【ネタバレ】映画『ONE PIECE FILM RED』は原作ファンも驚く秘密にあふれていた?製作過程にも踏み込んで徹底解説

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ネジムラ89

アニメ好きライターが映画『ONE PIECE FILM RED』の魅力をネタバレありで徹底解説!

数多くの作品が製作されてきた『ONE PIECE』の映画シリーズにとんでもない作品が2022年に仲間入りしました。これまでの作品の成績から群を抜いて高い興行収入200億円に迫る結果を残した映画がONE PIECE FILM REDでした。

これほどまでの大ヒット作となった『ONE PIECE FILM RED』はこれまでの作品と何が違い、どうやって製作されていったのか。ネタバレに踏み込みつつ解説していきます。

ONE PIECE FILM RED』(2022)のあらすじ

素性を隠したまま歌声を発信し、世界で最も愛される歌手、ウタ。そんなウタが音楽の島・エレジアで初めて公の前に姿を現してライブを開催する。多くのファンに紛れて、ウタを狙う海賊たちや目を光らせる海軍、そして何も知らずにただ彼女の歌声を楽しみにやってきたルフィ率いる麦わらの一味など、あらゆる人物が会場に集う中、ウタの歌声が響き渡ったその時、大きな事件が動き始めていた……。

 

 

※以下、映画や原作漫画のネタバレを含みます。

衝撃! シャンクスの子ども「ウタ」が登場!

『ONE PIECE FILM RED』では今回の映画で初めて登場することとなった新キャラクター・ウタが物語の軸となる映画です。実はこのウタというキャラクターはルフィとも密接な関わりを持った人物であることが明らかになります。

実はウタはルフィの幼馴染。かつてルフィがフーシャ村に住んでいた頃に赤髪海賊団のシャンクスの船員として出会っていました。かつてウタはシャンクスによって拾われたシャンクスの“子ども”であり、赤髪海賊団の音楽家でした。

年齢も近かったことから、親しくなったルフィとウタでしたが、ある冒険の帰りに突如ウタはシャンクスの船を降りており、ルフィはそれ以来会っておらず、しっかりと別れの挨拶もできず離ればなれになります。これらの前日譚は、映画と連動してTVアニメで放送された第1029話「淡い記憶 ルフィと赤髪の娘ウタ」第1030話「新時代の誓い!ルフィとウタ」で詳細に描かれます。

ウタの歌声にも秘密が隠されています。実はウタは悪魔の実「ウタウタの実」を食べた能力者であり、その歌声を聞いたものを催眠状態にかけ、何でもウタの思い通りにできてしまう仮想世界に閉じ込めてしまう力を持っていました。

そして、実はウタはその力を使って、自らを犠牲に大勢の人間を平和で自由な世界に閉じ込め永遠に楽しく暮らせるようにしてあげようと考えており、それが今回のライブの真の目的だったことが発覚します。

エレジアの真相! 真実はこうだった?

映画の後半ではそんなウタの過去について、いかにしてシャンクスと別れたのか。なぜこんな危険なことを始めたのか。そのワケがじっくり描かれます。

ウタはかつてシャンクスとともにエレジアを訪れており、ウタは島に封印されている歌の魔王・トットムジカに利用されて、その封印を解いてしまいます。

現実世界に現れることに成功したトットムジカは島を壊滅させてしまい、国民のほとんどの住人を皆殺しにしてしまいます。結果的にシャンクス率いる赤髪海賊団が立ち向い、その罪を全て被ることで事態は執着するのですが、これを機にシャンクスはウタと別れることを決意し、ウタにも自身のせいで国が滅びたことを悟らせないように事情を話さずに、唯一の生き残りであるエレジアの国王ゴードンにウタを託すのでした。

長らくウタはシャンクスに裏切られたと思い込んでいたのですが、偶然ウタが拾った映像電伝虫からシャンクスがかばってくれたことや、自身が島を滅ぼしてしまったことを知りウタの中での複雑な思いを増させることになりました

原作者と監督の密接な関わりとは?

