“この村に、喰われる。”
衝撃的なフレーズで2021年12月28日よりDisney+独占配信でスタートしたドラマシリーズ『ガンニバル』は、都会から離れたある村にやってきた駐在員が、異様な村人の風習に翻弄され、事件に巻き込まれていくサイコスリラー作品となっています。
スリリングな展開が繰り広げられる本作が、どんな展開を迎えていったのか、そして原作ではどんな展開を迎えるのか、掘り下げていきます。
ドラマ『ガンニバル』あらすじ
本作の舞台は、都会から遠く離れた山間にある「供花村(くげむら)」。警察官の阿川大悟(柳楽優弥)は、ある事件を起こして供花村の駐在として左遷され、犯罪とは無縁の穏やかなこの土地で家族と静かに暮らしていた。しかし、一人の老婆の奇妙な死をきっかけに、彼は少しずつ村の異常性に気付いて行く。そして、“この村では人が喰われているらしい”という、衝撃の噂を耳にする。穏やかな日常を次第に狂気が蝕んでいく……。
ドラマ『ガンニバル』キャスト一覧
阿川大悟/柳楽優弥
過去に起こしたある事件がきっかけとなり、都会から山間の供花村へ愛する家族と共に赴任してきた警察官。現在は村の新たな駐在員として勤めており、村人からは“駐在”と呼ばれて親しまれている。供花村を支配する後藤家の存在と、前任の駐在員の不審な失踪、「この村の奴らは、人を喰っている」という不穏な噂の真相を突き止めるため捜査を開始する。
阿川有希/吉岡里帆
大悟の妻で、ましろの母親。慣れない環境でも家族を支える頼りがいのある存在で、前向きな性格。供花村と後藤家の問題に介入していく大悟のことを心配している。
阿川ましろ/志水心音
大悟と有希の一人娘。元々は明るい性格だったが、大悟が起こしたある事件を目の当たりにしたことがきっかけとなり、笑うことも言葉を話すこともできなくなってしまう。
後藤恵介/笠松将
供花村で力を持つ後藤家の現在の当主。後藤家に代々続く村の掟を忠実に守る冷静な性格だが、家名を守るためならば激昂するという危うい一面も持ち合わせている。
後藤銀/倍賞美津子
後藤家の当主であり、恵介と洋介の祖母。後藤家に代々伝わる掟を守ってきた女性で村で唯一の助産師だったが、後藤家の敷地内の森で謎の歯形がつけられた状態で遺体となって発見される。
山口さぶ/中村梅雀
供花村のリーダー的存在。大吾たちが越してきた時に暖かく迎え入れるが、実は大悟たちを監視している。
寺山京介/高杉真宙
「供花村の誰かに顔を食われた」と、大悟に証言する謎めいた青年。
あの人/(キャスト未発表)
後藤家を象徴する、謎の大柄な老人。
その他キャスト
後藤洋介/杉田雷麟
恵介の弟。
後藤岩男/吉原光夫
恵介の同級生。
後藤龍二/中村祐太郎
恵介の幼馴染。
後藤睦夫/酒向芳
後藤家の中でも、一際凶暴な性格の持ち主。
後藤清/六角精児
恵介の父で、供花町の村長。
狩野治/矢柴俊博
供花町の前任の駐在員。パチンコで借金を作ってしまったため警察を辞職し失踪したという噂が立っていたが、実際は後藤家の本家に調査に向かった際に、何者かに襲われている。
狩野すみれ/北香那
狩野治の一人娘。一度供花村から出ているが、失踪した父が後藤家の人間に喰われたのではないかと疑い村に戻ってくる。
神山宗近/田中俊介
神山正宗の息子。村で唯一の神を祀る来乃神神社の神主を正宗より引き継ぎ、村の一大イベントである奉納祭を取り締まる。
神山正宗/(キャスト未発表)
来乃神神社の神主で、宗近の父。
金丸豪/(キャスト未発表)
後藤藍/(キャスト未発表)
後藤金次/(キャスト未発表)
スタッフ
■原作:二宮正明「ガンニバル」(日本文芸社刊・全13巻)
■脚本:大江崇允
※以下、ドラマ『ガンニバル』、原作漫画『ガンニバル』のネタバレを含みます。
後藤家とは?
