
FILMAGA編集部は2024年も面白い映画を求めて日々たくさんの作品を観てきました。今年もアクションにホラー、サスペンスに恋愛とさまざまな映画が公開されましたが、その中から編集部員それぞれの好みで「これは推し!」な作品をご紹介します!
お気に入りの映画が多い中、吟味に吟味を重ねたので楽しんでもらえたら幸いです! 次観る作品を探している皆さん、私たちの推しムービー、いかがですしょう!
「現実では味わいたくない……」
編集部員・井上のベストムービー

PROFILE:今年は何度も観たいお気に入りの作品がたくさん増えたので幸せな気持ちです! 来年はレオン&コシーニャ監督の『ハイパーボリア人』(24)の公開も楽しみです!
井上が推すのは『ボーはおそれている』(2023)
あらすじ:日常の些細なことでも不安になる男・ボー。ある日、さっきまで電話で話していたはずの母が怪死した。母の元へ向かおうとするが、ボーの身に奇妙で予想外の出来事が次々に降りかかる。帰省はいつしか、壮大な旅に変貌していくのだった。
井上:『ミッドサマー』(19)、『ヘレディタリー/継承』(18)のアリ・アスター監督によるオデッセイ・スリラー『ボーはおそれている』。主人公・ボーを通して美しい悪夢を見ているような、アリ・アスター監督の世界でしか味わえないけど、現実では絶対味わいたくない感覚でした……。
ボーのように常に些細なことを恐れているわけではなくても、日常に溢れる予想外の出来事や将来の不安など、常に人間の中にある“おそれ”が描かれているようで、自己投影しやすく恐怖がリアルに感じられました。はじめて観た時は難解すぎて理解できていない部分も多かったのですが、散りばめられている様々なメタファーやオマージュを踏まえてみると見えかたも少し変わりつつ、この作品をコメディだというアリ・アスターのことはやっぱりおそろしいと感じました。また『オオカミの家』(18)のクリストーバル・レオン監督とホアキン・コシーニャ監督が担当したアニメーションパートは奇妙さに可愛らしさが加わってお気に入りのシーンです。
アリ・アスター監督とA24、ホアキン・フェニックスが再度タッグを組んだ新作『Eddington(原題)』の製作も決定していますが、次はどんなホラーが描かれるのか、楽しみです!
「自然と心がポカポカする」
編集部員・冨山のベストムービー

PROFILE:下半期、バタバタしてあまり映画が観られずにいたものの、残された年末までに沢山観るぞ!と意気込み中。2025年は『ウィキッド ふたりの魔女』の公開が今から待ちきれない。
冨山が推すのは『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
あらすじ:1970年冬、ボストン近郊。全寮制の名門バートン校の生徒や教師たちは、誰もが家族の待つ家に帰り、クリスマスと新年を過ごす。しかし、留まらざるを得ない者もいた。生真面目で融通が利かず、生徒からも教師仲間からも嫌われている古代史の教師ハナム。勉強はできるが反抗的で家族に難ありの生徒アンガス。ベトナム戦争でひとり息子カーティスを失ったばかりの料理長メアリー。雪に閉ざされた学校で、反発し合いながらも、孤独な彼らの魂は寄り添い合ってゆく……。
冨山:実は本作、上半期のベストムービーに選出するか迷った作品なんです。クリスマス休暇にまつわる作品なので、この時期にまた観たい!観てほしい!という思いから今回選出しました。
本作は、殆どの生徒、教師がクリスマスや年末年始を家族たちと過ごすために帰省する中、図らずも居残ることになった3人が、反発しながらも、互いが抱える問題や過去を知り、寄り添うことで絆を深めていく心温まる物語です。ハートウォーミングな題材、ストーリーではありますが、3人の掛け合いなど、コメディシーンがとにかく面白く、思わず声を出して笑ってしまう場面も。最初は馬が合わないと思っていたけど、接しているうちに打ち解けて仲良くなった友人や、歳の差がある友人など、彼らの間に生まれる関係性や絆は、誰しも1度は経験したことがあるのではないでしょうか。世代や性別、人種などを越えて生まれる絆に、鑑賞後は自然と心がポカポカする作品です。
また本作は時代設定が1970年と既に過去の年代なので、時代感も気にせず来年、再来年……と観返しやすく、個人的クリスマスの定番映画に無事に仲間入りを果たしました(笑)。これからご覧になる方は、是非、暖かい部屋でぬくぬくしながら、温かいドリンク片手に鑑賞してほしいです。
「背中を押してくれる優しい映画」
編集部員・小川のベストムービー

PROFILE:ミステリー作品好きですが、2024年は人間ドラマ系の映画をたくさん観ました。来年は考察作品をたくさん観たい!
小川が推すのは『夜明けのすべて』

あらすじ:主人公の藤沢さんは月に一度訪れるPMS(月経前症候群)によるイライラが抑えられず入社したばかりの会社を退職することに。その後も藤沢さんは転職先の会社の同僚、山添くんのあまりの無気力さに怒りを爆発させてしまう。だが、その山添くんもパニック障害を抱え、仕事が上手くいかずに気力を失っていた。やがて二人はお互いを支え合うようになっていく。
小川:今年の初めに観ましたが、今でも強く印象に残っていて時間が経てば経つほど「いい映画だったな〜」と感じて今回選出しました。2024年の映画の中で一番人におすすめした作品でもあります。「面白い!」というタイプの内容ではありませんが、じんわりじんわりと心を温めてくれるような優しいお話でした。
PMSとパニック障害を抱える藤沢さんと山添くんは、物語の最後に障害を克服するわけではありません。でも、二人がお互いの症状に寄り添って、生きていこうとすることがとても尊いんですよね。特にイライラが爆発してしまった藤沢さんをうまく宥める山添くんや、美容院に行けない山添くんの髪の毛を藤沢さんが切ってあげるシーンがお気に入りです。友達でも恋人でもない、同僚という距離感がまた安心感があります。二人以外にも職場の人たちがと〜っても優しいんですよね。なんて素敵な環境なんだ。PMSやパニック障害に悩む人、または身近にそういった人がいる方はもちろん、何か行き詰まりを感じたり落ち込みやすい人に観てもらいたいな。明けない夜はないさ! ぜひ、できるだけ静かな部屋で、明かりを落として『夜明けのすべて』の空気感を堪能してください。
イラスト:FILMAGA
*2024年12月13日時点の情報です。


