1992年にアニメの放送が始まったクレヨンしんちゃん。現在も相変わらず人気があり、日本のお茶の間では定番のアニメとなりました。
クレヨンしんちゃんは1993年から毎年劇場版を公開しています。劇場版では必ず家族愛や友情が描かれ、子供だけではなく大人も感動できる作品となっています。毎年公開しているにも関わらず、ジャンルやテーマは毎回違うので、マンネリ化することなく、30年間もの間劇場公開を続けています。
今回は、1993年から2023年までの全31作品をまとめてご紹介。順番に観てもよし、気になるテーマから観てもよし。ぜひお気に入りの一作を見つけて下さい。
『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』(1993)
夏休みに海に出かけた野原家は、アクション仮面アトラクション・ハウスから異次元の世界に迷い込む。そこではアクション仮面もおり、ハイグレ魔王により力を封じ込められていた。アクション仮面の力を取り戻すため、ハイグレ人間だらけになった世界の平和を取り戻すため、しんのすけはアクション仮面と共に立ち向かっていく。
クレヨンしんちゃんではお馴染みのアクション仮面をテーマに、原作者の臼井儀人も製作に加わり、初の劇場作品ながらファンからも高い支持を得る一作となった。
『クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝』(1994)
福引で海外旅行が当たり、ウキウキで南の楽園・ブリブリ王国へ出かける野原家。一方ブリブリ王国ではしんのすけにそっくりな王子が誘拐されていた。全ては謎の組織・ホワイトスネーク団の罠だったのだ。一体ホワイトスネーク団の目的とは?
南のジャングルを舞台に、時にアクションあり、もちろん笑いもありの冒険感たっぷりの作品。
『クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望』(1995)
戦国時代の異変を察知した30世紀のタイムパトロール隊員リング・スノーストームは、現代の野原家に不時着する。リングはシロの体を借り、悪事を働く雲黒斎の野望を阻止するため、野原家と共に戦国時代にタイムスリップする。
時代劇ならではのアクションを堪能できる一作。
『クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』(1996)
しんのすけは幼稚園の遠足でヘンダーランドという遊園地を訪れた。そこでトッペマ・マペットというネジ巻き人形と出会い、ヘンダーランドはオカマ魔女が地球征服を企む本拠地であることを知る。トッペマ・マペットに地球征服を阻止してほしいと頼まれたしんのすけは、一度は断ったものの、オカマ魔女を倒すため、再びヘンダーランドへと向かうのだった。
個性豊かなキャラが沢山登場し、しんのすけのヒーロー、アクション仮面・カンタムロボ・ぶりぶりざえもんも活躍するファンタジー要素の強い作品。
『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』(1997)
魔人ジャークを復活させるためにある二つのタマのうち、しんのすけが一つのタマを持ち帰ってしまう。そのタマをひまわりが飲み込んでしまったことによって、世界征服を企むホステス軍団と、それを阻止する三人組との戦いに巻き込まれてしまう。
ひまわりが劇場版で初めて登場した劇場版。しんのすけの兄としての成長も観ることができる。
『クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦』(1998)
秘密結社「ブタのヒヅメ」は、世界征服のため、恐ろしいコンピューターウィルスを作り上げていた。ブタのヒヅメを阻止するため動き出した秘密組織「SML」は、偶然お台場の海でしんのすけと出会う。しんのすけと幼稚園の仲間たちは、SMLと共に世界平和のために立ち上がることになる。
スパイものならではのクールなアクションシーンに加え、ギャグのシーンも最高に冴えている。
『クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦』(1999)
しんのすけはある日路上で倒れていたおじいさんを風呂に入れてあげたことをきっかけに、日本の温泉を守る温泉Gメンと地球温泉化を企む悪の組織YUZAMEとの戦いに巻き込まれる。YUZENの野望を阻止するための「金の塊の湯」が野原家の地下にあることを知り、YUZENの巨大ロボ襲撃から家を守るため、野原家も立ち上がる。
