『僕のヒーローアカデミア』の新作映画が来た!
4度目の劇場版となった今回の『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』(2024)では、これまでと同様に総監修とキャラクター原案に原作者である堀越耕平を迎え、シリーズ初参加となる、TVアニメ『七つの大罪』や『クロムクロ』、映画では『劇場版 NARUTO-ナルト- 大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!!』の岡村天斎を監督に、映画オリジナルのストーリーが描かれます。
シリーズとしても大詰めを迎えているタイミングでの上映となった本作はどんな映画だったのでしょうか?早速解説していきます。
『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』(2024)あらすじ

日本はヒーローとヴィランの全面戦争によって荒廃した状態にあった。死柄木の撤退により一時休戦の状態にありながらも、緑谷出久を始めとした雄英高校ヒーロー科の面々も治安維持に駆り出されていた。
そんな出久たちのもとに、あるヴィランの出現の連絡が入る。3班に分かれていたA組のメンバーはそれぞれ行方を追っていた。しかし、そのヴィランを追っていたのは出久たちだけではなかった。
ヴィランによって連れ去られたアンナを単身追う、執事のジュリオ。時を同じくし、アンナを連れ去った張本人でもあるバルド・ゴリーニが部下たちを引き連れて出久たちの前に現れたのだった。
オールマイトに魅せられたバルドは、自身を次世代の象徴として民間人やA組の面々ごと謎の能力で取り込んでしまう。“ダークマイト”を名乗る彼の目的と追われる少女の正体とは。敵船に迷い込んだA組の面々はそれぞれがダークマイト率いるゴリーニ・ファミリーに対抗していく……。
Filmarksユーザーの評価は?
Filmarksでは8月9日(金)10:00現在、スコアは★3.8、Mark!(観た人)3723。リアルなユーザーレビューを一部抜粋してピックアップ!
個性のぶつかり合い!A組の絆、諦めない心。アクションシーンは最高すぎる。3人の連携と横顔が眼福!
個人的に4期のオーバーオール戦の作画を軽く超えてきた感じ。1期からリアタイで観てきたから凄く感情深かった。
作画には毎回驚く。王道ストーリーで見やすかった。しかし、展開が読めすぎてなんかこれじゃない感。
ヒロアカは本当にオマージュがうまくて好き!ワンシーンにたくさん意味が込められるのがオマージュの良いとこですよね、演出が多層的になる。
ジュリオがオタクの癖詰め込みすぎて良すぎる…
A組全員が頼もしくヒーローらしくなっていて、大きくなったねと親戚のおばちゃんみたいな目線で見てしまった
『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』は“いつ”の映画なのか?
『僕のヒーローアカデミア』の劇場版シリーズといえば、上映当時のTVアニメシリーズの時系列に合わせて、原作漫画では描かれていない映画だけのオリジナルストーリーが展開されてきました。今回もそんなTVアニメシリーズに沿ったタイミングのエピソードが用意されています。
『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』で描かれるのは、上映当時時点で放送まっただ中のTVアニメ第7期の間のエピソードであることがわかります。厳密には、第143話「Let you down」で死柄木やオール・フォー・ワン率いるヴィランたちとの決戦に突入するので、この映画がその直前(厳密には数日前という設定)であることが分かります。
今回の映画ではA組のメンバーの中に青山優雅の姿がないことを考えると第142話「皆がヒーローになるまでの物語」以降の出来事でもあることが推測できます。
本作において、“いつ”の映画という点では、映画の内容以外でも重要なのが原作漫画との関係性です。『僕のヒーローアカデミア』の原作漫画はこの映画の公開日の2024年8月2日の直後である8月5日に発売された週刊少年ジャンプで最終回を迎えました。原作のフィナーレのタイミングでの上映という意味でも、今作を観るファンにとっては出久たちの“最後”の戦いが見られる機会という意味でも大きいものとなっています。
映画でも重要なオールマイトとオール・フォー・ワンの戦いとは?
