オダギリジョーが予言「池田エライザはきっと面白い女優になる」映画『ルームロンダリング』【インタビュー】

2018.07.04
映画

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

映画『ルームロンダリング』は、「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM2015」にて、準グランプリにあたるFilmarks賞を受賞した企画の映画化。崔洋一や廣木隆一らのもとで助監督として経験を積んだ片桐健滋が、記念すべき長編監督デビューを果たした1作でもある。

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片桐監督

TCPでFilmarks賞受賞の映画『ルームロンダリング』片桐健滋監督インタビュー

物語は、いつからか幽霊が見えるようになった主人公・八雲御子が、事故物件に住み、クリーンな空き部屋へと浄化させる秘密のアルバイト“ルームロンダリング”をしながら、部屋に居座る幽霊たちのお悩みを解決していくという、ほっこりした内容。人とコミュニケーションを取りたがらず、だが幽霊たちとは真摯に向き合い続ける御子を池田エライザが、また、御子にルームロンダリングのバイトを斡旋する、いんちきくさい叔父の雷土悟郎をオダギリジョーが担当、初共演を果たした。

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それぞれが違う軸の太いキャリアを築きながらも、しっかりと交わった本作での出会いについて、話を聞いた。

あらすじ

映画『ルームロンダリング』あらすじ・キャスト情報・予告編【池田エライザ×オダギリジョー×伊藤健太郎】

――いよいよ公開を迎えるにあたって、片桐監督は今どのような心境でしょうか?

片桐監督 もう、嬉しい、としか言いようがないですね。たぶん自分の中の1本目は、どんな監督さんでもすごく大事だと思うんですけど、その1本目を一緒にお仕事したいと思ったキャストの皆さんと、長年、現場で一緒にやってきたスタッフがほぼ全員集まれた。そうしてできたことが、僕の中では一番幸せを感じています。

――脚本を梅本竜矢さんと共同で書かれています。実際、池田さんとオダギリさんに決定してから、お二方用に変えたりもされましたか?

片桐監督 元々最初に書き上がったときに、「この人にやってもらいたい」というものは、特に想定していなかったんです。1回読み終わった後に、「この人にやってもらいたい」と思ってお願いしていきました。その後は、オダギリさんに読んでもらって、悟郎の役ということではなく、脚本全体として、どういうところを修正するのかという話をしたりしましたし、現場に入ったときには池田さんと話して、直していくところもありました。都度都度です。

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――オダギリさんは、オリジナル脚本での映画化という企画自体を、どう思っていらっしゃいますか?

オダギリ こういうオリジナルの作品が作られる土壌が残っていることが、やっぱり嬉しいです。なくなると困りますし、できる限り、オリジナルの作品を作る人達が数多く残ればいいな、という気持ちですね。

――実際、脚本を読まれて、魅力に感じた部分はどのあたりだったんでしょうか?

オダギリ やっぱり、きちんとオリジナリティがあってユニークな世界観が作れているということじゃないでしょうか。あとは、本としてとても読みやすくて、映像を想像しやすかった。読み手にちゃんと意図を伝えることって、簡単なようで難しいことですからね。一生懸命練られた本だな、ということが見て取れるというか。嬉しかったですね。

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――池田さんは、いかがでしょうか?

池田 片桐さんや梅本さんという「おじさん」と言われる人たちが、……ごめんね?(片桐監督に)、こういうお話を生み出したこと自体が、そもそも愛おしかったです。私は(『ルームロンダリング』を撮影した)同じ年に、原作を基にした作品もいくつかやっていました。原作ありきの作品は、もちろんリスペクトがあり、参考にして、という作業があります。一方、オリジナル作品は、オリジナルだからこそ、圧倒的に片桐さんの中にアンサーがあると思って現場に行きました。現場自体もとてもクリエイティブで、シーンをいくつかやっていく中で、「御子ちゃんの気持ちはまだここまでいってないかもしれないです」という相談ができたりしたので、その場に飛び込めたっていう事実は、やっぱりすごく嬉しいです。

ただ、原作とオリジナルで決定的に「何が違う?」と言われると、未だに「何なんだろうな」と思う部分もあるんですけど、『ルームロンダリング』に関しては、この作品が好きで、愛情やエネルギーを糧にして、クリエイティブになってこの現場に集まった人が圧倒的に多かったという意味で、すごく惚れ込んでいます。改めて、大好きです。

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――片桐監督の演出で、特に印象に残っているようなことはありますか?

