【ネタバレ】映画『最後まで行く』結末どうなる?韓国版との違いは?徹底解説

シットコムや韓ドラ、ラブコメ好き

伊藤 万弥乃

韓国作品のリメイク『最後まで行く』は、日本版ではどのように描かれているのか。そして2作品のキャラクターやストーリーの違いや、どのような結末を迎えることになるのか詳しく解説していく。

2014年に製作された韓国映画のリメイクとして、2023年に公開された『最後まで行く』。日本版では、『新聞記者』などの藤井道人が監督を務め、常に焦っている岡田准一と今までにないサイコパスな演技を見せる綾野剛という、ひと味違った2人の姿を導き出した。

本記事では、韓国版との違いを軸として、それぞれ登場するキャラクターの思惑を解説していく。

最後まで行く』あらすじ

『最後まで行く』

年の瀬の夜。刑事・工藤(岡田准一)は危篤の母のもとに向かうため、雨の中で車を飛ばす。 心の中は焦りで一杯になっていた。さらに妻から着信が入り、母が亡くなった事を知らされ言葉を失う。……その時。彼の乗る車は目の前に現れた一人の男をはね飛ばしてしまった。必死に遺体を車のトランクに入れ立ち去る。そして母の葬儀場に辿り着いた工藤は、車ではねた男の遺体を母の棺桶に入れ、母とともに斎場で焼こうと試みた。……その時、スマホに一通のメッセージが。「お前は人を殺した。知っているぞ」腰を抜かすほど驚く工藤。「死体をどこへやった?言え」 メッセージの送り主は、県警本部の監察官・矢崎(綾野剛)。追われる工藤と、追う矢崎。果たして、前代未聞の96時間の逃走劇の結末は?

 

※以下、ネタバレを含みます。

韓国版とのキャラクターの違い

共通するキャラクターとして、主人公が轢いてしまった男の役割は、日本版と韓国版ともに大きく変わることはない。男は、日本版では「尾田」(磯村勇斗)と呼ばれ、矢崎とヤクザから追われている裏社会の人間だった。一方でそれ以外の登場人物の設定はどのように変化しているのだろうか。尾田との関係も含めて整理していく。

刑事・工藤(岡田准一)/コ・ゴンス(イ・ソンギュン)

韓国版と同じく、刑事でありながら裏でお金を受け取っている。その相手が地元企業ではなく、ヤクザというところが日本版で大きなキーとなる。

また、韓国版ではすでに妻と別れ、娘と妹夫婦と共に暮らしていたが、日本版ではまだ離婚していない。

県警本部監察官・矢崎(綾野剛)/パク・チャンミン(チョ・ジヌン)

物語を大きくかき乱す重要人物。韓国版では、麻薬課にいた時に横領した薬を使用した酒を出すクラブを運営する、警察であり経営者と言う顔を持っていた。しかし、そこで得た金を入れた金庫の鍵が男によって持ち去られてしまう。

一方で日本版では、寺に奉納される大金を保管している金庫を守る役割になっている。本部長の娘との結婚を控えており、金庫の管理を任されていたが、尾田に鍵を盗まれてしまい、お金だけでなく自分のキャリアのためにも鍵を取り返そうと必死になっている。

妻・工藤美沙子(広末涼子

前述の通り、韓国版ではゴンスの妹が娘の面倒を見ていたが、日本版では離婚間近の妻が登場する。工藤は家族がいるからこそそれを弱みとして握られてしまうが、最後には家族の大きな存在に気が付く。

ヤクザ・仙葉泰(柄本明)

この一連の事件を裏で手玉に取っているのは、仙葉組というヤクザ。韓国版にはいなかったキャラクターで、工藤と矢崎、尾田までも操り、自らの欲のために動いている。

岸谷真由子(清水くるみ)

韓国版では、主人公が男を轢く前に犬が飛び出てきたが、日本版では女性が飛び出してくる。その女性・岸谷は、尾田が大金を手に入れることを知って手伝っていたのだった。尾田の遺体から携帯電話の音が鳴り工藤が驚くシーンが描かれているが、それは彼女が電話をしていたからだった。工藤、そして矢崎はそれぞれ彼女の元にやって来て、尾田のやったことや行方を尋ねることになる。

