【ネタバレ】映画『変な家』結末の意味は?雑木林の事件は何故起きた?続編は?原作との違いについて考察

わざわざ聖地で結婚式を挙げた映画ドラマオタク

古澤椋子

YouTube動画をもとに、書き下ろされた小説「変な家」が原作となった映画『変な家』。結末の意味や事件の真相、柚希の正体を解説します。

本作は、違和感のある“変”な間取りに隠された真実に迫る“ゾクっとホラー”で話題を集めたYouTube動画をもとに、動画制作者である雨穴氏が加筆して書籍化した小説「変な家」(飛鳥新社)が原作となった映画だ。

雨穴氏と同じ立場となるオカルト動画制作者・雨宮を間宮祥太朗が演じ、共に謎を追うことになるミステリー愛好家の設計士・栗原を佐藤二朗、謎多き女性・柚希を川栄李奈が務めた。

淡々と進んでいく原作小説とは違うホラーテイストな演出によって、変な間取りに隠されていた真実の恐ろしさが伝わってくる作品へと仕上がった。

本記事では、物語の発端となる「変な間取り」についてのおさらいをはじめ
・柚希の正体
・雑木林の遺体遺棄事件は誰が起こしたものか
・結末が意味すること
を解説します。

変な家』(2024)あらすじ

オカルト専門の動画制作者の雨宮(間宮祥太朗)は、マネージャーの柳岡(DJ松永)から東京にある一軒家の間取りについて相談を持ちかけられる。雨宮はその間取り図を手に、知り合いのミステリー愛好家兼設計士の栗原(佐藤二朗)に相談してみることに。栗原は間取り図から現れる不可解な点を繋ぎ合わせ、恐ろしい仮説を語る。そんななか、その家のすぐ近くで死体遺棄事件が発生。雨宮は間取りにまつわる疑惑をまとめて、動画を投稿した。すると、その家に心当たりがあるという女性・宮江柚希(川栄李奈)から連絡が来る。

物語の発端となる
何かがおかしい“変”な間取りをおさらい

雨宮のマネージャー・柳岡が持ってきた間取りはとにかく不可解な点が多かった。ひとつは1階の台所とリビングの間には壁で閉じられた謎の空間があること。もうひとつは2階の子ども部屋には窓がなく、扉も2重になっていること。しかもなぜか子ども部屋には備え付けのトイレまで。子ども部屋に誰かを閉じ込めるために作られているように見えるのだ。

ミステリー愛好家兼設計士の栗原は、1階と2階の間取り図を重ねたとき、1階の謎の空間が、2階の子ども部屋の棚と重なることを指摘し、この部分には穴があって人が通り抜けられるような隙間なのではという仮説を立てた。

雨宮と栗原が変な間取りについて疑惑を深めていた頃、その家のそばで死体遺棄事件が起きてしまう。雨宮は間取りにまつわる仮説をまとめて、オカルト動画を制作。すると、その家に心当たりがあるという女性・宮江柚希から連絡が。宮江柚希は、雨男の配信を見て自分の夫・宮江恭一が殺された事件と、東京の変な家のそばで起きた事件が似ていること、柚希の夫の死体が遺棄された埼玉の雑木林のそばにも変な間取りの家があることに気づき、雨宮にコンタクトをとってきたのだ。

柚希の正体は?本家の秘密とは

柚希は、自分の夫が東京にある“変”な家の住人が起こしている事件に巻き込まれたかもしれないと語り、もう一つの“変”な間取りを雨宮に見せる。それは埼玉にあるという、一部の部屋が後から増設されているような不思議な作りの家だった。そしてこの家にも、子ども部屋とつながる謎の空間が作られていた。

雨宮と柚希は、何か調べられることがあればと考え、東京にある“変”な間取りの家を実際に訪れることに。そこへ栗原から電話がかかってくる。「宮江恭一さんは結婚していません」では柚希の正体とは? 柚希が抱える秘密とともに、“変”な間取りの東京と埼玉、そして家にまつわる家族たちが隠してきた真実が明らかになる。

