株式会社カラーより、庵野秀明監督が『シン・ウルトラマン』の制作に参加することが発表されました。庵野秀明監督といえば『シン・ゴジラ』の脚本・編集・総監督をつとめるなど、特撮作品にも造詣が深い方なので、今作の制作にも大きな期待がかかります。
しかし、庵野秀明監督は『シン・ウルトラマン』制作よりも前にもう一作、大きな映画の公開が控えています。それが『シン・エヴァンゲリオン劇場版』です。
日本のアニメ史においても重要な位置づけとされるアニメ作品「エヴァンゲリオン」シリーズの最終作となる本作。ぜひとも、注目しておきたい映画なのですが、「エヴァンゲリオンって聞いたことはあるけどどんな作品なの?」という方も多いのではないでしょうか。そこで今回、「エヴァンゲリオン」こと通称“エヴァ”がどんな作品でどんな歴史を歩んできたのかを紹介します。
「エヴァンゲリオン」とはそもそも何なのか
映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』より エヴァンゲリオン初号機 (c)カラー
「エヴァンゲリオン」シリーズの始まりは、1995年よりテレビ東京系列にて放送を開始したTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』です。庵野秀明氏は原作、監督、そして脚本など全面的に力を注ぎ、全26話が放送されました。大人のファンの多いイメージが強い作品ですが、当時は夕方の時間帯に放送されていた作品でした。
本作は放送終了後も特徴的な終盤の展開などが話題になり、一世を風靡しました。社会現象といわれるほどの人気作品だった本作は、人気の熱が冷めることなく現在にまで至っており、むしろ当時以上のファンを抱える一大コンテンツとなっています。
「エヴァンゲリオン」はなにがすごいのか
映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より 綾波レイ (c)カラー
なぜ「エヴァ」は、ここまで人気の作品となったのでしょうか。これには様々な答えがあります。
まず、シンプルに巨大ロボットもののアニメーションとして、面白いこと。あまり「エヴァ」を知らない人は本作に対して、難しい作品だとか怖い作品という印象を持つ人も多いかもしれないですが、そんなことはありません。しっかり笑えるエピソードや敵キャラクターとの熱い戦いが楽しめる作品となっていて、万人が楽しめるエンターテイメント作品となっています。
また、本作の主人公・碇シンジも特徴的です。当時のロボット系アニメの主人公では珍しい内気で流されやすい男の子というのも新鮮でした。今思うとシンジのキャラクターはバブル景気から一段落を迎えた90年代末の閉塞感や、世紀末を目前にした未知へと向かう時代の雰囲気とも合致したとも言えるかもしれません。
映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』より 式波・アスカ・ラングレー (c)カラー
そしてなんといっても、「エヴァ」が難しいと言われる所以ともなっているのが作品の終盤の展開です。物語の終盤、これまでのストーリーとは一線を画す、シンジの心の内面を描いた展開や演出、ストーリーに突入し、哲学的な展開へと発展していくことでも話題となりました。そんな「エヴァ」の最後の展開が何を意味しているのかなど、当時増えつつあったネットユーザーの間で話題となり、議論が巻き起こるなど、他のアニメにはなかった方向で話題になったことも「エヴァ」というムーブメントの特殊さを表しています。
派生していく「エヴァンゲリオン」の世界
映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』より 碇シンジ (c)カラー
「エヴァンゲリオン」の人気は、TVアニメ放送終了後も様々なメディアへと発展していきました。漫画やゲーム、また現在進行系で根強い人気を持つのが高橋洋子さんの歌う主題歌「残酷な天使のテーゼ」です。現在もカラオケランキングの上位に君臨し、アニメを観たことがないという人も口ずさめるほどのアニメソングの金字塔です。
そんな「エヴァンゲリオン」が一段落を迎えるのが、TV版とは別の側面の結末を描いた劇場版です。『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』そして、その決定版となる『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に』が、1997年から1998年にかけて公開されます。この映画の公開で、「エヴァ」シリーズは完結を迎えます。
映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』より渚カヲル(c)カラー
新展開を迎えた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ
作品としては一段落を迎えた「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズですが、2007年に新たな動きをみせます。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの公開です。TVシリーズで描いた物語を劇場版の枠組みで新たに再構築した物語として制作されることになりました。今現在も続いている「ヱヴァ」シリーズはこの「新劇場版」シリーズで、2019年時点で以下の3作品が公開されています。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007)
TVアニメシリーズの第1話から第6話「決戦、第3新東京市」で描かれるヤシマ作戦までを描いたのが『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』です。作画はすべて新規に描かれ、90年代に制作されたTVアニメシリーズの、アナログ手法からデジタルペイントに移行、3DCGも取り入れて、まったく新しいビジュアルとなりました。
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009)
人気キャラクターであるアスカや、本シリーズで初登場となるキャラクター・マリが登場となったのが『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』です。新キャラクターが登場しているようにTVアニメシリーズの物語は踏襲しつつも、従来のTVアニメシリーズとは明確に異なる展開が用意されており、「新劇場版」シリーズがTVアニメのリメイクではなく、リビルド(再構築)企画であることが明確になった作品でした。
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012)
一転して、「新劇場版」シリーズとして誰も観たことのない新たな展開に突入したのが『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』です。前作から14年の時を経た世界が舞台となり、シンジと共に、その間の変貌した世界を体験する物語となっています。本作では重要人物であるカヲルが活躍するところも見逃せない点です。
Amazon Prime Videoで観る【30日間無料】新シリーズもついに完結へ
そして、2007年から続いてきた「新劇場版」シリーズもついに2020年6月公開の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で完結を迎えようとしています。以前から制作自体は発表されていた作品なのですが、庵野秀明監督が制作の合間に『シン・ゴジラ』を監督したりと、本来の想定よりも公開が延びており、結果的に新シリーズ開始から十年以上の時を経ることとなりました。
そんな『シン・エヴァンゲリオン劇場版』も、ついに特報映像が解禁になり、2020年6月の公開が迫ってきています。満を持して迎えるシリーズの新たな終着点が果たしてどんなものなのか。ぜひ、リアルタイムで体験したいところです。
(c)カラー
※2021年2月24日時点のVOD配信情報です。