のいわゆる「ヴィデオ革命」は、映像作品(特に映画)の流通形態を大きく変化させるとともに、撮影の簡素化による映画製作者の爆発的な増加という「民主化」をもたらした。ポルノを先駆けに、低予算映画にとっての黄金期が到来した。裾野が広がったことで無数のトラッシュがはびこった一方で、数かずのマスターピースも誕生している。VHSの「巻き戻し」で映画編集の技術を学んだという発言もある。 ヴィデオ革命の震源地になったわが国でも、「Vシネ」と呼ばれるヴィデオ専用の新たなジャンルが生まれた。パッケージイラストを先に考案し、ウケた作品を製作すると言うアベコベな順序もヴィデオ文化ならではと言える。また、コピーを重ねた「海賊版」に代表される独自流通の発展も興味深い。マニア間の交換やさながら密造酒のようなやり取りは、それだけで楽しみを生んだことだろうと想像される。何とも豊饒な時代である。 しかし、作中で警鐘が鳴らされたように、物理メディアからウェブ配信に移行したことで、逆に流通の制限、売り手側の管理が強まってしまった。動画共有プラットフォームも著作権にはシビアである。権利の遵守と自由な流通による創造力の醸成はトレードオフであり、なかなか悩ましい。 さらに、ヴィデオからDVD/Blu-Rayへと物理媒体が進展していくなかで、当然零れ落ちていく作品も多い。コレクターたちはその取りこぼしを求めてヴィデオをかき集めるが、テープの耐用年数(30年ほどだそうだ)がどんどん追い打ちをかけていることは大いに懸念される。豊饒な文化がそれこそ過去のものになってしまわないように何ができるか。いち映画ファンとして考え込んでしまう。
VHSテープを巻き戻せ!
のレビュー(1035件)