実は柚希は、殺された宮江恭一とは無関係で、東京の変な家に住んでいた夫婦の関係者だった。そして柚希の目的は変な家の事件に巻き込まれた姉・綾乃(瀧本美織)を探すことだったのだ。姉が現在いる“本家”では、先祖代々伝わる呪いと呪いを鎮めるための恐ろしい儀式が行われており、雨宮と栗原は間取りの謎を通じて家族が抱える闇へと足を踏み入れてしまうのだった。

結末の意味は?雑木林の遺体遺棄事件は誰が行っていた?

恐ろしい儀式に巻き込まれた柚希の姉たちを助け出した、雨宮と栗原。姉夫婦に話を聞くと、姉らは変な家での殺人は行っていないことがわかった。では、東京の変な家の近くにある雑木林でおきた死体遺棄事件の犯人は誰だったのか。

その犯人はラストでわずかに示唆される。柚希の姉・綾乃は助け出されたあとも洗脳が解けずに、儀式をしなければと追い詰められていた。その綾乃の肩を優しく支えるのは、綾乃と柚希の母である喜江(斉藤由貴)だ。喜江は綾乃を励ましながら、チラリとホームレスの方に目を向ける。

綾乃の代わりに儀式のための殺人を犯していたのは喜江だったのだ。彼女はホームレス向けの炊き出しのボランティアをしており、それはホームレスのなかから犠牲者を選ぶためだったのだ。

儀式に必要な“犠牲”は3人。解決したと思われた事件が今後も続いていくことを考えると、思わずゾクッとする後味の悪さを残し、幕は閉じた。

「変な家」原作との違い

シンプルな描写で、情報だけで怖さが染み渡ってくる原作小説に比べて、映画『変な家』はしっかりとしたホラー作品に仕上がっている。主人公・雨宮が謎の人物に襲われたり、恐ろしい儀式に巻き込まれて追いかけられたりする姿からは、原作では感じられなかった生々しさがあり、自らが体験しているような錯覚に陥る。ホラー映画『呪詛』や『悪魔のいけにえ』を彷彿とさせるシーンなども、ホラーファンには楽しい演出だろう。

原作にあった細かな設定がシンプルになっていることで、ただひたすらに画面で示される怖さに没入できる作りになっている。登場人物目線で“変”な間取りの謎に挑み、描かれる事件に身を投じることができる一作だ。

『変な家』の続編は作られる?

原作小説とのアプローチの違いはあるものの、大筋は「変な家」に沿ったストーリーだった今作。気になるのは、今後も続編の展開があるかどうか。興行収入も好調なため、その可能性は充分。では、今後どのように展開していくのだろうか。

原作の著者・雨穴氏は「変な家」の後も、シリーズを出版している。「変な絵」(双葉社)と「変な家2 〜11の間取り図〜」(飛鳥新社)だ。どちらも「変な家」と直接の繋がりはなく、(「変な家2 〜11の間取り図〜」は「変な家」の後に展開される話ではあるが)新規のミステリーとなっている。しかし、雨穴(映画では雨男)と栗原さんの2人で展開していくスタイルは変わりなく、もし今後も映画が続くのであれば、間宮祥太朗演じる雨宮と佐藤二朗の栗原さんの活躍が期待できそうだ。

さらに、この2人(雨穴&栗原さん)が登場するのは書籍だけに留まらない。元々YouTube動画とその前身であるウェブメディアで単発の作品を発表している。「差出人不明の仕送り」「人形に録音された、子供の声の謎」「とある一軒家で見つかった、不気味なビデオテープの真相」「変なAI」などなど、どれも「何かが、変」なミステリーとなっている。

ゾクッとするストーリーがクセになるシリーズ、『変な家』の後に見てみてはいかが?

 

※2024年3月19日時点の情報です。

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