ゴジラ映画のパロディが含まれ、怪獣映画好きにはたまらない作品。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル』(2000)
野原一家とかすかべ防衛隊の子供たちは、アクション仮面の最新作映画公開を記念した豪華客船ツアーに参加する。しかし、試写会の途中、アクション仮面の俳優、大人たち全員が謎のサル軍団に連れ去られてしまう。子供たちは大人たちを助けるため、南の島のジャングルへと飛び出していく。
かすかべ防衛隊が不安の中ジャングルの中を進んでいく姿、アクション仮面がヒーローとして戦う姿に応援せずにはいられない。小さい子でも大人でも幅広い層が楽しめる作品。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001)
ひろし、みさえ含め、大人たちは昔を懐かしむ「20世紀博」に夢中になっていた。しかしそれは、希望溢れる昭和を永遠に生き続けるためのオトナ帝国化計画だった。やがてひろしとみさえも、しんのすけとひまわりを放置して子供のように遊びに行くようになる。21世紀に進むため、しんのすけとかすかべ防衛隊の子供たちは、計画に戦いを挑む。
ファンの中でも最も人気があり、Filmarks内でも人気が高い作品。ひろしが大人になる回想シーンには大人になってしまった全ての人が間違いなく感動する。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』(2002)
ある日、野原家は全員揃って着物を着た綺麗な女性の夢を見る。その後、いつの間にかしんのすけは戦国時代にタイムスリップし、又兵衛という侍、夢に出てきた女性、廉姫に出会う。二人は互いに惹かれ合っていたが、身分の違いから想いを打ち明けることはできなかった。しんのすけはそんな二人の仲を取り持とうとするが……。
又兵衛と廉姫の身分違いの恋が描かれ、劇場版の中でも最も切ないラストシーンに涙を流した人も多いはず。後に『BALLAD 名もなき恋のうた』の原案ともなった傑作。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード』(2003)
夕飯の食卓は最高級焼肉だとしり喜びに湧く野原家。しかし突如謎の男に襲われ、野原家は指名手配されてしまう。早く帰って焼肉を食べるために、追手から逃れながらも、敵のアジトへ突入するのだが……。
大人も思わず涙するほどの感動色が強かった前作2作から打って変わってギャグ全開の作品。見終わった後は焼肉が食べたくなること間違いなし。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』(2004)
かすかべ防衛隊の5人は、街中に見つけた映画館にふと立ち寄る。そこでは荒野の映像が流れており、いつの間にか5人は西部劇の世界の中にいた。しんのすけ以外の4人は春日部での記憶を失い、西部劇の世界の中で新しい生活を送っていた。しんのすけは春日部に帰ろうとするが、しんのすけもだんだん春日部での記憶を失っていってしまう。
劇場版は野原家の家族の絆を描いたものが多いが、今作はかすかべ防衛隊の友情を強く描いている。西部劇のパロディも含まれ、前作のギャグ全開とは一転、シリアスなシーンも多い。
『クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ ブリブリ 3分ポッキリ大進撃』(2005)
時空調整員ミライマンに出会い、3分後に怪獣に襲われることを知った野原家は、ヒーローになって次々と怪獣を倒していく。ヒーロー気分に浸るみさえとひろしは、やがて日常生活が疎かになっていく。しかししんのすけはヒーローとしての優越感には浸らず、自分の正義感を貫くのであった。
クレヨンしんちゃんでよくテーマになる“ヒーローとは”が前面に出ている作品。両親が優越感に溺れる姿を目の当たりにながらも、それに染まらないしんのすけの強さに感動する。
『クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!』(2006)
春日部では、知らないうちにそっくり人間と本人が入れ替わる“世界サンバ化計画”が進められていた。ひろしやみさえもそっくり人間と入れ替わり、しんのすけは本物の家族を取り戻すために奮闘する。
日常がじりじりと侵食されていくホラーな描写が続き驚くが、後半はしっかりギャグ展開もあり安心する。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾!』(2007)
