【映像×音楽】ノア・バームバック監督4作品と音楽の素敵な関係

ドイツ在住、ヨーロッパ映画三昧!

Chihiro

いい映画に欠かせないのが、音楽という存在。2010年代に入り、ミュージシャンがサウンドトラックのスコアが手掛けたり、その時代のミュージックシーンの流行を押さえた楽曲や、今もなお聞き継がれる古き良きロックミュージックなどを劇中に使用する作品が増えました。

その先駆者のひとりでもあるノア・バームバック監督。彼はこれまでにポール・マッカートニーやデヴィッド・ボウイなど1960年代から活躍しているレジェンドの楽曲を中心に、その年代に合わせた選曲を織り交ぜて、映像と音楽を融合させてきました。

7月より公開中の最新監督作『ヤング・アダルト・ニューヨーク』では、同じアメリカ出身のミュージシャン、元LCDサウンドシステムのジェームス・マーフィーが音楽を担当しています。今回はそんな音楽にもこだわりを持つノア・バームバック監督の作品を、“映像×音楽”の視点からピックアップします。

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(C)2014 InterActiveCorp Films, LLC.

1.『イカとクジラ』(2006年公開)

イカとクジラ

作家としてなかなか芽が出ない大学教授の父と、有名雑誌に寄稿する母を持ちウォルトと弟のフランク。ある日、両親から離婚することを告げられ、ふたりは父と母の家を行き来する生活を余儀なくされて……。

ノア・バームバック監督の実体験がベースとなった本作は、両親の離婚をきっかけに気持ちがバラバラになっていく家族の姿がアイロニックに上げかれています。中でもジェシー・アイゼンバーグ演じるウォルトが、ピンク・フロイドの「Hey You」を弾き語るシーンは印象的。「一緒だったら頑張れるけど、別れてしまったら終わりだ」という哀愁漂う歌詞の一説が、ウォルトの心情とマッチしていて、楽曲選びのセンスがうかがえます

ちなみにサントラには1980年代後半~90年代前半に活動していたバンド、ギャラクシー500のボーカル、ディーン・ウェアハムのバージョンが収録されています。

おすすめ楽曲/Pink Floyd 「Hey You」

2.『ベン・スティラーの人生は最悪だ!』(日本未公開)

夢破れ、定職にもつかずその日暮らしをしている40代の男性、ロジャー・グリーンバーグが、ひとりの女性との出会いをきっかけに幸せを見出す姿を描いた作品。ちなみに本作日本未公開作品でしたが、2016年よりオンデマンドでの視聴が可能になりました。

人生の岐路に立たされた中年男性を『ヤング・アダルト・ニューヨーク』にも出演しているベン・スティラーが、ロジャーが心惹かれる女性、フローレンスを『フランシス・ハ』のグレタ・ガーウィグが演じています。また、本作のスコアを担当したのが、『ヤング・アダルト・ニューヨーク』で再びタッグを組むことになる元LCDサウンドシステムのジェームス・マーフィー。

サントラにはジェームス・マーフィー名義の楽曲のほか、アルバート・ハモンドやデュラン・デュラン、ソニックスなどオールディーズな楽曲も収録されています。

残念ながらサントラには収録されていませんが、予告編で使用されているLCDサウンドシステムの名曲「All My Friends」は、心が駆け上がるようなアップテンポのサウンドが、徐々に生きる楽しみを見出し始めるロジャーの心情にシンクロしています。サントラと併せてチェックしてみてください。

おすすめ楽曲/LCD Soundsystem 「All My Friends」

3.『フランシス・ハ』(2014年公開)

フランシス・ハ

(C)Pine District, LLC.

モダンダンサーになることを夢見るフランシスが、親友の結婚をきっかけに、夢に友情に人生に奮闘する姿を描いたガールズ青春ムービー。ノア・バームバック監督のガールフレンドである女優のグレタ・ガーウィグが、大人になりきれないアラサー女子を演じています。

本作の主題歌は、監督がこれでにも何度が楽曲を起用してきたデヴィッド・ボウイの「Modern Love」。友達が結婚しようと、彼氏と別れようと、現実が厳しかろうとお構いなしに自分らしさを貫くフランシスの凛とした姿と、常に新たなことにチャレンジし続け長きにわたって音楽シーンに影響を与えてきたレジェンド、デヴィッド・ボウイの姿が重なります。

劇中ではフランシスがモダンダンスを踊りながら颯爽と街中を駆け回るシーンに使用されていて、疾走感溢れるサウンドともマッチ。そのほかにもモノクロ映画のレトロな雰囲気がしっくりくるTレックスやポール・マッカートニーら古き良き楽曲がサントラには収録されています

おすすめ楽曲/David Bowie「Modern Love」

4.『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(2016年公開)

ヤング・アダルト・ニューヨーク

(C)2014 InterActiveCorp Films, LLC.

