【ネタバレ】映画『怪物の木こり』結末どうなる?犯人は?亀梨和也主演のサイコミステリーを徹底解説

わざわざ聖地で結婚式を挙げた映画ドラマオタク

古澤椋子

第17回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した倉井眉介による同名小説を亀梨和也の主演で映画化。事件の真相や結末をネタバレありで徹底解説。

2019年・第17回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した倉井眉介による小説を、亀梨和也の主演で映画化した『怪物の木こり』。バイオレンスの巨匠とも呼ばれる三池崇史監督のメガホンをとり、前代未聞のサイコミステリーに仕上がっている。共演には、菜々緒や染谷将太、吉岡里帆が名を連ねる。

主人公・二宮彰(亀梨和也)は、理由も分からずに殺人鬼から執拗に追われることとなる。しかし、二宮も自分の利益のためなら殺人もいとわないサイコパスだった。サイコパスVSサイコパスという、先が読めない物語が始まる。

サイコパス同士の戦いのように見えた事件の真相には、二宮の知られざる過去が関わっていた。二宮は過去を思い出すにつれ、これまで感じたことのなかった感情に襲われていくこととなる。

怪物の木こり(2023)あらすじ

絵本『怪物の木こり』に登場する怪物のマスクで顔を隠し、斧で頭を割って脳を持ち去るという猟奇的連続殺人事件が発生していた。次のターゲットに選ばれた弁護士の二宮彰(亀梨和也)は殺人鬼に執拗に追いかけられることとなる。しかし彼もまた自分の利益のためなら殺人を犯す冷血なサイコパスだった。警察より先に犯人を見つけようと躍起になる二宮。犯人と疑わしい相手を殺そうとするも、これまで感じたことのなかった罪悪感に苛まれてしまう。事件の真相が明らかになったとき、二宮は自身のアイデンティティと向き合うこととなる。

※以下、『怪物の木こり』ネタバレを含みます。

排除されていくサイコパスたち

斧で頭を割られて、脳を持ち去られるという猟奇的連続殺人事件。無関係に見えた被害者たちには、周りの人間に迷惑をかけて生きてきたこと、養護施設育ちであること、2点の共通点があった。被害者たちと同じく自分の利益のために殺人を繰り返していた弁護士の二宮彰は、怪物のマスクをかぶった殺人鬼に追いかけられていた。

プロファイラーである刑事・戸城は猟奇的殺人鬼には明確な目的があり、目的の人物たちを早く排除しようと焦りがあることを突き止める。犯人は目的を持って、二宮を追いかけ回していたのだ。

二宮は殺人鬼から襲われたときのケガをきっかけに、自分に脳チップが入っていることを知る。二宮は脳チップが入っていることを知っていた医師を犯人と疑い殺そうとするも、これまで感じたことがなかった良心の呵責に襲われてしまう。自身のサイコパス属性の薄れと違和感に気づき始めていた。

事件の真相から明らかになる二宮の過去

二宮がサイコパスになった要因は、幼いころに頭に埋められた脳チップだった。二宮は、多くの子ども達が誘拐され、サイコパスになるように脳にチップを埋められていた東間事件の被害者の一人だったのだ。連続して発生していた殺人事件の被害者も、二宮と同じく幼い頃に脳チップを埋められてサイコパスになった東間事件の被害者たちだった。

徐々に被害者たちの共通点が見えてくるなかで、二宮は忘れていた過去を思い出すようになる。東間夫妻に誘拐されて、連れてこられた洋館で共に育ち、東間夫妻から守ろうとしてくれた友達がいたことを。

東間夫妻から二宮を庇おうとしてくれた友達であり猟奇的殺人事件の犯人は、同じく東間事件の被害者だった剣持武士(中村獅童)だった。彼もまたサイコパスとして人生を歩み、保険金目当てで妻を転落死させるも、逮捕を免れて暮らしていた。しかし、ある拍子に脳チップが壊れ、いままで自分がやってきたことへの罪悪感に苦しむことに。罪滅ぼしとして自分と同じようにサイコパスとして野放しになっている東間事件の被害者たちを殺害していたのだ。

剣持は二宮の婚約者・映美(吉岡里帆)を人質にして、二宮を東間夫妻が住んでいた洋館に呼び寄せる。同じように脳チップが壊れかけている二宮に、サイコパスではなくなったあとの方が絶望が訪れると二宮に語りかける。二宮も怪物の姿をした剣持に襲われた際に、脳チップが壊れていたのだ。

二宮は、剣持との揉み合いのすえ、映美を救い出して洋館を脱出。動けなくなった剣持は、洋館に火を放ち自害を選ぶ。

二宮の悲しい最期

剣持が死亡したことで、猟奇的殺人が終わりを迎えた。二宮は自分のなかに映美を大切に思う感情の芽生えに気付き、壊れた脳チップはそのままにしてサイコパスではない人生を送ることを選択する。

しかし、その想いは映美には届かなかった。映美は、剣持から自分の父親を自殺に見せかけて転落死させたのは二宮だと聞かされていた。自分の利益のために父親を殺した相手を信用できるわけないと、二宮を刺してしまう。

しかし、もう二宮はサイコパスではなくなっていた。自分のこと刺した映美が罪に問われないように、映美の首を締めて首元に跡を作って映美を逃す。映美の正当防衛に見せかけて自らは死を選んだのだ。

作品タイトルにもなっている絵本「怪物の木こり」のなかで、木こりである時間の方が長い自分は怪物なのかどうか分からなくなる。そして怪物は、仲間を作るために他の人物を怪物の姿にする。一見、怪物=サイコパスのようだが、悪意が伝播して凶行に及んでしまうこと自体を怪物と表現しているようにも感じられる。まともな人間でいられるか、怪物になるかの境界線が極めて曖昧なのだ。

多くの子どもたちを犠牲にした東間夫妻、犯人を許すことができず、犯人が許せずに暴力をふるってしまう刑事、父親を殺害したことを許せず二宮を刺してしまう映美。自分は善良な人間だと思い込んでいても、一線を越えてしまうことはある。誰かを守りたいと思う正義感は時として悪意となり、怪物のような行動を引き起こすこともある。

(C)2023「怪物の木こり」製作委員会

※2023年12月9日時点の情報です。

※最新の配信状況は、各動画配信事業者の公式サイトにてご確認ください。

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