『ガンニバル』で舞台となる供花村。ここは総人口300人ほどの小さな集落からなっており、林業を主な産業としている地域です。
そんな中でも特に村の経済を支えているのが、後藤家です。供花村でも有力な一族であり、後藤の姓を持った人々によって村が成り立っているといえます。
ただ、一方で後藤家以外の家系からは、「後藤家には近づくな」と語られているように、近寄りがたい存在としても扱われています。その真意について、阿川が捜査を進めていくことになるわけです。
そんな後藤家の中でも特に強い権力を持っているのが、当主である後藤銀です。村唯一の助産師だったりと、死産の多い供花村の秘密を握っていると思われる人物だったわけですが、冒頭から熊に喰われた死体として登場。阿川は一度も生きている銀に会えていません。
そんな銀から次期当主を担うのが、後藤恵介です。たびたび阿川とも対立する存在として描かれるわけですが、時に阿川の家族を守ったりと、必ずしも敵とは言い難い存在です。
過激な行動に出る後藤家の面々がいる中、できるだけ穏便に行動しようとする様子が見られますが、まだ何か秘密を抱えている様子からも、阿川の“味方”とも言えません。
果たして、恵介はどういった思惑で動いているのでしょうか。
村人の不審な点
『ガンニバル』の恐ろしいところは、後藤家との対立が描かれていくのかと思いきや、後藤家以外の供花村の住人の動向にも、不審な点が見えてくるところです。
後藤家と揉めた後、村人との交流が加速した阿川は村人の中でもリーダー的な存在である山口らとの親交が深まりました。
一見、親切に関わってくれているかと思いきや、阿川の家に“人殺し”と落書きがされたことをきっかけに、敷地内に入れないように柵を立てようとする阿川をなぜか執拗に止めようとしてきたりと、その口論の噂はたちまち広がり村全体で圧力をかけてこようとしたりという様子が見られるようになります。
さらには、阿川家を盗聴していたり、屋外に居ても外部との接触など執拗に所在を確認してこようとしてきたり、阿川家のプライバシーに踏み込む、不審な動きが見られるようになります。後藤家からも、あまり信用してはいけないという助言の通り、村人たちも決して阿川の味方とは言えない状況です。
そんな、村人たちに追い立てられる阿川に対し、村を出るように促してくれた存在が、来乃神神社の神主を務める宗近です。村人たちとは一線を画す態度から、阿川の味方にも見える彼ですが、彼自身は後藤恵介とは幼馴染という背景を持っています。彼にもまだまだ裏がありそうです。どんな立ち回りをしていくことになるのでしょうか。
供花村の謎とは?
そんな供花村では、一年に一度行われるという大きな行事「奉納祭」があります。村で唯一の神が祀られている来乃神神社に村中が集まり、丸一日かけて実施されます。
この祭は、村人は一日中、飲んだり食べたり踊り明かし、日が暮れると松明を炊き、藁で藁で作られた人形を燃やして神様に捧げるというものです。
表向きには豊作を祈るお祭りとされていますが、宗近の話ではこのお祭りでは、かつて実際に生きた人間を人柱として捧げていたことが語られます。
宗近はそれを過去の風習として語るわけですが、阿川はすでに、過去の幼い頃に何者かに顔を食われてしまったと語る京介と遭遇していたり、そんな京介に紹介された宇多田などの調査から、供花村が不審なほどに死産が多いことなどを知り、現在も人柱とされる子供がいるという算段をつけます。
そしてついに実際に子供を奪われたという加奈子の存在が明らかになり、供花村ではどうやら後藤家だけでなく、村全体で何かを隠していることが明らかになりました。
これまで供花村で犠牲になった人とは?