今回の映画に登場するダークマイトは、オールマイトのある映像によって感化されている様子が描かれています。
そのある映像とは、TVアニメシリーズ第3期で描かれたオールマイトとオール・フォー・ワンの直接対決です。この戦いによって宿敵であるオール・フォー・ワンを拘束することに成功するのですが、その代わりに、それまでオールマイトが隠していた痩せこけた真の姿が大衆の目に晒されることになってしまいます。
実質オールマイトが第一線からの引退を迎えた事件で、世界が“平和の象徴”を失ってしまうという作中でも特に大きな転機だったのですが、そんな時にオールマイトは公に対して「次は君だ」とメッセージを残します。
これは暗に継承者である出久に全てを託すメッセージにもなっており、かつ次世代のヒーローたちを鼓舞するためのパフォーマンスとなりました。
しかし今回の映画では、このオールマイトの「次は君だ」というメッセージをあえて誰へのメッセージかを明かさなかったことの負の側面を明らかにします。このメッセージがヒーローだけでなく悪意を持った人間にまで届いてしまい、悪事を引き起こしてしまうことになったわけです。
強敵?ダークマイトの正体やその個性とは?
そんな今回の宿敵として登場したダークマイトの正体は、バルド・ゴリーニ率いるヨーロッパ圏で最大とされる犯罪組織ゴリーニ・ファミリーです。見た目はオールマイトと瓜二つなのですが、ゴリーニが自らをオールマイトに似せて見せているだけで、本当の素顔はオールマイトとは別人です。
そんなダークマイトの個性は“錬金”。
触媒を使って思い思いのものを作り出すことができる能力です。武器や建造物はもちろんのこと自動で戦ってくれる錬金兵士や巨大な要塞まで作り出すことができます。あまりにも万能すぎる能力に思えますが、その性能はアンナ・シェルビーノによる“個性”を一定期間だけ強化・変容させる“過剰変容”によって引き上げられたものでした。
ちなみに錬金といえば、錬金術が題材となっている作品『鋼の錬金術師』を思い出す人も多いと思いますが、そんな『鋼の錬金術師』のTVアニメシリーズを手がけていたのも『僕のヒーローアカデミア』と同じアニメーション製作会社のボンズです。ダークマイトの攻撃の様子は、そんな『鋼の錬金術師』でのノウハウを生かした派手な演出となっていました。
思えば、今作の主題歌となったVaundyの「ホムンクルス」という曲名も『鋼の錬金術師』に登場するキーワードであったり、ゴリーニファミリーの幹部たちが7人居ることも七つの大罪を模した敵の幹部の人数で一致しています。さらにはダークマイトに対抗するジュリオが右腕と左腕を機械化している様子などは主人公のエドワード・エルリックと同じであり、各所に『鋼の錬金術師』をオマージュしたかのような設定が見られます。
アンナとジュリオの個性とその顛末が描いたこととは?
そんなジュリオの個性は“因子相殺”。右手で触れた相手の個性因子を自分の個性因子で相殺し、消滅させることができる限定的なものでした。
しかし、この個性が唯一アンナの個性による苦しみからアンナ自身を救う手立てであり、怪我によりその個性を失ってしまったジュリオを「アンナを殺すしか彼女を救う手立てがない」という考えにまで陥れることになります。
『僕のヒーローアカデミア』で描かれる個性は一見、異能力バトル物作品を思わせるスーパーパワーの様ですが、実際は現実世界の各々の人間たちの違いを際立たせる働きももっています。
単純に個性の性能差には幅があったり、個性自体が容姿に影響を与えたり、属性差を表すようなものとして描かれています。
その中でもアンナはその個性により隔離を余儀なくされたり、発作を引き起こし苦しめられたりと“病”のように描かれているのが印象的です。
出久が無個性なために個性に憧れていたという設定から“個性”がプラスアルファをもたらすものに見えやすいですが、無個性であることを願うアンナの姿は対称的。無個性であること自体もまた一つの特性であることと描かれているのはこれまでのシリーズとは違った視点に思えます。
人と人の違いを多く描いてきた『僕のヒーローアカデミア』のフィナーレの一つを担うこの映画が、最後に個性を失ないながらも幸せを迎える二人の姿であることにも意味を感じられるところ。
“個性”なんてない現実世界の私たちと同じ地平線に立った二人の姿は、『僕のヒーローアカデミア』という物語が完結を迎えて現実世界に立ち返ってきた私たちにも重なります。
※2024年8月9日時点での情報です。
