平野ノラのバブルネタ、登美丘高校ダンス部のバブリー・ダンスなど、近ごろ、バブル期の文化にスポットライトがあたる機会が増えてきています。
また、バブル期を象徴する映画『私をスキーに連れてって』が、公開からJR東日本発足と同じ30周年を迎えた記念として、JR SKISKIのキャンペーンに登場!
バブル文化のブーム……きてます!
そこで、バブル期の作品を今観るとどう感じるのか? 先ほど挙げた『私をスキーに連れてって』を含めた、バブルを代表する映画・ホイチョイ三部作から今とのちがいや共感できるポイントをピックアップしてみたいと思います。
ホイチョイ三部作とは?
バブル期前後に流行を生み出したクリエイターグループ「ホイチョイ・プロダクション(現在はホイチョイ・プロダクションズ)」が原作を担当した、1987年公開の『私をスキーに連れてって』、1989年公開の『彼女が水着にきがえたら』、1991年の『波の数だけ抱きしめて』の3作品のことです。
『私をスキーに連れてって』
スキーに関してはプロ級の腕を持つのに、普段はうだつが上がらない商社マンの矢野(三上博史)。しかも女性にも奥手で、まわりから心配されてばかり。しかし、仲間と行ったゲレンデで優(原田知世)に出会い、ひと目惚れ。それっきりで終わってしまうかと思いきや、自分の会社の秘書課で働く女子だったことがわかり……。
ラブストーリーだけでなく、矢野が関わった仕事のトラブルに巻き込まれ、矢野だけでなく優や仲間たちがその問題を乗り越えようと奮闘する姿も描かれます。
「恋人がサンタクロース」など時折流れるユーミンの曲が物語の展開をさらに盛り上げている映画です。
『彼女が水着にきがえたら』
ダイビングにハマッている真理子(原田知世)は、同僚の恭世からクルーザーパーティに誘われてダイビングも兼ねて参加。そこで海に潜っていたところ、海底に沈んだ飛行機を見つけます。しかしじっくり観察していたせいで遭難寸前に!
そんなとき吉岡(織田裕二)が乗る船に助けられたのですが、その飛行機こそ、彼と仲間たちがお宝として長年探していたものだと発覚。最初、お宝探しに協力するのを渋っていた真理子ですが、徐々にのめり込んでいき、同じお宝を探している連中との対立に巻き込まれているうちに、吉岡と急接近!
ダイビング、宝探し、アクション&ラブ……というてんこ盛りなストーリーを、サザンオールスターズの楽曲が彩ります。
『波の数だけ抱きしめて』
時代は1982年の湘南。自分たちで運営しているミニFMでDJをしている大学生の真理子(中山美穂)に、女連れでドライブに来た広告代理店勤務の吉岡(別所哲也)がひと目惚れ。真理子の仲間たちがミニFMの電波範囲の拡大を計画していることに目をつけて、自分の仕事にかこつけ、真理子を訪ねるように。
一方、真理子の仲間である小杉(織田裕二)は彼女に7年間片思い。吉岡の行動にいらつきながらも、告白できないままでいます。しかも、真理子はこの夏休みに両親のいるアメリカへ来るよう呼び寄せられている状況。リミットが迫る中、いよいよ思いを伝えると決めた夜に事件が起き……。
軟派と硬派な男たちの三角関係やFMの拡大という目標に向かって仲間とがむしゃらになっていた主人公たちの姿を、洋楽やユーミンの曲に乗せて描いていく青春ストーリーです。
出会いがほしいときは、合コンではなく遊び場に行くのが主流
3作品を観て今の文化と比べてみると、若者が車を乗り回すのが当たり前のように描かれているところや、スキー場近くのロッヂでパーティを仕切っていたり、クルーザーパーティに参加していたりするところは、今の若者の主要なカルチャーと比べれば、派手に見えました。
女性のメイクは、太眉に濃い色味のリップ……というのは今に近いと思うのですが、髪型がワンレンだったり、きつめのウェーブをかけていたりするところは懐かしい感じかも。
またビデオカメラや水中カメラも登場。バブル期にすでにこういった家電が出ていたとはいえ、今のように小型で携帯しやすいわけではない上に、価格も20万などかなりお高め。
あと特に印象的だったのが、出会いがほしいとき、ナンパされorナンパしに、ゲレンデや海など遊び場に行くのが主流だった様子。合コンなどの場をわざわざセッティングするわけではなく、遊びに行く先が恋愛の場なっていること自体が今からするとバブリー!
ヒロインの相手役の男性は意外と硬派
とはいえ、ヒロインの相手役の男性は硬派!
『私をスキーに連れてって』の矢野はしばらく彼女がいない・モテない設定。『彼女が水着にきがえたら』の吉岡も宝に夢中でヒロインに積極的には手を出さない。『波の数だけ抱きしめて』の小杉なんて7年も片思い……。
私自身80年代前半生まれで、メディアの影響が強いからなのか、バブルというと軟派なイメージでした。だから、ホイチョイ三部作で描かれる恋愛もてっきりついたり離れたり……かと思い込んでいたので、意外に感じたわけです。
草食系男子という言葉に代表されるように恋愛へ積極的ではない男性が増えていると少し前から言われていますが、案外昔から主流に近い存在だったのかも?
仲間の絆と恋の力で困難を乗り越える!?漫画のような物語
ホイチョイ三部作は、どの作品も話にすんなり入り込みやすいのが特徴だと感じました。それはなぜかと考えてみたら、漫画のような物語だから。
ヒロインの女性は一目惚れされるか、片思いされる役割。いつの間にか、相手役男性の仲間たちに女性は受け入れられつつ、男性の夢や目標達成を応援。順調かと思いきや、突然のトラブル! それをなんとか仲間たちとの絆と恋の力で、ヒロインと男性が乗り越える……というところに、漫画を読んだときと同じようなドキドキ感が得られるような気がしました。
ちなみに余談ですが、映画を観ていると、平野ノラのネタにあるような箱型の大きな携帯電話が登場したり、クルーザーの一室がボタンひとつでムーディな照明&自動でベッドが出て来る仕組みになっていたり……ツッコミどころも満載!
ですが、最近の作品とはちがってキャラクターやストーリーに悲壮感がなく、エネルギッシュな空気が流れています。それが今の時代からすると魅力的に見えるため、バブル文化のブームが訪れているような気がしました。
そんなバブル期のパワーをもらいたいのなら、ホイチョイ三部作おすすめです!
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