映画 賭ケグルイ』の魅力を深堀りすべく、ドラマから続投して強烈なキャラクターを演じた森川葵×矢本悠馬を第一陣、映画オリジナルの人物としてクールに降臨する宮沢氷魚を第二陣と、それぞれのインタビューをお届けしたい。
本作は、ギャンブルの強さのみが自分の階級を決める私立百花王学園に通う生徒たちによる、己の運命を懸けた壮絶な勝負を描いた一大エンターテインメント。映画版では、生徒会が一括で管理するギャンブル制度に異を唱える非ギャンブル集団「ヴィレッジ」を解体させ、さらに異端のギャンブラー・蛇喰夢子を破滅させようと、全校生徒を巻き込んだ決死のギャンブルイベントが幕を開ける。
ヴィレッジのリーダーとして、黒ずくめの服を纏い、頬に傷を残す魅惑のリーダー・村雨天音を演じたのが宮沢。意外なことに映画には初出演となったが、実に堂々とした佇まいで圧倒的な存在感を見せつけた。テレビドラマや舞台への出演に加え、「MEN’S NON-NO」専属モデルとしての顔を持つ宮沢が今思うこと、映画の現場で感じた得難い体験について、英勉監督の証言とともに堪能してほしい。
――村雨は「自分に遠からずの役」とのことでしたが、具体的にどのあたりが近かったり、もしくは違ったんでしょうか?
宮沢 僕はMEN’S NON-NOモデルをやっているんですけど、印象として、単純に村雨にもメンノンっぽい要素があるなと思ったんです。クールで格好つけているんですけど、すかしているわけではなくて、格好よさで決めている中に自然な要素もある。村雨は口数が多くないですが、僕も普段あまりしゃべるほうではないので、そこも似ているな、と思いました。あまり語りたがらず、内に秘めて自分で考えてしまうタイプなんですよね。
――普段「メンノンっぽいね」と言われたりもするんですか?
宮沢 仕事をしているときは言われますね。何をやっていても……というわけではないですけど、例えば、役でちょっと格好つけるところがあると、「やっぱりメンノンだね」って(笑)。
――そして、いつもは口数が多いほうでもないんですね。
宮沢 プライベートでは、こんなに喋らないです。スイッチが入れば喋るのは全然苦ではないですが、ペチャクチャという感じではないと思います。できれば、周りが喋っていて、僕がその場にいて、たまに話す、くらいが一番心地いいです。
――本作では浜辺美波さん演じる主人公・蛇喰夢子との対決シーンが見逃せないかと思います。浜辺さんとご一緒して、いかがでしたか?
宮沢 ドラマシリーズを拝見していて、お芝居を観ていると、とても18歳には見えなくて……。現場でも誰よりも大人だったし、とてつもない存在感でした。本当は普通にテレビで観ているときは、もっと可愛らしい“ザ・女子高生”みたいな感じかなと思っていたんですけど、まったく違いましたね。落ち着いているな……と……。
――念のための確認ですけど、ほめ言葉ですよね?
宮沢 もちろんです!! すごく冷静に物事を見ている感じを受けましたし、なかなか18歳ではできないと思うんです。人によっては、そういう風情を出していると、「背伸びしているのかな~」と思うときもあるんですけど、浜辺さんの場合はまったくなく、ナチュラルに格好よかった……。羨ましいです。僕が18歳のときは、あんなに落ち着いていなかったので。……あっ。(※英勉監督がたまたま通る)
英監督 どうも、監督です(笑)。
宮沢 (笑)。
英監督 (宮沢のスチールを見て)……かっけえなあ……。役ではここまで決めてないでしょ?
――せっかく監督がいらしたので、宮沢さんとの思い出など一言いただければ……!
英監督 もう氷魚くんにはね、ひたっすら格好つけてもらいましたから!
宮沢 (笑)。監督はずっと「スペック高いなあ~」って言ってくるんですよ……!
英監督 そうそうそう!
宮沢 ……恥ずかしくて……。
英監督 何で!? スペック高いじゃないですか。こっちが生きているのが嫌になるっていうか。今、生まれ変わるなら僕はね、氷魚くんになりたいね。
宮沢 ええ(笑)!? 監督、そういえばあと10年は『賭ケグルイ』を作りたいとおっしゃっていましたよね。
英監督 全然やる、やりますよ。よろしくね(笑)! ありがと、じゃあね!