疑わしい人が多い中、現状ではっきりしている“事件”とされる改めてこれまでで供花村で犠牲になった人物を振り返りましょう。
後藤銀
かつての後藤家の当主が後藤銀です。阿川が供花村にやってきて早々に、遺体で発見され、熊に襲われて亡くなったとされます。その犯人とされる熊は仕留められ、実際にその胃の中には、銀のものとされるメガネなどが見つかりました。
ただ、銀の遺体には、自分でつけたとは思えない人間の歯型があった謎はまだ解決しておらず、生前に食人文化圏で知られるクールー病にかかっていたとされるなど、彼女の死にもまだ謎が残ります。
前駐在・狩野治
阿川が駐在として訪れるきっかけとなったのが、阿川がやってくる前の駐在である狩野治です。狩野は、供花村の人々が人を食べていると叫びながら発狂し、後藤家に乗り込んでいる姿が映像として残っていましたが、その後に失踪。のちに遺体として発見されることになります。
作中では、何かを発見したところで、襲われる描写が登場しますが、狩野は何を発見し、誰に殺されたのでしょうか。
顔を食べられた京介
狩野が生前に連絡を取っていた連絡先から、たどり着いた人物が京介です。京介はその顔の半分をなにものかに食べられたとされ、実際に欠けているその顔を阿川に披露してくれました。
かつて奉納祭で食べられかけていたところを母に救われ、村を脱走し、現在は村に近づかないように、密かに生活をしているようですが、まもなく次の奉納祭が始まるということで、犠牲者を出さないように、姿を現してくれたようです。
加奈子と加奈子の子供
死産が多いとされる供花村で、実際にその当事者となってしまったのが供花村の山口加奈子です。出産の際、銀によって亡くなっているとされた子どもですが、加奈子はそんな子どもが動いているところを目撃しており、銀によって子どもは奪われており、その子どもはまだ生きているのではないかという可能性がありそうです。
後藤家が囲う“あの人”の正体は?
『ガンニバル』でそしてもう一つ最大と謎となるのが、謎の存在“あの人”。
異様に大きな体格をした老人で、後藤家で乱闘を起こした阿川を突如鎌で襲ったり、序盤ではましろにも遭遇しており、そこで狩野の指を受け取っていたりと、供花村の秘密を大きく握る存在となりそうです。
あの人は、かつて後藤銀がかかっていたとされるクールー病にかかっているとされ、死に至るはずのこの病気が、本来とは別の形で進化してしまった結果が、あの異常な状態を生み出したのではないでしょうか。
ちなみに原作漫画の「ガンニバル」はすでに完結済み。“あの人”について何者なのかははっきりと描かれています。
“あの人”とは、後藤銀の子どもであり、“白銀(しろがね)”という名前を持っています。後藤家の象徴とされる人物で、後藤家の采配は“あの人”で決まるとされるほどの影響力を持っています。
かつて、村で忌み存在として扱われた銀と白銀は、人間を食べて生き延び、村に対する復讐を決意し、時間をかけて供花村を白銀とともに支配していくことになります。
漫画原作ではラストどうなる?
原作「ガンニバル」の結末はどんな最後を迎えるのでしょうか。
原作漫画では、阿川の動きによってついに警察も供花村への捜査に乗り込むことになり、後藤家と警察が対立が加速し、捕まっている子どもたちの救出へと物語は進んでいきます。
後藤家の中でも、できるだけ人が死なないようにと動いていた次期当主である恵介や、人柱である子どもを救おうと考えるようになった恵介の弟などの協力もあり子どもの救出には成功します。
しかし後藤家と警察の大乱闘にまで発展してしまった上、警察が優勢かと思いきや、“あの人”や恵介の親友である岩男といった存在により形勢は逆転し、後藤家の根回しにより、阿川の娘であるましろが人質となります。
最終決戦として、阿川と恵介の協力で、ましろの救出に挑むこととなるわけですが、“あの人”自身がましろを食べない選択をするなどの展開から無事、ましろの救出に成功し、一件落着となりました。
ただ、最後には、後藤家以外の村人の食人の疑惑を仄めかしたり、ましろにも異変が感じられる、実はまだ解決していないかも……というようなハッピーエンドかどうか怪しい結末で物語は終わります。
アクションシーンがより迫力のあるものになっていたりと、ドラマならではのアレンジが施されているドラマ『ガンニバル』ですが、こちらはどんな結末を迎えていくのか。どんな最後が描かれていくのか。その違いにも注目となりそうです。
※2023年1月31日時点の情報です。