菅田将暉&仲野太賀「YOSHIを見てると、俺の“ライン”て全然手前だったんだ」【3ショットロングインタビュー】

映画のインタビュー&取材漬けの日々是幸也

赤山恭子

YOSHIを主演に迎え、共演に菅田将暉仲野太賀を配し、新たな世界観を押し広げた映画『タロウのバカ』が公開される。オーディションを重ねたが主演が見つからず、あぐねた大森監督がインターネットで「14歳、有名人」と検索してYOSHIがヒットしたことからの出演オファーだったというから、運命の結びつきにも、そして菅田や仲野といったクレバーな俳優と渡り合うYOSHIの存在感にも、大きく惹かれる一作となった。

タロウのバカ

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戸籍もなく、一度も学校に通ったことがない少年タロウ(YOSHI)は、スポーツ推薦で入った高校で怪我をして居場所をなくしたエージ(菅田)、ウリをやっている同級生に恋心を抱くも臆病なままのスギオ(仲野)と日々つるんでいる。タロウと遊んでいるときだけは心が解き放たれるエージとスギオだったが、奔放な日々の中、事件が起こる。

劇中、彼らが手にすることになる拳銃が、運命を途方もない方向に加速させる。だんだんと曖昧になっていく生と死の境界線、閉塞感とエネルギッシュさにからめとられる。YOSHII、菅田、仲野ーーこの三人でないと成り立たなかったであろうバランス、本作での得難い経験について単独インタビューした。

タロウのバカ

――三人での居方があまりにも自然で、特に、劇中何回か出てくる秘密基地でのシーンはアドリブのようにも見えました。基本は台本に沿っていたんですか?

仲野 いえ、アドリブ結構あったよね?

菅田 ある、ある。

仲野 YOSHIは平気でアドリブをかましてくるので、その自由さはすごく衝撃でした。将暉もすごくアドリブが上手なんですけど、YOSHIはそれに全然ついていってて。だから、すごいなと思って……。

菅田 いやいや、「自分はしてません」みたいな言い方してる。

YOSHI うん。自然に(仲野はアドリブを)言ってるよ。

仲野 俺、アドリブ全然できないから……。

菅田 エチュードの化け物みたいな太賀が、よく言うよ!

仲野 俺、台本に忠実な男だから。

菅田 嘘だよ(笑)。

仲野 でも、本当にYOSHIの対応力の高さをすごく感じました。

菅田 確かに。こっちも対応せざるを得ないしね。

仲野 そう。こっちが合わせていく、っていう。

菅田 動かされることって、普段あまりないよね?

仲野 ないね。

タロウのバカ

――なかでも、記憶に残っているYOSHIさんのアドリブエピソードなどは、ありますか?

菅田 あるシーンで、エージ仕切りでふたりを動かすところがあるんです。ドライ、テスト、本番と何回もやっていくと、慣れてもくるから、みんな違うことをしてくるわけなんですけど。本番のときかな、YOSHIがなかなか純粋に言うことを聞かず、ヘラヘラヘラヘラしていて。そのままこっちにガーンと突っ込んできたから、「おっ、来たな」と。じゃあ、こっちはこっちでちゃんと役割として、ねじ伏せようと思って、ドーンとぶつけたんです。

YOSHI すげえ痛かった!

菅田 あれ、よかったね!

YOSHI よかった! 湖ができたもん、ここ(目の周り)に。

仲野 湖(笑)?

菅田 湖、できてた?

YOSHI “かきくけこ(湖)”が出てきた。「涙がこぼれる!」みたいな。将暉も、俺が泣いてるとき、すごかったよね。湖ができてた。

菅田 うん。そうだけど……。

仲野 ちょっと、「目の上に湖」っていう表現がすごい(笑)。

菅田 すごいね(笑)。

タロウのバカ

――(笑)。YOSHIさん的には、俳優としての面白さみたいなものをおふたりから現場で思う存分、味わった感じですか?