池田 監督は「ありのままでいいよ」と、本当におっしゃってくださったので、悠々とした日々を送っていました。もちろん、御子ちゃんと私とでは、圧倒的に近づけない、境遇の違いはあるんですけど、そこはやっぱり自分で想像して補うしか寄り添えない部分だったので、監督に相談しながら演じました。あとは、もう御子ちゃんのテンポがあるので、のらりくらり、です。

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片桐監督 ぶっちゃけて言っていいですか? 何をもって演出と言うのか、よくわからないんです。唯一わかっていることは、キャスティングが映画の中で一番重要だということ。だから、そこのピースが一番最初にはまったら、あとはその人たちがどう転がってくれるのかを見る楽しみのほうが、僕には大きかったです。だから、「ああしてください」「こうしてください」と言うよりも、お二人がどういうふうにされるのかを見ていました。

オダギリ 監督と、脚本を担当した梅本さんは、僕にとっては昔からの友達のようなふたりで。その人たちがオリジナルで、しかも今デビューしようとしている現場、今その作品を作り上げている大切なとき、という気持ちで、現場に毎日いましたね。大げさに言うと、ですけど。監督との距離感はそれぞれだと思いますが、そういう意味でほかの組にはない、何か……、ちょっと老婆心に近いような。

片桐監督 (笑)。

オダギリ そういう気持ちが、あった気はしますね。

片桐監督 それは、すごく感じていました。途中で、「うわー、どうしようかな。時間ないな」というときに、プラっとしているオダギリさんとちょっと話すとか、僕のデトックスみたいなものは、すごくありました。

オダギリ 僕は、やっぱり映画が好きなんです。映画に育ててもらったと思っていますし。もちろんいろいろな映画があっていいと思うんですけど、自分が働く世界と考えると、やっぱり原作物でビジネスをするよりは、オリジナルで作家性や芸術性のある映画で勝負して欲しいというか、ないと困るという気持ちのほうが大きいんです。

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――せっかく池田さん、オダギリさんのお二人がそろっていますので、ぜひ共演された感想も教えていただきたいです。

池田 オダギリさんとお会いするのは初めてでした。御子ちゃんにとっての悟郎おじさんという存在は、ある種、幼いときに父を亡くし、母と離れ離れになってしまった御子ちゃんにとって、唯一甘えられる存在なんです。なので、内弁慶でいられると思うんですけど。オダギリさんは、現場で圧倒的に悟郎おじさんでいてくださったので、初対面とは言えど、御子ちゃんとして内弁慶でいれた部分があって。そこは、やっぱり頭が上がらないというか、ご本人の隣で言うのも、何か嫌ですけど(笑)。

オダギリ (笑)。

池田 ありがたかったなと思っております。

オダギリ いえいえ、とんでもない。

僕は……感想という感想じゃないかもしれないですけど、ある種の暗さを感じるじゃないですか、池田さんって。「その暗さは何なんだろうな」と思って、どういう人生を歩んできたかを要所要所で聞いていたんですよ。その話がすっごい面白くて。ほかの人とは違う人生、個人的な歴史をきちんと歩まれていることは、表現者というか、役者にはすごく大切な部分なんですね。池田さんから、多くの感性や感覚的な可能性を感じたので、女優としてこれからもっと面白くなるだろうと期待しています。そういう部分を自分で認識して、意識的に利用出来るようになれば、唯一無二の存在になるんじゃないでしょうか。

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池田 じゃあ、オダギリ組、片桐組で使ってくれと思っています(笑)。

全員 (笑)。

池田 責任取ってください(笑)。

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――ありがとうございました。最後に、「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM2015」から長編デビューを飾った片桐監督の姿を見て、多くのクリエイターが希望を持つと思います。ぜひ未来の映画人に向けて、メッセージをください。

片桐監督 僕は元々、一緒に脚本を書いた梅ちゃんと居酒屋で飲んでいるときの話がスタートなんですね。それを彼が、企画書にまとめて送ってくれました。あとは一緒に脚本を書くようになったんですけど、入口はすごく小っちゃいものだと思うんです。紙に書いて出すだけなんですけど、通っていくと、いつの間にかこんな素晴らしいお二人が出る映画ができたりします。……とにかく、書くのはタダだっていつも思うんで。

オダギリ (笑)。

池田 間違いない(笑)。

片桐監督 書きまくって、出しまくって、もがいてでもいいから獲りにいっていたら、いつか実るかも、と思います。だから、常にいろいろなことを考えて、腐らず書いてください、と思います。(インタビュー・文=赤山恭子、写真:You Ishii)

映画『ルームロンダリング』は2018年7月7日(土)より、新宿武蔵野館、渋谷HUMAXシネマ、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー。

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