ベン・スティラーとナオミ・ワッツ演じる“フォーエバー・ヤング”のつもりでいる40代カップルと、アダム・ドライバーアマンダ・セイフライド演じる成功を夢見る20代カップル。

そんな親子ほど年の離れた4人がジェネレーションギャップを感じながらも友情を育んでいくハートフルコメディ。

本作では『グリーンバーグ』から2度目のタッグを組んだジェームス・マーフィーがスコアを手掛けています。サントラにはライオネル・リッチーやデヴィッド・ボウイといったオールディーズな楽曲から、ハイムやジェームス・マーフィーによる楽曲まで幅広い世代を縦横無尽に渡り歩くような選曲で映画の世界を表現

おすすめ楽曲/HAIM「Falling」※原曲バージョン

映画のシーンと一緒に音楽も楽しもう!

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(C)2014 InterActiveCorp Films, LLC.

オールディーズから最新の音楽シーンまで、映像の世界観に合わせた音楽をセレクトするノア・バームバック監督。特にロックミュージック好きにはたまらない楽曲の数々が使用されているので、映画のシーンごとに音楽も一緒に楽しめるはず。最新作『ヤング・アダルト・ニューヨーク』をチェックするとともに、ぜひ、映像の背景に流れる楽曲にも耳を傾けてみてください。

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    #85
  • とこちゃん
    2.7
    記録 鑑賞時期、公開直後映画館で。
  • hina
    -
    テンポが良い、音楽もいい ウディアレンみがあった
  • 竜平
    4
    とある40代夫婦が出会う20代夫婦。やがて変化していくそれぞれの夫婦模様と巻き起こる騒動。コメディタッチのヒューマンドラマ。 ドキュメンタリー映画監督役のベン・スティラーにその妻役のナオミ・ワッツ、映画監督を志望する青年役のアダム・ドライバーにその妻役のアマンダ・セイフライド。このキャストたちの味のある演技が光りまくる。それぞれの人生設計や現在進行形の問題などが絡みつつの、これぞジェネレーションギャップと言える内容。年配から見た若者の姿、そこに宿るパワーとかまだ擦れてない感性とか、こういったものには年々引け目を感じるようになってる、ってのは個人的な話ね。そんなこんなで劇中の40代の二人はなんというか世間にあまり流されず自由に生きてる夫婦。年齢なんてのは関係ないはずなんだけど、でもそこには環境とか同年代からの目線とかも確実にあって、その様というのがなんとも世知辛い。片や20代の二人、とくに夫の方は何やら人生のプランがしっかり見えてて、自由奔放でありながらもなんというか「しっかりしてる感」が漂う夫婦。作品通してのこの対照的な描き方というのがまずおもしろい。人に取り入るのが上手い、けど気取らずそれをサラッとやってのけちゃう人物をアダム・ドライバーが好演。こういう天才肌のような嫉妬の対象のような人、いるいる。 そんな感じでヤング層とアダルト層の間にある感覚のズレ、本人たちが感じる憂いや抱える様々な悩み、何よりそれぞれの在り方というものを克明に映し出しつつ、今作は更にそこにストーリーのおもしろさが掛かる。本物と偽物、プライドや固執といったものと「ドキュメンタリー映画」という劇中での題材の掛け方というのが非常に上手い。これは鑑賞する側の年齢によっても、共感できる部分や否定したくなる部分というのが変わってくる気がする。皮肉っぽさもありつつ、またそれぞれの年代のいいとこわるいとこをとことん描きつつも、なんやかんやで最後にまるっと肯定してくれるような、「まぁ大変だろうけど頑張ろうよ」と言わんばかりの包み込み方よ。ノア・バームバックは毎度本当に良きヒューマンドラマを提供してくれるなぁなんて。 30代の自分からしたら、登場人物たちのちょうど間の世代というのもあってか、どちらの感覚もわかってしまうようなところが多々あって、なんか本当に、いろいろ身につまされる想い。観客側の価値観とか懐の大きさみたいなものも試されてる気がするなこれは、ってのは完ぺき妄想ね。おしまい。
  • けんとき
    2.5
    正直者は馬鹿を見る映画ってことでいいのかな? 最後、会場で映像を流すか、一躍ヒットしたドキュメンタリー映画が全て作り話というドキュメンタリー映画をつくって、成功するようなスカッとする終わり方にしてほしかった。
ヤング・アダルト・ニューヨーク
のレビュー(10022件)