YOSHI もちろん。将暉とか太賀もそうですけど、やっぱり撮影スタッフの皆さんが、自分に対してすごくフランクでいてくれて。僕も将暉も太賀も、撮影スタッフ全員で『タロウのバカ』を作り上げたという感じだから、とにかく愛があった。みんなと接してて、現場にすごく居やすかったんですよね。気を遣わないというか。そこが一番大切だった。重苦しい感じだとさ、「うーん」となっちゃうから。

タロウのバカ

――縮こまってしまうかもしれなかった。

菅田 うん。YOSHI、主演だからな。

YOSHI そう、そう、そう。

菅田 よかったよ。

YOSHI 変な話さ、主演でできなかったらやばいじゃん? だから愛があったから、よかったかも。

菅田 よかった。それが、もうすべてだよ。

タロウのバカ

タロウのバカ

――愛情を持って現場作りをしていくことは、菅田さんも仲野さんも決められて臨んだことだったんですか?

菅田 どうしたってYOSHIは初めてだし、わからないこといっぱいあるだろうし、とはいえ、俺らも教えすぎたくないし、俺らにすらわからないこともあるなかで……。15歳で、今までお芝居をしていなくて、初めて映画に主演で出る、しかも大森さんのもと、こういう作品に出るというだけでも嫌でもすごく注目されてしまうから、どうせだったら、YOSHIが自分で「やってよかったな」と思うものにしたいじゃないですか。だから、そのために「必要なことはないかな」とは考えていました。

仲野 そうですね。あくまでYOSHIが主人公ですから、とにかくYOSHIが光ればいいし、YOSHIが結局、主役の重みみたいなものも、ある意味、どこかで感じてしまう環境に置かれてしまったというか。主役というものの重圧は、たぶん彼自身にもあるだろうし。

YOSHI そうだね。

仲野 でも……、とにかくYOSHIが魅力的に映れば、この映画が勝つと思っていたので、彼がのびのびやって、なおかつ、いい作品になるように、と。僕も将暉もそうですけど、全スタッフが感じていたことだと思います。

菅田 そうだね。YOSHIが自由であればあるほど、いいというか。

タロウのバカ

――輝く映画であるということですね。

仲野 『タロウのバカ』自体、YOSHIが15歳のときに撮った映画だから、あの瞬間のYOSHIだからこそ出てる何かが、ちゃんと映っていると思うんです。きっと今のYOSHIだったら、たぶんできなかったことが。

YOSHI そうだと思う、本当に。わかる。

仲野 あのときをちゃんと残せているのが、この映画の最大の価値なような気もしますし、人がどんどん変化していく、子供が大人になっていくその境界というか。

YOSHI 一番グワーッという感じだったからね。

仲野 そう。

菅田 本当だよね。

仲野 グラデーションのすごい良いときを、大森監督が切り取ってくれているんじゃないかな、という風に思います。

YOSHI タイミングがバッチリ合致した。

タロウのバカ

――そのあたり、当然YOSHIさん自身の個性の輝きがあると思うんですが、伸びやかなその時期にご一緒できたことは、おふたりの俳優人生にとっても影響がありましたか?

菅田 うん、そうですね。

仲野 学びは、すごいありましたね。

菅田 面白かったですね。「こういう時間、欲しかった」みたいな感じ、ありますね。

仲野 うん。YOSHIの奔放さというか自由さって、ある意味、ほかの現場では、もしかしたら衝突が起きることがあるような気もするんです。でも、それはたぶん僕の想像の範囲で。『タロウのバカ』の現場でも、YOSHIはすごく自由でのびのびとやっていて、最初、大人は身構えるんですけど、最終的には首を縦に振るんですよ。YOSHIを見て考えさせられるというか、「これってそうだよな、これが真っ当だよな」って、大人も考えちゃうというか。

菅田 今日のインタビュアーさんも、実際、全員そうだったからね。

仲野 みんな、顔色、変わっていったでしょう?

菅田 うん。

仲野 それがYOSHIの魅力だし、うん。きっとYOSHIは、そうやって大人を納得させる何かを持っているので、こっちが心配しているだけで、全部その範疇を超えてくれるから、そんな人と出会えたのは、すごくよかったです。

YOSHI うれしい!! 最高です。出会えたことに感謝だし!