韓国版と異なるストーリー

遺体の隠し方

韓国版では事故を隠ぺいするために主人公はいくつもの罪を重ねていた。日本版も同じく、飲酒運転、交通事故、死体遺棄……と数々の罪を犯していくが、それぞれの行動に少しずつ違いがみられる。

まず、工藤が尾田の遺体を隠すために母親の棺桶に入れるシーン。韓国版では娘のおもちゃを使って、ダクトから霊安室に移動させていたが、日本版では自らがダクトに入って遺体を移動させようとする。下を見回っている警備員に気づかれないかドキドキしながらも、なんとか棺桶の中に遺体を入れることに成功。ただ、日本では火葬が主流のため、土葬をして掘り起こしていた韓国のシーンとの違いも気になるところだったが、火葬場のおじさんをコミカルに騙し、事情を知った同僚の久我山(駿河太郎)とともに尾田の遺体だけを取り出すことに成功した。

また、日本版では工藤への他の警官からの風当たりもかなり強いのが印象的だ。それは日頃から工藤が不正を行っていることが知り渡っているような雰囲気で、だからこそ、事故後すぐに直面する検問も韓国版ほど簡単に突破することはできない。トランクに何か隠しているのではないか、と怪しまれていたため、矢崎が追いかけてきて仲裁しなければ危うく遺体が見つかってしまうところだった。矢崎はすでにその時、工藤が尾田の遺体を隠し持っていることを知っていたため、工藤を追いかけていたのだった。

ヤクザとの関係

前述の通り、大きく関係してくるのはヤクザの存在。ヤクザが実は、金庫番だった尾田を揺すり、金庫の鍵を盗むように仕向けていたことが明らかになる。その後、そのことを知らない矢崎から、尾田を探し出してほしいと依頼され、尾田の情報を矢崎に与えることで金を要求する。一方で、工藤にも「砂漠から抜け出したくないか?」と言って、尾田の情報を伝え、探すように仕向ける。

金を手に入れるのに尾田のみを利用するのではなく、3人を操り、どう転んでも自分に大金が残るように予防線を張っていたようだ。この物語の中で、一番賢く、俯瞰して見ていたのは仙葉だった。

ラストはどうなる?

矢崎は工藤の娘を人質に、尾田の遺体を渡すように要求してくる。娘の安全が第一である工藤は、(韓国版と爆弾の入手ルートは違うものの)遺体に爆弾を巻き付け、タイマーをセットして矢崎に渡す。そして工藤は娘を取り戻し、4分後矢崎の乗った車は爆発し、川へと沈んでいく。矢崎が上がってこないことを見届けると、娘を美沙子の元へ連れて帰る。矢崎が尾田を要求した理由は、鍵と尾田の指紋が会場には必要だったからだが、工藤は遺体を渡す前に、尾田の指と鍵は手に入れていた。

そして、工藤はその足で金庫に向かい、鍵を開け、噂に聞いていた大金を目にする。その瞬間、後ろからまた矢崎が現れ、突如銃撃戦のアクションが勃発。舞い散る紙幣の中で攻防戦を繰り広げる2人だったが、やがて矢崎が力尽きる。安心したのもつかの間、工藤は仙葉にスタンガンで気絶させられ、お金はすべて仙葉組の手に渡った。

目を覚ますと年が明け、明け方になっていた。一連の騒動から、工藤は人生をやり直すことを決意し、美沙子に電話をかける。清々しい気持ちで車を走らせようとすると、後ろから車が衝突。その中には矢崎が乗っていた……。

もはや不死身の矢崎に恐怖以上の感情を持たずにはいられず、韓国版以上の狂気と欲に満ち溢れた作品となっている。そして、年の瀬数日の迫りくる緊迫感も追加され、よりハラハラとさせられる構成で、ある意味韓国版の“先”を最後まで行く作品となった。

最後まで行く』作品情報

■上映日:2023年5月19日(金)
■製作国:日本
■監督:藤井道人

©2023映画「最後まで行く」製作委員会

※2023年5月26日時点での情報です。

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