【犬王特集 vol.3】映像・音楽だけじゃない!考察が捗る!?物語のカギを解説

5月28日(土)に劇場公開を迎えた『犬王』。湯浅政明(監督)×野木亜紀子(脚本)×松本大洋(キャラクター原案)×大友良英(音楽)の最強のクリエイター陣、W主演のアヴちゃん(女王蜂)×森山未來のコラボレーションが織りなすエネルギッシュなパフォーマンスや、エモーショナルな物語の虜となった人々も多いことだろう。

今話題の『犬王』が気になる!そんな方々に向けて、Filmarksの『犬王』総力特集の最終回となる第3弾は、ストーリーのカギとなる要素に焦点をあてて解説!ミュージカル・アニメーション『犬王』の魅力に一層ご注目いただきたい。

一つ芸を極めるごとに、犬王の体の部位が変わっていくのはナゼ?

主人公の犬王(声:アヴちゃん)は、猿楽の一座に生まれた“異形の子”。その容姿ゆえに、周囲からは蔑まれ、面で顔を隠し生きてきた。琵琶法師の友魚と出会った犬王はバディとなり、お互いの才能を開花させていく。能楽師として一つ芸を極めるたびに、身体が変化していく犬王の異形の姿は“呪い”によるものだったのだ。

彼が生まれながらにして呪われた理由とは…?ここでは呪いが解ける条件について解説したい。

無念の末にこの世を去った平家の人々の魂の成仏。失われた平家の物語を舞と歌で人々に伝えていくことで、ひとつずつその身にかけられた呪いが解けていくのだ。そしてそれは、犬王自身が運命と向き合い、自分の物語を見つける旅でもあった。すべての呪いが“解呪”され、犬王に訪れる運命とはー。衝撃のフィナーレをしかと見届けていただきたい!

犬王と友魚が歌う歌に込められた意味とは?

呪いを解くカギとなるのは、犬王と友魚が繰り広げる「舞と歌」。これまでになく力強いサウンドとジャンルレスなダンスで、民衆の魂を震わせ、あっという間に心をつかんでいく。「時代劇」の概念を飛び越え、疾走感あふれるロックやラップ、クセになるサウンドをかき鳴らすふたりの姿は、現代を生きる我々観客にも強く訴えかけることだろう。彼らの“ライブ”は、劇中の民衆のごとくリズムに合わせて身体を揺らし、ハンドクラップを送りたくなるほどの臨場感に満ちている。

歌詞にも大注目!犬王の最強のバディであり、唯一の理解者である友魚が歌うのは、犬王自身の物語。友魚は犬王を「諸行無常の恨みを纏い 坊主(わっぱ)にたかるは平家の亡霊 話拾えば一つずつ 呪い解けて人になる 奇妙な宿命」(「犬王 壱」)と喧伝し、前座のように場を盛り上げ、「見届けようぜ!」とオーディエンスを焚きつけるのだ。その後に登場するのは、犬王。平家の激動の物語を歌と舞に乗せ、「平家は滅びたがまだ終わらぬ。この物語を終わらせるものか」(「鯨」)と高らかに歌い上げ、人々に伝えていく。

行き場を失い現世に漂う平家の魂は、ふたりのパフォーマンスによって成仏していく。犬王と友魚の奇抜とも言えるパフォーマンスは、失われた物語を蘇らせるためのアプローチなのだ。アヴちゃん×森山未來の歌声と共に、劇場で体感していただきたい。

犬王は実在の人物だった!憶測飛び交う歴史ミステリー要素も

変幻自在のイマジネーションで描かれた『犬王』のベースとなっているのは室町時代に実在した能楽師・犬王。謎に包まれた彼の人生には、何があったのか?犬王が歴史から消え、世阿弥が現代に繋がる能のメインストリームになった理由とは……?

ミュージカルシーンやバディドラマの熱狂もさることながら、歴史ミステリー的な側面も備えているのが本作の特長。型破りなスタイルで一世を風靡し、民衆からの圧倒的な支持を得た犬王と友魚は、保守的な能楽師や琵琶法師たちにとって無視できない存在へとなっていく。それなのに、現代を生きる我々が犬王の存在をほとんど知らないのはなぜなのか……。

スターダムを駆けあがる犬王と友魚、将軍・足利義満の存在や「三種の神器」「南北朝合一」といったキーワードが絡み合い、物語は圧巻のラストへと疾走していく。犬王と友魚、二人の「名前」にも重要な仕掛けが施されている。

まとめ

超絶作画やイマジネーションあふれる演出の数々、身体の芯に響くサウンド――。『犬王』は視覚・聴覚で受け取るインパクトもさることながら、ドラマに隠された要素にも注目して欲しい。のし上がっていくために闘う人々の美しさや儚さ、互いを認め合える友の尊さなど、現代の私たちも共感せずにはいられない。文字通り時代を“駆けて”輝く傑作なのだ。

◆『犬王』information


上映時間:98分
絶賛公開中配給:アニプレックス、アスミック・エース
公式サイト:https://inuoh-anime.com/
(C)2021 “INU-OH” Film Partners

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    ほぼ女王蜂のライブ
  • ジェイビ
    3
    ロック=熱いハート! そして世間から疎まれる…
  • 時計じかけの甲殻類
    3.5
    たまたま観た回が歌詞字幕付き上映だった。字幕付いてた方が圧倒的に理解しやすそう。途中飽きかけたが、予告でも使われてる竜中将がハイライト。劇中劇はジャニーさんもびっくりの照明と演出。 どんな姿形であれ、犬王が本当に実在していたのかと考えるとわくわくする。
  • ミオ
    -
    ラスト付近の犬王の行動原理がわからなすぎるってところが1番引っ掛かっていた。 いっそ歌と舞の化物ですってことにすると犬王のステージの非現実夢っぽさと、ともなのわりと泥臭くて俗っぽい歌声やパフォーマンスとの対比も出てくるように思える。 弱いものの声を代弁した犬王の謡が精神をロックと共有してるのが最高なのに、ともなが処刑されたあと足利の庇護下でただただ正典の平家を踊ってたんか?花吹雪の中で?ロックどこいった!化けて出て未練あったってことよとか言われてもちょっとカバー出来かねる (実在の犬王の方は調べたら普通に義満のオキニとして生きてたそう)  ↑ここまでが自分ひとりで考えてたことで、後になって友達と話してまた考えた。 盲目のともなとステージをやる犬王って存在は人間になりきれない呪われた子でいることが条件で、全てのハンデを除いた犬王には弱き者の声も聞こえないしロックも必要ないっていう話。 犬王のラストステージでほんとに平家が成仏しきったってことはありえる?って思うしそのあと正典を大人しく踊ってるのは逆にそれしか出来なくなったって方が自然に感じるかも 実際犬王の舞は初期であるほど荒削りで歪な手足だからこそ彼自身から噴き出す謎のパワーがあったし、意地悪な見方しようとすればセットが豪奢になっていくことがその穴埋めかと思えちゃう 義満にともなの処遇を餌に脅されたとき、犬王が見せた苦悶の表情あれが彼の人間性だと思ってわからん分からんと言ってた。けどむしろ権力に阿る選択をしたのは犬王が人間に成り果てたからの結果?犬王はもう弱者ではなくなってしまった。一方ともなの目は治らないし芸術に生きる存在として死んでいったことと比べて考えるとそんな気がしてくる。 あと犬王のステージマイケルジャクソンとかクイーンとかやってるなと思ってたら蓋開けたら顔がボウイか古いジョーカーかって感じだった
  • 3.3
    まずは平家物語から
犬王
のレビュー(10094件)