『ONE PIECE』の中でも重要なキャラクターであるシャンクスの登場やルフィとの共闘など、これまでの映画でもできなかった大ネタに踏み込むことができたのはなんと言っても、今回の映画に総合プロデューサーとして原作者の尾田栄一郎が携わっていることは大きいでしょう

原作でこそウタといったキャラクターについて踏み込んで描かれることこそないものの、尾田にとってもこの映画の内容は原作漫画と地続きの“ある世界”だという認識が、オーディオコメンタリーで語られています。そう言った原作と密接な内容となっていることがより、シリーズのファンを本作のストーリーをよりリアリティを持って楽しめるところです。

もう一つ、この大ネタに踏み込むことができた理由として、監督の谷口悟朗への信頼もあるかもしれません。谷口と尾田の関係性は長く、TVアニメシリーズが放送されるよりも前に先行して制作されたアニメ作品『ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック』(1998)で監督デビューを果たしたのがほかでもない谷口でした。

谷口はその当時尾田と会った際に、未だ公にはその正体が明かされていないルフィが探し求める「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」について、その正体を聞いているほどの縁を持っている人物。そんな数少ない真実を知る人物ということの信頼や縁も手伝ってか、今作のような思い切った内容が実現したのかもしれません。

音楽の本気!実はあのアーティストの提供楽曲たち

『ONE PIECE FILM RED』が挑んだ挑戦のポイントとして忘れてはいけないのが、本作の見どころでもある「音楽」です。ウタの歌唱シーンをYouTubeでの再生回数が1億回以上を記録した「うっせぇわ」などで知られるAdoが担当し、音楽をCAPSULEなどの活動や音楽プロデュースなどで活躍する中田ヤスタカといったメジャーシーンで活躍する方々を起用しています。

今回はそれに加えて作中のウタの歌う歌を、複数のアーティストが楽曲提供する試みも設けられており、それぞれの場面に合わせて各アーティストが本作のために楽曲を書き下ろしました。

参加アーティストと提供楽曲は以下の通りです。

「新時代」楽曲提供:中田ヤスタカ
「私は最強」楽曲提供:Mrs.GREEN APPLE
「逆光」楽曲提供:Vaundy
「ウタカタララバイ」楽曲提供:FAKE TYPE.
「世界のつづき」楽曲提供:折坂悠太
「風のゆくえ」楽曲提供:秦基博

これだけ複数のアーティストが参加していることも驚きですが、それをAdoがウタとなって一人のアーティストとして具現化できてしまうところがさらに驚きのポイントです。当初、本作の最後を飾る曲は合唱曲で締める構想もあったラストを、その歌唱力の高さからその案が取り下げられウタのソロになるなど、作品の演出にも影響を与えることになっていきました

実は多くの初解禁!原作ファンも驚く展開たち

本作を観た人たちを熱狂させた要素として忘れてはいけないのが、原作シリーズのファンこそ驚く多くのシリーズ初解禁要素です。

ヘルメッポが海軍本部機密特殊部隊・SWORDの一員であったことなど、今回の映画で初めて明らかになる設定なども多く盛り込まれています。

中でも物語後半に登場するシャンクス率いる赤髪海賊団は、映画の公開時点でも原作で本格的な戦闘シーンがまだ描かれていない状態でした。今回の映画が戦闘シーンが初めてのお披露目となるキャラクターも多く、原作ファンも驚いた部分です。

また、ルフィとシャンクスがトットムジカに同時に攻撃を放つシーンでは、ルフィの姿が従来とは違った形態に変わっています。これはルフィが悪魔の実の能力によってパワーアップしたギア5と呼ばれる形態です。映画公開当時も原作漫画に登場したばかりの姿で、TVアニメシリーズでもまだ登場していない形態でした。

映画の製作の最中に原作に登場したこのギア5は、アニメシリーズに先行しての登場というサプライズ演出となっており、原作漫画も追っているというファンにとってはとても熱い展開となっていました。

ストーリーはもちろんのこと、音楽や設定に至るまで『ONE PIECE FILM RED』には数多くのサプライズが詰め込まれており、大ヒットに繋がったのではないかと筆者は考察します。

※2023年3月9日時点の情報です。

(C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

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