仲野 ……リップサービスね。

菅田 これが大人のやり方だ!

YOSHI それは……ちょっとやめてもらえる?

菅田仲野 (笑)。

タロウのバカ

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――俳優人生という括りでなくとも、「出会えてよかった」というのがいいですね。

仲野 なんで、こんなバイアスかかっちゃったんだろうな、俺の人生。

一同 (笑)。

菅田 ね! 本当だよな。

仲野 うん。

――そんなふうに思います?

仲野 思います、本当。

菅田 思います、思います。でも割とさ、「そういうのなくやってこう」としてきた感じもあるじゃん。

仲野 うん、自負はある。「ギリのところまでやってきたぞ」みたいな。

菅田 それでも、いっぱいあるもんね。

仲野 あるし、YOSHIを見ていると、「もう全然手前だったん? ??、俺の、このラインって」って。

タロウのバカ

タロウのバカ

――その“ライン”は、この作品やYOSHIさんに関わったことによって、やや取っ払えた部分はあったりするんですか?

菅田 どうだろうなあ……。

仲野 映画の中では、何か開放できた感じはあって。それは楽しかったです。

菅田 そうなんだよね。

YOSHI 僕が言いたいのって、将暉と太賀とかじゃなくて、全国民に言いたいんですけど、単純に人生を楽しんでほしいんですよ。本当に! 難しいと思うんですけど。今の世の中って、ネガティブで経済が回っているじゃないですか。「善は悪に勝てない」って言いますけど、俺は、その真逆のことを起こしたくて。難しいんですけど、そういう型を作りたいんです。結局、「型にはまらない」っていうのが一番難しいことであって。

世の中で1から10のことは誰でもできると思っているから、僕は0から1のことをやりたくて。今やっていることは、新しい「YOSHI」というアイコンが現れて、どんどん有名になっていって、YOSHIのアイコンの次の世代を引き継いでくれる人たちが現れたらいいな、というのがあるんです。その0から1を作り上げたいんです。この映画もそうですけど、すべて。

タロウのバカ

菅田 そこで俺らは迷うんだよね。1から10を1回やらせるべきなのかどうか、というところが、ずっと俺らの課題だったよね。

仲野 現場でのね。

菅田 うん。たぶんいま求められる人ってさ、「1から10を1回できますよ」と見せた上で、0から1を作れる人だと思う。

タロウのバカ

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タロウのバカ

――それは、まさに菅田さんや仲野さんですよね。

菅田 そうだとうれしいですけど、それはやりたいことじゃないですか。でも、YOSHIには普通に、純粋に0から1だけでいってほしい感じもあるし。

仲野 それはある。

YOSHI なるほど。

菅田 でも、きっと1から10を問われる瞬間があるから。

仲野 それでいて、0から1のYOSHIを許容する社会であってほしいな、とも思うしね。

菅田 そうだね。

YOSHI だから、そういう社会を作っていかなきゃいけない、というのはあるよね。

タロウのバカ

タロウのバカ

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――もし1から10が必要になったときには、相談できるおふたりもいますし。

菅田 そう、相談してくれるんですよ。

――この先や未来のこととかを、ということですか?

菅田 うん。

YOSHI たまにね。俺、人生で結構ぶつかることが多くて。「ここ、なんでこういうふうに」って。

菅田 怪我だらけだもんね。

YOSHI そうだよ。ズキズキですよ、常に。転んでは起き上がって。ポジティブなので立ち上がるのは早いんですけど、その分多い。そうなっていくうちに自分は成長していってるんだと思う。

菅田 そこが素直だからいいよね。

仲野 うん。

YOSHI なんかね、僕ってすっごい素直なんですよね!!