沖縄旅行を満喫していた野原家。気づくとシロのお尻にケツだけ星人が落とした爆弾がくっついてしまう。その爆弾は地球ごと吹き飛ばしてしまうほどの破壊力だった。シロごと宇宙に飛ばし爆破されそうになってしまう。しんのすけはシロを守るために、逃亡を決意する。
シロとしんのすけの友情を中心に、野原家の家族愛が熱く描かれる。美人歌劇団も登場し、ミュージカル調を取り入れているのが特徴。
『クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ 金矛(キンポコ)の勇者』(2008)
しんのすけは地球と暗黒の世界を繋ぐ“ドン・クラーイ”の扉を開けてしまう。その扉は闇で地球を支配しようとしている暗黒世界の王によって作られたものだった。しんのすけは伝説の勇者となり王を倒すため戦いを決心する。
2009年9月に原作者の臼井儀人が事故により急逝したため、臼井が声の出演をした最後の作品となった。明るいファンタジー要素の高い作品。
『クレヨンしんちゃん オタケべ!カスカベ野生王国』(2009)
春日部は環境問題に目を向け、野原家も地域のゴミ拾いに励んでいた。しかし突如ひろしとみさえが拾った飲み物を飲んで動物と化してしまう。それは過激エコ組織による“人類動物化計画”によるものだった。動物化してしまうと人間の記憶を無くしてしまう。しんのすけは二人を元に戻すため、野望を阻止する。
環境問題とエコがテーマながら、みさえの家族愛がしっかり描かれ涙を誘う作品。
『クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁』(2010)
しんのすけの前に未来からタイムスリップしてきたという女性が現れる。その女性はしんのすけの未来の花嫁で、未来のしんのすけが支配者に捕まってしまい、助けるには5歳のしんのすけの力が必要だと言う。疑惑を持ちながらも、大人になった自分を助けるため、未来へと向かう。
タイムスリップの題材はいくつかあるが、未来が舞台は今作が初めて。大人になったかすかべ防衛隊のメンバーも見ることができ、18作目ながら新鮮な気持ちで鑑賞することができる。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦』(2011)
スパイを名乗る謎の少女・レモンがアクション仮面の“スパイとなって正義のために戦おう”というメッセージをしんのすけに届ける。その気になったしんのすけは、レモンと共にスパイの特訓を受け、アクション仮面からミッションを伝えられる。一体レモンの目的とは?
レモンのキャラが魅力的。クールなジャケットだが中身はしんちゃんらしいおバカな笑いが満載。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス』(2012)
ひまわりとおやつで揉めたしんのすけはみさえとひろしに怒られ、“ひまわりなんていらない”と言い放ってしまう。そこへ、野原家は突如宇宙の星にさらわれる。ひまわりはその星の姫になり、もしひまわりが姫にならなければ地球は滅びてしまうと言う。しんのすけはひまわりか地球の平和か、過酷な選択を迫られる。
宇宙という大きい舞台の元、家族の絆と兄妹愛が描かれる。
『クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』(2013)
B級グルメカーニバルに出かけるかすかべ防衛隊。謎の女性からソースを会場に運んで欲しいと頼まれ快諾するしんのすけ達だったが、それはB級グルメ撲滅を企むA級グルメ機構の企みを阻止できる伝説のソースだったのだ。一方で、B級グルメ会場では、A級グルメ機構が会場を乗っ取っていた。かすかべ防衛隊は仲間割れをしながらも、B級グルメを守るため奮闘する。
かすかべ防衛隊の友情と成長が展開されつつ、生卵を落とした焼きそばがとても美味しそうで、見終わった後は焼きそばを食べずにはいられない。
『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』(2014)
ギックリ腰になってしまい、謎の美女に誘われるままマッサージを受けに行ったひろし。しかしそれが原因で、ひろしはロボット化してしまった。立場が弱くなった父親の復権を目指す組織の陰謀だったのだ。やがて春日部は正気を失った父親たちで溢れ大混乱。そこにロボとーちゃんとしんのすけが立ち上がる!