――嵐のように去って行かれました(笑)。
宮沢 面白い方ですよね(笑)。現場では、監督は、まずみんなを自由にやらせてくれるんです。? ?れで「もっとこうだね」という助言をしてくれるので、わからないところとかも含めて、監督といろいろ相談させてもらいました。僕の役はほかのキャストさんと比べて、そんなに自由にアドリブを加えたり、暴れたりすることがなかったので、逆に「やらなさすぎて浮いちゃうんじゃないか」と悩んだりもしました。
宮沢 僕だけ温度が違うんじゃないかと思って話したら、監督に「村雨は本当に格好よければいいんだよ! 逆にやりすぎて格好悪くなるのが一番怖い!」と言われたので、「そうか」と思い、僕なりの格好いい村雨を作っていったつもりです。結果、シンプルにあまり動かず冷静さを保つ村雨になりました。
――森川さん&矢本さんペアのインタビューで、宮沢さんのお芝居について、まさに「グッと抑えて役に徹していて、ああ、いい俳優さんだなと思った」という類のお話がありました。
宮沢 いいこと、言ってくれますね……! 後でお礼を言っておこう(笑)。
葵ちゃんや矢本くんのお芝居を見ていて……本当に、羨ましかったです。いやあ、やっぱりやりたかったです。『賭ケグルイ』の醍醐味のひとつとして、ひとりひとりのキャラクターが結構はっちゃけていて、自由にやっていることがあると思うんです。普段の別の作品だったら絶対に許されないようなはっちゃけぶりを堂々とできるし。それが面白さでもあると思うので、矢本くんが演じた木渡の役は特に羨ましかった。
――オファーがあれば、木渡のような役もやぶさかではないですか?
宮沢 果たして自分にできるかはわからないですし、想像もつかないけど、やってみたいですね……! 一番怖いのは中途半端な完成度なので、やるなら100%やりたいです。
ただ、演じているときも終わった今でも、自分には村雨がぴったりだったのかな、というのは変わらず思っています。
――映像、舞台とバランスよくお仕事をされている印象がありますが、どういう面白さや難しさを今、演技に感じていますか?
宮沢 僕は映像から役者業に入ったので、舞台への恐怖心は正直まだありますし、きっとこれからもあると思うんです。舞台ならではの生のお芝居は失敗が許されない……というのも僕は得意ではないんですけど、そこも込みの面白さもあると思っているので。完成度で言えば、もちろんミスがないほうがいいと思うので、そのプレッシャーも毎回大きいです。そこが舞台の面白さだと思っています。
――生ならではのハプニングは、これまでにありましたか?
宮沢 噛むことは正直あるんですけど、台詞が飛んだとかは、まだなくて。そうですね……初舞台のときは、声量というか、どのレベルで声を出せばいいか、まだわからなかったです。10公演だったからよかったんですけど、後半のほうはやっぱり喉がきつくなってきたりして。慣れていないと、胸で声を出そうとしてしまうんですが、本当はお腹から、もっと言えば、腰やお尻から声を出す意識じゃないと、30公演とかは持たないんです。それは結構しんどかったです。病院に行って薬をもらったりして、喉のケアをしていました。初舞台の経験があったからこそ、ふたつ目の舞台は予防ができたり、学びにはなったので、常に新しいものは得られている気がします。
――その中で、映画はまた違う立て付けですか?
宮沢 『賭ケグルイ』が初めての映画出演だったので、今回、映画の面白さを体験することができました。映像とドラマはやっぱり違って、シーンによっては時間をかけることもできますし、凝った映像がどんどん出てきますし。ただ、ドラマ、映画、舞台、全部好きなので、全部続けていきたいです。
――最後になりましたが、本インタビューはFilmarksという映画好きが使うアプリによるWEBマガジン「FILMAGA」にて掲載になります。映画をよくご覧になっている宮沢さん、最近観た気になる映画、いいなと感じた作品があれば、ご紹介ください。
宮沢 最近の映画も観るんですけど、少し前の映画や過去の名作も大好きで観たりしています。かなり前の作品なんですが、『クレイマー、クレイマー』という映画を最近観ました。今度ご一緒する、とある演出家さんに「面白いから観てみたら?」とお勧めされたのがきっかけでした。特別、派手なアクションがあるとか、劇的な展開などは起こらないまま物語が進むんですけど、いたってリアルなところがすごくよかったです。普段、生活を送っていると、そうそうドラマチックなことは訪れないことのほうが多いじゃないですか。『クレイマー、クレイマー』は、リアルな夫婦感や子供の親権について物語っていたので、そのリアリズムに感動しました。(取材・文=赤山恭子、撮影=映美)
『映画 賭ケグルイ』は、2019年5月3日(金・祝)より全国公開
出演:浜辺美波、高杉真宙、森川葵、矢本悠馬、宮沢氷魚、福原遥 ほか
監督:英勉
公式サイト:https://kakegurui.jp/
(C)2019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・ 「映画 賭ケグルイ」製作委員会
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