仲野 (笑)。

菅田 すっごい素直だと思うよ。嘘がないから。

仲野 YOSHIの場合には、YOSHIの魅力を発信したいっていう気概を持った大人の人が、きっと周りにいっぱいいるから。そういう人が少しずつ増えていけばいいな、と本当に思いますね。(取材・文=赤山恭子、撮影=映美)

タロウのバカ

映画『タロウのバカ』は2019年9月6日(金)より、テアトル新宿ほか全国ロードショー。

タロウのバカ

出演:YOSHI、菅田将暉、仲野太賀 ほか
監督:大森立嗣
脚本:大森立嗣
公式サイト:www.taro-baka.jp
(C)2019映画「タロウのバカ」製作委員会

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  • LiCa
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    タロウが母親にピストル向けるシーンが、今まで見てきた映画の中で1番かもしれない
  • ryoto
    3
    YOSHIの演技が上手すぎる
  • テクニシャン
    4
    バッチバチの実力派俳優陣 ヨシくんデビュー作で度肝抜かされた。 やっぱ天才だね。
  • あいす
    -
    今の自分になんとなくちょうどいい映画だった。 たいががどんどん2人に巻き込まれて落とされていく感じが、なんか、ああ。 たいがだけじゃなくて、みんなそうか。 暗い雰囲気だった ただ、希望とか何も持てないあの感じ
  • Ren
    2.5
    昨年鑑賞。問題作なのは分かるけど、それ以上のものは特に無いと思ってしまった。社会の暗部を照射しつつジャンル映画的な面白さに振ったりより強烈な問題提起をする名作がたくさんある中で、まず一歩目に露悪趣味がある作品を自分は手放しで絶賛できない。もちろん作れるだけ立派ではあるけど。 自分たちがイコール世界そのものだと思っている人間がその世界を否定されたとき、大声と暴力しか抵抗の術を持たないキツさにどんどん疲弊していく。 そこに『万引き家族』のようなヒューマニズムは感じず、『ハングマンズ・ノット』のような初期の阪元裕吾作品に感じる、単にギョッとするものを羅列した物語に終始してしまったのが残念。 ハンディを持つ人々を廃墟のような場所に監禁したり拳銃で腹部を撃ち抜いたりする画は鮮烈ではあるけど、そこで止まってしまう感じがどうしてもする。「社会の暗部を知られてよかった」という名の「何かを知って満たされた気になる欺瞞感想」を生み出す一助になってしまうとすら思った。その好奇心の向かう先は深層webでは? エージ(菅田将暉)は周りを巻き込んでいく典型的なヤクザのリーダー、スギオ(仲野太賀)は理性を残した巻き込まれキャラクター。彼らは終盤へ向かうにつれ、まだ自分たちの立場や世間とのズレを自覚していきながらそれでも足掻くしかないことに苦悩する瞬間が感じられる。 タロウ(YOSHI)だけが最後までヤバい。ネグレクトによって義務教育を一度も受けていない無戸籍児で、これが自分にとっての世界であり他二人のような悶々とした部分がまるで無い。自分の世界が壊されていったときに手を差し伸べてくれる人も居場所も無く、ルールで統制された世間(それはサッカーチームだったりする)の中で言葉にならない叫びを上げるしかないという逸れ者の宿命が痛々しく突き刺さった。 演技初挑戦のYOSHIをタロウ役に抜擢したのが英断。メインキャストで考えたときにエージやスギオ役は酷だと思うので、一貫して世間一般の視点や価値観とズレ続けるタロウが適任。元々の演技のポテンシャルとキャスティング上の工夫が上手い具合で噛み合った結果だと思う。 その他、 ○ 動物か何かのマスクを被るのはあるあるだけど、自分は『アメリカン・アニマルズ』を思い出した。若者が世界へ抵抗するときの武装。 ○ 突然夢みたいな場面に入る演出意図を汲み取れなかった。一枚絵としては好きだったけど。 ○ 主婦相手にタロウが声を張り上げるシーンの居心地の悪さと緊張感はすごかった。タロウがいつ何をやらかすか分からないスリルがちゃんとある。 ○ それが彼らが生を実感する唯一の解であるかのように「痛み」描写がとにかく多い。特にエージは常にボロボロだ。その「痛み」の果てがあのラストなのだと思う。予想はしていたけどショッキング。
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