ひろしがメインになりながらも、日本の父親、家族の在り方を自らに重ねてしまう。そして野原家の絆の強さを再認識する。
『クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃』(2015)
ある日ひろしはメキシコへの転勤を命じられる。野原家は家族全員でメキシコに引っ越すことを決意し、春日部に別れを告げる。新しいメキシコでの生活にワクワクの一家だったが、そこでは人食いキラーサボテンが待ち受けていた。
最初の春日部メンバーとのお別れシーンで、珍しく冒頭で泣かされる。パニックあり、冒険あり、笑いありで終始ドキドキしながら観ることができる。
『クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』(2016)
しんのすけ達は毎晩、楽しい夢が見られるユメミワールドを堪能していた。しかし、やがて悪夢ばかり見るようになり皆元気がなくなっていってしまう。かすかべ防衛隊は原因を探り出すうちに、同じ幼稚園に引っ越してきたサキという少女が怪しいと疑い始める。
やりたいことを自由にできる夢の中の描写が楽しい。サキと親の切ない事情が描かれ、特に子を持つ親には染み入る内容となった。
『クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ』(2017)
突然野原家の前に現れた宇宙人シリリにより、ひろしとみさえは子供に若返ってしまう。戻すにはシリリの父親の力が必要だと言う。ひろしとみさえを元に戻すため、野原家は種子島へと旅に出かけていく。
25作品記念ということで、今までのキャンラクターが再登場している。ロードムービー調で、今までの劇場版に比べるとのんびりしている。
『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~』(2018)
春日部の中華街で伝説のカンフーであるぷにぷに拳を修行することになったかすかべ防衛隊。その頃、街では食べた人が凶暴化してしまう“ブラックパンダラーメン”の流行により混乱に陥っていた。街を救うために、かすかべ防衛隊が立ち上がる。
かすかべ防衛隊がメインの話。クレヨンしんちゃんならではのアクションシーンが満載。
『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』(2019)
まだ新婚旅行に行っていないみさえとひろしは、しんのすけ達も連れてオーストラリアの島へ新婚旅行に行く。しかしそこでひろしが謎の仮面族にさらわれてしまう。その島では金環日食の日に花婿を差し出すとお宝が得られるという伝説があり、なんとその花婿にひろしが選ばれてしまったのだ。しんのすけ達はひろしを取り戻すため、仮面族やトレジャーハンターとひろしの争奪戦に参加する。
みさえとひろしの夫婦愛には泣かされるが、何と言ってもみさえの母として、妻としての強さが見どころ。
『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』(2020)
自由なラクガキをエネルギー源として空に浮かぶ王国、その名も「ラクガキングダム」しかし、時代の流れか、近年地上でラクガキを目にすることも減り、王国はエネルギー不足により滅びようとしていた。そんなラクガキングダムの王国軍は国の命運をかけて、地上への進撃を開始。その下にはなんと、しんのすけたちが暮らす春日部が……。
『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』(2021)
嵐を呼ぶ“永遠の5歳児”のはずが、しんのすけとその仲間たち・カスカベ防衛隊がなんと学帽をかぶり制服姿で学園に体験入学することに! そこでカスカベ防衛隊を待ち受けるのは、汗と涙の青春…のはずが、多発する謎の怪事件に巻き込まれてしまう……!
【文・タナカリオ】
『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』(2022)
ある日、野原家の元にしんのすけの「本当の母親」だと名乗る、ちよめと5歳の男の子・珍蔵が姿を現す。そんな彼女らを家に招き入れた野原家だったが、夜に忍者軍団に襲われてしまう。実はちよめの正体は逃走中のくノ一で、しんのすけとと共にさらわれる。今度は忍者の里で、しんのすけとその家族たちの新たな冒険がはじまる……。
『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~』(2023)
「クレヨンしんちゃん」
※本記事で紹介する映画は国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」のデータに基づいてセレクトしたものです。
※2023年4月5日時点の情報です。